森のかけら | 大五木材


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ブログを書いている最中で、まだ『今日のかけら』に取り上げていない木があれば、とりあえず入口だけでもこじ開けておこうという方針転換にしたので、丸亀の道中で『ミズメザクラ』に立ち寄りましたが、話を今治、西条で納品させていただいたところに戻します。今治で納めさせていただいたのがこちらの『パドック』の一枚板のテーブル。写真では見切れていますが、その奥にブラックウォールナットの幅剥ぎのベンチがあります。仕上げは、もちろん木の質感を損なわず、木の触感が楽しめる植物性オイル塗装+蜜蝋ワックス


実はこのパドックを選びに弊社にご夫婦で足を運ばれたのは数か月も前の事でした。ご希望のサイズよりはかなり大きかったのですが、一枚板の圧倒的な存在感と迫力に魅入られてこれに決めていただきました。少し変形したフォルムも気に入ってもらい、豪快にその形を生かすことになりました。しかしその後弊社の決算もあったり、家具の製作・納品のスケジュールが立て込んでいたこともあって、数か月もお待ちいただきました。通常はそこまでお待たせすることはないのですが、今回はお客さんに忍耐を強いることに・・・。

自分がそうだからそう思うのですが、注文する際は「急いでいないので納品はいつでもいいですよ」と言いながらも、頼んでからは日々思いが募って、妄想のテーブルの方がどんどん膨らんでいきます。あまり待たせると、この妄想のテーブルが先に完成して納品されてしまいます。そうなると満足度のハードルは世界記録並みにあげられてしまうので、あまりお待たせするのはこちらも怖いのです。今回は選ばれたパドックがパンチの利いた個性的な材だったので、妄想のテーブルに後塵を拝することはなかったようです。

以前にこのブログでも書きましたが、このパドックは6m越えの元口が張り出したビッグサイズのパドックの一枚板を「解体」した際に出来たもの。元の状態だとあまりに大きすぎて正直どう売ればいいのか持て余していましたが、解体後は短期間で嫁ぎ先が決まりました。超巨大企業が経営難に陥るとしばしば、金融機関から『Too Big To Fail(大きすぎてその後の影響を考えると潰せない)』という言葉が使われますが、『Too Big To Sell(大きすぎて売れない)』ってこともあります。 嗚呼、そんな木がパドック以外にもいくつかあって、そろそろ決断しないと・・・




昨日に続いて一枚板の話ですが、弊社では材に合わせて、光沢や艶を保つために気長に時間をかけて乾かせる天然乾燥と、短時間で効率よく乾かせる人工乾燥を使い分けています。天然乾燥モノだと、長いモノでは私が入社して直後に買った30年モノもあります。これは念には念を入れて乾燥させているというよりも、ただそれだけの歳月売れなかった(陽の目を見せてあげることが出来なかった)というだけで、特別に時間をかけて乾かせているわけではないのです(汗)。木は生ものみたいに腐るわけじゃないから別にそれでもいいじゃないかと思われる方もいらっしゃいます。

木の出会いも人の出会い同様に、出会うべくして出会うという事もあって、昨年も20年ぐらい置いていた(売る力が無かった)板が、そういうモノを望まれていた方に売れたという僥倖を体験したばかりですが、やはり経営としてはあまり長すぎるのは問題。弊社が博物館で展示用として仕入れたのならそれでも構わないですが、あくまでも販売するために仕入れたわけですから、気に入っていただいた方の手元で家具として使われてこそのもの。そういう意味で昨年から、あまりに長い在庫の板は少し無理をしてでも出番を作っているところです。

もっと倉庫を片づけて木馬さんみたいに綺麗な場所で展示できるに越したことはないのですが、狭い倉庫ゆえなかなか展示・加工分離が出来ず、在庫の板の上に埃を積み重ねてしまっています。出来ない言い訳としては、『大きいところ、小さいところ、いろいろなスタイルの材木屋があっていい』ですが、やはり見やすく分かりやすい展示方法は考えないといけません。そういう点でも大変参考になりました。木馬さんも昨年末に横浜と福岡店を閉められましたが、異様なほどに活気を呈していた一枚板業界もここに来てどうやら勢いが落ちて来て一時の過熱ぶりが嘘のよう

あくまで私が仲間の材木屋から聞いた情報での肌感覚で、中にはバンバン売れてる~という店もあるとは思います。木馬さんも何かの戦略として2店舗を閉められたのだと思います。こういう昔から一枚板を扱っている店というより、一時のブームに便乗して、それまで一枚板など見向きもしなかった店が新規参入して、我先にと買い漁ったりしたものの、すぐにそれが売れるわけなどなく、それぞれの流通の末端で在庫がだぶつき腹一杯になってしまったのではないかと考えています。貴重な一枚板だからといってそう簡単に売れるものではありません。ブームが去ってからこそが本当の実力が試される

 




六甲アイランドの中で迷いながら高橋家が探していたのはこちらのATELIER MOKUBA(アトリエ木馬)さん。家具の街・福岡県大川市に拠点を置く㈱関家具さんが運営する一枚板専門ギャラリーで、業界関係者で知らなければモグリとまで言われる超有名店です。東京青山、新宿、五反田、横浜、大阪、神戸、福岡天神、博多、大川に直営のギャラリーを出店されています(昨年末に横浜と博多店は閉店)。と言いながらも、実際にギャラリーに入ったのはこの神戸ギャラリーが2店なのですが。具体的な住所は、兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9 神戸ファッションマート1Fです。

お店の方に、「決して買いに来たわけではない(帰るようなお金も持ち合わせていない)のですが、見せてもらってよろしいでしょうか」と事前にお断りをいれると快く了解いただきました。合わせて写真の撮影もご了解いただきました。こんな立派なところと比べるべくもありませんが、弊社にも時々「買いに来たわけではないのですが・・・」と申し訳なさそうにご来店される方がいらっしゃいます。きっと木が好きで見たくてたまらなくてご来店されたのだと思うのですが、ドライな対応をしていたと我が身を反省。

ちょうど店内には私たち家族以外誰もいなかったので、目を皿のようにして一枚板を見ていた私たち家族に対してもスタッフの方は丁寧に分かりやすく説明していただきました。自分がそういう立場になってこそ分かる事もあります。木馬さんのギャラリーでは、一枚板を仕上げて塗装までした完成品を展示販売されているので非常に分かりやすい。弊社は加工前の埃をかぶった荒材の状態で置いているので、削ったらどうなるか、塗装をしたらどうなるか、かなり想像力を働かせてイメージしてもらえねばなりません。そりゃあ木馬さんみたいなスタイルが分かりやすいのですが・・・

きちんと整理できていないというのはただただ私の怠慢でしかありませんが、このように板を仕上げて塗装までして立て掛けて展示するという事が出来ないのは物理的な理由。木馬さんでは特殊な乾燥技術によって、この状態でも板が反ることなく、かつ表でも裏返してもリバーシブルで、鉄足の上に乗せれば完成という事が可能なのですが、通常だといくら人工乾燥機に入れても広い板は時間が経てば反ってしまいます。そのため裏面に鉄や木で反り止めを入れる必要があり、両面使いは出来ませんし、それでも収縮はするので売れた際にもう一度仕上げ直ししなければならなくなります。明日に続く・・・

 




耳付きの一枚板の魅了は言わずもがなですが、すべての条件に対して応えられるわけではありません。自然素材ゆえ、あと少し長さが足りない、あと数センチ幅があれば、もう少しだけ厚みがあれば、節がちょっと、耳の形が、出来れば国産材で・・・等々いろいろな制約があればあるほど、ぴったりの一枚板を見つけるのは難しくなります。そういう場合は、一枚板でなくて、狭めの板を剥ぎ合わせて対応させていただきます。そうすることでご希望のサイズのテーブルやカウンターを作ることが可能になります。

沢山ある板の中から木柄を見ながら組み合わせていくので、節が無いほうがよければ無節の板で揃えますし、逆に節のある方がいいと言われる場合には、全体のバランスを考えながら節を混ぜた組み合わせにします。先日作らせていただいたのは、全長が3,600㎜、幅が1,150㎜の大きなキッチンのカウンターテーブル。個人の住宅としては、今までご注文を受けた中でも最大サイズ!凹んだ部分にキッチンが収まるので、効率のいい幅剥ぎで作らせていただく事になりました。樹種はブラック・ウォールナット

㈱コラボハウスさんのお施主さんからのご注文でしたが、コラボハウスさんはこういう施主さんからの要望に対しては鷹揚で、よく無垢材を取り入れていただきます。お若い施主さんでしたが、ご夫婦ともに木が大好きで、しかも節や割れ、虫穴などに趣きを見出していただく方で、木に彩りと表情を与えてくれる節も大歓迎との事。最近はそういう嗜好の方が随分と増えて来て、そういう部分で勝負している弊社としてはありがたい限りなのです。という事で、ガッツリ節を取り入れた木取りをさせていただきました。

好みにもよりますが、私はブラック・ウォールナットの場合は、節とその周辺にこそこの木の魅力が凝縮されていると思っています節の部分には枝があって、その枝が折れないように木が風や雪と戦った跡がそこに刻み込まれていて、そこに木の生きざまが味わいとなって現われてくるのです。あるいは傷がついてそこをどうにか治癒させようともがいた入皮や割れ、虫穴など、それらはすべてその木が森で生きてきた証(あかし)であり、彼らにとっての矜持だと思っています。それこそが生きた『森の履歴書』。




しかもこれだけではなくて、そのお宅では他にもふんだんに木材を使っていただきました。こちらはホームバーのカウンターに使っていただいた耳付きのブラック・ウォールナット。どこかのお店ではありません、個人のお宅です。むしろ今時店舗でもこういう無垢の木をカウンターに使ってくれるところが少ないくらいです。恰好いい~!私の人生の設計図でも50歳ぐらいになれば、自宅にこんな空間を作って日曜日ともなれば優雅にウィスキーグラスを傾けながら・・・どこかで計画が狂ってしまいました。

さきほどのブラック・ウォールナットの一枚板のテーブルの奥にこのバーカウンターがあるので、感覚的にこの板があまり大きく感じないかもしれませんが、これとて幅は500㎜サイズ。両耳付きをうまく留め加工してくれたのは、ウッドワークかずとさんの技術。やっぱりこういう空間にはウォールナットがよく似合います。こうやって美しく仕上がった状態を見ると、倉庫の中で埃をかぶって、来るべきその時をじっと耐えて待ち構えていたんだろうと申し訳ない気持ちになります。

更にこのウォールナットの奥にはもう一段低いカウンターがあって、それはブビンガの一枚板。いつもは端材の端材で勝負している、みみっちさが売りの材木屋ですが、年に何度かはこういう豪奢な木の使い方をしていただける現場に巡り合わせていただけます。しかしこういうご縁が成立するのも、そういう材を持ち合わせていたからこそ。長期間在庫している間は、いつ売れるのだろうと不安になる事ばかりですが、本当にいいモノって待っていれば木が人を呼んできてくれる。

そうとでも信じていなければ材木屋なんてやってられません(笑)。こういう出会いがあるからこそ、しかるべき時のためにすぐに使える在庫を持っておこうと思うのです(懲りない・・・)。楽しみは先の方が大きくなると誰かが言いましたが、また来るべきの出会いを信じて、大きなサイズの耳付きの一枚板を仕入れに行こうと思います。次はさすがに15年後なんて悠長な事は言ってられませんが。止めてしまわない限り、心あらばきっといつかどこかで巡り合いはあるはず、と己に今日も言い聞かす




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