森のかけら | 大五木材

今日のかけら122

アサメラ

Asamela

マメ科・ソラマメ亜科・広葉樹・アフリカ産

学名:Pericopsis elata

別名:アフロモシア、アフロルモシア(Afroromosia)

コクロジュア (Kokrodua/ガーナ)

(Ejen、Obang/カメルーン、中央アジア)

(Ole、Oleo、Pardo,Bohalalaコンゴ民主共和国)

商業名:アフリカンチーク

気乾比重:0.60~0.80

 

逆境に耐えるアサメラ(洋桑)①*

本日はアフリカ産の広葉樹の大木、『アサメラ』を加工。よく『界三大銘木チーク』の代用品とされることから『アフリカンチークとも呼ばれることのある木ですが、最近は木材市場でもあまり見かけることがなくなりました。と思っていたら、昨年岐阜の木材市場で結構まとまって出材されていたので、そのお姿に不意に郷愁を覚えて、ついつい耳付き板をいくつか仕入れてしまいました。今回削ったのはそれではなくて、かなり昔から弊社の倉庫の中で眠っていたものです。
成長すると樹高が40mにもなる大木ですが、枝下高はは15~20mで、平均直径で800~1,200mmの不整形の丸とを形成します。私もそれほど多くのアサメラの材を見てきたわけではありませんが、印象としてはテーブルの天板になるような1枚板のイメージ。前述したようにチークの代用として家具にも使われるので、小割の板材も出回っているのでしょうが、丸太によって個体差の色調にかなり幅があるため、並べて使う時に色合いを合わせるのが結構難しい木でもあります
アフリカのコートジボアールの東部からガーナの西部の象牙海岸一帯に広く分布していて、コートジボワールでは『アサメラ(Asamela)』、ガーナでは『コクロジュアKokorodua』、カメルーンや中央アフリカではObangとも呼ばれています。一般的な英語名はアサメラで、別名としてしばしば使われる『アフロモシア(Afrormosia』、またはアフロルモシアは学名の属名からきている名前でよく混同して使われますが、木材市場ではアフリカンチークの方が有名かもしれません。
材の呼称については、地域性が強く反映されますので、各市場や売り手によって様々ですが、『〇〇チーク』とか『〇〇マホガニー』など、高級材の名を冠する別名を持つ木は、その材の特徴をよく言い表している場合が多いので、その用途や利用方法を探るという意味では分かりやすい点もありますが、あまりにも似たような紛らわしいような名前が多いので混乱してしまわないようにしなければなりませんが。関西方面ではほとんどアサメラの名前の方が多いと思います。

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逆境に耐えるアサメラ(洋桑)②*

本日もアサメラについての話。木の名前についてですが、多くの別名がある木の場合、どの名前が定着するのかどうかは、その木を引っ張ってきたシッパーや商社の影響によるところが大で、口伝えに名前が語り継がれますから、全国的にはあまり認知されていない名前でも、ある特定の地域においては、マイナーな原産地の名前や、学名、俗名などが一般的になるケースもしばしばあります。アフロルモシアは、学名の属名に基づいているのでこれも誰かの影響によるところでしょう。

さて、そんなアサメラですが、チークの代用とされるのはその色調によるものです。ただし、色調は似ていても、チーク独特の脂質の触感はなくて、乾燥するとサラサラした触感です。とはいえ気乾比重は0.70~0.80ですので、かなり硬くて重い方に分類されます。ちなみにチークはのそれは0.68ですから、重さだけでいえばチークよりも重たいということになります。特徴はチークに似て、収縮はかなり小さくて、しっかり乾燥してしまうとほとんど変動はないようです。

本日加工したアサメラは、意に反して(?)長期間倉庫にて乾燥しきったものですから、材の安定度は抜群でしたが、乾燥には時間を要します。ということで、今年仕入れた耳付きのアサメラについては乾燥機のお世話になりそうです。以前であれば、天然乾燥でいけるぐらい我慢力もありましたが、少しは材の回転率についても考えるようになったのと、【森のかけら】や『森のりんご』をはじめとする端材のクラフト商品づくりに必要という切迫した問題もありますので。

 

アサメラについては、その材そのものよりも経年変化後の色調の例えとしてよく使ってきました。アサメラ自身も経年変化で少し黒ずみますが、同じアフリカ産のマメ科で鮮烈な赤みを持つ『パドック』の経年後の姿として、アサメラをよく例えにしてきました。削りたてのパドックの鮮やかな赤身も、時間が経つと急激に色褪せて茶褐色になるのですが、「どんな感じ?」と訊かれて「アサメラみたい」と伝えて相槌を打ってくれるとしたら、かなりの木材通ということになります。続く・・・

 

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逆境に耐えるアサメラ(洋桑)③*

木の名前の別名の功罪についてはこのブログでも今までに何度も書いてきましたが、誤解を恐れずに改めて書きますと、木材市場や問屋などで取り扱われる流通段階においては、公共建設で求められような産地証明等のトレーサビリティーが問われることはほとんどありません。違法伐採や法に触れるような伐採は当然問題ですが、市場に並べられる材については互いの信頼関係に基づくことが大前提ですし、市場流通で使われる名前以外だとむしろ市場が混乱してしまうこともあります。

先の市場で仕入れたアサメラは、テーブルの一枚板に使えるような大きなものではなくて、使いどころに頭を悩ますような極端なテーパーサイズのものがいくつかと、2mで幅800mmのテーブルサイズが数枚。濃い茶褐色の心材と灰白色の辺材のコントラストが面白くて、そのまま耳付きでテーブルの天板に使うにはもってこいの材なんですが、なにしろ重たいので大物には腰が引けてしまいます。仕入れる際にテーブルなどの天板に使って自ら納品するというところまでイメージしますので。

荒材のまま同業者に販売するのであれば、フォークリフトで出し入れするので重さも苦にもなりませんが、完成したテーブルを、下手をするとそのままでは廊下を通れないので、横に持ち直して運ぶこともあるのですが、アサメラやブビンガゼブラウッドなどの超重量級の材が手に食い込みことを想像してしまうと、どうしても買う手が鈍ってしまうのです。若い頃はそんな事も考えませんでしたが、50歳近くになると、安全に運べるだろうか、なんてリアルな事が脳裏を横切ってしまうのです。

市場で売られている板は、未乾燥の場合が多く、表面が割れないようにボンドを塗りたくっていますので、本来の色調が分かりにくいと思うので、軽く表面を削ったのがこちらの画像。アサメラの写真は、どの段階で撮ったかによって随分と印象が変わるのではないかと思います。ここに植物性オイルを垂らせば、濡れ色になってもう少し色合いも濃くなります。まさにチークの代用としても遜色のない色合いで、実際に家具材としてもよく使われていますが、その他にもボートや船舶材にも用いられます。

 

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逆境に耐えるアサメラ(洋桑)④*

今回は造作材として加工したのですが、倉庫での長い眠りの中で付着した埃などの洗礼を浴びて、すっかり喉や目が痛くなりました。今回はどうしてもアサメラでなければならないというわけではなかったのですが、私の提案に対してご承諾をいただき採用されました。こういう材を使わせていただけると端材が【森のかけら】や『モザイクボード』などに使えますのでありがたい事です。シロアリやフナクイムシに対しても強い耐性を持つことから、逆境に耐える木としても知られています

ところで、このアサメラには商業的な和名もあって、見た目の色合いから『洋桑』とも呼ばれています。最近ではあまり使われなくなった呼び名だと思いますが、なるほど加工直後の色合いも経年変化のそれも桑を想起させます。昔は、洋桑の名前は知っていても、それが一体何の木なのか知らない大工さんもいたりしたぐらい、このあたりでは洋桑がアサメㇻを席捲していたのも懐かしい思い出。そしたらちょうどその当時の名残りの品が倉庫の奥から出てきました。アサメㇻの花台

今から20年ぐらい前にホームセンターなどでの出張販売用に、徳島の唐木屋さんから仕入れてきたものの残り物。徳島は昔から唐木仏壇の産地として知られており、唐木をはじめ仏壇に使われるような重厚な雰囲気のある材を扱う業者が多数いました。その流れで愛媛にも唐木などが多数流れ込んでいたのです。そのため当時はアサメラも唐木の中に混在していてよく使わせていただきました。上の花台はウレタン塗装ですが、経年変化後の色調はこんな感じでまさに『洋風桑』の風貌

加工後は黄色味を帯びた茶褐色で、時間が経つと濃い茶褐色になっていくのですが、桑も同様に製材直後と経年では同じように色調が変わってきます。経年後は、アサメラの方がより濃くなる印象ですが、その表情の変化が極端なのでこの木をクリア塗装で使う場合には、事前によく説明しておかないとトラブルになることがあるので注意が必要です。製材直後の黄褐色のイメージのままだと思っていると、数年後にはこげ茶のようになってしまうのですから無理もありません。

今回加工したアサメラは少量でしたが、しばらくご縁のなかったアサメㇻの事が急に木になりはじめて、この数日倉庫の中を探していたら、昔徳島の銘木屋さんから仕入れた埃まみれのアサメラがいくつか発見されました。小さな材なので、建築用とは難しいのですが、ちょうど濃い茶褐色の端材を探していたモザイクボードにはうってつけ。こういう機会がないと、日々の作業で忘れ去られていく端材を振り返る機会がなくなるので、様々な樹種の提案を受け入れてくださるお客様に感謝、感謝!




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