森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#105【メタセコイアMetasequoia スギ科メタセコイア属・針葉樹・岐阜産

全画面キャプチャ 20150507 113232.bmp

 

身近で生きている化石・愛媛のメタセコイア①

 

20150425 1先日、市内某所で伐採された『メタセコイア』の幹と枝を幾つか分けていただきました。よく混同されがちですが、メタセコイアは『世界一高い木』ではありません。アメリカのセコイア国立公園にあって、世界で一番高い木の一族と呼ばれているのは『セコイア』であって、『メタセコイア』ではありません。高い木のランキングの上位を独占する『セコイア』は商取引では『レッドウッド』とも呼ばれています。ちなみに現在世界で一番高いとされているセコイアは高さ115.61mの巨人・ビッグツリーです。

 

セコイアはスギ科セコイア属で学名は、Sequoia sempervirens(セコイア・センペルビレンズ)。一方メタセコイアはスギ科メタセコイア属で学名は、Metasequoia glyptostroboides(メタセコイア・グリプトストロボイデズ)。セコイアは今から2億年以上も前に地球上に現れたとされている最長老一族でもあります。恐竜時代を生き延びたセコイア一族は、その巨躯で世界一の称号を得て華やかなスポットライトを浴びる一方、メタセコイアは遥か昔に絶滅された種と考えられ、ふたつの種族の立場は大きく明暗が分かれました。

 

メタセコイアは、1939年に日本の関西地方の第三紀層で、常緑種のセコイアに似た落葉種の化石が発見され、発見者の三木茂博士によりセコイアに『メタセコイア』と命名されましたメタmeta-)とは、「高次な」とか「超」、「変わった」などの意味を持つ接頭語で、それまでに発見されていたセコイアやヌマスギとは異なる種類ということで『メタセコイア属』が新たに設けらそこに分類されました。化石として発見されたため、メタセコイアは古代に絶滅した木として認知されていました。

 

20150425 4ところが1945年に中国の四川省で現存していた『水杉(スイサ)』と呼ばれていた木がメタセコイアと同種とされ、晴れてメタセコイアは『生きている化石』として市民権を得たのです。カナダ北部やシベリア、グリーンランドなど北半球の寒冷な北極周辺に広く分布していたため、耐寒性、耐湿性は非常に高く、病虫害も少ないのが特徴です。日本には1949年に国と皇室が種子や苗木を譲り受けました。その後は成長が早いという特性を活かして全国の公園や学校、街路樹などに大量に植林されてきました。明日に続く・・・


身近で生きている化石・愛媛のメタセコイア②

1. 今日のかけら
20150426 1本日も『メタセコイア』の話の続きです。日本に渡来後、全国の街路樹、公園、学校などに沢山植えられたメタセコイアはその後すくすくと成長していきます。なにしろ20年~25年もすると樹高は20m、胸高直径でも500㎜を越えるような巨木になるぐらい成長スピードの速い木らしいので、公園や学校などで見かけるメタセコイアも大きなものは珍しくはありません。愛媛県内にも多くのメタセコイアが植えられています。【森のかけら】に使っているのは岐阜で伐採されたものの端材から作られていますので、外来樹であるにも関わらず産地は国産表記とさせていただいています。森のかけら】の産地表記については、学術的な意味の原産地ではなく、その材が生えていたところ、その材の出処という意味で現わしていますので、メタセコイアでもその材が採れた岐阜の産地をつけています。メタセコイアって外国の木じゃないの?と樹種名と産地名で違和感を覚える方もいるかもしれませんがそういう事です。世界の樹種については、その材が生えていた国名で現わしています。あくまでも材木屋のオヤジが作った『モッタイナイ標本』であって、学術的標本ではありませんのでそのあたりはご了承ください。メタセコイアの木はよく目にしていたものの、大きな木ばかりで枝まで手が届く事もなかったのでその葉を触った事もなかったのですが、今回伐採した幹や枝には葉がついていて、触ってみたのですが非常に柔らかでした。この木は落葉針葉樹で秋になると鮮やかに黄葉して落葉します。柔らかいのは葉っぱだけではありません。成長が早いというだけあって年輪幅は広く材質は極めて柔らか。今までにも結構大きなメタセコイアの材を扱わらせていただきましたが、持ち上げてみてあまりの軽さに「?」と感じる事もしばしば。 

この木ほど見た目の期待を裏切る木も少ないのではないのでしょうか。とはいえ、さすがに伐採直後は結構な重さはありましたが、それでも他の木に比べれば遥かに軽い木です。短時間でよく乾燥するものの、その軽軟さゆえにメタセコイアは未だに決定的な用途の定まらない木でもあるのです。板に挽いてしまうと印象は、かなり目の粗いスギといったところで、ほとんど特色の出ない木でもあり、大木が多い割にその活用が進んでいないというのが実情。一辺35㎜角の【森のかけら】などにすると、その中に年輪が1本しか含まれないなんて事もあるほど!

 

成長が早いという事の裏付けとして、植えて3年もすると高さは2.5mを越え、早いものになると4年で5mに達するという事ですが、ずっとそのペースで成長するというわけではなく、ある程度大きくなれば生長の速度は落ちて今度は太ってくるそうです。アメリカにおけるメタセコイアの研究者・ニーチェ博士によると、理論上は200年から300年もすると、高さが50mにも達するという事だそうです。にわかには信じがたい話ですが、この年齢の粗さ(成長スピード)を見てしまうと、その話もまんざらでもないように思えてくるのです。続く・・・


 身近で生きている化石・愛媛のメタセコイア③

1. 今日のかけら

20150427 1尋常でないほどのスピードで成長する『メタセコイア』ですが、さすがにそこまで成長が早いと、材質も恐ろしく柔らかいので、用材としては好まれないという現実があります。近年になって発見された『生きている化石』という背景や、今後も公園木、街路樹、校庭木などの剪定や伐採により原料の安定的な供給も見込まれるなど、美味しい条件がそろっているにも関わらず未だ出口が見えていないというのは実にモッタイナイ話。そう思って私もいろいろ加工してみたものの、さすがにここまで軟らかく、かつ木目の妙味も少ないとなるとなかなか・・・

 

そういう事情もあって、メタセコイアの材が市場で取引される事はほとんどありません。私はどうしても【森のかけら】の1樹種として採用したかったので、たまたまメタセコイアの挽き板を持っていた製材所に無理を言って分けていただきました。お陰で【森のかけら】に無事加える事が出来たものの、その時に6、7枚の耳付き板を仕入れたのですが、残った板が未だに買い手がつかず。長さ2m、幅500〜600mm、厚み55〜60mm程度の両耳付きの板なのですが、先日書いたように見た目はスギなのでほとんど目立つこともありません。

 

サイズ的にはテーブルやカウンターにもってこいなのですが、いかんせん木目の妙味がほとんど期待できないのと、材質の軽軟さから敬遠されてしまっています。大きなモノが難しければ、小物というの手もあるのですが、年輪幅が大き過ぎて小さくすればするほど『木らしさ』が失われてしまうため、『森のたまご』や『森のこだま』にしてみてもスギとの個性が分かりにくいのです。しかし見た目の雰囲気が似たようなのはスギとメタセコイアばかりではありませんので、あまりそこに執着する必要はないのだと思うのですが、そこが偏屈材木屋のこだわり。

 

20150427 4今回分けていただいたメタセコイアの原木は、在庫している耳付き板に比べると径級も小さい分、木目が密なので少しだけ期待できそうなのです。いつも言っているように『木は決して人間のために生まれてきたわけではない』のですから、木目の粗い細かいに関わらず、ご縁があって手元にやって来たメタセコイアに、活躍できる第二のステージを用意するのも私の務めだと思っております。ちなみにメタセコイアは、松山のお隣の伊予市の市木でもあります。尚更なんとか愛媛県産のメタセコイアらしい出口を考えてみたいものです。




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