森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#037 【樅/モミ マツ科モミ属・針葉樹・静岡産

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20091128 クリスマスツリー銀天街先日のNPO・カコアさんのイベント『キャラ森の不思議なクリスマス』で久し振りに銀天街商店街を歩きましたが、到る所がクリスマスの装いです。もっと早くから飾りつけはしてあったのかもしれませんが、銀店街に出ることもほとんどないので今更ですが。カコアさんのイベントでは、久万造林㈱井部健太郎君が久万高原町から桧の梢を運び込んで作りましたが、町の中には様々な木のツリーが飾られています。クリスマスツリーの木といえば、誰もが【樅・モミ】の木を想像されるでしょうが、何故ツリーにモミの木を使うようになったのでしょうか。以前『適材適所NO.115』でも『樅』の事をとりあげさせてもらったので、重複する部分もありますが。クリスマツツリーの起源には諸説あるようですが、8世紀の頃のドイツのケルト民族の間ででは【オーク】(ナラ)の木に対する厚い信仰があり、オークの木に生贄(いけにえ)を捧げるような習慣まであったとされています。いずこの国でも、信仰は行き過ぎてしまうと盲目になってしまうようです。

20091128 クリスマスツリーそのあまりの残酷さに嘆いたイギリス人の宣教師が、森の中でそのオークの木を切り倒したところ、周りの木々が一斉になぎ倒されてしまったのに、小さなモミの木だけが傷ひとつなく元の姿で立っていたというのです。その出来事をキリスト降臨の奇跡に結びつけたのが、クリスマスにモミの木を使うようになった始まりだとされているようです。その後11世紀には、ライン川の流域で行われた宗教劇の1シーンで、エデンの園の智恵に木としてリンゴを結び付けたということから、木にデコレーションを飾りつける習慣が生まれたといわれています。この2つの事象が結び付けられて、かなり強引な解釈ですが、そこからクリスマス・ツリーの原型が生まれたとされているようです。要ははキリスト布教のためのシンボルツリーとして、枝ぶりや姿見の良いモミの木が選ばれたので、その起源は後付けの説明のような気がしないでもないのですが・・・。

 

樅の木は残った?またヨーロッパの各地でも、古来よりモミは神聖な木とされました。スェウーデンでは、昔から五月祭には入口にモミの木を飾る習慣があったようです。日本では正月といえば、門松ですがそれぞれのお国柄が出るようです。フィンランドでは、モミの木を家族の守り神と考え、その枝にパンや肉などを捧げたようです。家を建てるときには小さなモミの木を植え、墓地に行ったときには悪霊が付いて来ないようにもモミの枝で身体を叩いたとされています。日本であれば、娘が生まれたら桐を植え、神様に供えるサカキのような感覚でしょうか。

20091203 トロイの木馬さらにトロイ戦争の『トロイの木馬』もモミで作られたそうです。一説には、乗っていた船を解体して作ったとも言われています。また、スイスのアルプスホルンもモミで作られていますが、これはモミのかぐわしい香りや削った時の清浄な木肌にスピリチュアルなものを感じていたのでないかとも言われています。 天に向かってまっすぐに伸びる姿と、あの独特な香りに世界中で信仰や神聖な木としてのイメージが固まったのだと思います。実際にモミの樹脂には殺菌力があり傷薬として使われてきました。また、新芽にはエッセンシャルオイルが豊富に含まれていることから、咳や気管支炎の治療にも使われ、ストレスや興奮を抑える作用もあるのです。

20091128 クリスマスツリー②その後、すっかり〔クリスマスツリー=モミの木〕が定着するのですが、もともとヨーロッパでは中部ヨーロッパから東ヨーロッパに分布されるという【ヨーロッパモミ】が使われていたようです。この木は、『ギンモミ』とか『シロモミ』の別名もあります。しかし、最近では身近に手に入る形の良い木が使われ、【ドイツトウヒ】や、中にはゴールドクレストなどを使われる方もあるようですが、そもそもほとんどの日本人がキリスト信仰の神聖な木として、ツリーを飾っているわけではなく、一種のイベントのモニュメントのような意味合いで楽しんでいるだけなので、何の木でも問題はないと思います。ただ起源とかだけでも知っておくと、楽しみの深まるのではないでしょうか。さて、クリスマスシーズンが終わると、彼らツリーのその後はどうなってしまうのでしょうか?樅の木(ばかりでもありませんが)の運命やいかに!ちなみに、モミの花言葉は『』、『向上』です。

 

 

春のツリー・樅で見る夢

2. 木のはなし

20100504 春のツリー・樅の見る夢①まあ絵に描いたような「雲ひとつない晴天」でした。標高が高いので空気が清々しくて、空の色に深みがあります。どこにレンズを向けても画角にそれなりの構図がきっちり収まってくれます。そこに暮らしていると、当然の日常の一風景になってしまうのかもしれませんが、田舎生まれの私でさえ郷愁の念を抱かずには入られなくなりますから、都会の方だとたまらなくなるロケーションだと思います。大野ヶ原に来るといつも、風景も貴重な観光資源であることを再確認させられますが、本当に価値のある原風景ですが、そこに暮らす人の手が入って維持されていることも忘れてはいけません。心地よい観光資源と手付かずの原風景とは大きな隔たりがあります。人間にとって心地よく感じられる風景は、人間の手によって加工されているものだと思うのです。それが良い悪いという訳ではなく、〔自然=善〕という短絡的な思考では、人の暮らす自然は維持できないということだと思うのです。

20100504 春のツリー・樅の見る夢②ポニー牧場の隣のペンション『もみの木』というお店の傍には、文字通り【樅:もみ】の木が幾つもそびえ立っています。枝を大きく広げて立派な樹形で佇んでいます。樅は高地を好みますので、松山市内でその立派な姿を見かけることはほとんどありませんが、この辺りでは道路沿いにもたくさんその姿を見かけます。杉、桧、松の中に樅が混ざってくると、かなり登ってきたことが実感できます。上に向かって枝を伸ばす杉や桧に比べて、両腕を広げたように枝を伸ばす樅は華やかな雰囲気があります。

20100504 春のツリー・樅の見る夢③以前にも『クリスマスツリーの木』として、樅の事を取り上げましたが、樅は〔マツ科モミ属〕の針葉樹です。建築材としても癖のない淡い乳白色が人気で、壁材などに使われています。床材としてはやや柔らかいものの、張り合わせてア圧縮加工してフローリングにも利用されています。マツ科の木らしく、触った時に松独特のシットリ感はありますが、松そのもののような脂っぽさはありません。樅は葉の先端が二股に分かれて鋭く尖っているので、葉先を握るとやや痛みを感じます。もっと痛いのが【カヤですが、こちらは二股ではなく葉の先端が鋭く尖っています。

20100504 春のツリー・樅の見る夢④弊社にもテーブルに使えるサイズの、樅の大きな板があるのですが、樅そのものはたくさん在庫を持っているわけではありません。樅は物語性の強い木なので、端材も使える要素はあるのですが、材が揃わないという、弊社にとっては非常に珍しいパターンでした。それが、縁があってうまい具合に樅の端材が入手できましたので、現在商品化を進めています。いくら企画を眠らせていたからといっても、相手は自然の物です。加工してみないとどれぐらい精度が出せるか試行錯誤の連続です。樅で見る夢は、もうしばらくお待ち下さい!こういう環境にいると、面白いアイデアもひらめいてきます。ただ、荒削りすぎて、ある程度加工・修正しないと物にはなりませんが、着想は大切です。さて、いつもはこの後『ブナの原生林』コースが定番なのですが、今回はこの青空が我々を更なる高みへと導いていくのでした!

 

 

巨大樅、山より出づる・・・1

2. 木のはなし

20101120 巨大樅、山より出づる・・・1①先日、久万高原町に原木を仕入れに行きましたが、山がすっかり色気づいていました。既に散り始めている木々の姿も。ここ数日、三寒四温で季節感が何だかよく分かりづらかったですが、確実に冬の気配が近付いております。三坂を登っていくと空気が次第に冷たくなっていくのが実感できます。久万高原町は、かつて井部栄範翁が始めた植林事業によって作られた山なので杉・桧が大半を占めていて、本格的な紅葉が楽しめるのは、もっと奥山になるのですが、それでもあちこちで山がつぎはぎになっていました。

20101120 巨大樅、山より出づる・・・1②通常弊社では、製材品を仕入れるのですが、今回仕入れに来たのは珍しく原木です。愛媛木青協の会員でもある成川尚司君の成川木材店は、素材生産を主業務とし、山林の育成、間伐の促進等山林の整備に力を入れている会社ですが、杉・桧以外にも稀に樅(モミ)栂(ツガ)も伐採すると訊いていたので、その際には連絡してくれと頼んでいました。すると、数日前に「樅の原木を伐った」と連絡があり、久万の貯木場にやって来たのです。結構大きな木があると聴いていたのですが・・・。

 

20101120 巨大樅、山より出づる・・・1③これが、デカイっ!想像以上の大きさでした。弊社には再割用の小さな帯鋸しかありませんので、製材してもらうために井部健太郎君(久万造林)にも同行してもらいました。その多くは、高知県との県境近くの仁淀川上流の中津渓谷付近の山で伐採されました。その中でも、依頼を受けて伐採した社寺林は別格です!20数mの大木が雷の影響を受けて、先端が折れていて危険なので伐採したという事でしたが、そのあまりの大きさに相当手こずったようです。それがこの4本。横に立っている井部君との対比で大きさが分かると思います。

20101120 巨大樅、山より出づる・・・1④樹齢は200年を遥かに越える緻密なものです。1番玉の根元は直径が1200㎜にも及ぶ巨大さで、まるで外材の世界です。先端は激しく裂けて、落雷の凄まじさを物語っていました。それでも4mの材が4本も採れるほど立派な木だったようです。巨木になって年数を経た木は、内部に洞などが出来やすいのですが、この木は目だった外傷も見当たらない良質なものでした。本当は、幅剥ぎの家具やカウンター材とその端材で【森のかけら】や『木言葉書』などを取ろうと思っていたので、そんなに大きな木は必要なかったのですが、実際にこうしてその姿を見てしまうと、木が私を呼んでいる状態にはまってしまいます。それでも最初は傍観していただけなのですが、成川君から伐採時の苦労や作業の様子を聞いていると、うずうず・・・。あ~もうたまりません!山積みしている丸太グラップルで器用に摘み上げてはね出してくれます。さあ、どうする?

 

 

巨大樅、山より出づる・・・2

2. 木のはなし

20101121 巨大樅、山より出づる・・・2①この(モミ)の美しいまでの目の詰まり具合、素晴らしい!想定外の買い物となりますが、こちらの原木を購入させていただきました。伐採直後ですから、たっぷり水分を含んでいて、この1本で2トン以上はあるようです。これがしっかり乾燥すると、錐(キリ)で一旦穴を開けなければ釘が打てないほど材質が締まって非常に堅くなります。当然水分も抜けて軽くなるのですが、その錐で穴を開ける際に、錐を揉(も)むことから、『揉み(モミ』と名が付けられたという俗説もあるほど乾燥によって材質が変わります。

20101121 巨大樅、山より出づる・・・2②名前の由来については諸説あって、学術的には『万葉集』の中で、「臣(おみ)の木」がモミの木に転じたものが一般的ななっているようですが、「錐を揉む」=モミ説は、木を実際に扱った杣人(そまびと)や大工さん達の実体験の中から生まれたエピソードのようで、そちらの方がより木の特性を現していると思えるのです。学説は、文献に由来している事が多いのですが、地方の方言名は、生活習慣の中から生まれたおのが多く、その用途や地域の民族とも深く関わっていて、知れば知るほどに、日本人が如何に木を活用してきたかという歴史が窺い知れます。

20101121 巨大樅、山より出づる・・・2③それで結局、直径1mサイズの巨木を1本と、400~600mmクラスの目の詰まったもの、小割り用に節は大そうだけど安価なものなどを数本買わせていただきました。成川君のところでは、主に県内とその周辺の杉・桧を伐採していますが、久万高原町内でも樅は稀に伐採するようです。面河渓の方に行くと、の原生林も残っていますし、以前は樅もよく出材されていたようなのですが、需要がないと山から出なくなります。やはり、「出口」が大切という事になろうかと思います。

 

20101121 巨大樅、山より出づる・・・2④まだ樹皮に枝や葉が付いていましたが、先端が丸く尖っていて触っても痛くないのが樅の葉の特徴です。最近の「ナラ枯れ」で市街地に出没する熊が問題になっていますが、このモミは鹿が樹皮を食い荒らして枯らしていることで問題となっています。動物と人間の共存は繊細なバランスの上に成り立っているので、少しそれが崩れただけでどちらかに偏りが生じます。それを思えばよくぞここまで成長した樅、理由があって伐採されたモノですが、これだけの高齢木を粗末にしては罰が当たります。骨までしゃぶって使わせていただきます。




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