森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#004 【赤椨/アカタブ】 クスノキ科クスノキ属・広葉樹・日本産(宮崎産)

弊社が作ってるカレンダーがあり、全国の巨木の写真入りの物と輪切りの丸太が可愛らしく並んだ物の2種類があります。それぞれ同じ部数作るのですが、丸太の方が人気があって毎年先になくなってしまいます。木の写真の方も味があっていいのですが、丸太のほうは毎年『ご指名』される方も何人もいらっしゃるほどで、来年は丸太だけにしょうかなと思っています。木の写真の方のカレンダーの方を自宅のトイレに貼ってあるのですが、いつも見ていて「!」と思うことがあります。年の始まりからずうーっと気になっていました。2ヶ月分のカレンダーで、1.2月の巨木は『犬楠(イヌグス』です。イヌグスというのは、タブノキの別名です。樹形や葉の形もクスノキとよく似ていていますが、クスノキよりは劣るという意味の「イヌ」が合成した名前です。

 

富山県氷見市の樹齢500年の立派なタブノキです。高さ10m、幹回り6.5mの県指定の天然記念物【長坂の大イヌグス】です。右の写真が幹のアップなのですが、凸凹したコブがあります。タブノキは、日陰や薄暗いところでもよく育つ退陰性という性質の木で、大きく育ち四方に枝を大きく広げます。その樹皮から線香が作られることからも知られていますが、クスノキ同様に強い芳香性のある木というのは信仰崇拝の対象となります。さらに天高く突き上げ(最大で10mぐらいになるものもあるそうです)直径も数メートルにもなる堂々とした風格で四方に枝を広げ、奇怪なコブを持つという様相は、まさに森の主役!境内に数多く植えられご神木として崇められるのもうなずけます。その根の付近のコブからは美欄(びらん)と呼ばれる、装飾性の高い杢が取れることもあります。

そういう性質から森の神・精霊が宿る木として、「霊(タマ)の木」と呼ばれ、それが転化したのが「タブノキ」になったといわれています。そのタブノキのうち、薄紅色をしたものを『赤(アカ)タブ』、『紅(ベニ)タブ』と呼び、淡色のものを『白(シロ)タブ』といって区別します。【森のかけら】に加工しているのは、「アカタブ」の方です。

また、クスノキの事を「」と書くこともありますが、本来クスノキは「樟脳」を示す「」を充てるのが正しいようです。クスノキが九州に多いことから南の漢字が充てられたようです。では「楠」はどの木を指すのかというと、それこそがタブノキです。タブノキは他にも「」の漢字が充てられます。【森のかけら】では、クスノキとの混乱を避けるためあえて、「」の表記にしました。

「楠」の漢字からも分かるように、タブノキも南方、つまり九州や南西諸島に多く分布し、それらの地域で多く利用されてきました。特に有名なのが、タブノキの丸木舟でしょう。油分を多く含み耐水性があり大きな材が取れることがその理由でしょうが、さすが最近ではタブノキの丸木舟は見かけることななくなりました。赤身から白太まで特徴もさまざまで、全体的には重硬ですが軽いものもあります。乾燥中に割れたり収縮することもあり、建築材や家具で使うには決して使いやすくはありません。

話を戻します。カレンダーの写真をよく見てください。私にはどうしても、モスラの幼虫が左右に一匹ずつ、幹をよじ登っているようにしか見えません!一度そう思えたのでもうそれ以外には考えられません。これこそが「霊木」の「霊木」たる所以でしょうか。モスラも澄む木・アカタブ、凄いです!ちなみに今弊社にあるタブノキは、2mx6~700mmサイズの1枚板ですが、たまらなく重たいです。動かすのもやっとです。命がビッシリ詰まっています、大事に使っていただきたいと思います。




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