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今回の『トークカフェ』を松山で開催するにあたって、地元でいろいろと準備物を揃えなければならないことがありました。そのほとんどは愛媛大学農学部の伊藤先生がしていただいたのですが、私と井部健太郎君でも分担して用意。井部君にはFM愛媛との太いパイプを利用して、㈱ネスレさんからバリスタマシーンをお借りして文字通りトークカフェに必要なカフェを確保してもらいました。お互いこの10数年かけて新しい出口を模索した結果、さまざまな業界とつながるようになりました。
ネスレさんとの交渉にご尽力していただいたFM愛媛の倉渕秀俊常務とはこの日初めてお会いしましたが、何か面白いことが生まれそうな強い予感が!さて、今回トークカフェをするにあたって、会場となる愛媛大学内に看板を設置することになったのですが、折角木の話をするのに看板を木で作らないなんて考えられない!と叱咤され、木で作ることに・・・。とはいえ、1回だけのイベントなのであるものを転用しようということで、薄く削っていたイエローポプラの板を使いました。
弊社のスタッフの石川奈々が墨で書いてくれたのですがこれが結構な評判。木のモノがなにも無いようなホテルや事務所で、もっと気を使いましょうという木の啓蒙の話をするなんてブラックジョークではないかと自分で言っておきながら、もう少しで同じ轍を踏むところでした。わずかといえども木のモノを実際に使うという具体的な行為や動機付けが重要なのであって、使う量が多いとか少ないはまた別の話。少しでも木のモノがあるだけで、話にわずかでも説得力が生まれます。
高部先生もいたくご満悦だったようで、持って帰りたいと仰って、実際そのままお持ち帰りになって夜の懇親会の時にもしっかりとお持ちでした。小脇に掲げられた姿を見て、「先生、それだとまるで卒塔婆みたいですよ(笑)」なんてお声を掛けたら、「それにはまだ少し早いよ」と苦笑いされていましたが、喜んでいただけて何より。手作り感満載ですが木の味わいに救われました。ちなみに卒塔婆といえば『モミ(樅)』が定番でしたが最近はアルミもあるようで、樅の木も残れない時代・・・
今日も『森のかおり20(仮称)』についての話です。香りも240種集めたいところではあるのですが、どの木にもイチョウやクスノキやカヤのような癖の強い個性的な匂いがあるというわけではありません。無臭のようでもそれなりに匂いはあるのでしょうが、ドンドン揮発もしていくこともあり、ほとんど差が分からないような木も多々あります。それがある程度大きな板であったり、製材した直後であればまだ匂いもあるのですが、よく乾燥してしまっていると違いが感じられません。
また、ある程度の量がないと匂いも感じにくいので、そうなると「かけら」程度の大きさの容器に入れたぐらいでは微妙な差が分からない。すると大きな容器で揃える必要があるのですが、240個もネギパックを並べるとなると想像しただけでも怖い!それで、かなり匂いに個性のある代表選手を国内と国外から10種ずつ選抜することにしました。10種✕2セットに深い意味はないのですが、はっきり匂いが識別出来る木で、手に入りやすいものということでまずは20種にしました。
【森のかけら】も最近は学校教材で使っていただくケースが増えて、それで匂いを識別されているケースも多いのですが、植物性オイルを塗っていることと、みんなが触りまくるので次第に匂いが薄くなってしまいます。表面をサンドペーパーでひと削りもすれば、また匂いは復活するものの、さすがに「かけら」を削る猛者はいないでしょう。なので、削り直して匂いを感じられるように『夢のかけら』をサブで購入されるケースもあるようですが、もっと匂いに特化したモノがあれば。
そういう思いもあって匂いの商品化を考えていました。なのでもし反響があるようであれば、種類ももう少し増やしてもいいかなと考えたりもしています。更に、ちょっと粗目のプレーナー屑か、ほとんど粉のサンダー屑(粉)のどちらかを選べるようにするとか、パックの中にそれぞれのかけらを1個入れるとか、妄想が走り出しています。いよいよ「香りを解禁」する日が近づいてまいりました。うまくいけば10月中には試験的に『森のかおり20(仮称)』を販売するつもりです!
9月10日に愛媛大学農学部で開催される『才の木・トークカフェ』で、木の香りについてお話しされる愛媛大学の伊藤先生が、香りの話をするのに是非実物(の香り)が欲しいということで、幾つかの木の香りをご用意させていただきました。匂いの特徴的な木で、すぐに揃いそうなモノを8種ほど集めてみました。アオモリヒバ、クスノキ、イチョウ、カヤ、定番のスギ、ヒノキ。一応外材も参考ということで、ウエスタン・レッドシーダー(米杉)とサーモアッシュの2種。
それを加工機で削って、削り屑を100円ショップで買ってきたネギパックに入れて、木の端材も数個入れてみました。今回はあくまでも資料として用意したので、ザックリこんな感じですが、これ作っていてある思いがムクムクと湧き上がってきました。今までにも木の匂いをどうにかできないものかと思案してきたのですが、忙しさにかまけてカタチに出来ていませんでした。五感で楽しめる木にとって、香りも重要な武器のひとつなのですが、策に溺れて難しく考えすぎていました。
今回、削り屑をパックに詰めながら、シンプルにこれでいいんじゃないと覚醒!この削り屑から香りを抽出してオイルを作って、オシャレな容器で、センスのいいパッケージに入れて、価格帯は何段階に分けて、商品名は・・・なんて大仰に考えすぎていて、一向に進まなかったのですが、まずは世に出すことを考えよう。それから意見を聞いて、修正しながらきちんと商品化する方向に進めことにしました。それで考えたのが、単純に本物の木の匂いを嗅ぐことのできる教育用教材。
樹種についてはこれから絞り込んでいかなければなりませんが、弊社の在庫の中で対応できる匂いに特徴のあるモノとして、日本の木10種、世界の木10種の合計20種(予定)の削り屑をネギパック的な容器に入れて名前シールを貼って、簡単な木の特徴を書いた解説文をつけて完成という感じ。【森のかけら】が240種あるんだから香りも240種集められるじゃないかと思われるかもしれませんが、木の匂いって見た目の色合いや触感に比べるとかなり似通っていて差が分かりにくいのです。
今年の改正祝日法で新設された「山の日」は、木に関する会社は何をしていたのかという事が、あたかも踏み絵のごとく問われた日となりましたが、私は家族と共に西日本最高峰を誇る石鎚山(標高1,982m)にいました。石鎚登山ロープウェイ株式会社さんお招きで、石鎚山のピクニック園地にて木育イベントを開催させていただいていたのです。昨年の同時期に初めてイベントをさせていただいてから、もう何度目かも分からなくなるほど頻繁にお邪魔させていただいています。
お陰で石鎚山系の春夏秋の雄大で美しい風景を堪能させてもらいました。イベントそのものは、家内がメインなのですが、私にとってはイベントの合間を縫って、石鎚の高山植物や貴重な木々の姿をカメラに収めることが出来る楽しみもあります。お陰で通常木材市場では見かけることのないような木の立ち木や葉の写真をたっぷりと撮影することが出来ました。【森のかけら240】のリストに含まれている木については、いずれすべて『今日のかけら』で個別に紹介させていただく予定です。
今回はロープウェイの成就社駅から少し下がったところにあるピクニック園地がイベント会場です。木々の撮影は出来ませんが、登山目的ではなくて親子連れで純粋にイベントを楽しむために来られる人が多いので集客は見込めます。朝7時過ぎに自宅を出た時点で既に車外の温度は30℃近く。太陽に近い場所でのイベントだけに紫外線が脅威なのですが、山に向かって走るごとに温度は少しづつ下がり、駐車場に到着した時点で25℃。ほとんど雲も無い絶好のイベント日和。
9時頃に到着したのですが、既に麓の駐車場は満車状態。天気がいい事もあって、ロープウェイにも長蛇の列が出来ていました。山の日の翌日を休めば長期連休が取れるという事もあって、県外からの登山客も大勢いらしていて、ロープウェイの中でも各地の方言が飛び交います。石鎚山の弊社の木育イベントだけでなく、いろいろな催しが予定されていて、家族連れ以外にもグループなどが続々とお山に登って来られます。まあなんと健康的な意思がここに集まって来ることか、さすがは霊山!
才の木(さいのき)の設立10周年の記念事業の松山でのトークカフェの打ち合わせの続編。京都大学の高部先生㊨と愛媛大学の伊藤先生㊧と、久万造林井部健太郎君と私たち夫婦の5人で、健太郎君の『Waiwaiwaiカフェ』で、内容などを詰めます。最終的には、伊藤先生と健太郎君と私の3人が、地元・愛媛側からそれぞれの立場で、お話をさせていただくことになりました。トークカフェの大枠は決まっていたので、この日は会場に設営やら備品の準備やらの細かな話をまじめに話し合い。
打ち合わせが終わったら、久万の山の実情を見ていただくべく健太郎君の山へ。本当は森の奥までお連れしたかったのですが、その日のうちに帰られるという事で、時間の関係もあって、山登りは断念して、健太郎君の案内で道路から見ることの出来る久万林業を象徴するような伐採現場へ。急な傾斜地に生えるヒノキを伐採した直後の現場でしたが、いろいろな山を訪ね歩かれた高部先生をして、「こんな急峻な伐採現場を今まで見たことがない」とまで言わしめたほど厳しい環境。
材木屋というと、一般の方は山の伐採現場まで行って、伐採された木を見ながら買うか買わないかを決めていたりするのではなんて想像される方もいるかもしれませんが、基本的に弊社では直接木を伐採する事はありませんし、伐採現場に立ち会うってこともありません。ここで伐採された木は原木市場に運ばれ、そこで競りにかけられ、購入したそれぞれの製材所が自社の工場に持ち帰って製材して柱などの角材や板材などに挽きます。それを弊社は仕入れさせていただくという流れです。
なので、高部先生をお誘いしておいて言うのも何なのですが、こうして改めて久万の急峻な現場での伐採の様子を見ると、いかに林業が危険と背中合わせの仕事であるのかということを思い知らされます。愛媛でも毎年何人もの方が山での作業中に命を落とされていますが、そういう危険な作業を経て材が私の手元にあるということは常に考えておかねばならない事。山の作業も機械化が進んだとはいえ、人の手があってこそ。こういう所に来ると、虫食いとか傷なんて話がちっぽけに感じます。
だからそんな事はどうでもいいというわけではないのですが、子細にこだわりすぎると文字通り「木を見て森を見てない」状態に陥って、今そこにあるものが大型プラントで作り出されたアルミやプラスティックのような工業製品であるかのごとき錯覚をしてしまいそうになりますが、それは紛れもなく虫や昆虫たちが命を育んでいた巨大なる生き物です。そういう自覚は常に持っておかないと大事なことを勘違いしてしまいます。世の中にはいろいろな考えの材木屋がいます、材木屋万流!
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