森のかけら | 大五木材


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昨日の続きです・・・カリフォルニア出身クリスは、同郷のピーラーを気に入ってくれたのですが、ついでに室内看板の文字も描いてくれないかということなり、久しぶりに筆を持たせていただくことに。まあこういうのは上手いとか下手とかいう事はさておき、しっかりと思いを込めて描くというのが大切。弊社に残っているピーラーって目(年輪)は詰まっているものの、サイズも中途半端で量もちょっぴりなので、なかなか使いどころが見当たらなくてどうやって世に出てもらおうかと悩んでいました。

店舗の看板については、それを本業とされている企業ともいくつかお取引がありますが、そういう場合はしっかり指定サイズが決まっているので使える樹種に限りがあります。木の看板にしたという場合の多くは、一枚板というパターンが多く特に昨今は耳付きの変形したモノに人気が集中しています。そうなるとおのずと変形要素の強い広葉樹ということになり、針葉樹のあっさりした材は出番が少ないのですが、筆を走らせながらそれなら自社で使おうかとも。

弊社は少人数の会社なので、それぞれが何でもマルチにこなしていかないと会社が回らなくなるので、自分の特技や趣味を仕事に活かしながら働いてもらっています。特に女子チームは多才で経理の正子さんは糸鋸工作の教室にも通っていて、お客さんの注文に応じて糸鋸で加工もしています。製作した作品も人気で普通に販売してます。塗料など担当の奈々さんは絵が上手で、正子さんの加工した作品に彩りを加えたり、会社の看板等はすべて彼女の筆によるもの。

今回のクリスの看板も文字こそ私が描いたものの、着色は彼女に任せて仕上げてもらいました。予想を裏切るカラフルなデザインにクリスも喜んでいただきました。ところで先月、今頃なんですがようやく会社のトイレの水洗化工事が始まり、先日無事に完成しました。壁は昔に自分たちで珪藻土を塗っていたのですが、これを機会にちょっと遊んでみましょうかということになり、彼女に樹の絵を描いてもらいました。樹木に森の動物たちが集まってくるデザイン。出来がよかったので調子に乗って床に根っこのイメージまで描いてもらったら独特の世界観が生まれて、近所の子どもたちにも大好評!もう余った端材には自分たちで加工して絵や文字を描いてアート作品での売りもありだな~♪




後から気づいたのですが、芥川龍之介の『河童』は私にとって木のネタの宝庫でした!イチイ水松、ラクウショウと次々に関連づけて繋がっていく(勝手につなげているだけですが)。それで「河童と木」ということで最後にどうしても触れずに素通りすることの出来ない関わりがありました。お酒の好きな方、あるいは同世代の方ならすぐに気づくはずですが、そう『河童といえばサクラ』!ついつい口ずさんでしまう「かっぱっぱー るんぱっぱー♪」のCMで有名な『黄桜の河童』。あくまでも企業名としてのサクラだと思っていたら意外な事が分りました。これも木物語の世界のひとつと。

黄桜というのは、京都府伏見区に本社を置く酒造メーカー、株式会社黄桜の事です。主に清酒の製造販売を行ってきましたが近年ではビールの製造も始められているようです。社名の黄桜という「黄色い桜」は創作したイメージかと思っていたら実際に黄色いサクラがあるのを知ってびっくり。それは「御衣黄桜(ギョイコウザクラ」という種類で、開花直後は淡い緑色の花を咲かし、やがて黄色く変化していくサトザクラの品種の1つ。「御衣」というのは平安時代の貴族が着ていた衣服の色(萌黄色/モエギイロ)に由来します

最終的には花びらの中心部分は赤く染まるのだとか。創業社長がその花が好きだったことから黄桜を社名にされたそうです。その後、2代目社長がその社名にふさわしい親しみやすいキャラクターを捜していた時に、週刊朝日に連載中だった清水崑さんの漫画「かっぱ天国」に一目惚れして自社のキャラクターに採用。清水さんが亡くなられた後は、1974年から漫画家の小島功さんがデザインを引き継がれ今に至っています。合わせて、あの頭に残る「♪かっぱっぱー るんぱっぱー♪」のCMソング『河童の歌』もずっと使用されています。

一時期、企業のCI(コーポレート・アイデンティティ)がもてはやされ、老舗企業でもそれまで長らく使ってきたロゴやキャラクターが一新されました。変化する業態に合わせるとか、分かりやすいイメージにするなど理由はさまざまですが、長年使ってきたロゴやキャラクターを変えるというのはそれなりに勇気がいること。ましてやそれが先代の思い入れがあるものならば尚更のこと。弊社でも私が入社してしばらくしてからロゴを一新させましたので、もうかれこれ25年近く使っています。このロゴやキャラクターには相応の思い入れがあります。

最近はあまり見かけなくなりましたが、私が子どもの頃はテレビで黄桜の河童のCMが流れていてよく目にしました。恐らくそれは小島功さんのデザインだったと思うのですが、かなり色気のある河童で子どもながらにドキドキしたものです。あくまでも河童の擬人化(河童に擬人化もおかしいですが)ですが、恐らく今だと無粋なひとがすぐにクレームの電話でも入れそうです。今でもあの「♪かっぱっぱー るんぱっぱー♪」の歌とともに河童の夫婦が温泉で酒を酌み交わすイラストが思い浮かびます。やっぱりイメージは大事。それは酒も木も一緒、そのあとで酔わせるところも

 




最近、地元の高校や大学と木の事で絡むことが多くなってきていますが、稀に県外からもお話をいただきます。先日は、東京の学校から弊社を見学したいとのご連絡をいただきました。このブログなどをご覧いただいての判断だと思われるのですが、たぶん100種を越えるような木材を扱っているという事でイメージとしては、地方で広大な敷地に膨大な在庫を持っている大きな材木屋とでも勘違いされているのかもしれません。以前なら現実をお伝えしてやんわりとお断りしたりしていましたが、勘違いだろうとそんな出会いでつながる縁だってあるかもしれませんので、ふたつ返事でお受けしました。

夕方に大型バスが到着。30数名の生徒がご来店。今回ご来店されたのは東京の『中央工学校』。問い合わせがあって、調べてみると明治42年(1909年)に設立され、今年で創立110年を迎える歴史ある学校でした。実務的な技術者を育てるという目的のために設立された学校で、建築やインテリア、家具、舞台TV美術、イベント設営、土木、測量、造園、CADなど学部も多彩でバリエーションに富んでいます。もし東京に生まれて、東京で少年時代を過ごしたら、もしかして私もこういう学校に進んだかもしれません。

むしろ今からでも社会人コースとして入学して舞台美術とか学んでみたいぐらい。自分の子どもが小さかった頃は、家族でよくいろいろなテーマパークに行ったりしましたが、そこで私は家族とは全く別の視点で華やかな施設を眺めていました。こういう華やかな舞台にも納品している業者がいて、その中にも材木屋がいるんだろうな。そしたらその材木屋は、今日は〇〇ランドとか〇〇スタジオなんて納品伝票も書くんだろうな~と。その当時は販売先がほぼ住宅分野にしかなかったので、そういう場所と繋がるのがとても羨ましく思えたのです。

当時は毎日毎日決まった取引先の大工さん、工務店さんに木材を販売する日々でしたので、そんなルーティンに飽きていたというか変化を求めてもいました。全然違う分野と繋がりたいという野望はあったものの、関わり方も作法も分らず悶々としていましたが、その後何がどう繋がってこうなったかもよく覚えていませんが、気が付いたら当時は思いもつかなかったような分野の、しかも遠方の方々と繋がってお仕事をさせていただいたりしているのですから不思議なものです。学生さんたちはそれぞれ倉庫の中や事務所を自由に見学。

中央工学校では、毎年全国のものづくりの拠点や産地などに見学に出かけられているそうで、今年は四国だったらしく、香川などを巡って弊社にもやって来られました。バスでの長旅と最後の見学場所という事で学生たちもかなり疲れている様子でしたが、いろいろ質問もあって興味深く木やクラフト細工を見てもらいました。いずれテレビや舞台を支える美術スタッフになる人もいるかもしれませんが、彼ら彼女らの目には木という素材はどう映っているのだろうか?ただのマテリアル(素材)としてではなく、そこに「生き物としても意味」まで見出してほしいなあ。

 




童心に戻ってリアル鉄人28号と戯れていましたが、なぜここにこんな巨大ロボがあるのかというと、この地が作者の横山光輝先生が神戸市出身で、震災後10年の節目に震災復興と地域活性化のシンボルとして、構想から7年の歳月をかけて作られたそうです。どうやら神戸に実物大の鉄人28号が出来るという話は、このプロジェクトが公表された頃から話題になっていたので知っていていつか見に行きたいと思っていたのですが、詳しい製作の背景までは知らなくて、今回ブログを書くにあたっていろいろ調べて初めてそのあたりの経緯を知りました。

新長田の駅に降り立った時から、街中にやたらと『鉄人』のポスターやらオブジェが目立つと思っていたら、街全体で鉄人を盛り上げようという気運だったわけです。という事で、新長田の街ではこの鉄人に関していろいろな催しも開催されていて、夏には「鉄人ビアガーデン」なども開かれているそうです。暗闇の中に立ち上げる鉄の巨大ロボを誰も気に留めることなくビールを楽しんでいるという何ともシュールな風景が、いかにも鉄人がここに居て当たり前感が出ていて素晴らしい!

その他にも、鉄人のボディの塗り替えをするリペアイベントがあったり、鉄人オリジナルグッズがあったりと鉄人フル活動!金田少年はおらずとも新長田の街の皆さんが巧みに鉄人を操っていらっしゃる。巨大ロボというと、お台場のガンダムも有名でした。こちらは期間限定のイベントということで、イベント終了後に解体されてしまいましたが、私は世代的にはガンダム世代ど真ん中で、中学生の頃には同級生男子はガンダムで盛り上がっていましたが、なぜか私は全然そそられず作品もほとんど観ていません。今年はタイガースもガンダムとコラボしていて、ガンダムのオリジナルフィギュア付きのチケットも販売していましたが、まったく興味が湧かず。あれがもし鉄人フィギュアだったら間違いなく先行予約で買っていましたが。ちなみにこのリアル鉄人は、フィギュア作家として有名な速水仁司さんの作品だそうです。次は鉄人グッズ買います。

右腕を振り上げたポーズも最高!しかし、高さ18mの巨大構造物をこの格好で自立させるのってかなり難しい工事のように思われますが、鉄人を生み出したぐらいですから日本のものづくり技術があればこれぐらいは朝飯前か。木を扱う者として、こういう鉄の造形物を見るとなんだか無いものねだりで羨ましく感じることがあります。勿論鉄だって日頃のメンテナンスは大切でしょうが、木ほどに経年変化は早くないでしょうから、『変わらない美しさ』に少しだけ嫉妬します。

 




こちらが全面に塗装を施して仕上がってパートリッジウッドあるいは、アンゲリンまたはダリナの完成した状態。アップで見るとあれほど緻密でのこうな杢がややかすんで見えてしまいますが、どっしりした重量感とくどすぎない上品さがあります。今までこの木の端材や小さなモノとしてしか販売したことがなかったので、なかなかご紹介も出来ませんでしたがようやく念願が叶いました。この後、この天板は大阪まで運ばれて現地でアイアンのフレームと鉄脚が取り付けられてテーブルとなりました。

まだ現地に行って完成した雄姿を見れていないので、いつか訪ねさせていただくつもりですが、今回このパートリッジウッドのテーブルに決めていただいたのは、今年の4月に立ち上がった『LLP-SAL 空間芸術研究所』さん。いつもお世話になっている松山市の㈱グローブコンペティションの代表の山田徹さんと、高木智悌さん、城野康信のさんの才人3人が集結して新たに立ち上げた組織です。大阪・京都、東京、松山の3拠点で本格的な活動を展開されるために、まずは大阪の拠点となるオフィス建設にあたり、この材を選んでいただきました。

私はまだ山田さんしか存じ上げませんが、こういう木を選ばれるということからも組織の柔軟性が感じられます。今後いろいろとおとなのあそび心に溢れた仕事をされていくと思うので、非常に楽しみである反面、そういう人たちを納得させられるような『個性的な木、変わった木、癖の強い木、到底常人では使いこなせそうにない木』などを仕入れて来ないといけないぞというプレッシャーもあります。もう普通の仕事には戻っていけそうになくなるつつありますが、そういう人間たちもいないと、マイナーの木の出口がなくなってしまいます。

そういう人たちって木選びも非常にアグレッシブで怖いもの知らず、いや何かあっても受け止める寛容さと乗り切れるだけの知見があるので、こちらの選択肢の幅も広がります。実際このパートリッジウッドをテーブルにしたのは今回初めてですが、こうして誰かが足を踏み出さないと新しい材の出口は生まれません。これで私も自信を持ってこの木を今後お勧めできますし、用途も広げていけそうです。あくまで私の感覚ですが、触感はニヤトーのような蝋のようなヌルッとした冷たい感覚です

こういうあまり知られていないマイナーな木って、知られていないなりの理由があります。物理的には供給量の問題や流通システムの問題の他に、材の性質の問題もあります。例えば乾燥すると極端にねじれるとか、後から後からダラダラとヤニが出るとか、虫が潜んでいて後から虫が出てくるとか。利用頻度が少なすぎてどういう特徴があるのかよく分かりませんが、こういう木こそ寛容で勇気ある大人の方に、従来とは違う物差しで、違う価値観で見定めていただきたい。木の多様性って、作る側にではなく使う側にこそあると思うのです

 




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