森のかけら | 大五木材


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本日は昨日に続いて愛媛県歯科医師会館が作らせていただいた愛媛県産広葉樹モザイクボードの家具、応接室の大きなテーブルについてです。このテーブルのサイズは2000☓1200㎜で、中央部に愛媛県産のトチ(栃)の板を挟んでいます。こちらも矢野青山建築設計事務所矢野寿洋さん、青山えり子さんによるデザインですが、すべてモザイクでなく無垢板を一枚挟むことで全体的に落ち着いた印象になりました。自分でデザインするとついついモザイクボードを目立たせねば~と、過剰に露出させようとしてしまい使い過ぎる事が多いので勉強になります。

間に挟む木の種類は一任していただきましたので、私の判断でトチ(栃)にさせていただきました。モザイクとの色のバランスを考えて落ち着いた色合いの木ということも在りましたが、何よりも考えたのはこの建て替えられた会館の「地域の方々や県民の方々に開かれた活動をしていく」というコンセプト。そこで選んだ木がトチ(栃)。今までにも何度か紹介させてもらいましたが、トチは大きな葉や実が沢山つくことから、「十(とう)も百も千(せん)も葉や実が付く縁起の良い木」とされています。それで昔は十千と書いてトチと呼んでいました。

そこから十☓千(10×1,000)=万(10,000)で、木偏に万を付けて「栃」になったとされています。多くの実がつくことから縁起の良い木としても知られ、白星を招くという意味でも大相撲のしこ名にも使われるなどしています。より多くの市民・県民に親しまれる建物になってもらえばという思いも込めてトチの木を使わせていただきました。そもそもトチは大きく成長する木ですのでテーブルなどの一枚板としても人気があり、広めの材が得やすいという物理的な理由もあります。誰にも分っていただかくてもいいのです、自分が納得する理由が欲しいだけなのです。

こういう大きなテーブルを作るにあたってはモザイクボードの特徴を最大限に活かせます。今回は長さが2,000で、間に板を挟んだ事でその必要はありませんでしたが、もしもこれがすべてモザイクボードだけで作ったとしても、500幅なり600幅の規格サイズを幅剥ぎすれば問題なくワイドサイズのテーブルが作れます。製造能力の問題で、現場ごとのフルオーダーというのはまだ難しいのですが、幅方向については対応力のある商品だと考えています。そういう事もこういう事例を経験させていただきながら考えるところ。明日はその「見えざる部分」について。




2020年末に解体され建て替え工事が進められていた愛媛県歯科医師会館が先日無事竣工しました。その中の応接室に弊社のテーブルとソファーに『愛媛県産広葉樹のモザイクボード』を使ったいただきました。建物の設計を手掛けられた矢野青山建築設計事務所矢野寿洋さん、青山えり子さんが、家具の素材として選んでいただき作らせていただいたものです。小口方向のブロックピースを化粧面に露出させるなどこだわりにこだわられた理由は完成品を見れば分かるデザインの説得力。

通常はフィンガージョイントしている継ぎ手方向が小口に出るか、あるいはブロックピース面とが混合してしまうのですが、それをあえて小口面はすべてブロックピースで統一させることで、ブロックピースに囲まれた家具のような面白い印象を受ける造りになっています。ただしこれはワンピースが正四角形ではないため継ぎ手の細工などは結構大変な作業でもありまして、製作してくれて善家君ZEN FURNITURE)が苦心しながら頑張ってくれました。

愛媛県産広葉樹モザイクボードは、現在愛媛県の『新たな県産材利用促進事業補助金』の採択を受けて、専用サイトやパンフレットなどの制作も行っているところですが、活用事例の扉に最高の実例となりました。愛媛県産の広葉樹だけに限定して、その時々に入手できた20~25程度の種類を使って製作しています。そもそも愛媛県の広葉樹の供給が不安定で、その集材や乾燥期間も試験的な段階で大量注文に応えられるだけの対応力はまだありませんが、今回の実績は大きな自信となりました。

愛媛県産の広葉樹のみで製作しているため、弊社の既存商品である『モザイクボード』に比べるとどうしても地味な印象はありますが、かえって落ち着いているとか派手すぎなくていい(店舗向きと思っていたがこれだと個人の家でも使える)などの肯定的な意見も多くいただいて、今後はワールドワイド版と愛媛版をTPOに合わせて使い分けていこうと考えています。納品後にこっそり座らせていただきましたが、『モザイクの王』になった気分で独りニンマリと気持ち悪い笑みを浮かべていました。明日はこちらのテーブルについて。

 




赤色の木の在庫が少なくなったので仕入れた赤系の木を並べてみました。アフリカ産のパドック、同じくアフリカ産のアパ、東南アジア産のカリン(花梨)、ここには映ってませんがアフリカ産のブビンガなどなど。赤い色の木がよく売れている!というわけではありません。弊社では現在300種を超える多種多様な木を取り扱っていますが(種類が多いというだけで量は全然多くないのですが💦)、量ではなく種類で勝負!という事で、それらの木をミックスした商品をいろいろ作っています。【森のかけら】を筆頭に『モザイクボード』や『モザイクタイル』などなど。

多様な木が混ざることで唯一無二の複雑な表情が生まれてオリジナルティの高い商品になっているとの自負はあるのですが、そのためには色合いのバリエーションが必須。300種超の種類があっても圧倒的に多いのは、黄白色系から茶褐色系の木です。特に針葉樹系だとかなり似通った色が多くあり、並べて見ても質感も含めてあまり差が出にくい傾向にあります。それに比べて広葉樹は色合いも多彩で、表情にもかなり個性が現れます。なので色を強く意識せずともそれなりに面白い表情にはなります。

しかしやっぱり多樹種を扱って種類フェチの材木屋の矜持として、目を引くような色鮮やかな木も取り入れたい。という事で、赤い木が欲しくなるのです。当初は山ほどあって扱いに困っていたブビンガがその役を担ってくれていましたが、徐々に在庫も減少。次に目をつけたのがブラッドウッドことサッチーネ、紫の貴婦人ことパープルハートたち。在庫はそれなりにあるものの基本の厚みが30㎜なので、30㎜に仕上げなければならない『モザイクボード』に使えるものはわずかしかありません。

13 パドックや花梨などは60㎜とか70㎜などの肉厚のものがあるのですが、今度は逆にそれだけあるものを薄くしてしまうのはモッタイナイ病が発症!それで赤色が無い無いということになり、端材を使うという戒律を破って「端材にするための木を買う」という暴挙に!しかし冷静に考えれば、どういう形であれそれに見合った価格で売れればいいわけで、自分で作った『端材の呪縛』に囚われてしまっています(笑)。しかし他人からすればどうでもいいような事が、ものづくりの根幹にあって、自分内挌闘は続く!




少し前の話になりますが、愛媛県大洲市にある『梶田商店』に行って来た時の話。梶田商店は知る人ぞ知る老舗の醤油醸造蔵元で創業は明治7年。梶田商店の屋号は『』で商品にもその名が冠されています。私の実家では、物心ついた頃から醤油のことを「みとせ」と呼んでいたので、醤油とは別に「みとせ」というものが存在すると思っていました。それが梶田商店で造られた天然醸造で醸した生(なま)醤油に再び醤油麹を仕込んで発酵・熟成させた醤油「巳登勢」であった事を知るのは大人になってから。

その巳登勢を作っている梶田商店の事を知ったのは今から10数年ぐらい前のこと。知人から「大洲に醤油馬鹿がいるので、会ってみたら」と教えてもらいました。相当にマニアックで醤油の事を喋らせたらいつまでも熱く喋り尽す等々、聞けば聞くほど興味が湧いてくる。職種は違えどもその道を究めようとする熱い人とは会って話を聞いてみたい。そしたらその後、たまたま醤油馬鹿こと梶田泰嗣君に出会うことになりました。会ってみると噂に違わず醤油が煮えたぎるほど熱い男でした!

ところで今回梶田商店を訪れたのは、昔の郷愁に誘われて家で使う醤油を求めて来たわけでも、木材と醤油の新たなコラボ商品の開発のために来たわけでもありません。ちょっと別に用事があって来たのですが、梶田商店の中に入れてもらい醤油造りの内側をいろいろと見せていただきました。実は醤油と木は深い関わりがあって、梶田商店でも昔は杉樽に醤油を入れて保存されていたそうです。今は使われなくなった杉樽が積み上げられていましたが、それはそれでオブジェとしてもオモシロイ!

醤油とスギの関係は、ウィスキーとホワイトオークのような関係で、それぞれの木樽に仕込むことで材から滲出する木質成分がまろやかさやコクを生み出すのだ思います。梶田商店でも昔は専用の杉樽屋さんがいてそれを使っていたそうですが、後継者問題もあって徐々に樽屋が減少。今では杉樽を製造するところは全国でもわずかしか残ってないそうです。究められたものづくりも一旦途絶えてしまうと復活するのは難しい。全国でも貴重な保存料なし・無添加の巽醤油醸造の伝統は真の醤油馬鹿ではなければ守れない!




以前に『都市林業』で手に入れたイヌマキ(犬槙)。地元の民家の庭に植えられていたもので、それほど大きなサイズではありませんでしたが、表面の凸凹が特徴的だったので、丸太を半分に割って皮を剥き剥きしました。伐採直後だったので面白いようにツルンと剥けるものですから、楽しくなって次々に剥いていたら結局全部剥いてしまいました。樹皮の下から小さくて鋭利な棘が沢山現れてなんともいえない趣きがあって独り悦に入っていました。他人がどう思うかではなく私がいかに楽しむか(笑)。

それが1年半ぐらい前の話で、イヌマキもすっかり乾いて軽くなりましたが相変わらずあれからずっと棚の中。オブジェとかにでも使っていただけるもの好きでも現れないかと思っていたら、遂にもの好き登場!船の模型を飾りたいので、海の波に見立てた木を探されているというお方。実際に模型を見せてもらったのですが、ご自分が所有されている船を友人が手作りしてくれたというものですが、これが緻密で精巧な出来栄えでディティールまで忠実に再現されています。

なるほどこれだけのクオリティであれば、波を模して飾りたくなる気持ちも分かります。という事で、それから小一時間ほど「雰囲気のある波の木」探しが始まりました。耳付きの板やら流木のような木、小枝の丸太、いろいろ出しては並べてみるもどれもなかなかシックリいかず。その中で波っぽさがあったのが、皮剥きのイヌマキ。端の薄いところでしたが凸凹感が面白かったので丁寧に剥いていたもの。船を置いてみると、荒れる波を乗り越えて走航しているかのような趣き。

今まで海とか波という見立てはしていませんでしたが、こうやって船を飾れば、今まで見えていなかった海感・波感が出現!飾られる船に相当引っ張られていますが、それまで迷走していたイヌマキに舞台背景としての役目を与えていただきました。見方によっては波のようにも海底のようにも見えますが、すっかり日も落ちて携帯のライトで照らせば更に雰囲気が高まったとご満悦の我々。この後、大工さんの手により微妙な調整がなされることになるのですが、イヌマキはこうして濤(なみ)になりました。




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