森のかけら | 大五木材


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新しい元号が「令和」になり、間もなく『平成』の時代も終わろうとしています。思えば『昭和』から『平成』になった時は、大学4年生でした。その春に大学を卒業して平成元年に大五木材に入社しましたので、平成の歴史がそのまま私の今日までの社会人としての歴史と一致します。バブルに浮かれた大学時代を過ごし、あれから早や31年が過ぎました。あっという間の平成時代でした。あの頃は、まさかこんなひねくれた材木屋になろうとは・・・そして今日、4月3日に53歳になりました

平成時代の31年を経て、これから先、令和の元号の元でいつまで材木屋が続けられるか分かりませんが、激変する社会情勢の中でこうして細々とでも木の仕事を続けさせていただけるというのは本当にありがたいことだと感じています。先代の頃の昭和時代、私が引き継いだ平成時代、そしてこれからの令和時代で、大五木材の仕事内容は大きく様変わりしましたし、これからも変わっていくと思います。離れていった人もいれば、新しく繋がった人も沢山います。今の仕事が「材木屋」というカテゴリーには収まらないかもしれません。

若い頃は周囲の目や社員の反応ばかりが気になっていましたが、馬齢を重ねて鈍感になったせいか、図太くなったのか、もうそんな事も気にならなくなりました。試行錯誤の30年でしたが、その中で見えてきたものがあります。どうにか新しいスタイルも固まってきましたので、これからは『令和時代の大五木材色』を強く打ち出していきたいと思います。ところで、『』の漢字で思い浮かべる木と言えば『令法(リョウブ)』。既に木材関係の方がアップされているかもしれませんが、【森のかけら】にリストアップしている木としてスルーするわけにはいきません。

数年前にも愛媛の石鎚山に登った時に目にしてブログにも取り上げ、『今日のかけら』にも書きましたが、一般的に建築材に使われる木ではないのであまり馴染みが無いかもしれません。もしかしたら新元号の漢字が入っている木として、一躍脚光を浴びたりするかもしれません。理由はどうあれマイナーな木に光が当たるのは嬉しい事です。改めてもう一度『リョウブ』の紹介をしておきます。漢字で書くと『令法』と表わしますが、読み方は『リョウブ』。

もともとは「リョウボウ」と呼んでいたものが「リョウブ」と呼ばれるようになりました。名前の由来は、「律令国家末期のあたる平安時代の初期から中期にかけて、農民たちに対して田畑の面積を基準として、一定量のリョウブの植栽及び葉の採取と貯蔵とを命ずる官令が発せられるが、この官令(令法)がそのまま木の名前になった」ものだと、植物学者の深津正氏が書かれています。はるか平安時代に名付けられた木が1000年後に注目を浴びるかもしれない。そんな気の長い木の話を語り紡ぐのも令和時代の材木屋の大切な仕事です

 




★今日のかけら・E045【アリノスダマ・蟻の巣玉/Ant plant】 アカネ科ヒドノフィツム属・広葉樹・東南アジア産

 

淡路島の『奇跡の星の植物園』には温室などでさまざまな植物が栽培展示されていて、スマホのバッテリーが切れるまで写真を撮りまくりました。自分で撮った写真をブログに使いたいという事もあって、この数年間機会があれば全国各地の植物園に足を運んでいるのですが、写真が溜まり過ぎて整理できていません(汗)。植物園の温室にあるような木ですから、当然一般的な流通ルートに乗るようなものではないので、その木を使った実例が生まれるはずもなく、ストックは溜まれどブログで使える出番が来ないというジレンマ!


これではいつまでも折角撮った写真活かせないということで、実例や入手出来たというご縁がないまま、その写真だけというささやかな手がかりだけで取り上げてみたいと思います。そんな木の1つが、この『アリノスダマ』。マレーシア原産の アカネ目アカネ科ヒドノフィツム属の常緑小低木で、 湿地のマングローブの幹や枝や、岩の裂け目や岩上に着生する「着生植物」。変わった名前の由来は、蟻と共生するところから命名されたそうです。英名は『Ant plant(蟻植物)』、和名は『蟻の巣玉』と表わされます

その名前は、球のように肥大した茎の一部を蟻の巣として提供するところに由来しているそうです。成長して茎が大きくなるにつれて、中が迷路状になって沢山の蟻を住まわせ、蟻の食べ残しや蟻の糞、死体などを栄養として成長します。文字通り『蟻の巣玉』なのですが、この木に初めて出会ったのは、まだ子供たちが幼かった頃に家族で行った高知の牧野植物園の温室。その名前が面白くて覚えているのですが、ネームプレートしか無かったので、実際に中に蟻が住んでいるとは知らず、見た目がそう見える事から命名されているものだとばかり思っていました。

その時にも写真は撮ったのですが、膨大な写真の中に埋没してしまって捜索不可能。高知に行った時はまだ小学生だった長女が、成人して就職する会社に一緒に神戸に来た時に再会したアリノスダマに何か運命的なものすら感じております。蟻と共生する木ということですが、高知でも神戸でも蟻の姿は見えませんでした。観葉植物としても販売されているようですが、その場合は蟻はどうしているのだろうか?まあ植物なので蟻から栄養をもらわずとも光合成で成長するんだと思うのですが、ある程度大きくなったら蟻との共生関係は切れるのか?嗚呼、割って巣玉の中身が見てみたい!

 




手に入った丸太は速やかに「解体作業」します。寒伐りなのでこの時期だと少々ほったらかしておいても大丈夫なんですが、水分が抜けると製材しにくくなるので、なるべく水分が多くて刃が通りやすいうちに製材するようにしています。というのも油断していると次から次に丸太が入って来て、狭い土場だとどれがいつ頃伐った何の木なのか分からなくなってしまうから。という事で、今回も『サカキ』をチェーンソーで短めにカットしてから、手押しで少しだけ面を取ってから芯でザックリと割っていきます。少々節は絡んでいても十分な大きさ!

以前は、何を作るか決めてなくて、とりあえず芯を外してなるべく長いままで精一杯大きなモノを取っておこうという考えで製材していました。しかしそれだと結局出口も定まらずいつまでもそのままで、やがてねじれたりして使い物にならなくなった事もあったので、今は【森のかけら】用とか、少し大きなモノは『森のりんご』用、薄いモノは『ストラップ』用などと具体的な出口を設定して短めにカットしてねじれのリスクも軽減させながら製材するようにしています。木の質や杢を見て瞬時に何にするか判断しながら製材。自分で挽くからこそ思い通りのサイズに挽けます。

そして角材、板材いろいろなサイズに挽いた後は、急速な乾燥による割れを避けるために小口にボンドを塗って、桟を入れて風通しのいい日陰で天然乾燥させます。後日ボンドが乾いたところで、忘れないうちに小口に伐採した日付と樹種名、伐採場所などをマジックで書き込みます。この時、小口がザラついているとマジックで書きにくいので、両小口ともスライド丸鋸で切断しています。数があると結構面倒な作業なのですが、これが大事。ここまでしておけば混乱することもないし、なにより粗末に扱えなくなります

材の方はここまでやれば、後はじっくりと乾燥するのを待つばかり。目安としては1年ぐらい先に使えればいいなと考えているので気の長い話。その頃にはどこでどうやって手に入れたのか記憶が曖昧になるので、こうしてブログに書き残しておくのも大事なことなのです。今回はサカキという事もあったので、枝葉もいくらか残ったままもらってきました。枝葉は捨てることなく事務所の神棚に。市場とかで仕入れれば枝葉などありませんので、こういうのはビーバー救出隊ならでは。お陰で最近は葉っぱにも目がいくようになってきました。

長さをカットするときに発生するおが屑だって無駄にはしません。今までも大量に発生したおが屑ですが、モッタイナイと思いながらも活用方法を見出せず結局廃棄してきましたが、今では『森の砂』という大義名分が出来ましたので、堂々と採集することも出来ます!特にサカキのおが屑は匂いに特徴があるので、染色材としてだけでなく、香料として使えそう。小枝も輪切り丸太にして名札やコースターにする(その際のおが屑も)と、ほぼ捨てるところなく使うことが出来ます。折角ご縁のあった神様に近い木、しっかりと骨までしゃぶり尽くして使わせていただかねば不謹慎!

 




本日も『サカキ』の話。漢字で書くと『』あるいは『栄樹』と表わされますが、これは文字通り繁栄を祈って神に捧げる木という意味で榊は国字。字画も多くてちょっと難しい字ですが、私には子供の頃から馴染みがある字でした。というのも、私が小学生の頃の阪神タイガースの内野手榊原良行という選手がいたので、野球ゲームに夢中で自分でスコアまでつけていた私は、榊という漢字をそれで覚えました。愛媛県にも榊原さんはいらっしゃると思うのですが、私の住んでいる地方では聞いた事が無かったので、子ども心に格好いい名前だな~と思ったものでした。

 

榊原といえば、『森のしるし』で戦国武将の家紋シリーズを作っている時のこと。戦国大名シリーズも名のある戦国武将を10人ずつまとめて第二弾、第三弾と作ってくると、さすがに歴史や武将にある程度は興味が無いと分からないような武将も混じってきます。私は戦国武将大好きで子供の頃からそういう関係の本を愛読していましたが、あまり知名度が無い武将を含めると、「誰?」ってことになるので人選に悩んでいました。武将によっては同じ紋、あるいは似た紋を使っている事もあって、それは避けたいところ。

第三弾の際に10人の中に加えようかどうかで迷ったのが「榊原 康政」。徳川四天王・徳川十六神将・徳川三傑に数えられる武将なのですが、歴史好き・武将マニアとかでないとご存じないかも。その榊原康政が使っていた家紋が、『榊原源氏車』というもので、それは平安時代の貴族たちが乗る車(のタイヤの部分)」をデザインしたものをアレンジした榊原家特有の紋。かぶりが無い紋は魅力だったものの、メジャーではない榊原康政が果たして通じるかどうか?それと丸い紋というのがネックでした。

『森のしるし』の場合、コストを下げるためにスタンプで紋を押しているのですが、丸い台木に丸い紋を押すと少しのズレでもよく目立つので、なるべく丸い紋は避けたいという心理も働き、結局榊原 康政は外すことにしました。次に第四弾を作るとなった時にも恐らく悩みどころとなりそうです。サカキの木はすぐに製材して【森のかけら】や『森のりんご』が取れるサイズに転身しましたが、製材しながら榊原 康政の事を思い返していました。折角神様からいただいた木ですので、このサカキで何か名前に由来する商品考えてみようかしら。サカキの話、明日も続く・・・

 




★今日のかけら番外篇・E045サカキ/榊】 ツバキ科・サカキ属・広葉樹

先日、近くのお宮で境内の木をいくらか伐採することになったのですが、まず手始めに低所にある数本の木を伐採されました。普通のひとにしてみればただのゴミに見えるかもしれませんが、かけら屋にとってはお宝であり、そういう材の救出はビーバー隊の使命でもあります。という事で、まずは『サカキ』を救出。サカキと言えば神様への供え物として欠かせない木ですが、こんな大きさのサカキを手にしたのは初めて。【森のかけら】を取るには十分ですし、これだと『森のりんご』も余裕で作れそう。まさに神からの恵み!

前述した通り、サカキは神事でその枝葉が備えられる神聖な木ですが、実はこれ全国的な事ではないようです。サカキの分布域は、茨城県、石川県以西なので、サカキを神事に使っているのは福井県や静岡県以西。それより東北の寒いところではサカキは育たないので、サカキではなく同じツバキ科の『ヒサカキ』を使っているのだとか。いずれにしろ葉が艶々していて年中緑の葉をつけるサカキの仲間に、昔の人々が神秘性を感じ繁栄を願い神事に利用したのは共通で、古くは日本神話の中にもその名前が登場してきます

サカキという名前の由来もそのあたりにあって、枝葉が年中茂っていることから繁栄を意味する『栄木(サカエギ)』から転じたものだと言われています。このサカキという言葉ですが、古代においては特定の樹種を指すものではなかったらしく、神事に使われる木に対する総称だったようです。それぞれの地域で育つ常緑樹の中から,神への供物として相応しいと思われた木の事をサカキと呼んでいました。その中に現在のサカキやヒサカキ、オガタマノキ、シキミクスノキ、タブノキ、マサキ、ソヨゴなどがありました。

その中で、利用される事の多かったサカキがその名を受け継ぎ今に至っているということです。ちなみにヒサカキ』の由来は、『姫サカキ(サカキに比べて小型である)』が訛ったもの、あるいはサカキの古名の『マ(真)サカキ』に対する『ヒ(非)サカキ』や、果実が密につくことから『ミ(密)サカキ』が転じたなどの説があるようです。そんなサカキですが、いつもはスーパーで枝葉を買ってくるばかりで、こんな大きなサカキが手に入るとは思ってもみませんでした。やはりこれは【続・森のかけら】を早く作れとの神のお告げか!?




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