★今日のかけら・#083 【苦木/ニガキ】 ニガキ科ニガキ属・広葉樹・宮崎産
『苦木』、聞き慣れない名前どころか、初めてこの名を訊く方も多いと思います。建築材など主要な木材を取り上げた木材図鑑でも取り上げられる事がないうえ、生育量も多くないので、実物を見かける事もほとんどないと思います。最近も木材市場でこの木が並んだのですが、木のプロの材木屋ですら「これ、何の木?」「何か塗ってるの?」という言葉が交わされたほどマイナーな木です。高さはせいぜい10~15mで、それほど大きな木にはならない雌雄異株の落葉高木です。
この変わった名前は、枝や葉に強い苦味がある事に由来しています。樹皮を乾燥させたものは煎じて、苦味健胃薬にも使われます。生薬名の『苦木・クボク』から、この木の事を「クボク」と呼んだり、葉の形が『栴檀(センダン)』に似てることから、海岸近くに生育する栴檀に対して、『ヤマセンダン』と呼ばれることもあります。私がこの木を初めて知ったのは、愛媛大学の樹木博士講座の時に、試験林で実際に苦木の葉を噛ましてもらい、その苦さを実体験してからです。葉を噛むと本当に苦味がありました。
濃い黄褐色ですが、一切着色もしていません。これだけ濃厚な黄色が出るのは、日本の木では、苦木か黄櫨(ハゼ)のいずれかでしょう。画像では耳の部分が取れていますが、樹皮はコルク質で厚みがあり、材としての苦味はその樹皮と材にあります。この材の用途としては、その黄色味を活かして、染料や木工や木象嵌などの寄木細工などに利用されます。この樹皮を煎じた汁で衣服を洗うとノミやケジラミが付かないという事で、かつてはその除去にも使われました。
またアイヌ語では、ユクライケニ(鹿を殺す木)という別名もあるのですが、この木の皮を剥いで樹液を溜めて、鹿狩りに使う毒を精製したそうです。生薬に使う一方で鹿を殺すのにも使われるということですが、毒と薬は紙一重という事ですから、使い方内には注意しなければなりません。もっぱら宮崎あたりから産出される材を仕入れているのですが、それほど大きな材が出るわけではないので、もっぱら幅剥ぎして家具材やクラフト材などに使っています。
プレーナーで削ると当然その削り屑も材同様に鮮やかな黄色です。この削り屑を見ていると、鹿はこの木の毒性で死んだのではなく、自然界にありえないような鮮烈な色合いに驚きショック死したのではなかろうかと疑いたくなるほどの強烈な原色の真っ黄色です!見れば見るほど、捨てるのが勿体ないので、いずれ何かに有効利用できないかと思ってストックしています。染料として使われるような材は、うまく使えば骨までしゃぶれます。現在在庫にある苦木はいずれも小幅な板物ですが、うまく使えば他の木の色をうまく引き立てるコントラストになります。国産の天然木でこれだけの色合いを持つ木は大変貴重です。しなやかな発想で有効に使わせてもらわなければもったいなさ過ぎるでしょう。大きい木には大きいなりに、小さい木は小さいなりに使い方はいくらでもあります。やらねば!
★今日のかけら・204 【プランチョネラ】 Planchonella アカテツ科・広葉樹・東南アジア産
本日は、東南アジア産の『プランチョネラ』の仕分け作業。以前にブログでもアップしましたが、この梱包をバラして立て掛ける作業が密かな楽しみでもあります。その重みを肩に感じつつ立て掛けていると、これだけのモノを買ったんだなという実感と、これをじっかりお金に換えなければという責任を感じます。私はアナログ人間なので、実体がないモノってなかなか受け入れにくい面倒くさい性分です。こうして、自分の肌で直接触れる事は欠かせない大切な作業なのです。併せてダイエットと健康維持にもなります!むしろこちらの方を意識しながらの作業かも・・・。
保管しておくには、桟を入れて上から圧をかけて積み上げておく方が良いのですが、それではいつまで経っても売れません。昔のように大工さんも梱包単位などでは買っていただけませんから、「売るぞ」というモードに入った時には、こうしてバラして立て掛けます。倉庫のスペースにも限りがありますので、一度立て掛けるてしまうと、頑張って早く売らねばという切迫感も湧き上がってきます。さて、この『プランチョネラ』という木、一般的には聞き慣れない名前だと思うのですが、家具の内装や木箱、梱包材などに結構使われている素材です。東南アジア、主にインドネシアやマレーシア、PNG(パプアニューギニア)などからの入荷が多いようです。『ニヤトー』も同じアカテツ科なのですが、アカテツ科の樹種は一般的に、より軽軟なものと、より重硬なものに大別され、マレー語地域では、前者を大きくニヤトー、後者をニヤトーバツと総称して呼ぶようです。
この『プランチョネラ』は前者のニヤトー・グループに含まれていますが、その中でも更に軽軟な木です。気乾比重は0.38~0.49程度。現在は輸入が禁止されている『ラミン』によく似た雰囲気があるので、代替材としても利用されているようですが、ラミンよりはやや硬めです。実際に担いでみても、一気に3,4本はまとめて運べる程の重さで、加工性の良さも感じられますが、シリカも含んでいるのでご注意下さい。 耐久性が高いとは言えないので、外部には適しませんが、室内に使う分には遜色ありません。
PNGでは、ニヤトーの事を色調でホワイト・プランチョネラとかレッド・プランチョネラとも呼んでいるようなので更にややこしいですが、削ってみるとかなり黄色いです。ただし色調に幅があり、ニヤトーのようにもっと赤褐色に近いものとかもあるようです。この梱包については、全てこういう色調でした。画像を見てもらっても分かる通り木目は精で、肌触りもすべすべしています。一部、ブルースティン(青染み)も見られましたが、癖は少なそうです。杢目の妙味は期待できませんが、造作材や家具材あたりから使ってみて下さい。


