森のかけら | 大五木材

今日のかけら・#019【瓜膚楓/ウリハダカエデ】 カエデ科カエデ属・広葉樹・宮城産

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瓜の木肌・ウリハダカエデ①

1. 今日のかけら

 

 

 

 

 

 

 

20150531 1人生初の石鎚登山で、【森のかけら】にも含まれる数々の高山植物に出会い、ようやく『今日のかけら』で取り上げようとしていたものの、相次ぐイベントや家具納品などですっかり間が空いてしまいましたが、改めて石鎚山系で出会った木々について幾つかご紹介させていただきます。まずは、成就社駅ですぐに目に入ってきたカエデ科の『ウリハダカエデ』について。カエデの仲間、つまりカエデ科カエデ属の木は、北半球の温帯を主として、園芸種まで含めると200種類に及ぶ大一族です。

 

20150531 2その中には、イタヤカエデをはじめハウチカエデ、ヒトツバカエデ、サトウカエデ、チドリノキ、メグスリノキなど様々な種類があって、それぞれの葉には微妙に違う特徴があり、植物図鑑などではその形状で木を見分ける事も出来ると書かれていますが、普通の材木屋にとってそれはあまり興味の対象になりません。なぜなら多くの一般的な木材市場においては、カエデはどんな種類であろうと単に『カエデ』としてひとまとめに扱われるためで、それ以上の詳しい出自は求められないからです。

 

20150531 3 また、伐採直後の葉が付いた状態ならば木を見分ける「情報」が残っているでしょうが、枝が落とされ原木市場に並べられ、更に製材され板になって「情報が喪失」してしまうと、そのカエデがどの種類のカエデなのかを特定する事はほぼ不可能なのではないでしょうか。それほどに板になってしまったカエデの仲間の特徴はとても似かよっています。そういう事もあって、正直カエデの分類についてはほとんど興味がありませんでした・・・【森のかけら】を作り始めるまでは。

 

20150531 4森のかけら】で、日本の木だけでも100種を越える木を揃えようという事になって、ようやく大家族を形成するカエデに関心が向いたのです。調べればまさにカエデは「種類の宝庫」!しかし問題はそれらのさまざまな種類のカエデをどうやって集める事が出来るのかという事です。木材市場に出てきた段階では、詳しい種類の特徴まで遡る事はまず無理ですので、木を見分ける事の出来る知識を持った伐採業者から直接分けていただくしかありません。この話、明日に続く・・・。

 


 瓜の木肌・ウリハダカエデ②

1. 今日のかけら

これが何の木なのか?それを葉っぱ1枚で見分けられたらさぞ楽しいだろうとは思うものの、私の場合そこまで葉っぱフェチではないので、願わくば葉よりも材で見分ける能力を身に付けたいところすが、こればかりは日々の鍛練で培っていくしか道はなく、その道遥かなり・・・。ところで数あるカエデ一族ですが、その中で葉っぱよりも樹皮で見分けやすいカエデが、この『ウリハダカエデ』です。四国では標高500〜1200mで見かけられるとありますが、もっと低地でも出会えることがあります。

 

20150601 2ウリハダカエデという名前で木材市場などにその材が出て来ることはまずありえないと思いますが、山に入ると結構大きな樹を見る事もあるので、もしかしたら今までカエデとして購入していた材の中に混じったいたのかも・・・。【森のかけら】を作り始めた頃は、それほど身近にあると思ってもいなかったので、東北の宮城県から分けていただきました。当時は、よくウリハダカエデなんて断定できるなあなんて感心していましたが、樹皮の特徴さえ知っていれば簡単に見分けられる樹だったのです。

 

20150601 3その大きな特徴は、成長して幹が大きくなると濃緑色の樹皮に縦に浅い裂け目が入ってきて、その見た目や色合い縞柄などがマクワウリ(真桑瓜)の果皮のように見えます。それがこのウリハダカエデの名前の由来となっています。特徴の似た木に特徴もよく似た『ウリカエデ』という木もあってややこしいのですが、こちらは落葉中木で大きくなってもせいぜい8m前後。一方ウリハダカエデは大きいものになると20mにも成長するとか。葉は3〜5裂に分かれておとなの掌サイズ。

 

20150601 4森の中で緑色の樹肌の木は少ないので、比較的見つけやすい木です。石鎚山に登った時にも標高が上るたびに次々と現われてきて、さぞ鮮やかであろう秋の紅葉の光景が脳裏に浮かびました。さて材としてのウリハダカエデですが、【森のかけら】に使うほどの材しか扱ったことがないため、判断できる材料が少な過ぎて実態がよく分かりませんが、かけらで見る限りは美白で目粗。愛媛県では、色合いが白くて軟質で弾力性があることから、昔この木で白箸を作ったこともあるそうです。

 

20150601 5そのため、一部の地域では『シラハシ』とも呼ばれます。全国的にもこけし細工などに利用される事が多いようです。他には、薄く削って経木(きょうぎ)にして笠や篭(かご)などをたり、天秤棒などが知られています。樹皮繊維も強靭で、縄や蓑を編むのにも使われたりします。実は身近に沢山存在する事が分かったウリハダカエデですが、次はどうやってその木を手に入れられるか。いくら山に沢山木があっても、伐る人、運ぶ人、製材する人など人の繋がりが機能しなければ「材」までたどり着きません。




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