森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#016【伊吹/イブキ ヒノキ科ビャクシン属・針葉樹・岐阜産

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20140107 2本日、店舗の看板を探しに来られた方が、倉庫の中を探し回って見つけられたのが『カイヅカイブキ』の耳付き板です。この名前だけを聞くと、木の姿が思い浮かばない方もいるかもしれませんが、実はほぼ毎日見かけているといってもいいぐらい身近な木なのです。その名前に覚えはなくとも、街路樹、公園樹、生け垣として、天に向かって火炎状に勢いよく葉を茂らせた木の姿に見覚えはあるでしょう。それこそが、ヒノキ科ビャクシン属の常緑針葉樹『カイヅカイブキ』です。

 

20140107 3漢字では『貝塚伊吹』と表わします。和名の『伊吹』は、滋賀と岐阜の県境にある伊吹山に産するビャクシン(柏槇)という意味だというのが定説ですが、伊吹山にだけこの名前が当てはまるのも考えれば妙な話しなので、何か深い理由があるのかもしれません。むしろここは、その音から類推して、古代に土器の底の穴にこの木の枝葉を敷いて食物を蒸したので、湯気を吹く木から、息吹き木(イブキギ)とされ、その後末尾のギは省略された語源説の方が説得力がありそうです。

 

20140107 4 .bmp先の『貝塚』という言葉についても、大阪の貝塚市に因んでいるという説もありますが、その貝塚市そのものからして地名の由来が明らかにされてないのでこれもまったく不思議。貝塚といえば本来は、食料などに使った貝殻の塚というのが一般的なのですが、いまだ当地においては貝塚遺跡も発見されてもいないという事で、地名の由来も謎なのです。貝は海の底にあるものですから、もしかしたら壮大で感動的な名前の由来物語が海の底で眠っているのかもしれませんが・・・。

 

20140107 5さらに輪をかけてややこしいのが、「イブキ」と「ビャクシン」という2つの名前が浸透していること。江戸時代には別物の木とされて、それぞれに桧柏と園柏という漢字が使われていたりとかなり混乱してます。柏という漢字は本来、コテノガシワという木の漢名なのですが、鱗片状の葉をつける木(ビャクシン類、ヒノキ類、コテノガシワ類、アスナロ類、イトスギ類)にも一般的に付けて使われてきた「伝統」があるので、扱いにくく、正直避けて通ってきた木の1つでもありました。

 

Exif_JPEG_PICTURE昨日に続いて、『カイヅカイブキ』の話。名前そのものの由来は分かりづらくとも、その存在感はピカイチで、最初に私が材としてのイブキに出会ったのは10数年前のこと。市場で見かけたイチイのような赤身とその香りに引き寄せられました。先日『今日のかけら』でご紹介した『ネズミサシ(ヒムロ)』に似た特有のツンと鼻をつく香りがします。個人的にはこういうアロマのような香りのする木は好きなので、出会った時はその香りと物珍しさだけで仕入れてしまいました。

 

Exif_JPEG_PICTUREこの『カイヅカイブキ』は、本種の『イブキ』の園芸品種として作られたものだそうで、成長すると高さ20数メートルにもなるイブキに比べると、 低木で直径も大きなものは稀です。弊社にあるものの長さはせいぜい1、7m前後で、幅も150〜200㎜といったサイズ。螺旋状にねじれて上に伸びる性質があるので、長い材も取れないのでしょう。ただし枝葉を広げるため、看板など装飾的に使うのには、耳の変化と赤白のコントラストがあって面白い材だと想います。

 

Exif_JPEG_PICTUREしばらく倉庫で眠っていたので、先日ひさびさに再会して何だか懐かしい気分。特有の香りは揮発していましたが、軽くサンダーで削ってやれば再びアロマのようなかぐわしい香りが広がります。経年変化でやや赤身部分が色褪せて見えるかもしれませんが、少し削れば鮮やかな紅色が蘇ってきます。系が小さいので当然節も多く含まれますし、安定供給なんて出来ない素材ではありますが、ご縁があって手に入ったものは出来る限り大切に扱わせていただきたいものです。

 

20140108 3少し水で濡らすと紅色が濡れ色になって濃厚で味わい深い色合いになります。辺材の白身とのコントラストがより一層際立ってきます。この耳を活かして、このまま看板に使われるそうですが、長く倉庫で埃をかぶっていた材が手元から離れるのは嬉しいような寂しいような・・・。こういう特殊な木って次いつ出会えるかが分からないのでどうしてもそんな気分に陥りやすいのですが、いかんいかん!木との出会いも一期一会、さよならだけが人生と割り切らねば〜!!

 

20140108 5ついでながら全国各地に存在する「伊吹」という町名の多くは、このイブキに由来したものが多いそうです。愛媛県でも四国中央市の下柏町や宇和島市伊吹町㊨には、イブキの国指定天然記念物があり、その地名もその大木に由来しているようです。下柏というのは、イブキの別名ビャクシンの漢字名「柏槇」からきていると思われます。同じように各地にイブキの巨木、あるいはイブキが群生があったことが地名に結びついたものと思われます。

 




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