森のかけら | 大五木材


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ハードサイプレスの話の続き。その頃から薬剤無しに使える土台で、しかも住宅金融公庫のお墨付きという事で、ハードサイプレスの土台が注目を集め、愛媛でも沢山使われるようになり、大手の問屋でも扱われるようになると流通量も飛躍的に増えました。しかしそうなると、売れない頃か目をかけてきた俳優がスターダムにのしあがってしまったようで、私に中のハードサイプレスの時代は終わったように感じました(笑)。人と同じものを扱うのが嫌だという天邪鬼な性格によるものです。

そこに輪をかけてイぺやらウリン、ジャラなどにハードサイプレス以上にタフなアイアンウッド(高耐久性木材)の黒船がやって来て、ウッドデッキにおける樹種の大戦争時代が幕を開けるのです。その流れの中でハードサイプレスは徐々に押されていき、優位性が失われていったのです。これはあくまでその時代の愛媛における私の周辺状況への私見です。そういう事もあって、その後は新たにハードサイプレスを仕入れることもなく、今はかつて仕入れた在庫のフローリング・パネリング加工したものがいくばくか残るばかり。

それもいつまでも置いておいても仕方ないので、まとめて処分しようかと在庫を引っ張り出してみれば、ひどく反っているものがあったので、折角ならばと『森の砂』採集用に短くカットすることにしました。切断するたびに周囲に溢れかえる懐かしい刺激臭。その匂いと粉末を身に浴びながらスライド丸鋸で切断していたら、大量のフローリングの端材が出来ました。その匂いもあいまってこれはこれで面白そう!ということで、粉はもちろん『森の砂』として販売しますが、カットして端材も販売してみることに。転んでもタダでは起きません!

願わくばこれで元の仕入れを上回りたいという甘いことを考えたりもしていますが、真面目な話これだけ匂いに特徴のある木を、ただ短絡的にウッドデッキ材にしか使おうとしていなかったのは宝の持ち腐れというか、私に見る目が無かった!当時は建築以外には出口も見えていなかったし、発想力もルートもありませんでした。しかし今なら匂いや形状、いや際立った物語さえあればそれだけでも出口に導けるだけのフェチな経験値もSNSもありますので、残った在庫からでも新しい出口を目指してみます。




木材市場などに仕入れに行くと、現場で必要な樹種があるという時以外は、基本的に【森のかけら】や『モザイクボード』など端材の有効活用を視野に入れていろいろな樹種を少しずつ買い集めていきます。この木はカウンターに使うと残りがかけらに使えるなとか。なので1つの樹種だけ大量に買い揃えるなどということはなくて、あれもこれもといわゆる五目買になります。なのでたいした金額を買っているわけでもないのにやたらと伝票だけは多くなるといううのが通例。帰ってからその大量の伝票を見ながら管理台帳に転記するときの満足感よ。

それが昨年からのコロナの影響もありますが、この1,2年は県外に市場にほとんど出かけていません。自分が行かなくとも、参加されている仲間・先輩とSNSを使って市場に出品されてる商品を画像で確認して落札希望値を伝えて代わりに買ってもらう『リモート仕入れ』を最大限に使わせてもらっています。もちろん、ここ一番という時は自分で仕入れに行きますが、市場では乾燥材が出るケースが少ないので、現場で必要なものは基本は自社の在庫品から探す、あるいは同業社から乾燥したものを仕入れるようにしています。

直接仕入れに行けるなら自分が行くに越したことはないのですが、行ってしまうと市場までの経費や配送コスト(遠方だと10トントラックが基準になる)などを考えると、ある程度の量を買う必要が出てきて、結果的に想定以上に買ってしまう。あくまで量で、金額は抑えます!その点、リモートだと、現地での「今ここで出あったこの木を逃したらもう二度と出会えないのでは~!これは私に買えという神の啓示か!?」という強迫観念や自己暗示にかかりにくいので、冷静な判断が出来るメリットもあります。

まあいつもいつもそうだと面白くないのでたまには、無謀な衝動買いもしないと心が不健康になります。しかしこの2年ほど自制をかけたお陰で、在庫の整理が進みました。若い頃に何に使えるか分からないけどとりあえず買っておこうと思った仕入れた材は、やはりいつまでたっても売れません。若かったのでそこまで出口意識もなかったの仕方はないのですが、この2年でそういう材にも見切りをつけて、カットするなどして強引に出口に導きました。もう少し在庫整理出来たら、しっかりした出口意識を持った大人の五目買いします!




いかにも怪しそうな粉ですが、決していかがわしいものではありません。究極のケチ根性から生まれた、木粉商品『森の砂』です!赤いのは南米はブラジル産のサッチーネ、黄色いのは日本のニガキ(苦木)です。何に使うの?なんて無粋な質問は無しです。削った際の大鋸屑の色鮮やかさに惹かれて、どうしてもそのまま燃やしてしまうのは惜しくて集め始めたのがきっかけで、どうせ集めるのなら限りなく純度の高いものを目指そうと思って出来上がったのが『森の砂』。定まった出口はありません。

それでもきっと世の中には、これを面白いと感じてもらえる「同族」もいるはず!そしてその中には、なんかよく分からんけど買ってみようとノリで底なし沼にダイブするお調子者もいるだろうと思って商品化。オンラインショップで販売を始めました。世間の反応は、色味の鮮やかさともの珍しさから沢山の「いいね!」はいただけるものの、底なし沼に飛ぶ込む勇者はなかなか現れませんでした。オンラインショップにアップする前から店頭では陳列していましたが、誰も商品だとは思っていない様子。

それにも関わらず、私の中のリトルタカハシは「もっといっぱい作っちゃえ!」と囁きます。これは種類が揃う事で魅力が増すタイプの商品なのだから、売れないのは種類が少ないからなので、もっと種類を増やせば売れるに違いない。だっていろいろな種類があれば楽しいじゃん!私の作り出したほとんどすべての商品の根底にはこの発想に立脚しています。そしてそれは今も変わりません。なぜなら、それが好きだから。いろいろな種類があるってもうそれだけで楽しい。これは木材に限ったことではありません。

そして次第に種類が増えていき、事務所の棚には置ききれなくなった頃、ようやく遅れてきた勇者が登場!しかも私の思いつかなかった出口を携えて!まだトライアルの段階で、その出口がうまく開くか、あるいは無慈悲に閉ざされるか分かりませんが、その挑戦は応援したい。他にもポツポツとお声がかかるようになってきて、素材が不足してこのために木材をカットすることも。まあまだ「売れてる」なんて呼べる段階ではありませんが、商品の性質上、広く売れるよりは深く売れるモノになってくれれば嬉しい。




 

およそ数百個のイチョウ小枝の輪切りが出来ましたが、これが出来るという事は当然同時に発生するのがおが(おが屑という呼び方は極力したくない)。もちろんこれもしっかり採集して乾燥させてます。イチョウのおが粉はほとんど真っ白で、色だけで言えばパンチがありません。しかしいろいろな種類のおが粉を集めて来たコレクター視点から見れば、これほど白いおが粉って案外珍しいのです。枝の樹皮の状態や時期にもよりますが、黄味色を帯びていたり茶褐色だったりと多少色がついているもの。

樹皮ごと切断するので、どうしても多少は樹皮の粉も取り込んでしまい、白っぽいおが粉の中にも茶色いツブツブが混じってしまう事が多いのですが、イチョウはまそれがあまり多くなかった事もあり、白っぽく見えるのかもしれません。それはともかくこうして都市林業で得た小枝はカットして小枝の輪切りとおが粉『森の砂』を作っているわけですが、それも結構溜まってきました。色もカラフルになって種類が増してくるとコレクターの魂の琴線にも触れようというもの。なのでもっと種類は増やしたい。

しかしこれが30種類も越えてくると在庫の保管場所に頭を悩ませることになります。作っていたら自分の方が先に魅入られてしまい(ほぼいつものパターン)、もっともっと種類を増やさねばという強迫観念に支配され、売れるかどうかなど関係なしに増産体制に入ってしまいます。確かに種類が増えれば(しかも極端に)シンプルなモノでも『集合体としての魔力』が生まれる事は『森のかけら』で実証済ではあるものの、そういう論理で『森のりんご』も『森のたまご』も『森のしるし』も『円い森』も『円き箱』も増やしてきてしまい、ストックヤードは満杯に・・・。

本来は、作りながら売れる、売れるから作る、理想なんですがいろいろな木がズラリと並んだ壮観な姿こそが、コレクターの魂に火をつける着火剤だと信じている(自分ならその姿を見て買いたいとなるから、他人もきっとそうだと思うという勝手な決めつけ)ので、まずは揃えようとなってしまうのです。しかしそうやって多くの商品を作ってきたため、コレクターの魂の導火線に火がつく前にストックヤードのスペースが無くなってしまいそう!売れ始めるのが先か、保管する場所が無くなるのが先か!?




大五木材では、モッタイナイを信条に骨までしゃぶり尽くすモノづくりを行っています。いろいろな商品をそれぞれに多樹種で作っていますので、油断するとすぐに在庫の山となってしまいます。ですので何から作るか優先順位が重要になります。『森の砂』についてはそのマニア度から追随する人もいないだろうと、優先順位を下の方で考えていたら、恐れていた事が!なんと北陸は金沢で同じような商品を開発される材木屋が現われたのです!森の砂をめぐる強力なライバルの出現です。心ある材木屋がこの魅力に惹かれてしまうのも無理もない話。

しかもその金沢の材木屋さんは多種多様な木材を潤沢に在庫されているマニア度の高いところなので、きっとそうのちに数10種類ぐらいは品揃えを増やしてくると思われます。こちらとしては、『今日のかけら』などと連動させて樹種ごとの解説も含めて少しずつ販売していくつもりでしたが負けてはいられません。という事でとりあえあず急ぎで新たに3種を追加しました。左より、パプアニューギニア(PNG)産のアムーラ、真ん中が愛媛産のアカメガシワ、右がPNG産のティーツリー

この『森の砂』を作る際に需要なのは、丁寧に集める、しっかり乾かせる、根気よくふるいにかけるという3点(のみ)。しかしこれがいらちな私にとってもっとも苦手とするところ。材を切断する前にブロワーできっちり掃除して他の材と混じらないようにして、わずかな木粉も逃さぬように集材。そこからは段ボールの上に広げて、倉庫の奥のやや風通しのいい日陰でひたすら干します。その際に注意することは焦らないという事!以前完成が待ち遠しくて早めに便詰めしたら若干水分が残っていて、カビ培養瓶になった苦い経験があります。

その反省から現在は最低でも3週間(あるいはいつ頃から干し始めたのかを忘れるぐらい)はしっかり乾かせます。その間には何度も何度も掌で攪拌させて乾燥を促します。時々、何をしているのだろうと感じる事もありますが深くは考えない事です。乾燥が出来たら何度も繰り返しふるいにかけて木くずや異物を取り除きます。今回製造を急いだため私の両碗は痙攣しかけましたが、ライバルに負けてはならぬという一心。ライバルに余計な情報を与えてしまったかもしれませんが、競い合ってこそ『森の砂業界』も伸びていくのだ!(おとな)




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