森のかけら | 大五木材

今日のかけら015

イチョウ

銀杏

イチョウ科イチョウ属・針葉樹(裸子植物)・日本産

学名:Ginkgo biloba

別名:公孫樹、鴨脚樹、ギンギョウ

英語名:Maidenhair tree

気乾比重:0.55

 

氷河期を生き抜くイチョウ*

★今日のかけら・♯038【イチョウ/銀杏】イチョウ科イチョウ属・針葉樹・宮崎産

 

今年の秋は天候が不順で、おかげで紅葉が長く楽しめました。画像は3,4日前の近所のイチョウの鮮やかな黄葉です。一般的には、葉っぱが赤く色づくのを『紅葉』、黄色く色づくのを『黄葉』と使い分けているようですが、別にどちらを使っても問題ないと思います。厳密にはそのメカニズムに違いがあるようです。しかし、『素敵な紅葉です』と書いて、葉っぱが紅いとやっぱり雰囲気が出ませんので、それなりに使い分けた方がいいのかもしれませんが、山全体を差す場合は、赤や黄が混ざっているので・・・。それはそうと、二股に分かれた愛嬌のあるイチョウの葉は、東京都大阪府神奈川県などの木に指定されていますが、実はこういう形をしていても、植物学的な分類上は『針葉樹』になるのです。葉の形はどう見ても『広葉樹』ですが、植物的な分類は葉の形ではなく被子植物か裸子植物かの違いなので、イチョウはソテツと同じように球果の出来ない裸子植物で、違和感があるものの『針葉樹』になるのです。

これは、イチョウが『イチョウ科イチョウ』ただ1種しかない特別な木であることに関係しています。太古の昔、恐竜が生きていたジュラ紀には多くの仲間が繁栄していたのですが、氷河期を迎え恐竜と共にほとんどの仲間が滅びてしまったのです。その中で唯一、中国大陸の江南地方にわずか1種のみが奇跡的に生き延びた物が、現在のイチョウの祖先だといわれています。この発見は宋の時代で、日本には平安か鎌倉の時代に伝来したといわれています。今では町中の到る所で目にするイチョウですが、実はこういう浪漫あふれるエピソードがあったのです。


少し前まで、市内の平和通のイチョウ並木にも『ギンナン』を拾う方の姿が多く見られました。イチョウは、オスとメスが別々の木である『雌雄異株』であることはよく知られています。なので当然オスの木にはギンナンはつきません。メスは実がついたり、実が落ちたりして樹形が乱れやすく、枝が垂れ下がったり、横に広がったりして姿形が崩れて美しくない、一方オスは実がつかない分、枝が天に向かって伸び樹形が美しい、といわれているようですが、実際には樹形だけでオスメスを見分けるのは至難の業だと思います。材になった場合でも、メスの板はギンナンの臭いがします。オスの方はほぼ無臭です。たまたまかどうか、弊社の在庫もほとんどがメスです。メスの方が成長が良く大きくなるので、材として多く流通しているからでしょうか?ちなみにイチョウの花言葉は【愛の復活】ですが、こういう背景を考えると、何だか深い意味を感じます。何気なく使う花言葉にも、いろいろと含蓄があります。

イチョウといえば、その用途として『まな板』が有名です。まな板の材としては【イチョウ、ホオ、ヤナギ】の3種が挙げられ、中でもイチョウは最適だといわれます。それは、材に適度な粘りと弾力があり、包丁の刃を傷めず、耐水性もあり、材の木屑が出ないことがその理由なのですが、もう1つ食べ物に匂いが移らないというのも大切な要件です。ですから、イチョウをまな板に使うときには、食べ物に匂い移りのしないオスのイチョウを使ってください。その特性から考えれば、テーブルや座卓など家具には不適に思われがちですが、柔らかく傷つきやすいから家具には駄目という考え方はどんなものでしょう。氷河期を生き抜いた木に、それ如きの理由で排除するのは心が狭い話だと思うのです。ちなみにイチョウは【銀杏】の漢字の他にも【公孫樹】とも書きますが、これはとても長寿なので、祖父がこの木を植えても、そも実を食べる事の出来るのは孫の代になってからだというエピソードに由来しています。

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銀杏に刻まれし思い*

ここ最近、幅剥ぎのテーブル、カウンターなどのご注文が多かったのですが、久し振りに1枚板の無垢家具のご注文をいただきました。それがこちらの『銀杏(イチョウ』の耳付1枚板のダイニング・テーブルです。幅剥ぎ、1枚板それぞれに特徴や魅力があり、どちらが良いとか悪いとかではなく嗜好の問題ですが、1枚板の存在感はやはり別格!特に幅が800㎜オーバークラスになると堂々たる風格が漂います。こちらのダイニングテーブルで、長さ1900X幅800X高さ700㎜サイズです。

1枚板の場合は、希望の樹種で希望サイズに運良く出会えるかどうかがポイントになります。弊社には通常数百枚の板がありますが、そのまま1枚でテーブルの天板に使えるサイズのものは2、3割程度。そこに希望樹種が加わり、形状(あまりテーパーが強くない方がいいとか、耳の変化が欲しいとか)まで指定されると、更に当然価格の問題も加わりますので、材料入荷のタイミングと合わせてドンピシャリのモノと出会うのは余程の強運の持ち主という事になります。

今回は幸いにもご希望に叶う物が揃いました。どこかで譲歩はしていただいてもらっているとは思いますが、最初から銀杏で、という指定ではなく、白~黄色系のさっぱりした材という幅のある要望でしたので、最終的に銀杏の幅広サイズでうまく収まりました。ご縁が無い時というのは、「昨日まであったけど1日違いで売れました」とか、「あまり長く売れなったので、昨日4mを半分に切ったところです」なんて事もあります。そういう時は、申し訳ないけどその木とはご縁がなかったんだろうと割り切る事にしています。実際にも7,8年前に仕入れた6mのロングサイズが全く売れないので泣く泣く、売りやすいようにと短くカットした翌日に、6mのお見積りが入った事もありました。皮肉なものですが縁が無い時はこういうものだと諦めました・・・。逆にご縁がある時というのは奇跡的なタイミングでの出会いに立ち会う事になります。

 

決して堅くはない銀杏をテーブルの天板に?といぶかしむ方もいらっしゃるとは思いますが、そこはきちんと事前の説明さえあれば問題ないと考えています。傷が付く事は恐れすぎてはいけないと思うのです。家具の製作にあたっては、皆さんある程度傷の心配はされていらっしゃいますが、私は説明の中で「傷がつかない家具は家具ではないと思っています」とお話させていただいています。逆説的に言えば、傷もつき汚れもするからこそ、むしろ愛情を持って大切に使われればいいのだと思うのです。少々傷がつこうが、その下には何十年もの時間の積み重ねが存在しています。長く使う過程で生じる傷や汚れを日々心配して暮らされるぐらいなら、無垢の家具など最初から諦められたほうがよっぽど精神的に健康だと思います。その肌触りの思わずほころぶ子ども達の笑顔と一体何を引き換えようというのでしょうか。

日々健康な暮らしが育まれたからこそ、自分の座る位置に自分の暮らしの証しが刻まれていくのだと思います。傷がついたり輪染みが出来たりするからこそ、大切に使っていただければいいのだと思います。針葉樹の桧においては許容できるのに、同等程度の広葉樹だと許容できないというのは、ある種の桧信仰なのかもしれませんが、自らの怠慢を反省しております。今回は理解あるお施主さんと巡り合え、とても幸運でした。これから、氷河期をも生き抜いたタフで生命力溢れる銀杏にたっぷりと家族の歴史を刻んでいただきたいと思います。

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紙魚のつかない銀杏の栞*

ここ数日で急に寒さが厳しくなり、赤や黄色に色づいた葉もすっかり落ちてしまいました。松山市内の平和通を黄金一色に染め抜いたイチョウ並木の黄葉も、今は銀杏吹雪となって道路や路側帯を黄色に塗り替えています。「モッタイナイ」から【森のかけら】を生み出した主としては、ここを通るたびにこの大量の銀杏の落ち葉を見ると心が痛むのです・・・何かに使えないものか?平和通だけではなく、街路樹に銀杏が植えてある所は多いのですが、その落ち葉を集めればどれほど多くの「材料」となることか!そもそもイチョウは、成長が早く、乾燥や病害虫、亜硫酸ガスにも強く、耐寒性もあり、更にその黄葉の美しさから全国各地で街路樹として植えられています。ある統計では、全国でおよそ50万本近くのイチョウが街路樹として植えられているとか。街路樹の樹種別ランキングでも堂々の第一位(約1割強!それを全部集めたとしたら・・・?

県木(都木、府木)が イチョウであるのは、東京と大阪、神奈川。緑の少ない大都市ほど街中に小さな森を植えているという事でしょうか。雌のイチョウは、実の重みで樹形が乱れるので雄のイチョウが植えられる事が多いそうですが、この時期結構な数の人が平和通りでビニール片手に銀杏を拾われている光景を目にします。ここの雄雌の割合はいかほどなのでしょうか?市役所とかできちんと管理までしているものなんでしょうか?ベテランの方はどれが雄でどれが雌か当然分かってらっしゃるんでしょうね。

城作りの名人と謳われた加藤清正が築城した名城・熊本城は、「銀杏城」の別名も持っているとか。それは、本丸の前に2本の大きな銀杏の木を植えた事が由来とされていますが、熊本(隈本)はその昔、加藤清正と小西行長が二分して統治していましたが、小西行長の死後、熊本に改められ加藤清正が独りで統治する事となったそうなので、二裂した銀杏の葉の形が意味深なメッセージではないのかとも・・・。なにしろイチョウの花言葉は「愛の復活」。裂けたモノが1つになる事に由来していますから。

さて話を戻しますが、この葉にはフラボノイドなどの成分が含まれていて、老化防止作用や抗アレルギー作用、抗喘息作用などがあり、漢方薬などにも使われるそうですが、葉の調剤は抗擬血薬などと相互作用を起こすこともあるから素人が手を出すのは危険です。まあ薬の世界は無理ですが、イチョウの葉の煎茶もあるそうですし、これだけ鮮やかな色を何とか生かせないかと思います。ちなみにイチョウの葉で栞(しおり)を作ると、紙魚(しみ)がつかないと言いますから、とりあえず身近なとこで『イチョウの栞』あたりから商品化してみましょうか。

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菩提寺の異形なる大銀杏①*




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