森のかけら | 大五木材


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ローマのコロッセオのようなこの構築物は、22☓40☓100㎜ぐらいの木のブロックを積み重ねて出来上がっています。これで何かをするというものではなくて、沢山あるそのブロックを使って積み上げてみたというもの。このブロックの正体は、に積層フリーボードの素材として知られている東南アジア産の『メルクシパイン』。カウンターなどによく使われていて馴染みもあると思うのですが、輸入されているのはボードになった完成品がほとんどで、それ以外の姿を見たことがない人も多いと思います。製品化されている材でも、素材としても輸入されている材が多い中で、素材として見かける事がほとんどない存在、それがメルクシパイン。あくまで私の知る限りの事なので、素材としての輸入があるのかもしれませんが、私は見たことがありません。

インドネシア 政府は、違法伐採対策として2001年に丸太・. チップの輸出を停止したという背景があるので、丸太としては日本に輸入されないのですが、それ以前にもメルクシパインの耳付き板などを見たことがありません。それほど大きな材が得られないとか、板材としての用途が見込めないということかもしれませんが。実はそういう事情もあって、国内で厚みが40㎜以上あるメルクシパインを見つけることが出来ず、馴染みがあって普段からよく使っている木であるにも関わらず『森のかけら』に出来ないというジレンマがありました。

それから時が流れ、現在『森のかけら400』に取り組んでいますが、今回こそはメルクシパインも加えたいと思っていたら、45㎜厚みのメルクシパインのフリーボードを発見!通常は25㎜とか30㎜が主で45㎜なんて滅多にありません。それでどうにか『森のかけら』が取れたので、400種のリストには晴れて仲間入り出来そうです。さて、冒頭のメルクシパインの塔は、弊社の2階に展示しています。この短くカットされたメルクシパインは、もともとはフリーボードにするために輸入されたものです。たまたま、ボードになる前にウチにやって来ました。

これらをフィンガージョイント加工(指先同士を組んだように見える組み継ぎ加工)してフリーボードが作られます。その原材料ですが、DIYなどで面白そうと思って仕入れたものの思ったほど売れていません。もともと板材に比べると角材は足が遅いのですが、色味が鮮やかすぎる黄色で、年輪幅が大きく木目も不明瞭なため、「木材感」が弱いのかもしれません。今やDIY素材も「見栄え重視」なので「木らしい木」が好まれます。しっかり年輪が見えて、誰が見ても「木」と分かる質感がある木が好まれるようです。

そこさえクリア出来れば、割れや傷、虫穴だって許容されることもあります。ほぼその真逆のメルクシパインは、業界でこそ安価で施工もしやすい木材ではありますが、一般受けはしにくくなっているのかもしれません。それで余りに余っているメルクシパインの端材を使って家内がタワーを作ってみたのです。ある程度見本というか完成品があった方がイメージしやすいという事で、この塔は接着してますので不倒の塔です。材料はたっぷりあるのでもっと巨大なタワーを作ってみませんか!



兵庫県立美術館の屋外スペースに出ると、高さが2mを超える巨大なリンゴのオブジェがあります。これは同館を設計した建築家安藤忠雄氏のデザインによるもの。傍らの解説文には作品のモチーフとなったアメリカの詩人サミュエル・ウルマンの「青春とは人生のある期間ではない。心のありようなのだ。」という言葉と共に安藤忠雄氏の言葉も添えられていました。『いつまでも輝きを失わない、永遠の青春へ。目指すは甘く実った赤いリンゴではない、未熟で酸っぱくとも明日への希望に満ち溢れた青りんごの精神です。』

この青いりんごは、繊維強化プラスチックで出来ていて、高さ・幅・奥行きはいずれも2.5m。「海のデッキ」と呼ばれる同館3階の屋外部分に設置されています。直径およそ60㎜の『森のりんご』と比べるとおよそ40倍以上。誰もが皆やってみたくなることでしょうが、巨大青りんごを掌の中へ。これでも『森のりんご』と比べるとまだまだ大きい(笑)。よく実物大の『森のりんご』を作ってみたらなんて言われますが、面白さはあるでしょうが、素材の問題も含めてかなり高額になってしまうので実際に売るとなると難しそう。

私的にはリアルな大きさへの追求よりも沢山の種類を作りたいという志向が強いので、今後も大きさにはこだわりませんが樹種数にはこだわっていきたい。掌に収まるサイズとはいえ、それなりの広葉樹で作っているため価格も相応で、飛ぶように売れるようなものではありません。在庫も結構溜まっているので、しばらくは作るの控えようかなと思っていたのですが、安藤さんの言葉でまた火がついてしまいそうです!やっぱり『森のかけら』も400種類になるなら、りんごもせめてその1/4の100種ぐらいは欲しいよね(^^♪

ところで、青いリンゴと言っているが実際には緑のリンゴじゃないかと思われる人がいるかもしれません。『日本人の青と緑の混用』についてはこのブログでも何度か書いてきましたが、平安時代以前の日本人は青と緑を混用していたため、若い竹を青竹と呼んだり、未成熟のリンゴを青いリンゴと表現して今もそれが残ってます。残念ながら木材の中には削って材面が青い木が無いので『青と緑の混用りんご』は出来ません。しかしこの『青春の青りんご』には背中を押されたような気持になりました。

 




昨日の続きで円谷エキシビジョン2021』の話。「昭和第2期ウルトラシリーズ」のテレビ放送終了後しばらく間が空いて、次のウルトラマン80の放送が始まったのが5年後の1980年4月でしたが、既に中学生になっていた私はウルトラマンへの興味を急速に失っていきました。なのでそこから先のウルトラシリーズへのリアルタイムの記憶はありません。それから長い年月が流れて、実兄に甥っ子が出来て、その子が幼い頃にウルトラマンのソフビの人形を持っていて久しぶりにウルトラマンと対面。

確かその時に甥っ子が持っていたのがウルトラマンティガとかダイナだったと思うのですが、私の世代だとウルトラマンといえば赤とシルバーの配色という固定概念がありましたが、今どきは随分と派手になっているなとソフビの人形を見て思ったものです。それから更に20数年が経過。最新のウルトラマンが会場で展示してありましたが、もはやそれは我々世代が知るウルトラファミリーとは随分かけ離れたお姿・・。時代に合わせた変化を加えていくからこそ長命なのでしょうが同い年としては複雑な心境。

ウルトラマン仮面ライダー、マジンガーZ、マグマ大使、ジャイアントロボ、サイボーグ009などの正義のヒーローたちが私の少年時代の精神性の支柱であったので、単なるノスタルジー以上の思いが溢れます。小さな悪すら許さない無垢なな正義感はいつ失われてしまったのか?何の疑いもなくピュアに人を信用する心はいつ失ってしまったのか?ウルトラマンの展示パネルの前で感慨深く佇むおじさんたちの胸に去来するのはそういう思い。世代を超え55年にわたり地球を守る続ける偉大なヒーローよ・・・。

偉大なヒーローを作り上げたのは最強の悪役の存在。ウルトラマン、ウルトラセブンにはバルタン星人レッドキング、メフィラス星人、ゼットンなどなど強烈な個性を持つ敵役が登場します。ウルトラセブンには市川森一佐々木守、金城哲夫などの新進気鋭の脚本家が参加しており、物語には強いメッセージ性が込められているものが多くあります。特に沖縄出身の金城哲夫の脚本には沖縄を象徴するモノ・コトが多くちりばめられていて、今回の企画展の肝である「神戸港に現れたキングジョー」の名前が金城の実父のあだ名というのは有名な話。

 

売店ではアーカイブスビジュアルフィルムのパンフレットが販売されていて、迷いに迷った挙句、『2020年からの挑戦』を購入。劇場用映画と同じ35mmフィルムで撮影した『ウルトラQ』オリジナルネガから高解像度で新規スキャニングした素材も使用していますが、その素材感よりも私は作りこまれた背景に興味があって、そのタイトルを見返すだけでも当時の製作者たちの熱意と意気込みが伝わってきます。自分の作るものに強い物語性と思いを凝縮させたいという思いは、ウルトラマンによって私の心に刻み込まれていたのだと思うと確信。




以前にブログで書きましたが、兵庫県立美術館で開催された『円谷エキシビジョン2021』に行ってきました。このイベントはウルトラマン生誕55周年を記念したものですが、決して子供向けというわけではなくて大人の鑑賞にも耐えうる展示内容でした。初代ウルトラマンの放送開始が1966年7月ということで、同じ年生まれということもあり、55年という区切りの年への思い入れもひとかたならぬものがあります。それにしても兵庫県立博物館は面白い企画をしてくれます。兵庫にいたら毎月でも通いたいぐらい。

ウルトラマンについて言えば、ただ郷愁としてだけでなく半世紀以上にわたって少年たちを魅了し続けるキャラクターを作り上げた創造主・円谷英二という巨人への興味も募ります。今でこそ神格化されていますが、もともとはひたすら自分が作りたいものを純粋無心に作っていたのだと思います。今から見れば特撮技術は拙いものかもしれませんが、私たち少年は変身するウルトラマンに、繰り出されるスぺシウム光線に夢中になり、街を破壊する怪獣たちに心底怒りを覚えたのです。

映画業界などで腕を磨いてきたプロの職人たちが、こども番組だからといって一切妥協することなく持てる技術を使って作った本気の作品だったからこそこどもたちは熱中したのです。鬼才・実相寺昭雄が手がけた回なんて、こどもには難解で意味不明な演出はほぼATG作品。それでも作り手の真剣度が、ウルトラマンを吊っていたピアノ線を見えなくしたり、安っぽいミニュチユアをリアルなセットに見せたのです。作り手と見る側が同じベクトルを向いていた幸福な時代でした。

しかし天才・手塚治虫がそうだったようにウルトラマンも時代の中で子供の心から乖離していき、一時期不遇の時代を迎えるのです。ウルトラセブン以降のいわゆる「昭和第2期ウルトラシリーズ」(帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンA,ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオ)で一旦ウルトラシリーズのテレビ放送は終了します。最後のウルトラマンレオの放送日が1975年3月となっていますので、私が小学4年生の頃。それまではほぼリアルタイムで放送を観てました。続く・・・

 




古代文明の遺物のように見えたそれは、なんとホテルの装飾材でした!普通の柱じゃ面白くないという事で、わざわざこういうエイジングな仕上げを狙われたのです。古材を使うのではなくあえて新品の材を使いながら、長い時を経て今ここに存在しているような趣きを出すのが、アートクラフト・イングさんの技術力!この素材に『キソケトン』が選ばれたのです。事前に仕上がりのイメージ写真を見せてはいましたがここまで化けるとは!元の状態を知っているだけにこの変身ぶりは驚きでした。

製作背景を知らなければ、東南アジアあたりの古材でも探してきて使っているのだろうと思われるかもしれません。当初から「広葉樹の質感」にこだわられていましたが、確かにこれはスギやヒノキなどの針葉樹で出ない表情です。まさかこういうところにキソケトンの出口があった事に感動し喜んでいますが、これは人あり、材あり、技術あり、タイミングあり、というすべての要素が奇跡的に連動して繋がった幸運なレアケースで、二匹目のドジョウを狙おうとすると大火傷を負うのは経験上よく分かっています(笑)。

材さえあればいいというものではなくて、木が人を呼び、人が木を呼び、これ以上ないという絶妙のタイミングで陽の当たる表舞台へと召されていったのです。出口となったのは香川県高松市にあるオシャレなホテル 『THE CHELSEA BREATH (ザ・チェルシーブレス)』。広大な和庭園に包まれた和モダンデザインの造りで、コンセプトは「ココロが潤う過ごせるホテル」。今回その一部を改装されてその中でキソケトンなどの木材を使っていただきました。うちで見た時とはまったく別の表情でそこに佇むキソケトン。

晴れ晴れしい気持ちと同時に、もうすっかり遠くに行ったしまったんだという名残り惜しいような複雑な気持ちが交錯。M.L.Hとひとくくり扱いされていた木だって、遊び心とセンスのある人の手に渡ればこんな晴れやかな場面に立てるという見本です。長年の癖で、一般建築材との比較でしか木材を評価できなくなってしまっていますが、もっと広い視座で木を見る習慣をつけていないと、折角幸運の女神が歩いていても見逃してしまいます。幸運の女神には前髪しかない、常に意識を高く持って準備を怠るなという事を強く感じさせていただきました。




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