昨日に引き続いてレッドオークとホワイトオークの比較についての話ですが、一般的な特徴としては、ホワイトオークの方が耐久性があるが虫の害を受けやすく、レッドオークは腐朽に対する抵抗性は低いものの虫の害を受けにくいとされています。材木屋の経験則としても、実際に虫害を受けやすいのはホワイトオークです。そう言うと、ホワイトオークのフローリング㊨を使われた施主さんが心配されるかもしれませんが、それはあくまで立ち木や原木レベルでの話。フローリングなどに加工されて製品においては、それから後に虫の害を受けるという事はまずありません。それよりも考えられるのは、それ以前に虫が卵を産みつけていた箇所が含まれていた場合です。製品となった後に孵化して穿孔する場合が稀にあります。その多くは白太部分です。木の粉が小さく盛り上がっていたら、そこに小さな虫穴があります。それこそが、虫が材を食い破って抜け出た穿孔穴です。
別に心配させるつもりはありませんが、木はもともと森に在って、鳥や昆虫達の住処でもあったものです。それを人間が勝手に伐って、製材して、彼らの生活痕(虫穴)があるから価値が劣るなどと評価付けをしているに過ぎません。そもそもミカンやナシ、リンゴなどの甘い果実がなる木や、クルミやクリ、ドングリなど調理して人間でも食べようと思う森のめぐみは、虫達にだってその恩恵を受ける資格は平等にあるのです。つい話が脱線してしまいましたが、私の周辺でもレッドオークに対して全幅の信頼を寄せて、昔から造作材などによく利用されている工務店さんもいらっしゃいます。ただ他の木と同様に、レッドオークも赤身は虫害に強くとも、白太はその限りではありませんので、なるべく赤身を使うことをお勧めしたいところです。現在弊社で在庫しているレッドオークは、耳を断った平板ですが、ほとんど赤身のみで揃っています。
そのレッドオークの赤身を使った家具が先日完成して、本日納品させていただきました。子供さんの学習机という事で随分前にご注文をいただいていたのですが、3月末に仕事が集中していて、入学式当日にギリギリで納品させていただく事態に!弊社で家具をご注文いただく方は、ただ機能性を求められるのではなく、木に対するひとかたならぬ思い入れをお持ちの方が多く、単に商品を購入する以上の気持ちで家具が届くのを楽しみにされている方ばかり。納品が遅くなるのは本当に申し訳ない事です。
何とかお子さんが入学式から帰ってくる前にお届け出来てホッとひと安心。お子さんの喜ぶ顔も見たかったところですが、そこから先はご両親の特権です。存分に楽しんでいただければと思います。画面では机に収納していますが、引き出しはワゴンタイプで、すっぽり引き出す事が出来ます。余計な装飾を一切排して、シンプルな造りに徹しました。緻密な木目が生み出す上品で力強い表情は、美しさと安心感が同居しています。木に力がある場合は下手な小細工をせずに、木を信じてその力を引き出すお手伝いをするだけで充分です。引き出しの内部には、調湿性の高いキリを使わせていただきました。それ以外は全てレッドオークを使用。総無垢なので、重量を心配されるかもしれませんが、しっかり乾燥している材を使わせていただいていますので、私独りで充分持ち運び出来ます。
仕上げの塗装は、いつもの植物性油に蜜蝋ワックスを使用しているので、その肌触りも充分に楽しめます。ガッチリした造りにして、机の脚元にはアジャスターを仕込んであるので、お子さんの成長に合わせて、ある程度の高さの調整も可能です。木の好きな両親のDNAは必ず子どもにも受け継がれると思っています。遺伝だけではなく、これからの暮らしに取り込まれていくさまざまなモノからも、そういう考え方は育まれていくのだと思います。健やかなお子さんの成長を祈念しております。本当にありがとうございました。