【イエローポプラ】
Yellow Poplar
モクレン科・ユリノキ属・広葉樹・北米産
学名:Liriodendron tulipifera
別名: チューリップウッド (Tulipwood)、
チューリップポプラ(Tulip poplar)、ホワイトウッド(White wood)、
キャナリーホワイトウッド(Canary Whitewood)、
気乾比重:0.45~0.51
山岳州から来たイエローポプラ*
『ホオ』の木の話が出たので、日本のホオの代替材としてよく利用される『イエローポプラ』について触れさせていただきます。この木は、アメリカ東部の落葉樹林に多く見られ、アパラチア山脈やオハイオ河渓谷では大木の良質材が産出されます。樹高は40m、直径1mくらいに成長するものも多く、加工切削性に優れ、塗装ノリがいい事から拾い用途に利用され、アメリカ広葉樹の中では欠かせない樹種の1つと言えます。弊社が仕入れしているのは北米はウェストバージニア州から産出されたイエローポプラです。 |
*************************************************
不揃い色の美学*
本日は具体的なイエローポプラの加工例についてご紹介させていただきます。弊社においては、テーブルやカウンターなどの家具材としての利用頻度は低く(そのほとんどがクリアー塗装仕上げなので、塗装ノリはいいもののクリアー仕上げだと木理に味わいが欠けるという理由で敬遠されてしまっています)、もっぱら枠材や見切り材、額縁などの造作材として利用されています。緑色と白色のコントラストも使い方次第で面白いアクセントにもなる事は『森のたまご』でも実感(画像は、ホオの森のたまご)。 |
考え方を切り替えてやると、今まで気になっていた緑と白のブチ柄が妙に愛おしくなってくるもので、最近ではあえて色の差の激しいものを求めてしまうほど・・・。【森のかけら】以後、端材を利用した小物を作ることが多くなり、精緻な加工にもよく耐えてくれるイエローポプラのような材は非常に助かるのです。また『モザイクボード』においても、この緑と白の個性が非常に有効で、なくてはならない顔となっています。精緻な加工といえばこんな加工でも力を発揮。 |
イエローポプラで建具を作った時の余った部材ですが、近日中に『ちょこっと端材』のコーナーにもアップする予定ですので、ご興味のある方は是非どうぞ!名前からくる誤解で、「ポプラ」の名前が付いているから、ヤナギ科のポプラ(セイヨウハコヤナギ)と混同され、とても軟らかいと思っている人もいますが、そこまで軟らかいわけではありません。ただし鉋削りの後にはやや毛羽立ちが起きるのでサンダーでの仕上げが望まれます。是非、ウェストバージニアの森の恵みもご堪能あれ。 |
*************************************************
ポプラでも黄色くもない、イエローポプラ*
先日の『トークカフェ』で看板に使った『イエローポプラ』について。以前に『今日のかけら』でその特徴については説明させていただきましたが、弊社では最近何かとイエローポプラの利用率が増えています。トークカフェでは薄く削った看板として利用しましたが、これはもともと家内からの注文で、ウッドモビールを作るために削っていたものの残り材。この木、ポプラの名前がついてはいるもののポプラ(ヤナギ科)ではなくて、日本の『ホオ(朴)』と同じモクレン科の仲間です。 |
その癖の無さには随分救われているのですが、【森のかけら】的視点で見たとき、どうしても素直で癖の無い木というのはインパクトに欠けて見えてしまうのです。私の場合は、通常の建築材や家具材としての視点と、森のかけらの視点のふた通りの木の見方をしてしまうのです。取り扱いベースや金額ベースでは圧倒的に前者の視点で、会社への貢献度も非常に高いにも関わらず、ついつい【森のかけら】視点で見てしまいがちで、そうなるとパンチがきいていない物足りない奴に思える。 |
*************************************************
一枚板を見せていこう!*
そんなこんなで2日がかりで削ったのがこちらの耳付きの『イエローポプラ』。3年ほど前に岐阜の市場で買った幅1mオーバー。イエローポプラ自体は比較的軽軟な部類の木で、乾燥も速やかなのですが、さすがにこのサイズなので念のため人工乾燥器にも入れたので乾燥は十分です。大きな割れはその影響で割れたのではなく、仕入れた時点で割れていました。これも木の表情の一部だと思っているので私的は何も問題ではありません。むしろイエローポプラはサッパリした木なので割れも適度なアクセント。 |
★今日のかけら・#212 【ホワイトアッシュ】 White ash モクセイ科・広葉樹・北米産
フローリングを何にしたらいいのか迷い道にはまってしまった方に、その指針として示させていただく樹種も時とともに移ろい変わってきます。例えば幅ひとつを取ってみても、通常サイズは90㎜幅ですが、最小は57㎜から75㎜の小幅から、120㎜、135㎜、150㎜、180㎜の幅広まで多岐にわたります。少し前まで幅の狭いものが好まれる時期もありましたが、今は幅広が好まれる傾向にあります。設計士さんの意図や部屋のイメージなどにもよりますが、幅広を求められる方に確実に増えてます。
その幅広のフローリングとして最近ご提案しているのが、こちらの北米産のホワイト・アッシュの120㎜幅。長さが1820㎜で幅は120㎜、厚み15㎜のユニFJ(フィンガージョイント)モノ、つまり縦方向に4、5枚のピースを繋いだものです。多様な表情を持つホワイト・アッシュにとって、その表情を楽しむためにはこれぐらいの幅が適サイズでもあります。
ホワイトアッシュはフローリングとしてよりも窓枠や額縁など洋風仕上げの内装材としての認知度が高いかもしれません。ヨーロッパでは、ホワイトオーク、ブラック・ウォールナット、マホガニーと並んで『ヨーロッパ四大家具材』の一角を占めている大変重要な木でもあります。同じモクセイ科のタモの代用品という扱いを受ける事もありますが、今でも幅の広い長尺材が安定して取れる木として昔から根強い人気があります。野球のバットに使われたりするほど粘りと強度もあります。
木目のくっきりとして質感もタモと似た不雰囲気です。無塗装の状態では文字通り白肌㊧ですが、浸透性のある植物性オイルを塗布すると、少し灰褐色㊨になります。それでもタモに比べるとやや明るめといった印象です。時間の経過とともにやや黄身色を帯びてきますが、劇的に色が変化するわけではありません。ナチュラルな質感を好まれる方には非常に適した材です。オイルを塗布してもタモほど毛羽立ちは感じられません。
いろいろな幅、厚みが豊富な木なので、フローリングだけではなく、巾木や枠材、額縁などの造作材としても同じ樹種揃えてコーディネートしやすいというのも嬉しいところです。なにより森林資源の持続可能性の高い木なので、量も豊富で供給も安定しており、幅広の割りに値段がリーズナブル。フローリングだけでなく、端材を利用した商品づくり(右は、「円い森」)にも欠かせない樹種で、今後かなり力をいくつもりです。こういう重要な木を今更取り上げるのは遅きに帰した感ありありですが、これもご縁。ホワイトアッシュ、以後お見知りおきを。