森のかけら | 大五木材

先日、甲斐先生玉井さんが『木の玉プール』を取りにご来店された際に、お土産にとプラムを持って来ていただきました。実はここ平田町は宮内伊予柑発祥の地で知られる柑橘の町で、育てているのは伊予柑の他にレモンやキウイなどさまざま。その中にプラムもあって、弊社からすぐ近くでもプラム狩りをされている農園があります(ベニハナ農園さん)。甲斐先生と玉井さんは、弊社に来られる前にわざわざそちらに寄ってプラム狩りを満喫され、お土産にと袋一杯のプラムを持って来ていただいたのです。いつもいつもありがたいです。


いただいたプラムは美味しくいただきました。実はここに住むまでほとんど食べたこともなかったのですが、その味に魅せられてからは好物となりました。そのプラムですが、日本語で言うと『スモモ(李)』(西洋スモモ)。このブログでも以前に書きましたが、近所の農家さんで伐採されたスモモの木を分けていただきました。それは今も大切に保管されているものの、なかなかスモモらしい出口が見つけられていません。すっかり乾燥も進みましたので、これからスモモならではの出口探しをせねばなりません。

今まで唯一スモモらしい出口としては、『えひめのあるくらし』のメンバーで、季節の美味しい手作りジャムのお店・『朗-Rou』の和田美砂さんとコラボした『愛媛県産スモモの木で作ったスモモのスプーン&スモモのジャム』。見た目の印象としては、やや淡いヤマザクラのようで、緻密さはナシのようでもあるのですが、触ってみると分かりますが、サクラに比べても軟らかくそこまで強度はないようです。まあサクラのような大きな材は望めそうにもないので、身の丈に合ったような小さな出口が求められそうです。


折角のスモモの木なので、普通に輪切りにしてコースターにしてしまうにはモッタイないのですが、樹皮の感じがいいので、そういった注文も結構多かったりします。大きさが限られているのでどうしても出口もちいさくなりますが、貴重なフルーツウッドですので、来るべきその日に向けてしっかり保管していくつもりです。ここ最近加工の仕事が立て込んでいて、なかなか新商品の企画にまで頭が回りませんが、こういう機会(いただいたプラム)があるたびにハッとさせられます、やらねば!!




南海放送テレビの『えひめ情熱人』に取り上げていただいたのですが、あちこちで「番組観たよ」と声をかけていただき、反響の大きさに驚いています。正直、21時54分から放送という遅い時間の5分足らずの番組で、どれだけの人が観ていただけるのかと思っていたのですが、テレビメディアの影響力の大きさを実感しました。放送が4回予定されているのと、再放送もあったりするので、予告も含めて近所や取引先、友人、知人から「テレビ出てたね」と、拙い話っぷりで本当に恐縮ですが、何らかの爪痕は残せたようです。


こんな私にスポットを当てていただいた伊藤英朗ディレクターに感謝するばかりですが、木を扱う人がメディアで取り上げられる場合、林業家とか木工作家がほとんどで、その中間に位置する木材人に注目が集まることってほとんどないと思います。自分で何かを生み出すという生産的な仕事ではないのと、消費者から遠いためメディアとしてもインパクトが弱いということもありますが、自分のお客さんが工務店やハウスメーカーだと割り切っていて、一般の方に発信する気概も言葉も少ないというのが大きな原因でしょう。

私の場合も、従来の流通を担う材木屋としてではなく、そんな本業から逸脱して変わった「木のモノ屋」という立ち位置での取材だったと思っています。それは私も望んだところで、そういう方向に会社の舵取りもしてきたつもりなので、我が意を得たりという心境なのですが、逆に考えれば本来の材木屋という仕事では、こうしてメディアに取り上げられる機会も無いのではないかと思うのです。テレビやラジオに出ることだけがいいわけではありませんが、人が興味を抱くような情報を発信する力があればメディアも放ってはおかないでしょう。


世間で注目されるだけが仕事の評価ではないことは勿論ですが、一般消費者に近い方向に舵をきった以上は目立つことは重要で、まずはその存在を知っていただくことが肝心。本来の材木屋という仕事だって十分に魅力的な部分はあるのに、うまく表現できていないのは材木屋の殿様商売的な体質?いや、慎み深さ?職種は違えど、さかなクンの登場で魚や漁業についてのイメージが随分変わったように、発信力のある人の存在は重要。その責を負うのはもの言わぬゆるキャラではなく、血の通った生身の人間の言葉力だと思うのです




この歳で何を今さら青臭いことをと思われるかもしれませんが、先日のB家のパーティーに集まったさまざまな分野の方々とお話をして、それぞれの商品の後ろにしっかりと作り手の顔が見えていることを改めて痛感しました。特に近しい『おとなの部活動』の面々ですが、こうして異分野の方々の中に紛れても、その個性はやはり強烈。杉浦綾の作った器、杉浦史典の作った人形、帽子千秋の手がける服、大塚加奈子の薦める台所用品、玉井大蔵の作るパン豆などなど、いずれも商品と一緒に作り手の顔がしっかり見えている。

材木屋という仕事は、素材を大工さんや工務店さんに届けて加工して使ってもらう中間の流通業であるため、なかなか消費者に自分の商品を届けるという感覚が持ちにくく、『作り手の顔の見える商品』というものに漠然としてあこがれを抱いていました。それがやがて消費者にまで直接届く最終商品を作りたいという欲求を生み、遂に【森のかけら】によってその願いは成就することになるのです。販売を始めて約10年、今では県外からの注文が圧倒的に多くなったのですが、その多くがこのホームページを通じてというものです。

最近では、教材・標本として学校関係者の方からのご注文も増えていますが、一般の方はどういう感覚で購入されているのか多少気になっています。木工愛好家や木の仕事に携わる方が樹種サンプルとして、またはインテリアとして購入してくださっていると思うのですが、それは純粋に商品に対する評価としての事。あまたある木工商品の中でたまたま巡り合ったワン・オブ・ゼロであって、大五木材や森のかけらという看板で売れているものではありません。まあ自社商品といっても弊社の場合は直接的なものづくりとは少しスタンスが違います。

材こそ自社のものを使っていますが、それからどういうものを作るか企画・検討し、実際に加工してむらうのはそれぞれの工場ということなので、ものづくりといってもプロデュース的役割が強いので、顔の見える商品というにはちょっと違和感があるかもしれません。自分の中に作家や職人に対するあこがれが強く、自分の手で何かを生み出す行為への執着が強いのですが、その才能が無いのは早々に気づいていたので、今の形に移行してものの、やはりその思い断ち切りがたく、やっぱり私流の『顔の見える商品』に着手してみます。




昨日、魚の種類と木の種類はどちらが多いのかについて書きましたが、日本における魚の種類と比べると決して木の数が膨大というわけではなかったものの、海外の種まで含めるとやはり木の数は多いようで、それでどうにか『プロが集まる木材市場でも名前の分からない(あるいは特定する決め手のない)木がある』という問題に対する言い訳ができたかもしれません。そもそも木を特定するのに決め手となる葉が失われているのと、表面が色ヤケしたりしていて削ってみないと分からないというのもあります。

また消費者と距離のある木材市場などでは樹種名などあまり重要視しないというか、材の特定は買う側の材木屋の目利きだろうという風潮があるのも事実で、皆が何の木なのか分からないという時に、「これは〇〇の木だ!」なんて断言する人がいれば、そのままそれが通ってしまうという事もあります。まだそうして不安定ながらも名前がついていれば、それは違うとか似ているなどなど樹種名を特定できるきっかけにはなるのですが、結局不明のまま「雑木」のままだと、買ったところで売りにくく非常に困るのです。

最近では廃業する材木屋から材が回ってくることも多いのですが、そいう場合はほとんど樹種名が記名されていないので、まずは樹種の特定が大きな仕事となります。広葉樹後進県の愛媛においては樹種をハッキリ断言できる人も少なく、特に昨今のように世界中からあらゆる種類の木が流通するようになると、針葉樹から広葉樹、日本から世界の木すべてに渡って知識のある材木屋さんなんて日本中で考えてみても何人もいないのではないかと思います。仕事が細分化されたことと、世代交代が進んだことで、今後ますます木の名前が分からなくなる状況が進行するのではないかと心配しています。

そういう意味からも国内外の240種を知ることのできる【森のかけら】は、継続していく意味があるのではなかろうかと自分を奮い立たせています。そういう業界の事情がある一方で、そんな我々をあざ笑うかのように、「木の名前なんてどうでもいいから形のいいものが好き!」という自由奔放に名もなき枝を使う現場に遭遇!それが先日道後の伊織さんで開催させていただいた『えひめのあるうれしい日』でのチッキーこと帽子千秋のブース。カメラを向ければすべてを理解したチッキーが完璧なポーズで応えてくれます。

日本どころか海外にまでフットワーク軽く飛び跳ねるチッキーの展示会では欠かせない謎の木。樹種名など何の意味もありませんけど何か?とばかりに素敵な洋服が掲げられた枝。名前は分からずともこういして晴れ舞台に立たせてもらえる木を見ると、樹種名に執着する自分が小さな人間のように思えてしまう。まあ用途次第ではあるものの、カタチにこだわり過ぎるのもどうなのかなと・・・。そんな事を考えている間にも「〇〇という木はありますか?」なんて問い合わせメールが。木の名前もいろいろ、使い方もいろいろ。




建築工房OZさんの事務所の話の続きです。完成したので今は分かりませんが、根太や野縁など下地材もたっぷりご使用いただいています。見えるところでは、床には『アカシア』のフローリング。砂漠の緑化にも利用されるほど成長が早いエコロジカルな木ですが、この数年であっという間に全国区になり知名度もアップしました。弊社で扱っているのは、こげ茶から白色までこれでも同じ木なのかと思えるほど激しい色ムラと無数の節が特徴のナチュラルグレード。貼りあがるとお洒落な喫茶店のような趣。

当初は玄関からそのまま土足で入るような設定をされていたそうですが、アカシアが貼りあがった状態を見られてやっぱり上履き仕様にすることを決断されました。見た目の印象だとかなり堅牢な木のように思われるかもしれませんが、実際は成長が早く年輪幅も荒く軽軟です。なので傷に対してもタフな木ではないものの、OZさんが上履き仕様にされたのは、その理由によるものではなく、やはりこの上を土足で歩くのは忍びないという建築家の思いでしょう。上履き仕様になってことで新たなご注文が!

そうです、玄関で脱いだ靴を収納するためのシューズボックス。それを『モザイクボード』で作らせていただくことになりました。そこまで狙って提案したアカシアのフローリングではありませんでしたが、結果的にアカシアがつなげてくれました。弊社の場合は、それぞれの商品が小さな営業マンの役目。小澤さんが作るのならモザイクボードに決めてましたと仰っていただきましたが、実はモザイクボードも以前の現場でキッチンカウンターとして使用実績があり、気に入っていただいていました。



大量に使っていただくことは勿論嬉しいのですが、こうやってリピートの注文をいただくのはもっと嬉しいものです。色のメリハリのあるアカシアのフローリングともモザイクシューズボックスも絶妙な組み合わせです。基本的にモザイクボードは規格サイズ(2000✕500✕30mm、3000✕600✕30mm)での販売となっていますが、オリジナルでモザイク仕様の家具を作ることもあり、多少は端材が発生するので、それを利用した小さな家具も作ったりします。そういう事情をご存知の方には小さな幸運が舞い込むのです。




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