森のかけら | 大五木材


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書いているうちに『能登ヒバ』そのものからは脱線してきましたが、気になることがあると調べておきたいので脱線ついでに昨日ご紹介した『櫟原北代比古神社(イチハラキタシロヒコ)』についてもう少し。私の認識では、『』の字は「クヌギ」だ思っていましたが、調べてみれば「クヌギ」以外にも「イチイ」と読むと記してありました。しかしそれは、鉛筆の素材として有名なイチイ科の針葉樹イチイ(一位)』の事ではなく、ブナ科の広葉樹イチイガシ(一位樫)』の事。

 

以前に(といっても見直したら2009年の7月でしたのでもう7年も前の事ですが)『今日のかけら』で、『イチイガシ』の名前の由来については触れていますが、改めて記すと・・・『イチイ』を『一位』と表記するのは当て字のようです。名前の由来は、最火樫(いちびがし)からきていて、意味はもっとも良く燃える木という事で、この説が有力とされているようですが、他にも諸説あるようです。この事から、地名や苗字などでは『櫟』と書いて「イチ」と読むこともあるようです。

 

では、その神社の周辺にイチイガシの木でも群生しているのかしらと調べてみると、日本海側に面した海岸に位置する櫟原北代比古神社の社叢林(しゃそうりん)は、海に面して季節風の影響を強く受ける急崖にはクロマツケヤキの林。風背側にはタブノキの林をはじめ、ヤブツバキ、ヤブニッケイ、ヒメアオキ、トベラ、オニヤブソテツなど多様な樹種が豊かな林相を形成し、能登の自然植生を示す標本として学術上、貴重だそうです。ちなみに社叢林とは、鎮守の杜とも呼ばれるもの。

 

石川県には、後でその付近まで行くことになる『獅子吼高原(ししくこうげん)』やUFOの町として知られる『羽咋市はくいし)』など非常に興味深い地名が沢山あるものの、そればかり書いていると、難読地名ブログになってしまうので、地名に関する話はこれぐらいにして『能登ヒバ』の話に戻ります。ちなみに非常にそそられる『獅子吼高原』の由来ですが、奈良時代の僧・泰澄がその周辺で4宿したことから「ししゅく」となり、「獅子吼」の文字を当てたという事で現実は残酷。




 ところで前から、能登のこの地で『能登ヒバ』以上に気になっていたものがありました。それは四住さんの会社にもなっているその地名『鳳至(ふげし)』。なんせ、「鳳(鳳凰)が至る」って事なんですからさぞや高貴な伝説のある地に違いない!初めて四住さんとお会いした時には読むことすら出来ませんでした。いつかこの地名の由来を訊かねばと思っていたのですが、今回ゆっくりお話しする機会があったので、長年の謎を訊いてみたところ・・・「由来なんて考えたことなかった」。

 

ええ~っ!つまり由来は知らないし、生まれた時からそうなんで気にしたこともなかったと言われるのです。まあ確かに先祖代々その名前をごく普通に使っていれば、記号のような存在になって深く意味など考えたりしないものかもしれません。後からその言葉が入ってくるから興味や関心が湧くのかも。私も生誕地の由来は調べた事もありませんが、松山に移り住んでから地元・平田町の由来が妙に気になって調べました。由来は辺り一帯が平らで広い地形であったからというごく平凡なもの。

 

ならばと自分で調べてみましたが、ネットや書物をいくら調べてみても「不明」。世の中には同じようにこの名前の由来にご興味をお持ちの方も多いようで、何人もの方がその謎解きに挑まれて独自の説を打ち立てられているものの、核心部部は想像の域を出ず。その中で私がもっとも共感を抱いたのは以下の説。鳳至木材から9キロほど離れところに、櫟原北代比古(イチハラキタシロヒコ)神社という由緒ある神社があって、その昔(1186年)源義経が北国下落の時参詣したとか。

 

石川県指定天然記念物にも指定されている神社で、かつて鷲嶽八幡宮(ワシオカハチマングウ)と言われた時期もあったそうですが、その後現在の社号に戻されたそうです。鷲嶽という名前は、この地に鳳至比古(フゲシヒコ)という神様がいて、民を苦しめる悪鳥大鷲を退治し、その骸を埋めて現在の社叢が出来たと言われています。鳳至=「オオトリに至る」と考えれば、その大鷲がオオトリだったのかもという説。大鷲は冬になると南下してシベリアから日本にやって来ます。

 

日本で見られる猛禽類としては最大で、大きなものになると羽を広げると2.5mにもなるそうで、銃の無い時代には恐らくこの巨鳥のなすがままでさぞ恐怖が募ったことでしょう。ただ一方で、鳳凰は聖天子の出現する時この世に現われる縁起のいい瑞鳥とされています(鳳が雄で凰が雌)ので、かつて能登にも生息していたもうひとつに珍鳥・朱鷺(トキ)の可能性も考えられています。昭和30年代には能登では絶滅したそうですが、空を舞う白い鳥の姿は神々しく見えあたのかも。

 

非常にロマンを感じさせる説で面白いのですが、一方では『もともとフゲシと呼ばれていた地名に〔フゲ+シ〕という分析を加えて、そのフゲに「鳳」を、シに「至」を宛てたことによるもので、そのような「好字」を選んだ結果として、この地名に《鳳が至る》という意味が生じましたが、それはあくまでも漢字の音を借りた表記に後から意味を持たせたに過ぎない』という冷静かつ残酷な見解もあるのですが、それでは男のロマンが台無し。真偽は分かりませんが断固大鷲・朱鷺説を支持!




20160107 2昨日、仏木寺の畜産信仰の話の中で、家内の実家が畜産業を営んでいる事に触れましたが、その話についてもう少し詳しく。私と家内は同郷で、私が1歳年上。田舎なので小学校から一緒でずっと知った存在だったのですが、家も近くで、私の家内の実家から車で3,4分の距離に家内の実家があります。正月やお盆に帰省すると、両方の家を順番に移り泊まっています。家内は3人兄弟の長女で、義父がこの地で創業した家業の畜産業は現在長男夫婦が継いでいます。

 

20160107 1400頭あまりの国産和牛を肥育していて、育った仔牛を京都市場などに出荷するという仕事ですが、リアル生物が苦手な私としてはただひたすら頭が下がるばかりなのです。さて、その牛を育てる牛舎というのが、地元で廃校となった小学校の木造校舎を移築したものなので、結構なボリュームがあります。その昔、その移築を請け負ったのが亡き父だったそうで、不思議なご縁を感じています。その牛舎を見下す所から撮影したのがこちらの写真。錦秋の中に佇む牛舎の姿。

 

20160107 3文字通り、山間に牛の鳴き声が響くような環境です。私も結婚してから知ったのですがひと口に畜産といってもいろいろな業態や牛の種類があって、ここでは国産黒毛和牛を肥育しています。現在日本で飼育されている肉用牛は、肉専用種の黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種が約6割を占め、残りの4割を乳用種(ホルスタインとか)ということだそうです。牛を間近で見れば分かりますが、体重が1トン近くもあっていくら柵に入っているとはいえ結構な威圧感があります。

 

20160107 4うちの長女は肉が苦手で、鶏肉なら食べられるのですが、豚や牛肉はNG。それが義父から贈ってもらう国産黒毛和牛のA5の肉ならペロリ!現金なものですが、苦手でも美味しいものは美味しいと感じる味覚はあるようです。今ではすっかりA5という言葉が一般でも定着しましたが、酒の世界でいえば純米大吟醸、木材の世界でいえば100年生の木曽ヒノキの天然木といった感じでしょうか。そんなモノばかり食していたり使っていれば贅沢だと思われるかもしれませんが、

 

そういう客層を育てていくということも大事なことで、それはある日突然降って湧いたように生まれてくるものではなくて、小さな体験の積み重ねの中で生まれてくるのだと思います。何かの時に食したA5の肉をもう一度食べたい、純米大吟醸をまた飲みたいという味の記憶と体験が、高いお金を払ってでもまた味わいたいという衝動に繋がる、そう考えた場合、一生に一度の買い物とも言われる住宅産業においては、リアルな家とは別の形で木に触れる啓蒙活動が大切になると思います




20160105 1昨日の和霊神社に続いて地元の話ですが、道中休憩に立ち寄ったのが鬼北町の道の駅・森の三角ぼうしにある同町の新しいランドマーク『鬼王丸』。時期が時期だけに観光客はまばらでしたが、鬼王丸はいつもと変わらず鋭い眼光を放ち見るものを圧倒させます。改めて鬼って、エエッジが立った完成度の高いキャラクターだなあと感心します。私はUMA(未確認生物)も大好物なのですが、謎の生物キャラの中でも鬼キャラの造形度は最高!まあこれをUMAというかどうかは別として。

 

20160105 2西洋のドラゴンやサタン、ドラキュラなども濃いキャラなのですが、ダークサイドの住人としてのネガティブ要素が強すぎて、その言葉からイメージされる妄想の広がりが弱いように思えます。以前も書きましたが、日本においては鬼という言葉は決してマイナスな意味だけで使われているわけではありません。『仕事の鬼』や『鬼才』など、人間離れした異能の力を備えた人を称える意味でもその言葉が使われるように、鬼は悪の権化の代名詞というキャラなどではないのです。

 

20160105 3話が逸れますが、そういえば日本において鬼にも匹敵するキャラとして名高い天狗について、その正体が実はイエス・キリストであったという都市伝説を読みましたが、よく出来た話でゴルゴダの丘で十字架に磔にされたのは別人で修行のため青森を訪れ、そこで日本人と結婚して日本で没したというもの。それで青森にはキリストの墓があったり、ヘブライ語によく似た方言やそれに関わるような名前の土地があったり、この地の家紋は六芒星であるというサイドストーリも盛り沢山!

 

20160105 4更に、当時は外国人を見たことがなかった青森の人がキリストの姿を見て、日焼けして赤くなった白人の高い鼻を持つ長身の男=天狗となったというもの。他にも天狗が頭につけている小さな木箱のようなもの「兜巾(ときん)」は、ユダヤ教の宗教的儀式で使われる道具に酷似しているし、天狗の持つ「虎の巻」はユダヤの教えが描かれたトーラースクロール(トーラーの巻物)から来ているのではないかなど合致点も多くて非常によく出来た説。こういう話がキャラを立たせる~!




20151015 1 少し前の話になりますが、北海道の紋別市で体重400キロになろうという巨大な羆(ヒグマ)が駆除されたというニュースが報道されました。同時期に紋別市内の別の町でも推定350キロの巨大羆の足跡が発見されていて、地元の猟友会が警戒していたそうです。冬眠に備えてデントコーン畑に侵入して畑を荒らされているという農家からの被害を受けて、残ったデントコーンを刈り取って羆が潜んでいそうなエリアを絞り込んだところ、突然羆が現れハンターが猟銃で仕留めたという事。

 

20151015 2その腕利きのハンターは10年前にも310キロの羆を仕留めたそうですが、今回仕留めたヒグマをユニックで吊り上げたところ400キロもあったという事で新記録だったとか。巨大ヒグマといえば思い起こされるのが、国内最大の野生動物の獣害とされる『三毛別(さんけべつ)羆事件』。胎児を含めた7人が死亡し、3人が負傷するという悲惨極まりない事件でしたが、吉村昭の筆によるノンフィクション『羆嵐(くまあらし)』は、自然の厳しさを冷徹なほどに描写した渾身の一作です。

 

20151015 3この報道に対して、殺さなくてもよかったのではとか、射殺以外の方法はなかったのかなどとコメントが寄せられていましたが、そういう人はまず『羆嵐』を読むべきでしょう。三毛別事件が起きたのは今からちょうど100年前。そこに暮らす住人たちは、東北の貧しい農村から移住してきた人々で、北海道にしかいない羆についての情報は皆無。銃どころか掘っ立て小屋のような暮らしの中、わが身を守る者がほとんどない暗闇の中で、いつ現れるやもしれない巨大な獣に怯える恐怖。

 

20151015 4私は巨大生物マニアですので、その存在には心が躍る反面、射殺された事に胸は痛むものの、当事者にしてみれば生きるか死ぬかの修羅場。自分が生き延びるのに必死な局面で理屈など意味がありません。羆の獣害としては、2011年にシベリア東部のペトロパブロフスクで起きた食害事件(羆に襲撃され2名の親子が死亡。娘が羆に食害されている最中に母親に電話で助けを要請した凄惨な事件)も有名ですが、弱きものが喰われるという自然界の厳しく残酷な掟の前に人間の倫理感など不毛。

 

20151015 5三毛別に現れた羆は体重340キロだったので、今回撃たれた羆は更にそれを超える巨大さで、日本にも陸上でいまだにこれだけの巨体生物が存在するのかと興奮したものです。銃で武装していたとはいえ、これだけの巨体が突然目の前に現れたとしたら、どれほどの衝撃であったことか。これだけの獣がいて、人命が失われていなかったことが不思議なくらいですが、自然界にて大きなるものが命を永らくつなぐという事がいかに難しいことか。ゆえに大きなるものは、それだけで尊い。獣も樹木も 




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