森のかけら | 大五木材


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競争相手の少ない平地で育ったアピトンは、環境の緩さが丸太にも反映され、丸太としてはあまり良質なものは得られにくい傾向にあります。枝が多く出るので節が多くなり、上に素直に伸びる意欲が低いのか(!)ねじれていたり曲がっていたり癖も強い。その反面マレーシア産のものに比べると表面へのヤニの滲出は少ないようで、触った時の触感もアピトン独特のざらつきが少なく感じます。材となった時には忌み嫌われるヤニですが、もともとアピトンが蓄えている性質なのですから文句を言っても仕方がないのです。

こちらは、タイ産のアピトンで挽いてもらった車両材ですが、通常ならば小口から導管に沿って滲出するヤニがほとんでありません。これぐらいのサイズのアピトンだと、めちゃくちゃ重たいので両腕で抱えるように持ち上げないといきないのですが、そしたら腕やら胸にもヤニが付着して大変なのですが、ほとんどヤニがなくて助かりました。目の詰まった大径木ほどヤニが出やすい傾向にあり、マレーシア産の競争の厳しい野生育ちに比べるとタイ産の緩い環境の平地育ちは、そもそもヤニの含有も少ないのかもしれません。

タイの現地の方々はそ貪欲にそのヤニを求めていました。それがアピトンに開けられた穴の正体だったのです。最近の話ではなくずいぶん昔の話ですが、アピトンの根元にちかいところに腕が入るぐらいの大きさの穴を開けて、そこに器を置いて滲出するヤニを貯めて燃料や塗料などに利用されたのだそうです。穴の内部をよく見てみると、穴の奥の方は長年のヤニの採取作業のためか真っ黒になっていて「謎の穴」感が漂います。さすがに最近ではこういう事もないようですが、かつてはこのヤニも暮らしに欠かせない貴重なモノだったと思われます。

使い方、考え方次第では木は無駄になるものが一切ない「まるごと有用な資源」のはずで、日本人は特にそのことを理解し実践してきた民族だと思います。樹種は違えどもかぶれるリスクのある『ウルシ』を傷つけて樹液を採取して塗料に使ったり、毒性成分の含まれる『キョウチクトウ』だって強心剤などの薬用に利用していて、毒のある木も使い方ひとつ。このアピトンの油取りの穴もその実践記録として、この部分だけ製材してもらって保存しておきたかったのですが、瀬村さんに面倒くさいことを言うなと怒られそうなので自制しました(笑)。

こんなアピトンですが、最近では製材するところも少なくなってきていて、弊社にすら県外から問い合わせが来るようになりました。特別アピトンを宣伝しているわけでもなにのでどうして?と思ったら、12年ぐらい前に書いたブログを見られてとのこと。それで改めて見直してみたら、もっと沢山書いているつもりでいたのですがアピトンについているブログが思いのほか少なくてビックリ。普段目にしている機会とまったく比例していない。それぐらいアピトンが日常的な木になっていたという事ですが、その貴重さに失ってしまってから気づく愚かさよ・・・




★今日のかけら・#058神代欅/ジンダイケヤキ】 ニレ科ケヤキ属・広葉樹・宮崎産

山火事や地震は怖いけれど、火事の熱量でなければ種子は落下せず、火事で枝や葉っぱが焼かれたあとの土でしか発芽しないと言われる『ジャイアントセコイア』みたいに、ちゃっかり利用する者もいたりと自然界の相互依存関係はハードでタフ。火事で燃えた山だって永遠に禿山のままってことはなくて、やがて逞しい奴が芽を咲かせ縄張り競争が始める。火山においてもひとたびは身を焦がされたり、土石流でなぎ倒されたりしても、その数百年、数千年後に掘り出されて輝きを放つものもある。それが神代木(ジンダイボク)

神の御代の時代から土に埋まっていて、再びこの世界に現れたという意味で「神代」という厳かな冠がつけられています。要するに火山の噴火や土砂崩れなどによって地中深くに埋められ、数百年とか数千年後に道路工事などで偶然掘り出されてきた土埋木(どまいぼく)の事です。本来はその中でも特に状態、品質の優れたものだけにつけられる栄誉なのですが、最近では「土埋木=神代木」と拡大解釈され、言葉としての響きもよいことから土埋木全般に対してこの言葉が使われる傾向にあります。

弊社にも秋田県鳥海山ジンダイスギをはじめ北海道から産されたジンダイナラジンダイタモ、ジンダイニレなどいろいろな神代ありますが、これを自然の恩恵と呼んでしまうには、これらの木が埋没するに至った経緯を考えると不遜かもしれませんが、何もなければこれらの木を得ることは出来ませんでした。中でもこちらのジンダイケヤキは月のクレーターのような質感になっていて、恐らく火山の噴火によるものと思われますが、その凄まじさが伝わったきます。

熱さのためか木も全体的に強い力が加わってねじれたような形になっていて、建築や家具に使えるようなものではありませんが、地球の鼓動を伝える遺物として個人的なコレクション。土埋木は永らく地下水や地価の微生物なども影響も受けて変質しているので、通常の木材という感覚で使うと痛い目に合う事もあるので注意が必要。しかし削った時の不思議な石質感や人工物では得られない風合いは格別。私はとりわけこのジンダイケヤキに強く惹かれます。もしこれが掘り出されずにそのまま朽ち果ててしまっていたらと思うと、自然はかくも残酷でかくも美しい




 

頑丈で耐久性が求められるトラックの荷台材に欠かせない木が、東南アジア産の『アピトン(Apitong)』です。私にっての地元の木材業界の兄貴分である瀬村要二郎さん(瀬村製材所社長)が、昔からアピトンなどの南洋材を製材していたことから、私にとっても非常に身近な木のひとつでした。トラックなどの車両材はもとより、商業店舗の床材やビニールハウスの骨材やガーデニングなどにも使ってきました。主な産地はフィリピン、タイ、マレーシア、ボルネオ島などですが、近年アピトンの丸太価格が高騰したまま高値で張り付いています。

瀬村さんのところでも昔はマレーシアから丸太が輸入されていましたが、最近では主にタイ産の丸太が入ってきています。先日も瀬村さんの土場を覗いたら、タイ産のアピトンの丸太が並べられていました。アピトンの外樹皮は特徴があって、厚いコルク質で凸凹の小さな突起があり、鱗状の斑紋があるので、丸太の識別が苦手な私でも分かりやすい。樹皮が肉厚で樹脂が多くて表面にまで滲出しているからなのかもっしれませんが、比較的外樹皮が剥がれないまま残っている場合が多いように感じます。

その中に気になる丸太が何本かありました。丸太の一部に小さな窪みがあるのですが、それがなんとも不自然な形。原木商社の担当者から、それが現地の人たちが昔この木から油を採取するために開けた穴だと教えてもらいました。これは丸太の産出場所にも関わっていて、そもそもアピトンはフタバガキ科のディプティロカルプス(Dipterocarpus)属に属する木ですが、この属には75~80種が含まれていて、フタバガキ科の中ではサラノキ(Shorea)属についで多い大家族を形成。その生育環境もさまざまで低地の森林地帯から乾燥した丘陵、河岸、険しい尾根筋などなど。

マレーシアから産される丸太は、径級が大きくて通直な材を求めて森の奥地で伐採したものが出材されます。ジャングルでは競争が激しいた若葉は競争相手よりも高く伸びて太陽の光を得ようとするため、比較的節やねじれの少ない通直な丸太が得やすいのです。しかし近年は輸送の問題でマレーシアからの丸太の輸入が難しい、価格が高問している等の事情もあって、タイ産の丸太が入ってきています。タイでは森の奥ではなく、平坦な林地やひとの生活圏の近くに生えていることも多いのだそうです。明日に続く・・・




 

最近、パプアニューギニアの木を扱っていることもあって、パプアニューギニアの事が気になってSNSなどでも過敏に反応することが多くなり、パプアの木の魅力を深めるために少しでも多くの情報を集めたいと思っています。そしたら先日、パプアニューギニアの小さな島で火山の大噴火が起きたというニュースを目にしました。それはパプアニューギニア本島沖にある、日本の伊豆大島と同じくらいの大きさのマナムという小さな島で起きました。噴煙が高さ15キロにも及ぶ大きな噴火だったようです。

このマナム島には現在世界でもっとも活発に活動している火のひとつでもあるマナム火山があり、2004年にも大噴火を起こしています。今回の負荷では島民9,000名が本当に一時避難したそうです。この噴火の事を調べていたら、火山の噴火にはいくつかのタイプがあって、日本の福徳岡ノ場でキノコ雲状の噴火雲を生じさせ多量の軽石や火山灰を噴出させた「プリニー式噴火」や、火口内でほとんど固結した溶岩が高いガス圧で吹き飛ばされる爆発的な噴火の「ブルカノ式噴火」など。イタリアのベズビオ火山がプリニー式で、日本の桜島浅間山などがブルカノ式。

今回のマナム島の噴火はその両方の特徴を併せ持ったような噴火だったそうですが、噴火の継続的な時間は短かったようで、その後1/3ぐらいの島民は島に戻ってきているようです。マナム島の海岸には黒い砂浜が広がっていますが、それは溶岩が冷えて細かくなったものだそうです。村の一部は火砕流で覆われていて生々しい噴火の跡が残っていたりもしますが、火山口を間近で見られる場所としてマニアには聖地的な人気もあり、島民たちにとっては火山と共に生きる島なのかもしれません。

自然災害といえば、今年もカリフォルニアやイタリアなどでは記録的な森林火災が発生して膨大な量の森林が灰燼に帰してしまいやるせない気持ちになりました。樹齢何百年という大木が一瞬のうちに消失してしまう圧倒的なエネルギーを前にすれば、ひとの理屈や感情など無力であるという事をまざまざと見せつけられます。しかしそういう時によく考えることが、果たして山火事で燃え尽きてしまうのと、ひとに伐られて切り刻まれるのと、木にとってはどっちの方が幸せなのだろうか?そもそもそんな考えすら不遜なひとの思い上がりなのでしょうが。

しかしだからこそ、縁あって巡り合った木は大事にしたい。もしかしたら今ここにある木だって森林火災や火山などの危機を乗り越えてきた運命の木だったのかもしれない。そう思うと十把一絡げにM.L.Hなんて扱いは出来ない。せめてその身元ぐらいは明かして、それを使う事に意味を持たせなければパプアからの船旅が無駄になってしまう、なんて考えてしまうのです。これも身勝手な思うあがりでしかないのですが、そうやって己を奮い立てなければ自分の年齢の何倍もあるような木を切ったり削ったり出来ません。いつも、お命ありがたくいただきます!の覚悟




いよいよプロ野球も大詰め。前半戦の調子だと愛しの阪神タイガースがそのままぶっちぎりの優勝かと思われましたが、昨年の最下位であった伏兵ヤクルトの脅威の快進撃で攻め込まれて近年稀にみるドラマチックな展開になってきました。日々、阪神が勝ってヤクルトが負けたら勝率がこうなってどうなってと妄想が膨らんで仕事も手につかない有様。26日の阪神の最終戦でも結論が出なかった場合は、11月1日まで結果が持ち越されるという歴史的大接戦!

コロナの影響もあって昨年に引き続き今年も無観客になったり入場制限がかかったりと、宿泊まで含めると早くから予約をしないと甲子園(京セラ)遠征が出来ない地方の虎党にとっては我慢を強いられる1年となりましたが、この時期まで楽しませてもらっれ大満足です!願わくば有終の美を迎えたいところですが、主力選手の怪我や離脱でベストメンバーが組めない中での泥臭い勝利に感激しており、来年以降の黄金時代の到来に期待も膨らみます。髙橋遥人も復帰後は無双の活躍を見せてくれたし、来年は藤浪晋太郎とともに左右のエースとして頑張ってもらいたい!ということで恒例の2021年の私的タイガースの振り返り。

ドラフトでは高知の森木大智が取れたし、2位の鈴木優斗、3位の完全試合男・桐敷拓馬と、上位3人は木にちなんだ選手が選ばれたのは嬉しいというか今後のネタになりそう(笑)。いつもならば甲子園に行って来ましたと、試合の勝ち負けに関わらずブログにもアップするところですが、コロナ禍ということもありちょっと控えておりました。今年の野球観戦は、3月に京セラでオリックスとのオープン戦2試合(この試合で、今年宮城紅林、宗、杉本のブレイクを確信)。6月に甲子園でDeNAとの2連戦、7月に初めての次女と一緒に甲子園で巨人戦、同月松山坊ちゃんスタジアムでジュニアオールスター戦、8月に同球場でヤクルトVS巨人の2連戦と合計8試合。コロナ禍の中では致し方ない数字です。秋にはファームの四国遠征(香川、高知)があるのですが今年はそれも中止。今年はファームも日本一になるほど強かっただけに残念・・・

翌年の日程はだいたい年明けの2月ごろに発表されるのですが(今年はオリンピックもあって早めでした)、日程を見ながら泊まり込みで行ける試合を探すのが恒例の楽しみ。来年こそは甲子園・京セラで最低でも10試合は観戦したいと思っています。そんなに熱入れてたら仕事にならないと思われるかもしれませんが、この熱量が遂に仕事につながることにもなったのですが、それはまたタイガースの祝優勝・日本一のブログででもご紹介します。望めば夢叶う!




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