森のかけら | 大五木材

ナツメ

クロウメモドキ科・ナツメ属・広葉樹・愛媛産

学名:Ziziphus jujuba

別名:オオナツメ

 英語名:jujube(ジュジュビ)、 Chinese date(中国ナツメヤシ)

気乾比重:0.50~1.12

 

我が家の聖樹・ナツメ*

★今日のかけら番外篇・E038ナツメ/棗】 クロウメモドキ科・ナツメ属

今回、我が家の庭の木をいくつか「伐採」しましたが、その内の1本が『ナツメ(棗)』。植えてから10年も経ってないのでまだまだ小さな幹ですが、夏にもなるとたわわに実をつけて、その実の重さで大きく枝が垂れて来て、玄関への道を遮ってしまうほど。ナツメという言葉の由来として、夏に芽が出ることから、『夏芽』それが転じて『ナツメ』になったという説もあります。茶道具の『』は、その容器がナツメの実に形が似ていることに由来しています。また、乾燥させたかじつ果実は生薬の大棗(だいそう)として漢方薬にも利用されています。

我が家ではもっぱら生で齧っていました。蜜の無いリンゴのような酸味と甘みのある味で、毎年よく食べていました。その実を食するぐらい身近なとこにあるのに、材としてはなかなか縁が無くて、『森のかけら』の240種の中にも含まれていません。原産地は中国から西アジアらしく、奈良時代より昔に日本に渡来したといわれています。原産地の中国では「一日食三棗、終生不顕」という言葉もあって、その意味は一日3個のナツメを食べれば老いることが無いという意味だそうです。

そのため『聖樹』とも呼ばれているそうで、古くから醸造酒や食料としても重宝されてきた歴史があります。またナツメは干ばつや冠水にも強う事から、常に収穫が安定した農作物として中国全土に広く普及したそうです。適応性にも優れているらしく、我が家の庭のような痩せた土地にもしっかり根付いたのだと思います。そんな庭のナツメですが、まだまだ幹は細いものの上へ上へと伸び続けて、高さが軒を越えるぐらいに成長して、実を収穫しようにも手が届かないほどに。

今後、我が家の生活が困窮した際の非常食として残しておくという選択肢もあったのですが、やがてこどもたちも巣立っていって、夫婦ふたりになれば、どうにか食っていくぐらいは出来そうなのでこの際伐採することにしました。幹は小さいのでこちらは簡単に伐採。貴重なナツメですので使えるものならば、『ナツメで茶器の棗を作る』ところですが、『森のかけら』にでも使いたいところですが、さすがにこの大きさだと『森のかけら』でも厳しい。何に使えるか時間をかけて探っていきたいと思います。

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ヴァイオリンのフィッティング*

庭の『ナツメ(棗)』は直径100㎜足らずの小さなものでしたが、そういえば以前に造園屋さんから大きめのナツメをいただいていました。結構大きめの木で、芯割れしないようにすぐに板に挽いて乾燥させることにしたのですが、それからすっかりその事を失念していました。いろいろな木をいただいたりするのですが、何はともあれ乾燥させない事には使えないので、板にしてから数年は放置するのですが、その時に空いているスペースに適当に置いてしまうので、ついついその存在を忘れてしまうのです。

今回、庭のナツメを伐ったのでその事を思い出しました。記憶の糸を手繰り寄せているのですが、倉庫のどこの置いたか思い出せません。どこかに置いてあるはずなので探しますが、うまく乾燥できていれば『新・森のかけら』に加える事が出来るかもしれません。いただいたナツメが通直ではなかったので、長いモノは取れませんが、そこそこの大きさがあったので『かけら』には十分なサイズです。樹皮は軟らかくてポロポロと剥がれたのですが、材そのものはよく目が詰まっていて結構硬め。赤身と白太の差がはっきりしています。

まだ実際に加工していないので仕上がりの触感とか匂いとか具体的に分かりませんが、その用途として茶器や仏具などの工芸品として珍重されたきたという事なので、使い込むとそれなりの風合いや光沢がが生まれるのだと思います。他にもその硬さと粘り強さから木櫛にも利用されてきたようで、中国などでは高級櫛として人気も高いようです。悲しいかな自分では櫛を必要としなくなったので、売っていても気に掛けることが無かったのですが、今後は『出口』として櫛にも目を向けることにします。その他にナツメにどんな用途があるのか探っていたら、『ヴァイオリンのフィッティング』に使われるとありました。

楽器に疎い私はフィッティングと聞いても何なのか分かりません。それで調べてみると、『弦を緩めたり締めたりする木栓のような木の突起物、ペグ4本一組と、反対側で弦を一括で据え付ける木の板のテールピースと、それを最終的に本体に一箇所でお尻につっこんでいるエンドボタン、顎を乗せる部分、顎当ての事』とありました。文字通り演奏する際に楽器を調整するための器具のようですが、ナツメ以外にも少し硬めのいろいろな木で作られているようです。こういう専門的な特殊な出口についての知識が浅く恥ずかしいのですが、先人の木の特質を見極める眼力とその工夫には恐れ入るばかりです。




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