森のかけら | 大五木材


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先日のあいテレビの取材の続きですが、今回弊社を選んでもらったのは、事前に連絡があった電話で私が伝えた『都市林業』に興味を持ってもらったから。無論我々ビーバー隊としては、SDGsをお題目として活動しているわけでなくて、そのまま朽ち果てさせるのが惜しい、モッタイナイ、それで何かつくれんじゃないの!いろいろな木が見たい!というビーバーの本能のおもむくままにやっている事なのですが。入口はどうだろうと構わないのです。ビーバー隊広報班としては、まるでレジスタンスのように日陰で活動するビーバーの存在を世に知らしめることが大切。

そうすることにより、怪しさが解消され、少しでも多くの樹種と巡り合える可能性が広がるのです。ここで注意しなければならないのは「多くの量」ではなく「多くの種類」ということ。実は今でもバーバー隊の存在を知って、県外からでも「庭の木を伐ったのだけどなんとかなりませんか」という問い合わせは頻繁にあります。一応材木屋なので木には興味満々なのですが、回収業者ではないのでなんでもかんでもお引き取りするわけではありません。都合のいい条件ですが、庭木でも珍しい木が欲しい!

ここでいう珍しいとは、高級なとか価値があるという意味ではありません。供給が不安定だからとか、木が小さすぎるからとか、用途がなさそうだから、という理由で通常の木材市場ではおよそ流通していないだろうという木の事。どこにでもあって沢山ある木は正直こちらもおなか一杯。そろそろ置き場も余裕が無くなりつつあります。ビーバー隊長(三重県武田製材・武田誠さん)のところなどは集め過ぎて倉庫が決壊しかかっています。未成熟な都市林業では回収できる量に限りがあります。

だから今後は各地にもっともっとビーバー隊が増えればいいんです。とにかく集める事に長けた集めビーバー、樹種にうるさい好き嫌いビーバー、果樹園との相性がいいフルーツビーバー、大型のユニックを駆使するビッグビーバーなどさまざまなタイプが増えれば、それだけ多様な樹種が出口と繋がっていきます。トライアルで作ってみた愛媛県産広葉樹限定のモザイクボードの評判もいいので、増産も視野に入れているのですが、そのためにも都市林業の果たす役割が非常に重要になってきます。




今回の都市林業愛媛県今治市玉川町産のイチョウです。某工房の敷地に生えていたイチョウを伐採することになり、その一部をもらい受けました。直径は600㎜前後で、イチョウとしては大きなサイズではありませんが、思っていた以上に重たくて製材所と現場を4トン車で2往復。あんまり葉っぱが落ちて掃除が大変なので庭のイチョウを伐ったんですが引き取ってもらえたりしますか、という話はよくあるのですが、庭木のイチョウって大木にならない割に枝が多くて用材としてはなかなか用途を見つけにく事が多いのです。

 

あまり期待せずに製材してみたら予想以上にいいものが取れました!都市林業で手に入る木って、大木や通直な木は少なく、こちらも『森のかけら』などのレアな種類をカバーしたいという思惑があるので、材そのものに大きな期待はしていないので、思わずいいものが挽けるとテンションが上がります。イチョウは収縮が少なく割れにくいうえに比較的乾燥も早いので、この材の出番も早そうです。これで全体のおよそ半分ぐらいですから、当分は『愛媛県産イチョウ』で困る事はなさそう。

今回は、伐採してすぐに引き取り製材しましたが、4月になってだんだん暖かくなってきましたのでこれからはスピード感が大事になってきます。雨の多くなってくるので、伐採後速やかに引き取り製材しないと、虫や腐朽菌のご馳走になってしまいます。今回は理想的な速さで挽き終えたのでまだ水分をたっぷり含み瑞々しく、樹皮も簡単に剥げます。うまくいけば長いままツルンと剥けて、可愛いエクボとご対面。綺麗に剥けると次々やってしまいなかなか終われない。気がつけば足元に剥かれた樹皮の山。

弊社では基本的に40㎜とか45㎜に厚みを決めて、すべて耳付きの板に挽くのですが、最初と最後にはこんなものが残ります。普通ならチップ行きなのでしょうが、うちではこれだってしっかり木として生かします。樹皮を剥がしてしまえば、木肌が白くて形が面白いので看板やオブジェにも使えます。最近ではいろいろなバリエーションのものづくり人がご来店されるようになってきたので、従来の用途以外の出口が広がってきていて、こちらで用途想定するのも意味が無くなってきています。さあ、ご自由に料理ください!




もう数年前の話になりますが、超巨大な古代鮫メガドロンが現代にまで生き残っていて深海より浮上して人々を襲う『MEG ザ・モンスター』という映画が公開されました。タイトルからしてB級映画の匂いがプンプン漂ってきますが、私この手の生物パニックモノのB級映画が大の好物でして、勇んで映画館に観に行きました。そしたら以外にもB級度の低いまともな映画でビックリしました(笑)。先日材を整理したら、もしその時にみつけていればいいネタになったのに!という木に遭遇。

それがこちらのエノキ(榎)です。最近は、街路樹や公園木、庭木など町の中にありながら、何らかの理由があってやもなく伐採された木に『第二の舞台』に立ってもう一度輝いてもらおうとう『都市林業』にも取り組んでいる関係で、丸太を製材する機会が急増しています。町の中の木って、基本的には美観のために枝を整えたりする程度で、その後に用材として使おうなんて考えてもなければ、木の育成に最適な環境というわけでもないので、樹形もかなり個性的、癖の強いモノが沢山あります。

このエノキも枝が大きく張り出して、結構変形していましたので、製材してみると、中から古代鮫メガドロンが目を覚まして現われたのです!どうです、この見事なまでの鮫顔!ちょうど大きめの節が目玉のように見えませんか。ちょっと鋭い歯を斯いて色でもつけてみればもっとハッキリ分かるはず。胴体部分に強めのねじれがあったので、首のところでバッサリ切断してしまいましたが、もう鮫以外の何ものにも見えません!鮫の看板にいかがでしょうか。

エノキの樹皮は高齢木になるとゴツゴツして横に深い皺が入り、よく「象の足」と例えられる事もあるように特徴があります。樹皮の裏側にも特徴があって、カシやクヌギほどではないもののコルク質(私には、木材の小片を接着剤と混合し熱圧成型したパーティクルボードに見えて仕方がないのですが)になっていて、生木の時にはまったく剥がれないものの乾燥すると脆くなります。タマムシをはじめ多くの虫に愛されるだけあって、樹皮の裏面にはびっしりと虫の息づかいが深く刻み込まれています。終の棲家奪ったんだから端材までしっかり生かさないとね。




あえて自分を追い込むために、【森のかけら】を現在の240+プレミア30(重複6を省く)の合計270種から400種に増やすと宣言しましたが、まだまだ新樹種募集中ですが着々と進んでおります。そちら方も早く進めたい一方で、現状の240種のリスト在庫の確保にも奔走しております。現在のところ日本と世界の木を合わせて、常に欠品が8~9種ほど続いていて、加工のタイムラグなどもあって少しずつ解消されてきたものの、どうしても足りない樹種が数種類あって、それを解消することが長年の課題でした。

例えば『トガサワラ』という木は、まだあと少しだけ「かけら」の在庫はあるものの、数セット注文が入ると『トガサワラのかけら』が底を尽きます。ただ、トガサワラの板は倉庫に在庫があります。じゃあ何も心配ないじゃないかと思われるかもしれませんが、それが端材ではなくて結構幅広い板ばかり。緊急事態が起きると、そういった大きな板からこっそりと気づかれないようにお尻の肉とかを少しだけカットさせていただいたりしたものの、それも忍びないサイズ。そういう木も多くてどうしようかと悶々としていました。

まあそれでも端材が入手できなければ最終手段を選択するのですが、それも該当する在庫があればこそ。端材はおろか大きな板さえ無い木となると手の施しようがありません。そんなピンチを救ってくれるのが、ビーバー本部からのありがたい便り。先日の事ですが、宅急便泣かせのメチャクチャ重たい梱包が弊社に運び込まれてきました。恐る恐る中身を開封してみると、そこには武骨な耳付きの木々の姿が!それぞれに樹種名が書いてあり、それを見るとまさに私が求め続けた木ばかりではないですか!こ、こ、これは・・・!?

送り主はビーバー隊長こと武田製材さん。そうです、これはビーバー種族だけに通じる特殊アンテナで私のピンチを察したビーバー隊長から差し伸べられた救いの手なのです。いくつかはかなり乾燥していますが、数種はまだ水気が抜けていないものもあり、これから小割して乾かして『かけら』となります。これでかなりの欠品が解消されそうです。これで心の憂いなく安心して400種の作業に取り掛かれよという無言のビーバー便りは、私にとって心強い頼り。それではまず現状の【森のかけら240】の累計販売数900セットを目指そう!




国内外の240の木を集めた【森のかけら】について、初めて商品説明をすると、寄せられる反応の多くは、「こんなに多くの種類があるんですか~」と「よくこれだけの種類を集めましたね~」の2つ。種類だけで言えば日本国内には、灌木なども含めれば1,500種ぐらいの樹木があるとされているのでまだまだわずかです。それでもよく集めたなと感心してもらえるのは、これだけの木を集めることが容易ではないということの裏返し。そこで、弊社のものづくりの原点の話へと繋がっていくので、どうしても話が長くなってしまう💦

そうしてモクコレでは商品そのものというよりは、ものづくりのコンセプトやその背景などについてお話させていただきました。今後の展開も含めると外せないのが『都市林業』の話。それで、ホテルまでの道中に東京の街路樹も意識して観察してみました。というのも、少しでも宿泊費を浮かそうと安いホテルを探してたら、駅まで徒歩6分と車で6分(徒歩で20分!)を勘違いして予約してしまい、連泊の3日は毎日結構な距離を歩く羽目になってしまったため、嫌でも東京の街路樹をじっくり観察することになったのですが。

もともと東京は、どこまでも続く原野(いわゆる武蔵野)だったところに、人が暮らすようになり屋敷林や防風林、雑木林などの落葉広葉樹が植えられた歴史があるようで、中でもケヤキは多かったそうです。そのため東京都の木を決める際にもイチョウとケヤキで市民投票が行われ(結果はご承知の通りイチョウに軍配が上がりました)たりもしました。その名残というわけでもないのでしょうが、やはりイチョウはよく目につきましたし、他にもクスノキケヤキ、ソメイヨシノなどを見かけました。

本当は立ち止まってそれぞれ写真も撮りたかったのですが、東京の人並みの圧に負けてなかなかそれは出来ませんでした・・・。街路樹に写真を向けて撮影をしているという事への恥ずかしさはすぐに消え去ったのですが、田舎者には人の流れを遮ったり逆らうのがなかなかうまく出来ない💦それでも東京の街には思っている以上に緑が多い!それを考えると道路整備に伴い伐られる街路樹の数も半端ではないと思われます。それらをうまくコントロール出来れば、『都会の森』からかなりバリエーション豊かな材がかなりに量、産出出来ると思います。

田舎と違って制約も高そうなのと、ストックヤードやその後の製材から保管まで考えるとハードルは高そうですが、それらすべてを産業廃棄物扱いなどにしては罪です。既にそうやって都市林業に取り組まれているところも多いと思いますが、最大のポイントは『出口』。集めた元街路樹をどう使うかという青写真が描けていないと、『都市山林』の算出量はスケールが違うので、あっという間にダムは満杯になり崩壊してしまう。だからといってその出口をバイオマスなどに求めるのだけは避けたい。もっともっと輝ける場所があるはず!それを考えるのが木を植えた者の使命




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