森のかけら | 大五木材


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昨日、肉桂(ニッケイ)の板が入荷しました。材そのものよりもその香り(シナモン)の方が有名な木で、シナモンは知っていてもその木を見た人は少ないかもしれません。私はたまたま若い頃にニッケイの木に出会って、もの珍しさで買っていました。シナモンの香りに期待しての事でしたが、残念ながらその香りが得られるのは樹皮の裏側部分のみで、材そのものからシナモンの香りが発せられるわけではありません。それでもご来店されたお客さんに、樹皮を渡して匂いから何の木か連想してもらうなど弊社にとっては貢献度の高い木のひとつです。

ニッケイの樹皮は乾燥すると硬くなって剥がれやすくなります。私は板の状態で乾いたものしか知りませんが、板チョコの割れのような筋が収縮によって勝手に割れて、剥がすというよりもペキッて折る感じで剥がせます。乾燥が甘いとなかなか粘りがありますが、乾ききると簡単に取れます。在庫しているニッケイは、ひとに匂いを嗅いでもらいうとそれを繰り返しすぎてすっかり樹皮が無くなってしまいました。それでニッケイあれば確保しておきたいと思っていたので、今回ある程度のニッケイを得れたのはとてもありがたい!

しかも樹皮もいい感じに取りやすそうです。このニッケイは岐阜の市場で仕入れたものですが、その日の市には仕事の都合で参加出来なかったので、「秘技遠隔操作競り」で金沢の村本さん競り落としてもらいました。材は村本さんの他の木材と共に一旦金沢に持ち帰ってもらい、改めて愛媛に配送してもらうのですが、それに先んじて金沢から謎の小包が到着!開封してみるとそこにはビニール袋に入れられたニッケイの樹皮。荷卸ししてたらその辺に落ちてたので、きっとお前は欲しいやろうと思ってので拾い集めて送ったと。すべてお見通し、ありがたし!!

材はまだそこまで乾ききっていませんが、少し触るだけで樹皮はポロポロ剥がれ落ちます。これは見過ごせん!そこからニッケイの樹皮剥がし&採集が始まったのですが、これが終わりの見えない戦いに突入!乾燥機に入れるための桟積みを兼ねて採集するのですが、途中からはどちらが主目的は分からなくなり、作業は停滞。2時間ほどかけてこれぐらい収集。残りはお客さんへのプレゼン用に残しといてやるか、と負け惜しみを残して終了。さあこれをどう生かすか?!とりあえあず水に浸してニッケ水を作ってみよう(^^♪




仙女が柘の小枝に化けていて、それを拾った漁師が家に持ち帰ったら、人間の美しい女性になって二人は結婚しましたという話ですが、後日談があってその後夫婦は幸せに暮らしていましたが、やがて美女は天に帰ってしまったというもの。『竹取物語』に代表される昔話によくある天に帰還するパターン。この神話が何かを暗示、暗喩しているのかはよく分かりませんが、問題なのは、その時代にはヤマボウシ柘(ツミ)と呼ばれていたという事。現在では、柘の漢字は印鑑や櫛などに使われる『柘植(ツゲ)』に使われています。材質が硬くて摩耗性に優れている特徴は、まさに木編に石のごとく。

その柘という漢字がなぜヤマボウシに当てられているのか?柘はツゲ以外にもヤマグワ(山桑)にもあてられています。このあたりからややこしくなるのですが・・・木材業界で一般的にクワといえばヤマグワの事を指します。クワの仲間にハリグワ(針桑/学名:Cudrania tricuspidata) という種がいて、これは中国及び朝鮮半島原産で、養蚕の餌として明治期に日本に渡来しました。このハリグワの漢名が柘樹・柘桑というらしいので、そこからクワ全般の事を柘と表わすようになったのかも(推測ですが)。

クワの果実は、別名「マルベリー」とも呼ばれジャムやお酒なども人気ですが、ヤマボウシにも熟すると赤くなってクワによく似た実がつきます。そのためヤマボウシの事をヤマグワ、ヤマクワと呼ぶ地域もあります。それでようやく繋がるのですが、本来はクワを指していた(と思われる)柘の漢字がヤマボウシにも使われるようになり、柘枝伝説が生まれた・・・いや、いや、それでは奈良時代の末期(759年~)に編纂された万葉集に柘の漢字が出てくる説明にならない。よく分からなくなってきたので今回の推察はここでお手上げです。

そもそも柘実伝説の小枝がヤマボウシではなくヤマグワのことだったのかもしれませんし、なにより神話世界の話なのでそこまで樹種の特定など必要なくて後付けで可憐なヤマボウシが当てられたのかも。川上から流れ着たモノが川下の者(名前も味稲!)に富を与えるという話は、太古からの水信仰や稲作信仰にも相通ずるものがあり、用途の広いヤマグワの方がしっくりいくような気がしないでもない。とはいえヤマボウシも気乾比重は0.88で木目は蜜で材質は堅く締まっているので柘の名前にも相応しい木ではあります。




今までの経験の中で、自分史上もっともうまくクヌギの皮を剥がすことができたので、その成果物を並べて写真を撮りまくり悦に入っていました。剥がした鬼皮の内部は、姫路に住む娘たちのところに行った時に見つけてすっかりはまってしまった姫路名物のアーモンドバターのように見えて仕方がないのですが、これはなかなか共感してくれる人がいません。娘に写真を送ると「集合体はNG!送ってこないで!」と怒られ、集合体恐怖症トライポフォビア/Trypophobia)という言葉を知りました。

うちの娘の場合は、こういう集合体に気持ち悪さや嫌悪感を抱くというもので病的なほど深刻なものではないようですが、自分は今までそういうことを感じたこともなかったので意外でした。ちょっと気になって調べてみたら、ホットケーキを焼くときの小さな空気穴とか、蜂の巣の内部とか、珊瑚の模様とか、スイスチーズの穴とか、蓮の種とかが代表的なものだそうです。縞、斑点、穴などの模様が隙間なく、パターンのようになっていて文字通り集合している姿に恐怖感、嫌悪感、不安感を抱くというものでその対象は個人によりさまざまなのだそうです。

木が他の素材に比べて圧倒的に優位性を誇っているのは、根本的に木が嫌いな人などいない点だと、今までは信じて疑うこともありませんでしたがその考えも改めねばなりません。例えば精緻なバーズアイメープルの鳥眼杢の集合体ですら、世の中には不安に感じたり不快に感じる人もいるということ。自然が作り上げた造形美は万人の心に響くものと今まで盲目的に信じて提案もしてきました。レスポンスが鈍いと相手の感度を疑ったりしていましたので、にわかには受け入れがたい感覚です。

集合体恐怖症の研究は最近になって始まったようで、この症状の原因は有毒動物を避けるという適応の名残りであるとか、有機物に空いた穴は無意識に、自分の健康を損ないかねない、伝染性の病気や湿疹、吹き出物、傷、水疱などの皮膚病を連想させ、穴への恐怖は病気を避けるために役に立った進化上の能力の名残りではないかなどの仮説があるようです。改めてひとの感性の深淵を覗き込んだ気分になりました。もしかしてこれは樹皮を剥がされたクヌギの最終防御システムだったのかも・・・




先日、仕事で松山市内の御幸~道後のあたりを通っていたらたまたま道路工事をしていて、普通通らない蜜へ誘導されたのですが、そしたらそこで思いがけない僥倖がありました!以前に大人の方向けの出前木育授業をした際に、まだその当時は我が家の庭先にあって初夏には鮮やかな青紫色の花を咲かせていた『ジャカランダ』の話をしたら、参加者の一人が「御幸にも有名な大きな木がありますよね」と仰いました。噂には聞いていたものの実際に見たことがなかったので曖昧な返事でお茶を濁しました。

それでいつか姿を見ときたいなと思いつつ月日も流れ、そのうちに我が家のジャカランダも根が伸び過ぎてブロック塀を崩壊させる危険が出たので泣く泣く伐採してしまい、御幸のジャカランダの事もすっかり忘れていました。だから目の前に見覚えのある青紫色の花が飛び込んで来た時には思わず急ブレーキを踏みそうになりました!すっかり油断していたので通り過ぎてから「!」となり、仕事で急いではいたものの、このタイミングを逃すともう会えないような気がして、Uターンして撮影タイム。

そこには幻想的で美しいジャカランダの花がたわわに咲いていました。神々しいまでのそのお姿をたっぷりとカメラに収めさせていただいた後は感傷にひたりながらしばしジャカランダを愛でておりました。道行く学校帰りの小学生たちからは怪訝な視線を浴びたりもしましたが気にしません。おっさんはジャカランダを愛でているのだ!『熱帯の桜』とも呼ばれるジャカランダ・ミモシフォリア(J. mimosifolia)、『紫雲木』という素敵な和名があります。我が家でも毎年この季節になると青紫の花が咲き、散った足元の花弁すらも美しかった。

無くなって改めてその花の美しさがかけがえのないもののように思えてきます。その後、やっぱりもう一度ジャカランダの花を見たくなって、造園屋さんに手頃な苗木を探してもらってます。今度はいくら根が伸びても大丈夫な場所に植えてやります。伐った我が家のジャカランダは、『森のかけら400』に加えるつもりですが、大量にあるわけではないので材の確保に行き詰まり。結果的に自分の首を絞めてしまうリスクもあって最後の決断前に躊躇していまいた。しかしこれを見てしまうと加えずにいられない。我が家に彩を添えてくれた思い出に感謝も込めて。




昨日に続いて危険な有毒植物キョウチクトウ(夾竹桃)のお話し。伐採して数時間というの新鮮なキョウチクトウの幹と枝をいただきましたが、結構な老木だったためか小口から樹液が滴り落ちるようなことはありませんでした。それでもよく見ると白い樹液が固形化したような跡が。この白い樹液が危険なのです!しかし、この木を『森のかけら400』にも加えるつもりならば、滴り落ちる「白い悪魔」の姿もカメラに収めたい!という事で会社に持ち帰って枝を切断。するとジワジワっと「白い悪魔」が樹皮の間から滲み出てきました。

その姿はしかとカメラに収めたものの、次はこれが本当にどれだけ強い毒性なのかを試してみたいという悪魔の誘惑が私の心を支配。だからといって直接触るのは危険すぎるので(造園屋さんは、伐採する時に多少腕とかにつくけど少し赤くなって痒くなるぐらいよ、と豪快に枝を掴んで渡していただきましたが、子供のころから「もち肌」で有名な私のデリケートな皮膚には脅威です。体に付着しないように切断面を下に向けて容器に「白い悪魔」を集める作戦を実行したものの、枝が小さかったせいか容器に貯まる前に樹液が固まってしまい計画失敗。

私があまりにヘタレすぎると思われるでしょうが、その毒にまつわる事故を挙げれば私の警戒心が少しはご理解いただけるかも。古くはアレキサンダー大王の軍が野営をした際に、この木の枝を串にして肉を食べたところ多くの兵士が死亡したという逸話に始まり(イメージをイラストにしてみました 笑)、1975年にはフランスで枝をバーベキューの串にして死亡する事故、1980年には乾燥したキョウチクトウの葉が牛の飼料に混入していて、それを食べた20頭の牛が9頭毒死した事故などがあります。日本でも西南戦争の時代には官軍の兵士がこの木の枝を削った箸で弁当を食べたら集団食中毒を起こしたという記録があります

ミステリー小説にもトリカブトと並んで、植物による殺人凶器として描かれることもあるほど恐ろしい植物なのです。そんな危険な木を学校教材にも使われる『森のかけら』に加えてもいいのかと思われるでしょうが、液汁は幹全体から出てくるわけではなさそうだし、完全に乾燥してしまえば大丈夫なのではないかと考えています。実際に乾かして様子をみてから最終結論は出しますが、木からすれば外敵からはわが身を守るための武器であり、その毒も使い方次第では薬にもなる(強心剤や利尿剤)ので、悪い先入観を捨ててフラットな気持ちで向き合ってみます。




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