森のかけら | 大五木材

【ブビンガ】

Bubinga

カキノキ科・ジャケツイバラ亜科・広葉樹・アフリカ産

学名:G.tessmannii J.Leonard

別名:エシンガンEssingang/カメルーン)、ワカ (Waka/コンゴ民主共和国)

オベンOveng/赤道ギニア)、エバナ Ebana/ガボン)

ケバジンゴ Kevazingo/ガボン)、アクーム Akume/アメリカ)

アフリカンローズウッド

気乾比重:0.94

大いなるブビンガ

1. 今日のかけら

今日のかけら・199【ブビンガBubinga マメ科・広葉樹・アフリカ産

先日、祭りの事をブログで触れましたが、祭に出で来る木の楽器といえば、和太鼓があります。その材料となるのは木目の美しいケヤキ センなどが好まれ、大きな丸太をくり抜いて作りますが、最近大きな良質のケヤキなどが少なくなり、代替材としてアフリカ産のブビンガがよく使われています。ただ、この辺りでは太鼓の胴材というよりは、もっぱら1枚板の特大テーブルの天板というのが定番でした。その赤褐色の巨体と名前は、腕に食い込む巨躯と共に、木材業界に入ったばかりの私の身体と脳裏にしっかりと刻み込まれました。

それ以来どれほどのブビンガを持ち上げ、収めたことでしょうか。この色合いですから、どの家にでも馴染むというわけでもありません。これに長い脚や貫なんぞが付いた日には到底持ち上げることもできなくなりますので、極力座卓ローテーブルをお勧めしています。以前は、大きな和風の家の座敷の座卓といえばブビンガが定番でしたが、最近はめっきり出番が少なくなってきました。畳のある部屋が少なくなったという事もありますが、二人がかりで持ち上げるのもやっという巨躯は掃除の邪魔になるので、と敬遠されがちです。

この巨体ですからなるべくならば切り刻んで使いたくはないのですが、大きなままでは用途が限定されてしまいます。焼肉屋さんなどの飲食店のカウンターなどにもよく使われていたのですが、最近はもっぱら「木と似て木と非なる物」にその座を奪われてしまったようです。店舗にもよく納品させていただきましたが、正直「2階」などと聞くと立ちくらみがしていました。腕に食い込む重さに、人を魅了する価値を感じます。まあ重たい木の方が値段も理解されやすいのは確かです現地にはこんな化け物みたいなブビンガもあるようですが、値段は恐ろしくて聞けません!

後でシャツをめくると赤い擦り傷が・・・。これがブビンガなんだと!それが最近、原木を製材後20数年経過したという、完璧に乾燥したブビンガの板が偶然手に入りました。製材後は屋根のある場所で桟積みした保管しておいたものの、原木での保存状態が悪かったようでところどころに腐りや傷みが出ているものもありますが、材はこれがブビンガとは信じられないくらいに乾燥しております。耳付のまま板状に製材したので、耳部分の白太はかなりダメージを受けていて使える状態ではありませんが、赤味はしっかりしています。この板にも数箇所外部のダメージが到達していて、少々傷みはありますが、カットして使うには充分です。無傷だとカットするにも心が痛みますが、これぐらいダメージがあると踏ん切りがつきます。ダメージ部分を切り取って、細切れにしてしっかり使い切ります!

上の画像は、電動サンダーで軽く削った状態で、塗装はしていません。それに植物性油を塗ってみると、こういう感じになります。赤褐色の下地の中に黒い縞が浮かび上がってきて、重厚な雰囲気になります。この複雑な表情がブビンガの面白さのひとつでもあります。見ただけでも重さが伝わってくると思いますが、このサイズでも乾燥してないと結構な重さがあります。それが私一人で楽に持てる軽さ、あまり軽さに「これがブビンガ?」とまで言うと言い過ぎでしょうが、それぐらい乾燥は進んでいます。その分、赤味の艶やかさと光沢はやや弱いような印象はあります。これぐらいのサイズで軽いと、あれほど手こずったブビンガでさえ妙に愛おしく思えます。この一連のブビンガ、いろいろありますのでカットした物やら端材を『ちょこっと端材』にもアップしていきますので、ご興味のある方是非どうぞ!

 

節こそ個性、キャラクターマーク!

2010年 12月 19日 日曜日 at 11:28 PM 3. 木の仕事

昨日は、いつもお世話になっているワンズ㈱さんの現場見学会にお邪魔しました。今回の見学会は伊予市のM様邸。12月とは思えないほどの温かなお日和でした。M様低は敷地が150坪もあり、駐車場もたっぷり確保でき、仮設テントも3、4梁も張れるほど広さですが、こんな現場滅多にありません。今回は、薪ストーブも設置されている関係でサンシン暖炉さんもテントを貼って商品PRされています。当日は他の2会場でも出展されているようで、薪ストーブのPRには打ってつけの季節となってきたようです。

M様邸でもたくさんの無垢材を使っていただきました。まずは玄関のシューズボックスの天板に、アフリカ産の『ブビンガ』。丸太をくり抜いて大太鼓にするような重硬な木です。妖しげな深い赤身が魅力です。大きな節に芯割れがありますが、それがいい意味でキャラクターマークのような存在感を醸しだしています。節の廻りも丁寧に磨いて、触っても痛くありません。派手な色合いですが周辺にうまく溶け込んでいます。厚みは30㎜あるなしですが、このサイズのブビンガが結構在庫あります。

インパクトのある木なので、玄関やキッチンなどの雰囲気を演出する場面に使っていただければと思います。中には幅が600㎜超えのサイズのものもあります。10年以上も乾燥させていて、ほぼ完璧に乾燥していますが、幅に比例して重たくなりますので取り扱いには充分注意が必要です。節の他にも、表面上には浅い節なども数ヶ所含まれたりしますが、一般的には欠点とされる特徴も見方次第では、唯一の個性にもなります。受け取り方ひとつで、本来埋もれていたはずの顔にも光が当たるのです

続いてキッチンには、こちらもアフリカ産のマメ科の『エコップ』の600㎜幅の1枚板。以前のブログで、市内の労研饅頭さんのカウンターをご紹介させていただきましたが、こちらのエコップは、縞柄がギャザーに入った個性のある1品です。お施主さんご夫婦がご来店いただき、数ある板の中からお気に入りの木を選んでいただきました。無垢材を使う場合、たたサイズさえを満たせば良いというのではあまりに勿体ない。折角ですから、充分に楽しんで材を選んでもらいたいところです。

その奥には、節や白身を取り込んだラスティック調のワイルドなブラック・ウオールナットのテーブルが、ド~ンと鎮座ましましています。通常よりも広めの長さ2m、幅1mサイズのビッグサイズです。なるべく木の質感が全面に現れるようなイメージがご希望でしたので、そういう木柄のモノを集めて幅剥ぎしました。今回も製作していただいたのは、ウッドワークかずとよさん。いつもながらこちらの要望に忠実に、いやそれ以上のクオリティで仕上げてくれます。以前は拒否感の強かった「節あり」が、急速に受け入れていただきやすくなったのを実感します。

節はかつての枝の名残で、風雪に枝がしなり耐えた証に、木のエッセンスが凝縮され、縮みが現れます。その家とのバランスもありますが、M様は節のあるような質感がお気に入りだったので、こういのテーブルがとても似合います。これを契機にこれから、節ありのワイルド仕様のテーブルやキャビネットなどにも取り組んでいくつもりです。丁度、節の含まれたラスティク調のブラック・ウオールナットのフローリングも入荷しています。是非、これからはキャラクターマークとして存在感のある「」にも注目していただきたいです!

ブビンガに汗、滴りて・・・

3. 木の仕事
本日も暑い一日でしたが、張り切って仕事に励んでおります!今日は長期在庫のブビンガの板を荒削りしました。いくら乾燥した材でも、倉庫の隅で埃を被って汚れていては、なかなか「明るい場所」には出してもらえません。しっかりと誰かの役に立つモノに変わるためにも、まずは素顔を見ていただかねばなりません。当然、最終的には削って仕上げるわけですが、ここでザックリ汚れを落とす荒加工をしておきます。上品な柾目のブビンガです。

プレーナーでひと削りすると、長年倉庫の中で積もりに積もった埃が一気に吹っ飛び、何十年ぶりに元の顔が現われます。この状態でサイズ取りをして、番号を付けて倉庫に陳列するわけですが、生地のままでは最終的な塗装後(あくまで植物性油)の具合が分かりにくいモノ、敢えてそこを見せておきたい材については、ここで試し塗りする事もあります。その際には、塗料をしっかり浸透させるためにも部分的にサンダーで磨きます。

プレーナーで荒削りしてからは私の出番。どの木をどこでカットして、どれを見せ板(塗装するか)にするか、そしてどれに幾らの値段を付けるかを考えます。それが終わると1枚ずつ写真を撮ってから倉庫に立てますので、なるべく倉庫の入口付近で作業します。板に対峙し、サンダーを掛けていると、まだ塗料の瓶の蓋も開けていないのに、深紅のビンガの板の上にポタポタト雫が・・・!そう、額から頬から吹き出た汗が顎を伝って材の上に滑り落ちているのです。

ただの水ならそうでもないのですが、濃い塩分を含んだ汗がカラカラに乾いた落ちるわけです。材は一瞬で水分を吸収してその分だけ膨張します。まだ針葉樹に比べたら、膨張の程度は緩やかですが・・・。直後はサンダーで磨いてもなかなか落とせません。それを何とかしようと焦れば焦るほど、汗が吹き出てきて更にボタボタと無数の水滴が!そうでなくとも倉庫内は超大型サウナと化していますので、滝のように汗は吹き出てきます。こうなると、汗を落としているのか、仕上げているのか分からなくなります。それでも作業は続くのです・・

木屑から「森の粘土」誕生?!

2. 木のはなし

年明けから弊社倉庫にZEN FURNITURE(ゼン・ファニチャー)善家雅智君を招いて加工してもらっているのは、アフリカ産の『ブビンガ』。弊社の倉庫の奥不覚に眠る事10有余年!数人居た兄弟達も次々と独立して行ったのですが、後に残った内の1枚がこのたびようやく旅立つ事に!木にも流行のようなものがあって、このブビンガも松山周辺では10数年前ぐらいにブームのように使われた時代があって、その頃は猫も杓子もブビンガ!という雰囲気がありました。

大太鼓の胴に使われたりすることからも分かるように、もともと大きな木が取れるという事がこの木の最大の魅力。『ブビンガの耳付の1枚板』というと、それそのものがひとつのブランドのように誰からも羨望の眼差しで見られたものです。今でもその価値は揺るぎないのではありますが、厚みのある肉厚の木よりも、シャープでライトな木が好まれる傾向が強くなり、一時期出番が減りました。良い悪いという事では無く、時代時代で木の好みが変化していくというだけの事です。

そのため長い間陽の目を浴びる事の無かったブビンガでしたが、昨年末に幸運な出会いがありました。ただしサイズも重さも半端ではありません。長さ2100X幅1050~X厚み75mmの耳付ブビンガは、大人二人でも持ち上げる事は不可能。三人がかりでようやく持ち上げれるかどうか・・・。そこで善家君工場に運ぶのは断念して、フォークリフトを使いながら弊社倉庫で加工する事に。まずは水平を出すために表面を削ります。当然このような赤い削り屑が出るのですが、これがどうにもモッタイナイ!

加工した時にいつも思うのですが、樹種の色に合わせて出て来る加工後の削り屑を何とか生かせないかといつも自問しております。端材を捨てるのが勿体無くて【森のかけら】を作ったぐらいですから、これだってそのまま焼却炉の灰になるのは耐え難い現実なのです。更に細かく粉砕してバインダーと固めて【木屑粘度】(あるいは【森の粘土】)を作ってみようかと考えた事もあります。真っ黄色や緑色の木屑お出来ますので、結構色のバリエーションは出来るので、揃うと面白いと思うのですが・・・。実際にいろいろな樹種の木屑を集めてビンに入れて保管していたのですが、完成まで辿りつけられませんでした。樹種ごと、あるいはブレンドしたモノも多数・・・。本当は手に入った木は、削り屑といえども捨てたくなくて、出来る事なら芯も樹皮も削り屑さえも全部何かに使いたい!「ケチ」と笑わば笑え!

耳付きブビンガの調理方法

数日前にアップした巨大な『ブビンガ』の座卓の話、途中で「木屑」の方に脱線して尻切れトンボに終わっていましたが、その結末です。たっぷりと深紅の木屑を出した後、ブビンガの板は綺麗に仕上がりました。長さ2100X幅1000超X厚み70mmの巨大な1枚板は大迫力ですが、重さもスーパーヘビー級!さすがの私でもこれは独りでは担ぐことは出来ません・・・。加工が仕上がると次の工程は塗装です。基本的に弊社で取り扱う家具は植物性油塗装です(水廻りは一部プレポリマーを使いますが)。  

いつもは弊社の熟練した女性スタッフが塗装してくれるのですが、休日等の関係で久々に私が塗装の腕を振るわせていただきました。科学塗料に比べて塗料が乾くまでに時間がかかるので、連休前などは塗装の絶好のチャンスなのです。年末年始はやたらと休みが多く、効率良く塗装していかないと納期に間に合わなくなります。そこで私の出番。休日返上で塗装に励みます。撮影は息子に依頼。ひと塗りするごとに別の顔を見せるブビンガにはいつもながら惚れ惚れ・・・。

今回はブビンガの激しい凹凸を生かした耳付きの仕上がりをご希望されました。私も個人的には「耳付き」の仕上がりが好きなのですが、どの木でも耳付きの仕上がりを勧める訳ではありません。針葉樹は余程コンディションがよくないと、耳が映えません。耳付きの仕上げは、木らしい見た目の妙味とナチュラル感をダイレクトに味わえる触感が醍醐味ですが、やはりそれには広葉樹が適しています。当然例外もありますが、アフリカ産のマメ科などは、耳を使わないなんて皮の無い焼き鮭のようなもの!

耳の凹凸が激しければ激しいほど、変化や陰影が生まれ面白さが加増されます。ただし、作る側としてはあまり深い凹凸は加工が大変!あまりに鋭利に角張っている部分はグラインダーで削り落として、触った時に危なくない程度まで磨き上げますが、そのバランスも重要。やり過ぎると折角の魅力も半減します。塗装はウエスにオイルを染み込ませて行いますが、凹凸が深いと塗料がしっかり塗れませんので、そういう場合は歯ブラシを使って奥深くまで丁寧に塗ります。

耳の凹凸が激しければ激しいほど、変化や陰影が生まれ面白さが加増されます。ただし、作る側としてはあまり深い凹凸は加工が大変!あまりに鋭利に角張っている部分はグラインダーで削り落として、触った時に危なくない程度まで磨き上げますが、そのバランスも重要。やり過ぎると折角の魅力も半減します。塗装はウエスにオイルを染み込ませて行いますが、凹凸が深いと塗料がしっかり塗れませんので、そういう場合は歯ブラシを使って奥深くまで丁寧に塗ります。

アイアン+ウッド=スーパーブビンガ!

さあ無事塗装も終わり完成まであと一歩。幅広の1枚板でテーブルなどを作る場合は、裏面に反り止めの桟を入れるのですが、さすがにこの厚み(約70mm)で、幅が1000mmを超える巨大な1枚板ともなると、木の桟では効果がありません。天板以上に硬く強い木を使わなければ桟の意味がないので、今回は鉄の桟を特注!⊥型のアイアンを裏面に埋め込み反り防止に備えます。このブビンガ、弊社にやって来てゆうに10年は越えているのですが、それでも念には念を入れて、備えあれば憂いなし!

写真が暗いので分かりにくいのですが、このアイアンにはルーズ穴が開けられていて、万が一の木が収縮してもビスがその動きについていけるよう細工がしてあります。業界では常識なのですが、ただの穴だけでは木が痩せて縮んだ時に、アイアンが突っ張ってしまい表面が割れたりしてしまいます。過去の痛い経験が血となり肉となっています。私は専門の家具の勉強をしているわけでもありませんので、経験だけが頼り。腕のよい職人さんたちとのチームプレーあってこその家具作りです。

さあ、アイアンの桟を取り付けてようやく完成!片方は壁に飲み込む掘りごたつ用の座卓なので、片足だけの変形ですが、片足が付いた分だけでも更に重量は増しました!どうやって納品しようかという心配もこの表情を見れば吹き飛んでしまいます。植物性油をしっかり吸い込んで、緻密な年輪の生み出す優雅な気品と妖しげな色気に磨きがかかりました。納品の事は後で考えるとして、今はこのブビンガの美しさに酔いしれよう~!製作してもらった善家雅智君(ZEN FURNITURE)、お疲れ様でした!

やはりこういう大きな木は、その最後の晴れ姿まで付き合って勇姿を見届けてやりたいものです。自社倉庫に長く住み着いていた(?)木であればあるほどにその思いは強くなります。作ったモノがどこのどんな人の元に届くのか?どんな風に受け入れてもらうのか?納品させていただき、最後に日頃のお手入れの説明までさせていただき、背中で家具に別れを告げて玄関を出る時、お客さんと最後まで言葉を交わせる事の出来る小売業の醍醐味を感じずにはいられません。

★このブビンガの座卓のあるお家の見学会が、今週末開催されます。フローリングは幅広のブラック・ウォールナット!2大巨頭の嬉しいコラボを実際にその目でご覧下さい。㈱ジョー・コーポレーション今治支店様 日時:1月28日(土)・29日(日)10:00~17:00 場所:愛媛県今治市玉川町八幡

※お客様のご厚意により2日間限り開催となります。(雨天決行)

 

赤き惑星ミズウガーツ

2. 木のはなし

この荒涼とした赤土の大地は、ジョン・カーターがタイムスリップして辿り着いた惑星バルスーム・・・ではありません。生き物の存在をすべて否定するような乾ききった、まるで瓦礫のような赤き大地の正体は・・・実はこれアフリカ産のマメ科の木『ブビンガ』の表面なのです。もっと引っ張ってもよかったんですが、いつも前口上が長いので今回は手短に・・・。大太鼓の胴にも使われるブビンガは非常に重厚で硬い材です。通常こんな形に朽ちることは考えられません。触るとポロポロと崩れ落ちるほど。

実はこれは保存状態が悪く、ちょうどこの部分に長期間雨の水滴が落ちて、材を穿った結果なのです。ちなみにこのブビンガは私が仕入れた後でこうなったのではなく、この状態を知ったうえである事情があって購入したものです。当然この部分は朽ちて使えませんがそこ以外は充分使えます。長いカウンターなどには不向きですが、小割りして使うには磐石の乾燥具合。ここまで水滴が硬材を穿つには相当長い年月を要したものと思われます。1年や2年でこうはなりません。恐らく5、6年以上・・・。

水滴に穿たれ陽に照らされさぞ過酷な運命を辿ってきたことでしょう。乾ききって水分が搾り取られひび割れたこの姿はあまりに痛々しい・・・。何とか使える部分はギリギリまで使うように木取りします。建築材や家具しかしていなければ、きっとゴミのように扱われたこのブビンガも、長さをカットして幅をつまえて小さく割ってやれば充分使えます。端が朽ちているからといってすべてが死んでいるわけではありません。照明の具合で別物のように見えるかもしれませんが、右半分はまだまだ健康!

こういうコンディションのブビンガはいくらかあって、以前に【森のかけら】に加工したものがこちら。元の材は4m以上もありましたので、随分と小さな姿になってしまいましたが、それでもどっこい生きている!大きなモノはなるべく大きく使う事が大原則ではありますが、あまり鉄則にこだわりすぎるとその利用価値を高める事の足かせになる場合もあります。何事も適度のバランスが大切です。いろいろな引き出し(出口)があればこそ、このブビンガが生かせたわけですが、そんな出会いになにやら因縁めいたものすら感じてしまうのです。

メッセンジャーウッドありき

3. 木の仕事

以前紹介させていただいていた『スーパーブビンガ』の続篇です。加工については、善家雅智君(ZEN FURNITURE)に全幅の信頼を置いていますので当初から何の心配も無かったのですが、問題は無事に納品出来るかどうかという事。かつてこれよりも更に大きな1枚板のカウンターの店舗の2階に納品する時、7,8人がかりでもどうにもこうにも出来なくなり、急遽レッカーを呼んで吊ってもらった苦い経験がありました。今回もその重さから納品時の心配していましたがそれも杞憂に終わりました。

大工さんにもお手伝いいただき3人がかりで無事納品。無垢の好きな大工さんで、仕上げ具合にお褒めの言葉もいただきました。こういうモノを現場に搬入すると(取り付けなどの施工が絡んでくる場合)、「とんでもないモノを持って来やがって!」と大工さんに疎ましく思われる事が昔はよくありました。それは、施主さんと設計士やデザイナー、材木屋がどういう気持ちで「選び決めた」のかというプロセスを伝えていなかった、伝わっていなかった事が大きな原因だったと思います。

ただそこに(現場)に扱いの面倒な大きな材がやって来たという「材ありき」の発想で、それを使う事の意義や意味、思いにまで考えが及んでいなかった事に尽きます。『物語るものづくり』の思想はこういうところにも現れます。大太鼓にも使われる深紅のブビンガに込められた思いを、いえづくりに関わる皆が共有して時、もうそれはただのマテリアルを越えた存在。施主さんの思いを現場に伝える物言わぬメッセンジャーとなるります。そんなかのひと(木)がダイニングの中央にデンと転座ましました、大迫力!

森のかけら】や小さなクラフト細工を作る時だけに『物語の法則』が生きているわけではありません。終の棲家として家族の暮らしを育む家の中の家具にこそ、誰かに喜んでいただける物語作りが求められるものだと思います。床材に採用いただいたブラック・ウォールナットは、あえて大節や白太、激しい色ムラを取り入れたラスティック調のモノでナチュラル感満載。無垢の質感を愛される施主さんご夫婦と共にじっくり話し込んで樹種を絞り込ませていただきました。勿論仕上げは植物性オイル塗装です。

最近では無垢のフローリングを採用されるハウスメーカーも多くなりましたが、フローリングだけ無垢材を使い、その周辺の部材は無垢以外の素材、つまり新建材を使う事が多い中、やはりフローリングの延長である上がり框(かまち)付け框までは無垢で揃えていただきたいといのが私の本心です。しかしそこは予算との兼ね合いもありますが、全体のバランス感あってこその無垢です。こんな風に提案を受け入れて無垢を使っていただけると、提案型材木店(自称!)冥利に尽きるというものです

水滴、木を穿つ

3. 木の仕事

綺麗に削って仕上げればその木の美しさが分かるのは当然の事ですが、長年倉庫の主を務め上げたような材になると、その身の上にも塵や埃が積み重なり、晴れの舞台の化粧姿が想像できないようなものもあります。例えばこちらの全身が白化したように見える木ですが、その正体は『ブビンガ』です。これはただ倉庫で埃をかぶったというレベルではなく、在庫管理がずさんで、雨に穿(うが)たれて、端の方は朽ちてしまった極端な例です。ある事情があってこの状態で弊社にやって来ました。

一見すれば、こんなもの使い物になるか!と思われるかもしれませんが、表面がここまで汚れ朽ち果てているように見えたとて、ひと削りすれば白銀の世界の下から別人の顔が現れます。以前に、同じ梱包のブビンガの含水率を測定した事があったのですが、その数値は驚異の10%台!人工乾燥させていないそうですが、さすがに20年近くも寝かせばそれぐらい乾くのでしょう。ひと昔前は、ちょっと大きなサイズで値段もそこそこの赤系の木といえば、ブビンガがすぐに思い浮かぶ名前でした。

幅1mサイズの大物も普通に出回っていたものですが、近年ブビンガいえども1m級の大物はめっきり数が少なくなってきました。住宅産業における特殊木材の需要低迷から、店を畳む材木商も多く、その倉庫の名残としてときどき大物のブビンガが市場に出回って来る事もありますが、いかんせんその需要が細く、昔のように「持っておけば価値が増す」我慢比べにも限界があります。今では入手困難なサイズなので高価~という商品よりも、現場に合わせるフレキシブルな対応が必要になります。

こういうダメージのあるブビンガであれば、さすがの私もカットするのにやぶさかではありません。これぐらいしっかり朽ちていてくれれば踏ん切りもつくというもの。長さをカットして、この割れを避けた部分で【森のかけら】やら、『森のたまご』、『森のこだま』、『モザイクボード』を取っていきます。それでも木取りが難しいものは『ちょこっと端材』に・・・わずかな端材も極力燃やしたくありません。どこかに活かす道はあるはず。まあ、なるべく端材は人様に預けず、自社で何とか出口を見つけてやりたいものですが・・・。

ジャックとマメ科の木①

2. 木のはなし, 5. 木と映画と舞台とテレビ

先日のブログでパドックのロングカウンターをご紹介しましたが、このパドックをはじめここ数日取り扱わせていただいている木にはある共通項があります。パドックブビンガゼブラウッドパープルハートモンキーポッド。用途は、カウンターからテーブル、森のかけらや森のたまごなどのクラフト製品までそれぞれですが、何か目的があってこれらの樹種を数日間意図的に出してきたわけではありません。後から見渡してみて気がついたのですが、揃いも揃って『マメ科』の広葉樹ばかり!

マメ科の木は全般的に重硬な材が多く、ツルツルした冷ややかな触感が楽しめる木で個人的には大好きです。なんせ前述したブビンガパドック、ゼブラウッド、パープルハート、モンキーポッドの他にもアパ、ウェンジ、紫檀など(私にとっての)綺羅星のごときエース級が勢揃いした『花形科』なのです!あ~この顔触れを書き連ねるだけでもテンション上がります~!これだけの顔触れが揃う科は他にないでしょう。後に追随するのは、バラ科、クルミ科、クスノキ科といったところでしょうか(あくまで私基準)。

 

さて、そのマメ科の木と聞いて思い浮かぶのは、先日観に行った映画『ライフ・オブ・パイ』の時に予告編を観た3月公開の映画『ジャックと天空の巨人』の事。もしかして以前にも取り上げた事があったかもしれないのですが、ずっと昔からこの童話に出てくる『豆の木』の事が気になっていました。ひと晩で雲にまで届く豆の木ってどんな木なんだろうか?!材木屋となった今、尚更その疑問は高まる中、童話『ジャックと豆の木』をベースにした巨人族と少年のバトルを最新の3D映像で描くって・・?!

予告編を見る限り、それはもう私達が子どもの頃読んだ『ジャックと豆の木』の童話とはもう全く別の話?!最新3Dで描かれるアドベンチャー、映画『ジャックと天空の巨人』は、庭から伸びた蔓を伝って天空に登り、巨人族と戦い、遂には天から巨人が降りて来て地上戦になるという、ハリウッドの大好きな大冒険譚に生まれかわっています。まあこれはこれで楽しみなので、是非子どもと一緒に吹替え版を観に行くつもりですが、それにしてもハリウッドの商魂逞しさは見習わなくてはなりません。明日に続く・・・

ダメージ・ブビンガに歴史あり

今までにも何度かご紹介させていただきましたが、アフリカを代表するマメ科の巨木・ブビンガについて。20年以上天然化乾燥させた長期在庫のブビンガが入手したのは今から数年前の話。保管状況が悪く、とことどころに雨に穿たれた形跡や朽ちている部分があるものの、天然乾燥によってじっくり乾かせた事で、艶と光沢が失われていません。そのブビンガにもあちこちからお声がかかり、結構な量が旅立っていきました。今は原材料そのままではなく、加工して納品がほとんどです。

原材料となる板から、必要なサイズに切り分ける作業を『木取(きど)り』と言いますが、その結果、不要となった端材が大量に発生することになります。これが貴重な【森のかけら】の原料となるわけですが、回転率のいい材からは大量のかけら予備軍が生まれる事になり、ブビンガなどもその1つで、既に大量のかけらストックがあります。それで、『森のたまご』や『森のこだま』など新商品も開発したわけですが、それらの在庫量も充分なほどにブビンガの端材が発生しております。

それで、今回その端材たちを、小さな商品に刻む前の姿で販売させていただく事にしました。ある程度の幅のある板のまま加工すると、どうしても全体の厚みを揃えるためにかなり薄いものになってしまいます。以前は、加工もしていないラフ材(製材しただけの本当の荒材)でもそえなりに売れていたのですあ、ネットで販売するようになると質感や色合いを伝えるために、最低限の加工をして、仕上がりの雰囲気を和かってもらわねばなりません。数日掛けて大量のブビンガの端材を一斉加工。

 

サイズが長いのでカットしたという場合は、立派な端材が残りますが、ねじれや割れ、反り、虫穴などのよんどころない事情によって出来た端材の場合、それを削って仕上げるのもそれなりに労力のいる作業となります。今回加工した多くが300mm幅前後のものでしたが、ねじれが強いと加工機に通らないため端をカット。なるべく大きな方が用途が広がるのではと、極力使える部分は残したつもりですが、削ってみると結構割れが深く入っていたり、腐りが進行していたりと皆満身創痍。

 

日本に輸入され、私の手元に届くまでだけでも20年以上経過しているわけですから、このブビンガがアフリカの大地から切り離されたのはいつの日のことでしょうか・・・。恐らく30年以上昔の話ではないかと思います。それが何の因果か、愛媛の地でテーブルや棚板として第二の人(樹)生を歩む事となるわけですから、その端材にもそれなりの敬意を払って、無駄なく骨までしゃぶらせていただかねばなりません。30数年漬け込まれ、たっぷり味の染み込んだブビンガ端材、ご堪能下さい!

ジューサンケンチク+カフェ・バレル②

8. 気になるお店

バレルコーヒー』さんのコーヒーの味が美味しいというのは詰め掛けるお客さんの数が証明しておりますので、味の表現が下手な私がわざわざ触れる間でもありません。材木屋としては、お使いいただいた店内の無垢材をご紹介させていただきます。まずお店に入って目につくのが、大きな一枚板の『ブビンガ』のテーブルカウンター。長さ4m超、幅は600mmの耳付板で存在感抜群です!真っ赤なエスプレッソマシーンとともに、店内に鮮やかな赤色を灯します

ブビンガ』については、以前にも『今日のかけら』で詳しくご紹介させていただきましたが、アフリカ産のマメ科の木です。大太鼓の胴材として有名なブビンガは大径木が取れる木として、ダイニングテーブルや長尺のカウンター材などに重宝されてきました。以前から何度かご紹介させていただいていますが、弊社にもかつて潤沢に流通していた頃の大きなサイズのブビンガが幾つかあります。今回、バレルコーヒーさんでは、オーナーご夫婦が弊社に足を運んでいただきこのブビンガを選んでいただきました。

理想的な乾燥状態にあるブビンガでしたが、いくら乾燥していたとしてもやはりこれだけのサイズとなると相応の重さ!このブビンガは、白太(辺材)が少ない木で、このカウンターもほぼ全身赤身です。若干耳の周辺に残っていた白身も、ダメージのあった耳部のエッジを立たせて仕上げる事ですっかりなくなってしまいました。オーナーご夫婦のご理解で、ウレタンではなく植物性オイルでの仕上げとさせていただきましたので、開店後4ヶ月ほど経過してブビンガの褐色の木肌が一層深みを帯びていました。木味を活かす塗装として、植物性オイルをお奨めしていますが、利用頻度の高い商業店舗の場合は、採用していただく設計士さん、お手入れされるオーナーやお店のスタッフの皆さんのご理解がないと気軽にはお奨めできません。今回は当然の流れとして「無垢材+オイル仕上げ」に決定!

独りでいくら声高に無垢の良さを叫んでみても理解者・共感者がいないとただの独りよがりになってしまいますが、同じベクトルに向いた設計士・施主・職人・材木屋がひとつのチームにいると非常に心強く、結束感もパワーも半端ではありません!納品時には私は立ち会えなかったので、施工後にその御姿を拝むのは初めてでしたが、今回はカウンターを仕上げてもらった善家雅智(ZEN FURNITURE)』家族と同行。長男杢太郎(ウッドネーム)をモデルとしてカウンターに座らせて写真撮影。ブビンガの大きさが一層際立ちます。このカウンター席以外にもテーブル席やソファ席がゆったりしたバランスで配置されていて、元倉庫の高い天井と合わせて開放感があります。このブビンガすらも決して大きく感じないほど。弊社の倉庫で見た印象とほぼ変わらぬ大きさに感じる事は珍しいのですが、それほどこのお店が「ゆとり」のある空間という事。

ジューサンケンチク+カフェ・バレル③

8. 気になるお店

昨日の画像にも少し写り込んでいましたが、『バレルコーヒー』さんのカウンター席の足元の床には、『ブラック・ウォールナット』のラスティック・グレードがガッチリ自己主張!ウォールナット独特のこげ茶のグラデーション溢れる黒味と白身が大胆に混在し、大きな節や入り皮まで豪快に取り入れたグレードで、かなりインパクトのある商品です。一般的なウォールナットよりもかなり濃い目の色合いで、こういう店舗には実によく似合います。

どの商品が店舗向き、住宅向きという分類はありませんが、一般的な住宅であまりに強烈なキャラが立ち過ぎる無垢材も、商業店舗においてはいい塩梅。このウォールナットのラスティック・フローリングも入荷当時はその強過ぎる個性から『キワモノ』扱いされていましたが、今ではすっかり弊社のラインナップにも溶け込んで、個人住宅でもよく使われるようになってきました。ジューサンケンチクの石村君とオーナーご夫婦の感性もピタリと一致していたようで何の抵抗も無く採用決定!

こうして自分が関わらせていただいたお店に、お客として来店して、嫁ぎ先の無垢材の様子を眺めながらコーヒーをいただくなんて至福のひと時。オーナーはバリスタの大会で賞を取られるほどの腕前の持ち主で、また近く大会があるとか。この日も、飲んでしまうのがもったいないほどの美しいラテアートを堪能させていただきました。ブビンガの雄々しい杢目のカウンターの上で繊細なラテアートが一層引き立っているなんて思うのは身贔屓でしょうか。

お店の雰囲気、オーナーご夫婦のお人柄、コーヒーの味、お店の細部に散りばめられたこさわりが渾然一体となって独自の世界観を醸し出しています。私たちが来店してしばらくすると早速地元の常連さんが、「自分の指定席は空いているかな」と親しみを込めて来店されました。これから今治での現場の休憩に立ち寄らせていく場所がまたひとつ増えました。お店の場所は、愛媛県今治市高下町1-4-44ですが、初めての方にはちょっと分かりにくいかもしれませんので、お店にお電話して場所をお聞きした方が早いかも。大きな通りから少し中に入っているのでとても閑静です。定休日は毎月曜日(祝日の場合は翌火曜) 電話0898-33-1017 整備された8台分の駐車場もあります。すっかり今治の人に受け入れられた『Baarrel Coffee&Roasters(バレルコーヒー・アンド・ロースターズ)』さんのますますのご発展を祈念しています!

「黒てんぐ」のなぐりブビンガ

先月末に、松山市の繁華街二番町にオープンしたのが、松山で大人気の焼き鳥店『TENGU GROUP』の姉妹店『黒てんぐ』さん。「てんぐの隠れ家」さん、「てんぐ屋敷 桃太楼」さんでも木材を使っていただきましたが、今回も内装にたっぷりと木材をご利用いただきました。前の2店舗に続いて今回も、設計バツフォ計画工房さん施工・田中工務店さんという、木が大好きでその扱いを熟知されたおふたりが手を結ばれたので、当然店内は木の魅力満載!

かといって、床・壁・天井全面にこれでもかと木を使いまくっているわけではなく、たっぷりと木を使いながらも木が出過ぎないほどほどの心地いい抑制とバランスの効いた空間になっています。弊社で材料を選んでいただいている時には、素材の強さが勝ってしまい、私の頭の中では仕上がった空間の中でその木がどれぐらいのポジションを占めるのか想像も妄想もとぼけてしまうのですが、おふたりの頭の中の設計図には未来予想図がカラーで明確に見えていらっしゃるのでしょう。

「てんぐの隠れ家」ではオニグルミをテーブルに、「てんぐの隠れ家・桃太楼」ではモンキーポッドをカウンターに、土佐栂をフローリングなどにと、店ごとにテーマを持って臨まれ、素材選びも楽しいのですが、今回はビッグサイズのアフリカ産『ブビンガ』の幅広板が俎上に上がりました。選ばれるサイズや量が半端ではないので、提案させていただく側としても相当の覚悟がいります。安易な気持ちで迂闊な事を口走ってしまっては、材木屋の沽券に関わる事になってしまいかねません!緊張感があります!

何とか必要枚数ギリギリで材料は足りたものの、相手も生き物。こちらの思う通りにはいきません。角度や耳の具合等々、思惑に足りないところは田中社長が長年の経験と工夫で、見事に足りぬを足りるに変身させていただいておりました!まだ表面に埃をかぶっていた頃からは想像も出来ない仕上がりの見事さ!今回は、表面を浅く『なぐる』+漆拭き仕上げする事で、いつも見慣れたブビンガとはひと味もふた味も違った表情です。焼き鳥の格も上がるような渋くてスマートな店内、早く客としても行かねば!!

かけ算、わり算のレシピ

3. 木の仕事, 8. 気になるお店

先日このブログでご紹介させていただいた焼き鳥屋『黒てんぐ』さんに、改めて「」としてお邪魔させていただきました。最近少し商業店舗に関わらせていただく仕事が少なくなっていたので、こうして完成後にそのお店で飲食させていただくのも久し振りのこと。こうして完成後に、気の置けない仲間たちと美味しい酒を飲めば、納品、加工時のいろいろな苦労も、酒の肴の思い出話として盛り上がります。オープン直後にも関わらず店内はお客さんで溢れ大繁盛!さすがは人気店。

こちらの店舗は全て椅子席となっているので、店内中央にあるカウンター席に陣取り、客としての立場から、自慢の焼き鳥と無垢材の質感を味合わせていただくことに。今回収めさせていただいたブビンガの1枚板のカウンターは、弊社では荒割りまでの段階を担当させていただきましたので、表面のなぐり加工は別の方がされました。少し浅いなぐり風の程よい凹凸が掌に心地よく、いつものブビンガの堅牢な冷たい触感とはひと味もふた味も違って感じられます

材木屋としてついつい『素材感』とか『素材の持ち味』という事に固執してしまい、奇をてらった加工や複雑な細工を敬遠してしまいがちなのですが、こうして素材本来の持ち味を活かしつつ、まったく違う味付けをして仕上がった実例を見ると、料理人たる設計士さんのセンスや持っておられるレシピの奥深さに圧倒されるのです。何かのCMではありませんが、「何も足さない、何も引かない」という素材へのアプローチもそれはそれでひとつの見識でありますが、そこに執着し過ぎると料理の幅がなくなります。

こういう現場に触れると、嗚呼自分は今まで充分に素材を活かしてこれなかったなあと、材にも施主さんにも申し訳ない気持ちになるのですが、しかしそれも未熟な私がその時その時で発揮できた精一杯のパフォーマンス。それもご縁とあきらめていただいて、いただくしかございません。ここまでいけば完成という事がない生き物相手の商売であります。さまざまな木を手にして日々新たな発見と感動の毎日。ひと様をご満足させる以前に、まだまだ己が木の素晴らしさ楽しさに酔いしれている毎日でございます・・・。

銀座のブビンガの物語

 「森のかけら」などの商品の場合、県外や世界へ売る事に何の抵抗もないどころかむしろ積極的に進めているのですが、無垢材の家具や内装材、造作材などについては、遠くに送り出すことに少しの不安もあります。いくら乾燥や加工に気を配っていても、わずかな環境の変化や取り扱いの油断で反りや歪みが発生する事は避けられません。特に大物になるとわずかなそれが命取りになる事もあるので、遠方へ送る場合はついつい過剰に心配してしまいます。

近くであれば直接行くことも出来るのですが、遠方になれば現場の方にお任せするしかないので、いつも一抹の不安を抱きながら送り出すことになるのですが、それは受け取る現場の方とて同じ事でしょう。それなりの覚悟を持ったうえで、あえて遠方からわざわざ特殊材のご注文をいただくという事ですから、非常にありがたく感じるのと同時に強く責任も感じます。先日もご縁があって東京の銀座の店舗のL型カウンターを作らせていただく事になりました

素材はアフリカ産のブビンガ。困った時はブビンガで、相当このブビンガには助けてもらいましたが、いよいよブビンガも底が見えてきました。今回は長さが3100X450と2100X450の2枚がL型に繋がるカウンターで、ブビンガ以外の材でも対応は可能でしたが、店内の雰囲気などから美しい赤味の杢を持つブビンガが選ばれました。相当乾燥は進んでいるものの、遠方の事ですから念には念を入れて裏側から6箇所T型プレーとで反り止め加工を施しました。

L型の接合部分はボルトを入れて完成。この後、塗装屋さんが塗装して東京に送られます。今回はここまでが弊社の仕事で、現地での仕上がった様子は見ることは出来ませんが、是非完成の暁には、東京出張の際にお店に立ち寄って、こっそりとその姿を見てこようと思います。子供の旅立ちに例えるのは大袈裟ですが、弊社から全国へ旅立って行ったいろいろな木材たち、反ったり暴れたりせずに施主さんに可愛がっていただいているだろうかと親馬鹿は思いは尽きまじ秋の空・・・。

昭和のブビンガ母艦

数年前にご縁があって、廃業された木材関係業者が長期間在庫されていたブビンガなどの板が大量に弊社にやって来ました。まだ『昭和』だった頃に仕入れられていたもので、今では考えらないぐらいの立派な幅広の1枚板がゴリゴリに乾いた状態で、目の前に文字通り山積み。一体何の木なのかすらも判別できないほどにすっかり埃まみれになって倉庫の奥の奥にくすぶっていましたが、ひと削りすると信じられないぐらい美しい表情が現れてきました。

果たしてこれだけの量を自分の代で使い切れるのかと、その時は呆然としたものですが、まとめて投げ売りするような真似だけはするまいと決めていました。今は埃まみれで汚れてしまって内の木なのかも分からなくても、丁寧に磨いて加工さえすればこの原石は輝きを取り戻すという確信がありました。大量の材を動かすだけが材木屋の仕事ではありません。それぞれの特性を見出し、材がもっとも輝ける舞台に送り出すことも大切な仕事の1つだと思うのです

それから数年、同じ種類のよく乾燥した同じテイストの材がまとまって揃っていたお陰で、いろいろな現場でいろいろな場面で利用していただき、考えていたよりも遥かに短い期間でほぼ9割が表舞台へと旅立って行きました。木を使いたいという要望があっても、対応できるサイズと量が無ければ不可能。逆にそれだけの在庫があれば、木の可能性は大きく広がるという事。特に圧倒的な存在感を誇っていたブビンガの板も長ものはいよいよ残すところ数枚。

その中でも特に分厚いものの最後の一枚がこちら。表面には歴史を物語る塵や埃が積み上がり、ちょっとその表情を拝むことが出来ませんが、この下にはブビンガ独特の深い赤身が眠っています。重さを計る道具が無いのでどれぐらいの重さなのかは分かりませんが、いくら乾燥しているとはいえ4m近い長さで、900㎜幅、厚みが135㎜ともなると大人4人でも持ち上げられるものではありません。机上計算だと350〜400キロ

端から少し入ったところが帯状に朽ちていますが、これこそが長期在庫の動かざる証拠。重ねて積み上げていたため、その桟の後がこうなったのだそうですが、この硬いブビンガを穿つためにどれだけの時間が要されたものなのか。以前に厚みを半分に割って使いたいという要望があり、製材所に持って行ったのですがあまりの硬さに鋸が耐えれず断念した経緯もあるいわくつきの1枚です。このまま使える舞台が巡って来ればいいのですが・・・

これで本当に最後のブビンガ?!*




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