森のかけら | 大五木材


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アメリカでは昨年からの新型コロナウイルス感染で住宅着工数が大幅に落ち込んでいましたが、新大統領になって政府の経済対策と低金利政策によって脅威のV字回復となっています。その結果、製材市況は急激に反転し産地価格は大暴騰!現地では木材が足りない状況になり、カナダの製品も品薄、その余波で日本への輸出材も大幅に不足する事態になっています。それでも材が足りないので値段は更に暴騰。米材を扱うメーカーからは連日「製品価格値上げのお願い」のファックスが矢継ぎ早に送られてきます。

かつて経験したことのないほど激しいウッドショックとなっています。米材製品が不足しているため、代替材を国産材に求めたために国産材製品も不足するようになってきてこの混乱は今後しばらく続く、いや更にヒートアップすると思われます。材木屋としての王道からは随分と遠いところを歩んでいる弊社としては、今のところ影響は最小限。そのもも日頃から米松の構造材、羽柄材などの汎用性の高い製品を扱っていないので影響も少ないのですが、業界が大混乱する中で自分の立ち位置がどれほど中心からずれているのかを自覚させられます。

とはいえこの状況が長く続くと想定外の多方面に影響も出てくると考えられます。売れなくても困るし、売れすぎるとモノが集められなくて困ると、自然素材に依存する業界としてはほどほどの加減というのが難しい。問屋や材木屋がダム機能を果たしていないという事も事態を悪化させている一因ですが、だからといってこのウッドショックが解消したら、これに懲りて在庫を手厚くするかというと、そんな事はないと思います。極力在庫を減らして売れるモノを売れだけ在庫するというのが今の主流。それは汎用性のある木材についての考え方。

きうちのようにそもそもその材の出口すら定まっていない木材を扱うマニアックな材木屋にはあてはまらない概念です。生材を乾燥させる期間(仕入れ忘れ期間)や、材の存在をPRする期間(自分だけが愛で満足する期間)、削ったり塗装して仕上がり具合を確認する工程(ブログネタの撮影タイム)など、その材がいつでも触れる距離にある必要性があるのです。巷は品不足のウッドショックですが、弊社は(久しぶりに)在庫を整理して、変わった材が溢れるマニア度の高いウッドショップを目指します!




松山市の柳井町商店街に元気があって個性的なお店が増えているということで、地元の情報紙で特集が組まれていましたが、その中の1軒がバイオリンやビオラ、コントラバスなどの製作、修理、調理などを行う『弦楽器工房 La chiave di bassoラ・キァーヴェ・ディ・バッソ』さん。店主の西村啓志さんが弊社にやって来られたのは昨年のこと。西村さんはイタリアの国立クレモナ国際弦楽器工房で楽器製作を学び、技術を身につけ昨年の春に故郷である松山に戻り、柳井町に工房を開設されました。

楽器に使う材というのは、弊社が家具や造作に使っているような木材とはサイズや木取り、グレード、乾燥状況などが違っていて、本来は楽器には楽器専門の材木屋がありました。しかしこのご時世、誰もがストラディバリウスのような超高級楽器を求めるわけではありません。楽器専門材木屋の業界も相当に厳しいようで、その数も激減。海外からでもネットで気軽に買える時代になってしまいましたから余計に実店舗での販売は難しい。

西村さんも重要な部分の木材は今でもイタリアから取り寄せられているそうですが、送料の問題もあって大きなモノとか汎用性のあるものはなんとか身近なところで手配したいという事で、弊社にご来店いただきました。楽器で使う木材の場合、乾燥しているという事が絶対条件になるのですが、幸か不幸か弊社にはよく乾いた木材が沢山あります(この時のために乾かしていた・・・わけではなくただ単にずっと売れなかっただけ)。西村さんは大きなコントラバスも製作されるのですが、バイオリンなどに比べると使用する材の自由度が高いのだとか。

 

イタリアでも素材にはポプラを使われていたとの事。私はただ単純にいろいろな木に触れたいという好奇心でポプラなど仕入れているわけですが、こうして正当な『出口』に巡り合う事が出来ると嬉しいし、待たせた材に対しても顔が立つというもの。年末には工房にもお邪魔しましたが、小さなものからすべて手作りで貴重な楽器製作の舞台裏を見せていただきました。この数年で「楽器の木」を求められる方急増!端材コーナーにも『音色の端材』スペースを増設しなければ!!




先月と今月の2ヶ月間で、大五木材としては珍しく幅1m級の大きな耳付板が6枚も売れました!もともといわゆる銘木と呼ばれるような高級な木材とは縁遠い材木屋ですので、サイズは大きいとはいえ、バリバリの無節で上品で雅趣溢れる杢のあるA級品というわけではありません。その表情には、森の中で長年にわたって豪雨や防風に耐え、虫や鳥たちに住処を与えたり、わが身を蝕まれた痕跡が深く刻みつけられた味があって、癖が強い脇役のような板ばかり。昔の俳優で例えれば、アーネスト・ボーグナイン、今ならロン・パールマン

決して主役は張れなくても、登場すれば完全に主役を食ってしまうほどの圧倒的な存在感を放つ個性派。昔からこういう役者が好きなんです。木も同じでこういう木にはわけもなく惹かれてしまうのです。大体こういう木って、「大トロ」を狙って大きな原木を挽いた時に、不本意に挽けてしまう「中落ち」みたいなもので、製材業者にとっても決して歓迎されるものではありません。なので木材市場でも本命の大トロの前に、これから大きなサイズが出てきますよ~といった露払い的な意味合いで並べられます。

そのサイズ感は目を引くものの、「サイズはいいけど節がね~、こんな大きな割れがあっちゃね~」なんて、大トロ狙いの銘木屋さんは歯牙にもかけません。多くの良識ある材木屋からも軽くスルーされてしまいます。そうなればそうなるほど、私の中の天邪鬼が騒ぎ出す。「そうそう、表面の美しさしか追わないあんたらにはこの木の良さなんて分らないだろうよ。こいつを生かして、世に出してあげられるのはこの偏屈材木屋だけよ!」高級銘木を買わない(買えない)自己弁解が私に「買う理由」を与えてくれるのです

お蔭様でそんな嗜好の材木屋には、そういう木にシンパシーを感じる木フェチがどんどん集まって来るようになって、更にこちらも増長して、いつの間にやら倉庫はそんな木ばかりで溢れかえっております。意外にもそういうそういう嗜好の若い人の方が多くて、小さな頃から本物の木に囲まれてきた経験が少ない若い世代だからこそ、割れや虫食いなどの上っ面の見栄えだけでない、本物だけが持つ迫力や質感に惹かれるのかもしれません。木だけの話ではなくて、モノに対する価値観が大転換期を迎えつつあるのを強く実感します




これは昨年作られせていただいたものですが、愛媛県産の『カヤ(榧)』の木を幅剥ぎして丸く切り出した円形のカウンター。カヤといえば将棋盤碁盤などとして有名ですが、その他にも適度な弾力があって、光沢があり、水質にもよく耐えることから風呂桶まな板船舶用材などの水に関わる場面で利用されています。将棋盤には高齢木のよく目の詰まった良質な材が求められ、中でも盤面の上下がともに緻密な柾目のものは、『天地柾』と呼ばれ最高級とされます。値段を聞けば気軽に将棋など出来なくなるほど!

まあ弊社の場合はそんな高額な材には縁の無い材木屋ですので、そういう立派なカヤを求めては居ませんが、カヤ自体は四国にはよく自生しています。ただし天地柾が取れるような材となると樹齢が200~300年クラスの大木になるのですが、そういうカヤはほとんど無くなりました。もしあったとして、その木で将棋盤を作ったとしても、バブル当時ならいざ知らず現在では投機の対象のような数百万もする価格では売れるかどうか。高級将棋盤や碁盤という用途も材質を活かした出口ですが、それに該当するのは超エリートのカヤのみ。

それ以外の多くのカヤは、もっと小さくて枝も多くて節があり、選ばれし栄光の舞台には立つことは出来ません。しかし私はそんなカヤの方に強く惹かれるのです。この節のある木をどう活かそうか、どういう場面に使えばカヤを使う意義が生まれるだろうか、節まみれのカヤの木を眺めながらそんな事を考えるのが楽しみ。折角縁あってうちにやって来た木には、なるべくならば『意味のある出口』を用意してあげたい。すべての木にそれが出来るわけではないものの、日頃からそういう事を考えておく事は大事なので、出口を考えることを習慣化させています。

しかしこちらが、いいと思った出口も相手があっての事なので、受け入れていただかなければ出口に導けません。今回はある飲食店のカウンターにお使いいただいたのですが、これが4m近いストレートのイチョウのカウンターと繋がります。この円型のカウンター、直径1200㎜あって、結構な大きさですが、生憎イチョウでは適サイズのものがなかったので、イチョウと同様によく水に耐えて、適度な弾力を持ち、質感も色合いもよく似たカヤをご提案したところ、快く受け入れていただきここに至りました。カヤの材を削るとは甘いバニラのような匂いがします(あくまでも私の個人的な感覚)が、この丸いカウンターが倉庫にある間は、大五木材の倉庫の中も甘いバニラの匂いに包まれていました。この丸いカウンターが使われたお店の情報についてはまた後日改めてご紹介します。




大五木材の朝は早い。早朝から仕事を始めていた大工さんに合わせるために、朝は7時前に社員が出社するので、私はそれより先に事務所の鍵を開けなければならないので、6時30分には会社に行かなければなりませんでした。若い頃はそれが苦痛で、独身の頃に深酒でもした日には朝起きれなくて、既に社員が出社していて倉庫で待ってくれていたこともしばしば。当時は大工さんたちが「棟梁」としてバリバリに活躍されていた頃で、会社を開けるとすぐに電話が鳴ったり、大工さんの軽トラがやって来たりと、早起きは必須の状況でもありました。

それから年月が経ち、大工さん自体が木材を持たない(工務店が木材を手配するように移行)ようになると、早朝から材木屋にやって来る大工さんも減ったのですが、今度は早朝から木材を積んで遠方にリフォーム作業に行く業者の方が増えて、時には玄関のカーテンを開けると、門の外に軽トラが停まっていたこともありました。なのでやっぱり朝早く店を開ける必要がありました。それからまた月日が流れ、早朝より営業するプロ対応の大型のホームセンターが登場すると、そういう人たちはそちらに流れていきました。

その後、すっかり木材の潮流はプレカットになり、個人の大工さんが木材を仕入れることが激減すると、早朝から訪れる人はいなくなったのですが、その頃からの長い商習慣と、歳をとったら朝が早くなる、朝の混雑を避けたいので早く通勤したいなどの理由で、やっぱり今も朝早くから店を開けています。昔に比べると少しだけ遅くなって、今はだいたい6時45分ぐらいに開店していますが、さすがにこの時期で天気も悪いと朝はまだ真っ暗。月明かりに照らされながら門を開けるという事もあります。

門が古いので開閉時にもの凄い音をするため、近づいてくる足音に気づかず、暗闇からすっと人影が現れたりしてドキッとすることがあります。それもこの季節ならではのことで、というのも2月の上旬にこの辺りがコースとなる『愛媛マラソン』が開催されるため、出場される選手たちが早朝からトレーニングしているのです。毎年、このドキッを経験すると、マラソン大会の季節になったなあと思うのですが、こうして朝暗いうちから重たい門を開け続けて30年。あとどれぐらい続けることが出来るのだろうかなんて考えます。




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