森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#058神代欅/ジンダイケヤキ】 ニレ科ケヤキ属・広葉樹・宮崎産

山火事や地震は怖いけれど、火事の熱量でなければ種子は落下せず、火事で枝や葉っぱが焼かれたあとの土でしか発芽しないと言われる『ジャイアントセコイア』みたいに、ちゃっかり利用する者もいたりと自然界の相互依存関係はハードでタフ。火事で燃えた山だって永遠に禿山のままってことはなくて、やがて逞しい奴が芽を咲かせ縄張り競争が始める。火山においてもひとたびは身を焦がされたり、土石流でなぎ倒されたりしても、その数百年、数千年後に掘り出されて輝きを放つものもある。それが神代木(ジンダイボク)

神の御代の時代から土に埋まっていて、再びこの世界に現れたという意味で「神代」という厳かな冠がつけられています。要するに火山の噴火や土砂崩れなどによって地中深くに埋められ、数百年とか数千年後に道路工事などで偶然掘り出されてきた土埋木(どまいぼく)の事です。本来はその中でも特に状態、品質の優れたものだけにつけられる栄誉なのですが、最近では「土埋木=神代木」と拡大解釈され、言葉としての響きもよいことから土埋木全般に対してこの言葉が使われる傾向にあります。

弊社にも秋田県鳥海山ジンダイスギをはじめ北海道から産されたジンダイナラジンダイタモ、ジンダイニレなどいろいろな神代ありますが、これを自然の恩恵と呼んでしまうには、これらの木が埋没するに至った経緯を考えると不遜かもしれませんが、何もなければこれらの木を得ることは出来ませんでした。中でもこちらのジンダイケヤキは月のクレーターのような質感になっていて、恐らく火山の噴火によるものと思われますが、その凄まじさが伝わったきます。

熱さのためか木も全体的に強い力が加わってねじれたような形になっていて、建築や家具に使えるようなものではありませんが、地球の鼓動を伝える遺物として個人的なコレクション。土埋木は永らく地下水や地価の微生物なども影響も受けて変質しているので、通常の木材という感覚で使うと痛い目に合う事もあるので注意が必要。しかし削った時の不思議な石質感や人工物では得られない風合いは格別。私はとりわけこのジンダイケヤキに強く惹かれます。もしこれが掘り出されずにそのまま朽ち果ててしまっていたらと思うと、自然はかくも残酷でかくも美しい




 

頑丈で耐久性が求められるトラックの荷台材に欠かせない木が、東南アジア産の『アピトン(Apitong)』です。私にっての地元の木材業界の兄貴分である瀬村要二郎さん(瀬村製材所社長)が、昔からアピトンなどの南洋材を製材していたことから、私にとっても非常に身近な木のひとつでした。トラックなどの車両材はもとより、商業店舗の床材やビニールハウスの骨材やガーデニングなどにも使ってきました。主な産地はフィリピン、タイ、マレーシア、ボルネオ島などですが、近年アピトンの丸太価格が高騰したまま高値で張り付いています。

瀬村さんのところでも昔はマレーシアから丸太が輸入されていましたが、最近では主にタイ産の丸太が入ってきています。先日も瀬村さんの土場を覗いたら、タイ産のアピトンの丸太が並べられていました。アピトンの外樹皮は特徴があって、厚いコルク質で凸凹の小さな突起があり、鱗状の斑紋があるので、丸太の識別が苦手な私でも分かりやすい。樹皮が肉厚で樹脂が多くて表面にまで滲出しているからなのかもっしれませんが、比較的外樹皮が剥がれないまま残っている場合が多いように感じます。

その中に気になる丸太が何本かありました。丸太の一部に小さな窪みがあるのですが、それがなんとも不自然な形。原木商社の担当者から、それが現地の人たちが昔この木から油を採取するために開けた穴だと教えてもらいました。これは丸太の産出場所にも関わっていて、そもそもアピトンはフタバガキ科のディプティロカルプス(Dipterocarpus)属に属する木ですが、この属には75~80種が含まれていて、フタバガキ科の中ではサラノキ(Shorea)属についで多い大家族を形成。その生育環境もさまざまで低地の森林地帯から乾燥した丘陵、河岸、険しい尾根筋などなど。

マレーシアから産される丸太は、径級が大きくて通直な材を求めて森の奥地で伐採したものが出材されます。ジャングルでは競争が激しいた若葉は競争相手よりも高く伸びて太陽の光を得ようとするため、比較的節やねじれの少ない通直な丸太が得やすいのです。しかし近年は輸送の問題でマレーシアからの丸太の輸入が難しい、価格が高問している等の事情もあって、タイ産の丸太が入ってきています。タイでは森の奥ではなく、平坦な林地やひとの生活圏の近くに生えていることも多いのだそうです。明日に続く・・・




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