★今日のかけら・#036 【イエローバーチ】 Yellow birch カバノキ科・広葉樹・北米産
またまた久し振りに『今日のかけら』です。今日取り上げさせていただくのは、【イエローバーチ】という木ですが、名前は聞きなれないかもしれませんが、用途は広いので目にされたことがあると思います。この木は、材の色の均一性によって分類され、それが商品名となっています。【イエローバーチ】の場合は、樹皮が黄身がかっていることが、名前の由来とされています。杢の目立つ木材は、カナディアンシルキーウッドとも呼ばれ、更にその辺材は【ホワイトバーチ】、心材部分は【レッドバーチ】と呼ばれるなど、名称が多岐に渡りますが、製品市場では【バーチ】としてひとくくりにして扱われる事が多いようです。日本語で言うと【カバ】にあたり、紛らわしいのですが『カバ桜』という呼称でも扱われる事があります。中国産のバーチ〔カバ〕がかなり多く出回っていますので、【イエローバーチ】と混同されるかもしれません。
原産地はカナダおよび北アメリカで、五大湖を中心とした北米大陸にもっとも多く生育する樹種のひとつでもあります。日本の【カバ】や【ミズメザクラ】に似た性質を持っていて、用途は広いのですが、特に白系の床材(フローリング)としては、【メープル】と人気を二分しています。メープルと同等もしくはそれ以上の、曲げや圧縮に対する強さを誇ります。耐久性は決して高いとは言い切れませんが、透水性は高く保存剤などはよく吸い込みます。同じ白系でも、メープルほど杢目がくっきりしてなく、とぼけた感じがあります。画像は中国産バーチです。
杢目を強調したい方には不向きですが、そこは『適材適所』!あまり杢目が自己主張しない方が良いというケースでは非常に有効です。また、磨耗しにくい性質があることから、ダンスホールや工場、学校などの床材にはとても適しています。わが子達が通わせていただいている『カミヤダンエモーション』さんの床にも、バーチが使われていました。画像の通り、赤身と白身が混在するのがバーチの特徴ともいえます。色ムラがあって癖が強いと思う方もいらっしゃいますが、この色ムラこそが木らしい個性だともいえます。
物の見方、考え方は人それぞれですから、よく特性を理解して使っていただきたいと思います。広くスペースで、ステップを練習するダンスホールでは、あえて赤白のコントラストのある床の方が足の位置が分かりやすそうな気もしました。もっとも市場に流通しているもののほとんどは、中国産で、北米産の【イエローバーチ】は、どちらかというと枠や額縁などの造作材として使われています。床材のほかにも、家具や椅子はもとより、糸巻きや織物用のシャトルなどロクロ細工の材料としても高く評価されており、そちらの方面では珍重されているようですが、やはり磨耗に強いという特徴に因るものだと思われます。右の画像は北米産の【イエローバーチ】です。
知名度の面ではメープルにかなわず後塵を拝していますが、優れた特性のある【イエローバーチ】をもっと知っていただいて使っていただきたいと思います。ちなみに現在の弊社の在庫は、長さ2.1~2.4mの幅込み、30㎜厚みの平板があります。北米ではポピュラーな材で、決して高価な材ではありませんので、造作材や家具材としてご注文をお待ちしています。