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それだとセンターは出るものの、動きが制約されるため微妙な力加減が出来なくなってインクのノリがよくないのです。相手が木なので、綺麗に磨いたつもりでも表面にわずかな凹凸があったりして、押した後左右上下にハンコをこねてインクをまんべんなくつける必要があるのです。枠があるとそれが出来ず、インクがかすれてしまうのと、いちいち枠をつけたり外したりと作業効率がすごく悪い。それでやっぱり指先の感覚でいこうと、今は枠なしのフリーハンドでスタンプを押しています。
気が付けばその数も、作り始めから数えるともうすぐ20,000個になろうという勢い!そもそもこの『森のしるし』を作り始めた動機は、小学校での出張木育の授業の中で、今山に生えているスギ・ヒノキがいくらするか?という質問を子供たちに問うたことです。子どもたちは「1万円」「10万円」と思い思いの金額を口にしますが、それは私がイメージさせた樹齢が30数年生の木という姿を頭に思い浮かべてのこと。子どもたちとっては巨木が目の前にドンと屹立するイメージでしょう。
それほど大きくて自分の親と同じくらい生きた木の価値と問われれば、自分の年齢では到底手にすることのできない数十万、いや百万円ぐらいの価値があるに違いないということで、最終的には1本百万円ぐらいではという結論が出ました。しかし悲しいかな実情は、わずか千円にも満たないような値段(しっかり手入れされた選木や銘木の類は例外と話してます)にしかなりません。いわばそれが木の経済価値、しかし子どもたちの考えたのは木という生き物に対峙して考えた生命価値。
木って本来はそれぐらい尊いものであるはずなのに、私たちの仕事がその価値を貶めているとしたら悲しいことではないか、どうにかして数千円にも満たない木を百万円の価値あるものに出来ないものかということで考えついたのが『森のしるし』です。これだと小さな木からでも数千~数万個取り出すことが可能。仕様によって多少のばらつきはあるものの、理論的には大体1個¥200~300程度ですので、200円とすると5000個で1本100万円の木が生まれる事になります。続く・・・
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