森のかけら | 大五木材


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シガーボックスの最高級素材として葉巻の愛好家にはよく知られている『セドロ』(センダン科)は、雑誌などでシガーボックスが取り上げられるたびにネットから材の問い合わせがあります。私自身は煙草を吸わないので、実はその特性を『読んで、聴いて知っている』だけで実感はないのですが、葉巻の愛好家に言わせるとシガーボックスはセドロ製でなければならないそうです。いろいろな特徴のある木を販売していながら、その効能や性質を直接体感・理解していない事も多くて恥ずかしいのです。そんなセドロですが、私には縁遠いもうひとつの有名な出口があります。

それは『楽器』。特にクラシック・ギターのネックとして有名です。私はギターの演奏はおろか音楽関係には非常に疎くて音痴なので、ここでもセドロでなければならな希少性がよく理解できていなくて申し訳ないのですが、その道の方なら誰もがセドロの名前はご存知だとか。楽器の分野では、セドロというよりも『スパニッシュ・シーダー』の名前で知られているかもしれません。前にも書きましたが、シーダー(スギ)の名前がついているもののれっきとた広葉樹。削るとスギに似た匂いがするのでそう呼ばれています。

セドロの産地は中南米、弊社の持っているセドロはブラジル産です。にも関わらず『スパニッシュ』と名前についているのは、この地がかつてスペインの植民地であったため。征服者たちの嗜好品として愛用されたことからその名がつき、世界に知られ使われることとなったのですが、現在ではほとんど流通していません。弊社の在庫も後わずかですが、そもそも建築資材としてもニーズはほぼ無いので、セドロ指定で問い合わせが入るのは、前述のシガーボックスか楽器材としてのみ。そのため出て行く量もわずかなので、どうにか今まで延命してきたというわけです。

シガーボックスとギターという用途には一見すると関連性が無さそうに思えますが、煙(香)と音に大切なのは優れた調質性、そして虫などに対する防虫性。古代のマヤ人は、この木でカヌーを作っていたそうですから、マヤでは古来からセドロの防虫性に気づいていたと思われます。それでも材を検品していると、ところどころに小さな虫穴を見つけますのでやはり蓼食う虫は好き好きなのでしょう。そのセドロに先日、音の分野からお声がかかりました。ギターのネックとして使うので探されていたとの事。

カウンターにするような大きめのサイズのセドロの板を一枚ご購入していただきました。お買い求めいただいたのは、兵庫県の篠山市でギターの製作販売をしていらっしゃる楽器工房Kiyond田中清人さん。ご指定サイズにカットしてお送りすると早速加工して画像をSNSにアップしてくださいました。セドロは軽いので結構大きなサイズでも宅急便で運べるのがありがたいところ。田中さんのお眼鏡にもかなったようで、倉庫で埃をかぶっていたセドロが、演奏会などの晴れやかな舞台に立つことが出来る日も近いかも。木を活かすには、活かせる人と繋がれるかどうかにかかっています。

 




最近よくご来店いただく若いカップル。いずれ大好きな木工の世界で生きていきたいという事で、おふたりで仲良く楽しそうに端材を物色されます。少し硬めで色味の濃い材を探していたようで、それで何を作られるつもりなのかと訊ねたら、ナイフの柄にしたいとの事。それならばとお薦めしたのが、弊社の誇る強烈個性軍団サッチーネパープルハートレースウッド。こんなの見たことない~!と、期待通りの反応を示して喜んで買っていただきました。最近、こんな感じで新規の一般の木工愛好家の方のご来店が増えております。

それから数日して再びそのカップルがご来店。前回買った材でこんなのが出来ましたよと見せていただいたのがこちら。これだけだと刃がついていないので分かりにくいかもしれませんが、ボルトを外して刃を中に仕込みます。かっちょいい~!ナイフやら刃物に疎いので詳しい事は分からないのですが、シルヴェスター・スタローンが『ランボー』で使っていたようなサバイバルナイフであることは分かります。実際に握らせてもらいましたが、これなら私でも『怒りの脱出』が出来そう!いつもの銘木も、こうして見ると別物のように見えます。

日頃から『新しい森の出口を探す!』なんて大仰な事を言っているのですが、悠久の歴史の中で試行錯誤を繰り返し、それぞれの分野の中で最適材を見出してきた先人たちの「見落とし」なんて、なかなかあるものではありません。まったく新しい出口というよりは、小さな出口を少しだけ広げる(流通や価格等の問題であまり試されていなかった材を試すとか)ことに自分がいかに関われるかという事が現実的だと思います。ナイフだっていろいろな木で作られていて、こういう銘木ナイフだって存在していると思います。要はいかにそこに大五木材が関わっていけるか。

今後建築材料としての木材が飛躍的に伸びていくことは考えにくいし、もしそうなったとしてもそこは魑魅魍魎のレッドオーシャン。スーパーニッチの材木屋が進む道はそこではなく、小さな離れ小島のブルーオーシャン。小さいながらもキラリト個性が光る木のものづくり世界こそが、スーパーニッチの生きる道。人も踏み込まないような世界だからこそ、まだ見ぬ恐ろしい獣たちと戦うためにもこんな切れ味鋭いサバイバルナイフが必需品となるのです。スタローン、銘木ナイフでもう一回老骨に鞭打って戦場に赴いてもらえないかしら。

 




モノづくりをしていると否応なしに発生するB材の始末をどうするかは永遠の命題ですが、今作らせていただいているカードスタンドの端材を利用して作っているのが、この『モザイクパネル』。40×50×12㎜サイズの小さな板に斜めのスリットを入れてオイル塗装をしたものが完成品ですが、加工の途中で面が大きく欠けたり、弾けたり、加工ミスがあったもの、節やピンホール、青染みなどA品にならなかったモノをどうするか。それが溜まりに溜まって段ボール数箱分になってしまい、このまま捨ててしまうのはモッタイナイ、何か作れないものかと思案していました。

あまり手をかけてしまっても仕方ないので、なるべくそのままの形を活かして作れるモノ・・・それで思いついたのが、スリットを裏にしてベニヤに貼り合わせたモザイク柄のパネル。それぞれの角を面取りしているので、ベニヤに貼りつけた後、プレーナーで削って面を飛ばします。それからサンダーで磨いて、オイル塗装しました。それでもB品なので部分的に欠損しているところもあるので、そこは大胆にパテ埋めしています。サイズが微妙にズレているのでそれぞれの間にかなり隙間もありますが、これはこれでB品として割り切ることに。とりあえず10枚ぐらい作りました。

このために何か仕入れてはB材加工職人の沽券にかかわるので、倉庫にあるものを活用します。下地のベニヤは倉庫に残ったいたものを転用していますので、サイズはバラバラ。これをどういう風に使うのかという事ですが、弊社の事務所ではこれを何枚か繋げて意匠的な壁として使っています。少し離れれば、隙間とか気にならないのですが、近づいてみれば結構粗い造りですので、その辺にご理解のある方に使っていただければと、都合のいい事を考えています(笑)。

何枚かオンラインショップにアップしてみて、あまり反応が無いようなら別の使い道を考えます。自分の中ではまあまあ手応えはあるのですが・・・。こういうのって企画を練っている時が一番面白くて、出来上がってしまったら途端に熱が冷めてしまうのは悪い癖。何枚か使って壁面を全部これで埋めてしまったら面白いのではないかと妄想している時が幸せ。もしも反応がよくて売れだしたりしたら、カードスタンドの検品が甘くなってしまいそうだなと独りにやけて、捕らぬ狸の皮算用・・・。




先日、町の木』の面白いところは、そういう小枝から葉っぱまで素材がまるまる手に入るという事を書きましたが、そうであればこそしっかりと骨の髄までしゃぶり尽くして使わせていただきたい。通常であれば手にはいらない、もしくは入ったとて手に余して結局処分してしまう小枝葉っぱですが、一般的に流通していない街路樹灌木などの『町の木』のそれであれば、何とかして使ってみたくなるというもの。というのも扱える機会が少ないから、折角手に入った時には自分で切断したり削ったりして材質や触感、匂いなどを体感しておきたいのです。

という事で、通常ならば歯牙にもかけない小枝も輪切りにしたり、小割して、材質を味わいながらもどうにか生かせないものかしらと『出口』を探ります。そうこうしていると自然発生的にたまってくるのがおが屑。小枝など樹皮がついたものをそのまま切断したりするので、その木のおが屑だけを集めても結構いろいろなモノが混じってしまって見た目にもよろしくない。という事で、『篩(ふるい)』にかけて多少なりともおが屑をより分ける事にしました。早速近所のスーパーに材料を買いに走りました。といっても枠部分の木材はいくらでもあるので、目細の金網だけ購入。

結構な量のおが屑をふるいにかけなければならないので、大きめの『ふるい』が必要だったので自分で作ることにしたのですが、そうなると腕が疲れないように枠材には軽い『キリ(桐』を選択。たっぷり入るように深さにも余裕を持たせて、金網をキリで挟み込みました。単純構造ですがこれで完成。本当はこれで金網の目の粗さが違うタイプのものを幾つか作ればいいのでしょうが、あまり凝った事を始めるといつも『森の砂』を作ることになって、本末転倒な事になるのが予想できるので、まずはこれぐらいの緩さで始めてみることに。

こちらは、近くのお宮で伐採された『ヤブニッケイ』のおが屑。小割した際に出た木粉を採集して天日で2週間ほど自然乾燥させたものです。すっかり水気も飛んでサラサラになっています。写真では分かりにくいかもしれませんが、結構「不純物」が混じっていて、ちょっとこれでは草木染めやサンドアートならぬウッドアートするにも不適。この網目で果たしてどれぐらいふるい分けられるのか?何事も体験です。やはり1度では少し大きめの木の皮などは網目をすり抜けてしまいます。ちょっと金網の目が粗すぎたのか?

何度かやっているうちにコツがつかめてきて、モッタイないといつまでもふるっているとすり抜けてしまうので、少し早めに見切りをつけて、それを何度も繰り返すことに。そしたらかなり不純物がこされてサラサラした木粉になりました。量は減ってしまうものの、見た目にも触った感じもかなり理想に近いものになりました。これもあまりやり過ぎると、何が主役で何のためにやっているのか、本末転倒になってしまうので、ほどほどのところで切り上げる事に。まずはいろいろな木の種類を増やすことが先決と、調子に乗ってその日のうちに4種類も仕上げてしまいました。

 

本当は、端材がモッタイナイと言うよりも、匂いの強い木、あるいは匂いの個性的な木、色目の面白い木のおが屑が何かに使えるのではないかという発想から始まったおが屑を採集ですが、いろいろな樹種のそれが集まってくると、多樹種異常反応症候群が強く刺激されます!とりあえあず今のところ20種類ぐらいのストックは出来ているのですが、きちんと商品と流通させるためにはもう少し味付けが必要。ただの『篩にかけたおが』という素材だけで売ってしまうのはあまりにモッタイナイ。もう少し先の出口を探ってみたいと思います。




手に入った丸太は速やかに「解体作業」します。寒伐りなのでこの時期だと少々ほったらかしておいても大丈夫なんですが、水分が抜けると製材しにくくなるので、なるべく水分が多くて刃が通りやすいうちに製材するようにしています。というのも油断していると次から次に丸太が入って来て、狭い土場だとどれがいつ頃伐った何の木なのか分からなくなってしまうから。という事で、今回も『サカキ』をチェーンソーで短めにカットしてから、手押しで少しだけ面を取ってから芯でザックリと割っていきます。少々節は絡んでいても十分な大きさ!

以前は、何を作るか決めてなくて、とりあえず芯を外してなるべく長いままで精一杯大きなモノを取っておこうという考えで製材していました。しかしそれだと結局出口も定まらずいつまでもそのままで、やがてねじれたりして使い物にならなくなった事もあったので、今は【森のかけら】用とか、少し大きなモノは『森のりんご』用、薄いモノは『ストラップ』用などと具体的な出口を設定して短めにカットしてねじれのリスクも軽減させながら製材するようにしています。木の質や杢を見て瞬時に何にするか判断しながら製材。自分で挽くからこそ思い通りのサイズに挽けます。

そして角材、板材いろいろなサイズに挽いた後は、急速な乾燥による割れを避けるために小口にボンドを塗って、桟を入れて風通しのいい日陰で天然乾燥させます。後日ボンドが乾いたところで、忘れないうちに小口に伐採した日付と樹種名、伐採場所などをマジックで書き込みます。この時、小口がザラついているとマジックで書きにくいので、両小口ともスライド丸鋸で切断しています。数があると結構面倒な作業なのですが、これが大事。ここまでしておけば混乱することもないし、なにより粗末に扱えなくなります

材の方はここまでやれば、後はじっくりと乾燥するのを待つばかり。目安としては1年ぐらい先に使えればいいなと考えているので気の長い話。その頃にはどこでどうやって手に入れたのか記憶が曖昧になるので、こうしてブログに書き残しておくのも大事なことなのです。今回はサカキという事もあったので、枝葉もいくらか残ったままもらってきました。枝葉は捨てることなく事務所の神棚に。市場とかで仕入れれば枝葉などありませんので、こういうのはビーバー救出隊ならでは。お陰で最近は葉っぱにも目がいくようになってきました。

長さをカットするときに発生するおが屑だって無駄にはしません。今までも大量に発生したおが屑ですが、モッタイナイと思いながらも活用方法を見出せず結局廃棄してきましたが、今では『森の砂』という大義名分が出来ましたので、堂々と採集することも出来ます!特にサカキのおが屑は匂いに特徴があるので、染色材としてだけでなく、香料として使えそう。小枝も輪切り丸太にして名札やコースターにする(その際のおが屑も)と、ほぼ捨てるところなく使うことが出来ます。折角ご縁のあった神様に近い木、しっかりと骨までしゃぶり尽くして使わせていただかねば不謹慎!

 




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