森のかけら | 大五木材

 

今日のかけら032

カヤ

イチイ科カヤ属・針葉樹・日本産

学名:Torreya nucifera

別名:ホンガヤ(本)、カヤノキ、カエ

 英語名:Japanese torreya(ジャパニーズトーレア)

気乾比重:0.53

バニラ香る将棋盤の木①*

今日のかけら・#032【カヤ/榧】イチイ科カヤ属・針葉樹・宮崎産

ご縁があって最近原木市場に出掛ける事が多いのですが、原木の出荷が少ないようで、製材業者の方もかなり苦心されているようです。相変わらず、山の事情と末端の家造りの現場との乖離を感じます。ところで、松山周辺の原木市場に出材されるのはほとんどがで、あとが並ぶぐらいで、広葉樹の原木が出る事は滅多にありません。テーブルなどに使える大きな広葉樹がない事もありますし、広葉樹を専門に扱う製材工場がないこともあって、小さな広葉樹丸太のほとんどはチップに回されます。山の木も需要があってこそ伐採されます。買ってもらう見込みがなければ山からは出て来ないの当然の理です。小さな広葉樹にも充分利用価値があるのですが、どれだけの量をどれだけ安定した価格で購入できるかという事でしょう。

そんな隙間だらけの土場の片隅に私の興味を 引く木が並んでいました。カヤ(榧)クワ(桑)の原木です。決して大きな原木ではありませんが、愛媛県からの出材がこれほど明確な材を放っておく手はありません。桑の木についてはまた改めてアップしますが、まずはカヤについて。原木市場から丸太を仕入れるためには、保証金を積んで原木市場の買い方にならなければなりません。その後、市日に1本ずつ入札して最高入札者が落札して、初めてその丸太を手に入れることが出来るのです。

弊社は製材工場ではないので、いつもお世話になっている製材工場さんにお願いして丸太を購入していただきました。その後すぐに市場からもって帰ってもらい、45㎜の厚さの耳付でにタイコ挽いてもらいました。弊社にやって来た挽き立ての新鮮な榧からは、いい香りが漂ってきます。榧はバニラのような甘い香がするのが特徴です。木から甘い匂いがするよと、子供たちを呼んで匂いを嗅がせます。挽き立てですから、ここまで鼻を近づけなくともぷう~んと香りますが、カメラを意識してモデルしてくれてます。

丸太を割っただけなので、これから乾かして使えるようになるのは早くても1年先です。榧の香りを損ないたくないので、人工乾燥ではなく天然乾燥を選らんだので道は長いですが、その分手元で長い間楽しめるという事です。さてきちんと乾かして在庫管理するためにはしなければならない事が幾つかあります。まず皮を剥くのですが、手で簡単に外せる物もあれば、ノミで叩かなければ取れないような物もありますが、皮がついたままでは虫の害を受けやすくなったり乾燥の妨げになります。

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バニラ香る将棋盤の木②*

昨日の続き・・・すっかり皮も取れて耳が綺麗に露出しました。それらを丁寧に1枚ずつ桟を切って並べて乾かせます。それほど大きな丸太ではありませんでしたが、うまく製材していただいたので予想以上に大きな板も幾つか取れました。幅が150㎜未満の狭い板は、乾燥後に小割りして【森のかけら】や【円い森】に使う予定です。幅の広い物は、カウンターや幅 剥ぎにして家具などに使えそうです。当然節も出ていますが、やはり愛媛県産の榧とう出自がこの木の売りですから、そういう方向に目を向けられている方に勧めさせていただきます。

乾燥をより進めるためにも両小口を再度カットします。小口には乾燥させ始めた時の日付も書き込みます。この後は風通しの良い日陰でひたすら日を重ねていくのです。挽き立ちで水分も多く含んでいるので、画面では白っぽく映っていますが、乾燥して水分が抜けてくるともう少し黄色くなります。小口を見てもらえれば幅が300㎜ぐらいでも結構年輪が詰まっているのが分かると思います。榧は成長が遅く、耐陰性の強い木でかなり暗い場所でも育つので、小さな木でも目が詰まっている物が多いです。

さて、この榧の代表的な用途といえば『将棋盤』や『碁盤』が思い浮かぶと思いますが、水にもよく耐えるので風呂桶などにも使われる事があります。木目が緻密であるという事と適度な弾性があるという事から将棋盤に好まれるのですが、特に将棋盤においては『天地柾といって上下に柾目が出ている物は最高級品とされますが、上下に柾目が出るという事は直径が1m級の原木が必要という事になりますので、素材としても相当に貴重で、取れたとしたら将棋盤1台で数百万の価値があるとも言われます。

また榧の葉は対生で先端が鋭く尖っているのが特徴で、葉を握るとかなり痛いです。似た名前で【イヌガヤ】という木がりますが、カヤがイチイ科カヤ属であるのに対して、イヌガヤはイヌガヤ科イヌガヤ属で、こちらは葉を握っても痛くありません。どちらも古くから山村では庭先に植えられたりして、実から油を採る油料(ゆりょう)植物ですが、主にカヤは食用油イヌガヤは灯油に用いられたようです。またカヤの実は灰汁に1週間ほど漬けて、炒って食べる事も出来ます。

榧の名前の語源については、『和名抄』という古い書物で、の感じを当て、和名を万葉仮名で加倍(かへ)と書き表されていて、この古名のカヤに転じたものであるとされています。そのカへも、古い時代の朝鮮語から転訛したということですが、カヤの油が重要視されそれが日本に伝わった事に由来しているとか、かつてこの葉を燻(いぶ)して、蚊を追い払う『蚊遣(や)り』に使われた事に因(ちな)んでいるなど諸説あるようです。弊社に材を観に来られた方には『バニラの甘い香り』と紹介していますが、その葉は蚊を追い払う効果もあるのですから、匂いの良し悪しも紙一重蚊もしれません。

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愛媛の榧の出しどころ*

半年ほど前にブログで「愛媛県産のカヤ(榧)」の板の事をアップさせていただきましたが、その後桟積みして風通しの良いところで天然乾燥を続けておりました。榧の木を原木から製材して、板材とするのは初めてでしたので(通常は乾燥させた板を仕入れています)、天然乾燥の期間を探っていましたが、半年以上経過したものを先日試しに削ってみましたが、想定していた期間より早く乾燥できていました。1年ぐらいは寝かせておこうと思っていましたが、既に住宅でも充分使えるレベルに乾いておりました。
これからたちまちすぐに現場で使うわけではありませんが、もしご注文があってもご要望にお応え出来る状態になりました。大きな原木を何本も加工したわけでもありませんので、揃った板もごくわずかな量です。大手の住宅会社相手に資材を納材しようと思えば、安定供給と価格競争力が絶対に避けて通れません。しかし、そこは大手製材工場から大量に生産されるマテリアルが、その精度と品質と価格を競い合う厳しい世界です。弊社はとてもそんな土俵に上れる体力も技術も持ち合わせていません。
生憎そういう経営センスも能力も落ち合わせていませんし、ご縁があって手に入った少量の材を丁寧に説明しながら細々と販売させていただく仕事が自分の性に合っています。この板を何に使おうかとか、この節をどう活かそうか、この耳の形は何かに似てないかしらと妄想を膨らませながら、材を1枚1枚値付けしたりするのがとても楽しいのです。生材で肩に食い込むほど重たかった材が驚くほどの軽さに変身して、別のモノに形を変わっていく姿を見るのも楽しみの1つなのです。
森のかけら】を全種各10個入る収納棚があるのですが、売れて空いたスペースに新たな「かけら」を収めていく時の快感もマニアック過ぎて、他人にはきっと理解できない快感なのです。そう考えると私の周辺、楽しみばかりのようですが、20数年掛けて楽しい事を仕事にしてしまったのかもしれません。根本的に好きな事なので、飽き性の私でもなんとか長続きします。嫌な事を我慢強く継続できるほど忍耐強さが無いというだけの事なのですが・・・。
さて、榧といえばその用途の代表格は碁盤将棋盤ですが、この材はそういう用途には遥かに及びません。昨年末、出雲で「最古の室町期の将棋盤」が出土されニュースになりましたが、その材は『』でした。それをして、昔は杉が将棋盤の材だったなどと断定するのは早計。榧は杉や桧ほどどこにでも分布しているわけではないので、周辺にあった木を利用しただけの事だと思います。出土された一帯が、位の高い武士が住んでいた地域だという事で、当時の武士の暮らしぶりや将棋盤のルーツを探る貴重な資料になるとの事でした。またこの将棋盤には刃物の傷が残っていて、将棋盤として使った後、まな板としても使われたと推察されています。それがたまたまの事例であるのか、よくあった事なのか定かではないようですが、『もったいないの精神』で無駄なく大切に使ったという事に変わりはありません。
近代の高級碁盤などを作る榧の材は、艶や光沢を損なわないように天然乾燥が基本ですが、一説によると厚さ一寸(約3.03cm)がきっちり乾いて将棋盤として使えるようになるには、少なくとも1年は掛かるといわれています。高級碁盤や将棋盤は、艶や光沢、石を打った時の感触や音も重要な価値を持ちますから、当然そこまでの精度が求められます。そのためには、最低一寸一年ぐらいの乾燥期間は必要ということです。ただそういう用途に使える榧の木は本当に少なくなっています。しかし、小さな榧の木にもそのエッセンスは流れており、水湿にもよく耐え腐りにくい性質があるので浴槽浴室用材など水廻りに適しています。他にも、和船の底板そろばん玉、戸板仏像の彫刻などにも使われています。脂気もあり、磨けば艶が出て、甘い香りのするこの黄白色の涼しげな木の新たな用途を探っております。

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のぼうの城と「でくのぼう」②*

史実に基づき後世に語り継がれる中で手垢のついたエピソードでもあっても、人物描写を掘り下げ、キャスト・スタッフに本物のプロフェッショナルの職人が技術を結集することで、ひとを感動させる事の出来るものが生まれる見本のような作品でした。ストーリーのひねりだけで見せるのではなく、テンポのいい演出、人間くさい魅力溢れる俳優陣の芸達者ぶり、緻密に計算され安心して没頭できる裏方の技術力、それぞれの持ち味が充分に発揮されたスケールの大きな、気分爽快になる快作です!
圧倒的な数の力で高圧的に降伏を迫る三成軍の態度に、「我慢ならん、戦う!」と叫ぶのぼう様野村萬斎)の姿に共感を覚える人は多いはず。実はこの映画、1年以上前に完成していたのですが、水攻めの描写が「時節柄上映するには相応しくない」という理由で、およそ1年公開が延期されました。それが、皮肉な事に現在の混沌とする政治状況に対する、決断できるリーダー像として喝采を浴び、「嫌なものは嫌じゃ!」と言い切れる男の気概に溜飲を下げた世の男性は多かった事でしょう。
しかしそれは、武勇も智謀も持たず日頃から家臣や農民から「のぼう様」と親しまれ穏やかな男が、内に秘めたる矜持を貫いた決断であります。人生決して勝ち戦ばかりではないけれど、それでも戦わねばならない状況はあります。さて、その『のぼう様』とは、「でくのぼう」を略した呼び名なのですが、では『でくのぼう』とは何ののか?漢字では『出偶の坊』と書きますが、平安時代に作られていた「くぐつ」という操り人形の事です。人が操らねば自分では動けないことから役立たずの意味で使われたりします。
『でくの棒』と表わされることもありますが、本来の『ぼう』の意味は、親しみやすい軽い嘲(あざけ)りを表わす接尾語という事なので、『棒』は誤りで『坊』が正しいようです。ではその『でくのぼう』は何の木で作られていたのでしょうか?物の本によれば、仏像用材の樹種は、飛鳥白鳳時代は主に広葉樹の『クスノキ』が使われていましたが、平安初期になるとほとんどが針葉樹の『カヤ』に変わったようです。カヤが使われた背景については、厳密な規範に沿っていたようで、宗教的・精神的意味合いがあるようです。

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のぼうの城と「でくのぼう」③*

当時は、どの樹種から何を作るかではなく、この樹種はこれを彫る素材と明確な決まり事があったようです。また、それに応えるだけの大径木が充分にあったのでしょう。巨大彫刻が彫れるような大きな材ではありませんが、弊社の倉庫にも以前から乾燥させていた愛媛県産の『カヤ』の板材が揃っています。カヤは削ると鮮やかな黄色い材面で、甘いバニラアイスの香りがします。削ってしばらくすればまた香りは薄まりますが、香り込みで新商品開発できないものか・・・。
最近よく、愛媛県産材を使った商品の問い合わせが増えていますが、とりあえずトライアルで作ってみて、調子がよければ複数の注文になるかも、というケースがよくあります。数が決定していれば、このカヤなども使えるのですが、いかんせん在庫に限りがありますので、杉・桧以外だと県産材の大量オーダーに応えられないのが歯がゆいところです。従来は、こういう原木を挽く時には、とりあえず45㎜の厚みの耳付きのタイコ挽きに挽いて、カウンターやテーブル材を狙っていました。

しかしこれからは、ある程度作る商品に合わせ数種のサイズに分けて製材する事になりそうです。カヤに関しては、まだこの商品にという決定的なモノがあるわけではありませんが、『森のたまご』、『森のこだま』、『森のしるし』、『モザイクボード』等々、いろいろなサイズの商品アイテムが増えてくると、『樹種の特徴に合わせた出口』と、『どの樹種にも共通スペックの出口』の2通りの出口が開通しました。この出口の先に4車線の国道も見えてきていて後はハンドル操作を誤らない事。
それにしても、あまりに県産材という枠に固執する方が多いのですが、私は何が何でも県産材・国産材というスタンスの材木屋ではないので、一応県外・世界の木もご提案はします。素材の出自にこだわられるあまり、予算という大きな壁が見えなくなるお客さんもしばしば。予算的にどこまでならこだわられるか、こだわりの我慢比べになります。平安時代の彫刻師たちの間でも、『カヤ』の木を巡るこだわりの我慢競べもあったのでしょうか。『木偶の坊』の裏にもきっと深いドラマが隠れているはず・・・。

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第五惑星JUONの星人/ストレート・G・バニラちゃんの素顔①*

昨日に続いて本日も仲間をもうひとりご紹介。可愛い女の子『ストレート・G・バニラ』ちゃん。彼女のミドルネームのGは『グレイン』。ストレート・グレイン、つまり柾目(まさめ)の事です。そして手にしているのはバニラアイス。しひねりがありますので、よくよく考えてもらわないと、背景の木の姿が思い浮かばないかもしれません。手にしたバニラアイス、そんな香りがする木があるか?あります。弊社で木選びをされた方にはとっては馴染みがある木だと思います。

木の名前は忘れても、そういえばバニラのような甘い香りのする木があった!と膝を打たれた方もいるでしょう。バニラの香りがして、柾目が特徴の木といえば、そうイチイ科カヤ属の針葉樹・カヤです。カヤの木の代表的な用途としては、将棋盤、碁盤が有名ですが、その中でも『天地柾』と言って、盤面の上下が柾目になっているものがもっとも高級だとされています。天地が柾目という事は、つまり相当に大きな良質の原木でないと取り出されない事を意味しています。

それぐらいのものになると年輪幅も均質でまさに糸のように整然と年輪が並んであって、人工物のように見える丹精さ。ただし昨今では高級将棋盤、碁盤も世間の不況の煽りを受けて販売も芳しくはないようです。しかしその将棋界では最近女流棋士の活躍が目立っています。『ストレート・G・バニラ』も将棋が趣味で、対局中も大好きなバニラアイスを離しません。味もそうですが、そのバニラにはの甘い香り頭脳を明晰にする特殊な成分が含まれているのです。

材と同じく耐湿性が高い服を着ているので、アイスが溶け出しても心配ありません。また普通であれば甘いアイスをこぼしてしまうとアリが寄ってくるものですが、本物のカヤの名前の由来が、この木を燃やすと材に含まれる薬用成分が煙となって蚊を寄せ付けないことから、『蚊遣(かや)りの木』と呼ばれ、それが縮まって『カヤ』となったように、バニラちゃんの皮膚からは非常に甘い香りはするものの、虫への忌避成分が含まれているようで、悪い虫も男も寄せ付けません!明日に続く・・・

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第五惑星JUONの星人/ストレート・G・バニラちゃんの素顔②*

昨日に続きまして、『第五惑星JUONの星人』シリーズ第三弾・『ストレート・G・バニラ』ちゃんのご紹介です。虫も男も寄せ付けない忌避成分があるというのは、それだけ人気がある事の裏返しでもあるのです。可愛い顔をしてアイスを舐めているからといって、なめてかかると痛い目に遭います!やましい下心のある人がうかつに握手でもしようものなら、飛び上がるほどの苦痛を受ける事になります。とういのも、本物のバニラちゃんの指は針状に鋭く尖っているのです

人気にあやかろうと、ニセモノも多数登場していいるのですが、その中でも有名なのが『イヌガーヤ・イチイ』ちゃん。見た目はほとんど同じに見えるのですが、見分ける決め手は『握手』です。バニラちゃんのように指先が裂けて尖っていないので、握っても痛くありません。掌(葉)の大きさも本物の方が少し小さくて控えめです。本物のバニラちゃんかどうか分からない時は、簡単に応じてはもらえないでしょうが、痛いの覚悟で握手をお願いしてみることです。

もうひとつバニラちゃんとイヌガーヤ・イチイちゃんとの違いは、おふたりが作る自家製のオイルについて。バニラちゃんの製造するオイルは、甘い香りも漂う良質の食用油として第五惑星の飲食店街でも大人気商品なのです。一方、イヌガーヤちゃんも似たようなラベルのオイルを発売しているのですが、ちょっと癖があって食用には向いてないようで、もっぱら灯油として使われています。このオイルの質の違いもふたりを見分けるポイントになりそうです。

その人気者のバニラちゃんの将棋以外の隠れた趣味を持つひとつ。少し前に『仏像』ブームというのがあり、女子の方の間で『仏像』が密かな人気でしたが、流行に敏感なバニラちゃんも大の仏像マニア。刃物切れがよくて虫も寄せ付けないカヤの木が、よく仏像に使われていた事から不思議な因縁を感じているのかもしれません。仏像を眺めるバニラちゃんの横顔は、月光菩薩様のような神々しさです。まだまだ謎多きバニラちゃんですが、その性格は名前どおり一途で尽くすタイプ。

お嫁入りの際には、カヤで作った和服の張り板を持参すると公言しています。また得意な料理は、自家製のオイルで作った天ぷらだとか。甘~いバニラの香り漂うバニラちゃんに今後は色恋話が持ち上がりそうですが、第五惑星JUONのマドンナとして今後の活躍にもご期待下さい。ちなみにバニラちゃんの基本デザインはわが次女(小学5年時)。どういう形にせよ、どういう入り方にせよ、木に興味を持つきっかけになってくれるのならば私としては本望です。

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孤高のカヤは300歳*

私の住んでいる松山市平田町には、昭和62年に松山市指定天然記念物に指定され、地元の人々から親しまれている立派なカヤ(榧)の木があります。ミカン畑の広がる少し小高い丘の上にあり、町内を見渡せる位置に鎮座ましましている推定樹齢300年の大木です。胸高幹周3.53m、樹高は25mもあり、周辺がミカンなどの灌木ばかりということもあって、国道から見上げても、我関せずとばかりに天に向かって屹立するその孤高な御姿ははっきり分かるほど堂々としたもの。

逆にあまり近づきすぎると背景の山に溶け込んで分かりにくく、ミカン畑など周辺にも緑が多いため、その存在を知っている人でなければそれがカヤの木であると識別するのは難しいかもしれません。もっとも日頃から大木に対して何の興味の無い方にとっては、『見えていても見えないもの』かもしれませんが。私も当然その存在は知っていたものの、実際に傍まで行ってその姿を拝んだのはここ10数年前のこと。歩いて10分足らずの距離ではあるものの、灯台下暗しとはこの事・・・。

そのカヤの立っているところが、先が行き止まりになった墓地の傍にあるので、なかなか改めて行く機会がありませんでした。先日ちょうど近くに用事が出来たので、足を伸ばしてそお姿を久しぶりに拝んできました。本来カヤは、こういう平地ではあまり育ちにくいと言われているので、これぐらいの標高(約30m)のところでこれほど大きく成長するには珍しいそうです。地元では、昔からの風習でこのカヤの木を囲んだ節季の行事も行われていて、地元では知らない人はいない存在。

ですが、近年新たに町内に移り住んで来られる方も増えて、カヤの木の事を知らない人も増えています。そもそも『カヤ』が木の名前である事を知らない人だって珍しくありませんし、実際にカヤの木で出来たモノを見た事があるという人も少数。有名な出口のひとつに、将棋盤碁盤がありましたが、本物のカヤの木で作られた将棋盤で将棋を指している人がどれぐらいいるものなのか?甘いバニラの香りがの特徴のカヤですが、身近に存在してても身近で使う習慣がないと縁遠くなるもの・・・

 

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節にて幼だが否ではない*

これは昨年作られせていただいたものですが、愛媛県産の『カヤ(榧)』の木を幅剥ぎして丸く切り出した円形のカウンター。カヤといえば将棋盤碁盤などとして有名ですが、その他にも適度な弾力があって、光沢があり、水質にもよく耐えることから風呂桶まな板船舶用材などの水に関わる場面で利用されています。将棋盤には高齢木のよく目の詰まった良質な材が求められ、中でも盤面の上下がともに緻密な柾目のものは、『天地柾』と呼ばれ最高級とされます。値段を聞けば気軽に将棋など出来なくなるほど!

まあ弊社の場合はそんな高額な材には縁の無い材木屋ですので、そういう立派なカヤを求めては居ませんが、カヤ自体は四国にはよく自生しています。ただし天地柾が取れるような材となると樹齢が200~300年クラスの大木になるのですが、そういうカヤはほとんど無くなりました。もしあったとして、その木で将棋盤を作ったとしても、バブル当時ならいざ知らず現在では投機の対象のような数百万もする価格では売れるかどうか。高級将棋盤や碁盤という用途も材質を活かした出口ですが、それに該当するのは超エリートのカヤのみ。

それ以外の多くのカヤは、もっと小さくて枝も多くて節があり、選ばれし栄光の舞台には立つことは出来ません。しかし私はそんなカヤの方に強く惹かれるのです。この節のある木をどう活かそうか、どういう場面に使えばカヤを使う意義が生まれるだろうか、節まみれのカヤの木を眺めながらそんな事を考えるのが楽しみ。折角縁あってうちにやって来た木には、なるべくならば『意味のある出口』を用意してあげたい。すべての木にそれが出来るわけではないものの、日頃からそういう事を考えておく事は大事なので、出口を考えることを習慣化させています。

しかしこちらが、いいと思った出口も相手があっての事なので、受け入れていただかなければ出口に導けません。今回はある飲食店のカウンターにお使いいただいたのですが、これが4m近いストレートのイチョウのカウンターと繋がります。この円型のカウンター、直径1200㎜あって、結構な大きさですが、生憎イチョウでは適サイズのものがなかったので、イチョウと同様によく水に耐えて、適度な弾力を持ち、質感も色合いもよく似たカヤをご提案したところ、快く受け入れていただきここに至りました。カヤの材を削るとは甘いバニラのような匂いがします(あくまでも私の個人的な感覚)が、この丸いカウンターが倉庫にある間は、大五木材の倉庫の中も甘いバニラの匂いに包まれていました。この丸いカウンターが使われたお店の情報についてはまた後日改めてご紹介します。




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