森のかけら | 大五木材

今日のかけら・#070 【佛/タモ モクセイ科トネリコ属・広葉樹・北海道産

20130801

 

 

 

 

 

 

 

20130801 1まだまだ猛暑が続く中、本日は汗まみれになりながら『タモ(佛) 』の木取り作業。木取りというのは、注文に応じて必要なサイズを必要枚数分揃える事で、例えば長さ3mの幅が150mmの板が10枚欲しいと言われれば、梱包の中からその材を探し出して取り揃えます。お客さんにとっては、ロスの発生率が最小になるため歩留まりがいい反面、どうしても割高になってしまいます。梱包でまとめて安く買うか、長期在庫を嫌って必要量だけ買うか、お客さんの判断次第です。

 

20130801 2今回は、必要量だけ木取って欲しいというご注文でした。最近は、工務店さんも必要以上な在庫は抱えない主義の方が増えて(ほとんどと言ってもいいかも)、梱包単位でドカンと売れる事はほとんどなくなりました。弊社としては、梱包をより分けながら適材を適量、適所に販売するほうが、自分の性格にも合っていますし、それだけ多く材を堪能する事が出来るのでありがたいところです。材のいろいろな表情を見ているだけで何だか得した気分になるのは私だけ?

 

20130801 3さて、タモの話に戻ります。このあたりでも昔は、洋風の枠材、造作材を作る際は随分タモが使われてきました。かなりの量も流通していましたし、値段もそこそこで、しっかりした木目が乗っているので、いろいろ悩まなくともそれなりの表情を出してくれるので人気がありました。「じゃあ、とりあえずタモで」と言われるぐらいにタモは重宝されていました。今でこそ300mmを超えるような幅広の材は少なくなりましたが、割合幅の広い材が揃うのも魅力でした。

 

20130801 4ただし偏屈者の材木屋としては、一般的に受けのいい材が苦手で、他所がタモの品揃えを増やすほどにタモへの関心が薄れていったのです。誰でもどこの店にでもあるものならば、うちになくてもいいのではないだろうか・・・生来のひねくれ者です。また自分のさじ加減ひとつですが、枠材や造作などにする『平板』と呼ばれる板材には関心が薄くとも、ことタモのフローリングに対しては関心のスイッチが入るので、自分でも節操が無いなあとは思うのですが・・・。明日に続く!

 

20130802 1さて本日もタモの話です。タモは気乾比重は0.65~0.69程度とされているので、ミズナラなどと大体同じぐらいの重さという事になりますが、私の皮膚感覚ではタモの方が重たく感じます。それは、体感の重さ以上に、無意識のうちの嗅覚的にタモを避けているからかもしれません。タモには独特の匂いがあって、その匂いをうまく表現できないのがもどかしいのですが、木の爽やかな匂いとは縁遠い人工的な、工業的な匂い(?)がします。分かり辛いでしょう。きっと・・・

 

20130802 2表面を削ると更に強い匂いがしますが、荒材の段階でもタモを触ると『匂いを感じます』。例えばオーストラリア産のハードサイプレスなど、シロアリも嫌がるような強烈な刺激臭を出す木も一部にはあるものの、一般的なイメージの木の匂いって、人が意識して匂いたくなるものだと思います。『森林浴』というぐらいですから、爽やかな木の香りに身を包まれてリラックスなんて感じが、一般的な木の香りから連想するイメージだと思うのですが・・・

 

20130802 3タモの匂いはかなり癖があって、今までタモの匂いが好きという方にはお会いした事がありません。しかし、あのイチョウの匂いにだって、フェチなファンはいるのですから、世の中にはきっとタモの匂い好きの方もいる事でしょう。匂いが苦手だからといって、タモ材そのものが嫌いというわけではありません。全体的には木目の素性は素直で、冬目はくっきりしているものの、ミズナラが見せるような複雑で濃厚な杢の妙味というものとは少し雰囲気が違います。

 

20130802 4癖が少なくて素直だからこそ汎用性が高いとも言えるのですが、タモの木目の面白さを感じられるのは、3mや4mの長い材よりもむしろ短い材をつなぎ合わせて作るフィンガージョイントのフローリングかもしれません。癖が少ないとは書いたものの、ある程度の面積の中で感じる印象で、年輪幅が明瞭なだけに小さな面積になると年輪幅の不揃い加減が際立ってきます。特に、節や入り皮、カスリや色むらなども大胆に取り入れたラスティック・グレードになるとその特徴が際立ちます。玉杢や縮み杢などの妙味をタモに期待される方もいらっしゃるかもしれませんが、あまり期待しないほうがむしろ楽しめるというのが私の個人的なタモに対する『期待感』。ある程度広い面積に施工する場合の方が、杢の面白さを享受できる木だと思います。更に明日へ・・・

 

20130803 1本日も昨日に続いてタモのお話。フローリングなどのように完全に加工してしまうと匂いはしなくなります。更に植物性オイルでも塗れば、タモの独特の匂いはまったく感じられません。匂いが薄れていったので、無意識のうちに持っていた苦手意識も薄れて、タモを受け入れやすくなっているのかもしれません。さすがは五感で楽しめる自然素材・木の巣晴らしさ~!さて、今までタモの匂いについてばかり書いてきましたが、今日はその名前について。

 

20130803 2OOタモ、OOダモなどと、『タモ』の名前がつけられている木は多く、地域性も相まって少々ややこしいところがあります。木材業界においては、総称して『タモ』とひとくくいりにされるほど、それらの特徴は似ていて、それは粘り強くて、曲げても容易には折れたりしないことです。実はその特徴にタモという名前の由来が詰まっている説もあって、簡単には曲げても折れない、つもり撓(たわ)める事が出来るので、『撓(たわ)む木→タムキ→タモノキ→タモ』と転化したというもの。

 

20130803 3古い書物にも『タムキ』という言葉が残っている事がその証拠とも言われています。実際にタモは強靭で、折ろうと思っても簡単には折る事も出来ないほど粘りがあり強靭です。建築では階段や手摺などにもよく利用されていますが、それもその特徴を活かしたものだと思います。同類のアオダモは野球のバットの素材として有名ですが、これも弾力性があり粘り強い特性を活かした用途です。昨今はその座もメープルに奪われつつあるようですが・・・バットの木・アオダモは、この木を伐って水に浸しておくと青色の蛍光を出すのでそう呼ばれていますが、それに対してシロダモと呼ばれる木もありますが、アオダモがモクセイ科であるのに対して、シロダモはクスノキ科でまったく別種です。このシロダモのシロは文字通り葉の裏が白い事に由来しています。

 

20130803 4そしてタモは『撓む木』からきているのではなく、タモノキの別名も持つクスノキ科タブノキのタブから転じたという説。ではそのタブノキの語源は何かというと、太古の昔にこの木で丸木舟を作ったらしいのですが、朝鮮語で丸木舟を意味するt’on-baiからきているとされています。つもり同じタモでも、片や木の特性『撓む』を語源とし、片や木の用途『丸木舟』の朝鮮語からきているというのです。それだけにOOタモという名前を持つ木は多いのです。

 

20130804 1本日はいよいよ『タモ』の最終日。先日、アオダモシロダモの名前の由来についてはご紹介しましたが、OOタモとしてはもっともメジャーと思われる『ヤチダモ』について。このヤチは谷地(あるいは野地)と書き表すように、寒地の湿地や沢筋を好む木です。建築や家具材として使われりタモのほとんどは、このヤチダモだと思われます。ヤチダモは大きなものになると高さ30mになるものもあるほどの高木で、主に北海道や東北地方などに多く生育しています。

 

20130804 2日本以外でも、樺太、朝鮮、中国東北部、ロシア沿岸部、サハリンなどにも分布していて、現在建築材・家具材として流通しているタモの多くは、中国・ロシアなどからの輸入材です。以前に北海道に行った時にも、かなり以前に道産タモと輸入タモの比率はすっかり逆転したと言われていました。ヤチダモではありませんが、野球のバットがアオダモからメープルに切り替わっている原因に、良質なアオダモの素材の供給が難しくなった事にあります。

 

20130804 3アオダモについては最近いろいろなところで、野球関係の方が中心となって植林活動に励まれています。大きく育てて将来バットにしようという事よりも、自然素材を使う事の感謝の気持ちや、苗木からバットが出来るまでに要する膨大な時間や労力の事を考える契機になればというお考えもあると思います。以前に松山市の坊ちゃんスタジアムに行った時にもスタジアム周辺に『アオダモ』の木が植えてありました。野球のバットを通して木の事を考える機会が出来るというのも素晴らしい事だと思います。実は、その折れたバットから何か商品開発が出来ないものかと真剣に考えた事があったのですが、思っていた以上にバットの折れ方が不規則で激しく、当時は商品開発を断念した事があります。

 

20130804 4最後に、学者の方たちからは支持の少ないタモの語源のある説について。それはタモやタブノキなどが非常に大きく成長する木である事から、巨木信仰、樹霊信仰の対象となり、霊(たましい)の木といういうところからタモノキに転化したという説。私としては断然この説を支持したい!野球少年たちが思いを込めて苗を植えるように、霊(たましい)の木に対しても畏敬の念を持って接したいと思うのです。前半でタモの匂いについて苦手意識を吐露したものの、それも愛情の裏返し・・・?!




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