森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#021 【百合樹/ユリノキ】 モクレンユリノキ・広樹・日本産(長野産)

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今回はあまりメジャーな木ではありませんが、【ユリノキ】についてです。この仕事をするまで、こういう名前の木があるという事など知りませんでしたし、建築材や家具材としても重要な木だという認識もありませんでした。事実この仕事を始めて、20数年で今まで一度も【ユリノキ】についての問い合わせも注文も聞いたことがありません。なのになぜか弊社には結構昔から、倉庫の中に【ユリノキ】が眠っていました。それは、私が仕入れたからなのですが・・・。まだ【森のかけら】のイメージもなかった当時に仕入れたのですが、今にして思えば当時から、市場などで見つけてはいろいろな樹種をコツコツと集めていたものだと思います。そういう木ですから、お客さんから樹種の指定が入ることがないので、材の特徴やサイズの適する現場で、こちらから提案させていただいて使っていただきました。まずは【ユリノキ】がどういう木なのかをご紹介します。

20090607-e799bee59088e6a8b92ももともとアメリカから明治の頃に渡来した木で、英語名は『チューリップウッド』ですが、その由来は花の形がチューリップに似ているからだと言われています。確かにチューリップに似ていますが、では何故日本名が「チューリップノキ」ではなく、【ユリノキ】なのでしょうか。物の本によると、日本に渡来した当時、日本ではチューリップがそれほど知られていなかったので、チューリップほど似てはいないが日本でも馴染みのある【百合】に見立てたのが、【ユリノキ】の由来だそうです。かなり苦しい命名だと思いますが・・・。

20090607e38080e383a6e383aae3838ee382adefbc9220090607-e3838fe383b3e38386e383b3しかし当時の粋な明治人が、そんな野暮な名前で満足していたのか・・・いいえ、そんなはずがありません!やはり別の粋な名前が存在しました。それは、【ハンテンボク】です!このままでは意味が分からないと思いますが、漢字で書くと【半纏木】です。「半纏」とは、江戸の火消やとび職の着た、丈の短い作業着の事です。独特の葉っぱの形を「半纏」に見立てたものです。まあ、そう言われれば見えないこともないですが・・・。また葉の形から【軍配(ぐんばい)の木】とも呼ばれることもあります。どちらにしてもチューリップウッドよりは・・・「粋」かな?明治の日本人、逞しき想像力です!

葉や花の形をこうして見ると、実際に立っている木を見たことのある方も多いかもしれませんが、高さ30mにもなる大木です。成長も早い分だけ目は粗く、スポスポといってもいいような軽軟な木です。全体的には乳白色ですが、木材腐朽菌を受けやすいのか、青染みがよく入っています。杢目を活かす1枚板のテーブルとしては、淡白すぎて適材とはいいにくいですが、着色することで用途は広がります。淡白な分だけ、小割りしても癖が出にくく狂いにくいという特徴もあります。                                                                20090519e38080e383afe383b3e382bae4bd90e7abb9e982b8efbc91efbc93

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長さ2~3mほどで、幅が600~700㎜程度の板がありましたので、以前には、手洗いカウンター(勿論プレポリマーで固めました)などにも使っていただきました。今回も室内の飾りのルーバーに使っていただきました。長さ2500㎜ぐらいで70x70㎜角でよく乾燥した物で、反りや割れが発生しにくく、よく乾燥していて、それほど高価でない節の少ない物を6,7本と言われて、即答出来る材もなかなかないのではないでしょうか。たまたまそれが取れる材があったので、【ユリノキ】を提案させていただきました。淡白な分だけ、着色にもよく映えます。軽軟なので加工も容易に出来ました。通常は、生地のまま使うのを基本としていますが、場合によっては着色する方がより材の特性が活かせる場合は柔軟に対応します。こちらの現場は、いつもお世話になっているワンズ㈱さんです。




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