森のかけら | 大五木材


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どうも今年は『カキ(柿)』にご縁があるみたいで、またまたカキの木が弊社にやって来ました~!前回前々回のルートとは別の『都市林業ルート』から立派なカキの幹をいただきました。といっても庭木や街路樹の2次利用を考えている都市林業ルートなので、巨大なテーブルサイズの一枚板とか、銘木の誉れ高い墨流しのクロガキだとかいうものでもありません。量にすればわずかこれだけですが、こうしてご縁のあるところから少しずつ少しずつ集めていくというのが都市林業の本懐です。

活動の成果をすぐに数字で求めたがる傾向にありますが、植林された木を計画的に伐採する経済的な林業活動と違って、いついかなるタイミングで何の木がどれだけ伐採されるか分からない都市林業は、亀の歩みのごとく少しずつ少しずつです。それでもこうして材が集まり始めてきたという事は大きな前進です。私の場合は、『森のかけら』という出口があるので変わった木でも、それが少量でも受け入れやすいのですが、この出口を作るという事が材を集める以上に難しく、それこそがビーバーの使命。

このカキはいつもお世話になっている造園屋さんからいただいたのですが、どれぐらいのサイズをどれぐらいに伐っておけば加工しやすいかを把握していただいているのでとても助かります。しかもこのカキ、結構通直だったうえに伐採したタイミングがよかったのか、割ってもまったく挽き反りもなく、水分も適度に抜けていてコンディションも抜群!わずかな量ではありますが、今まで挽いたカキの中では最高によかった!「銘木的な価値」のよかったではありませんよ、あくまでも「かけら的価値」!

いろいろな樹種を扱うようになると、建築や家具的基準にでは見えない測れない価値が見えるように。今回は『森のりんご』サイズも確保出来ましたが今後の乾燥が重要という事でいつもは使わない「小口に新聞貼り」で割れないように願掛けをします。首位を独走するわが阪神タイガースにあやかり、デイリー新聞の佐藤と大山がアベックホームランを打った日の新聞を使用。これできっと上手く乾いてくれるはず。新聞を見て「これがOS砲の記念すべき1発目やったんだ~」と懐かしく思い返す頃が使い時です。




本日はパプアニューギニア(P.N.G)産の2種類のニューフェイスを仕分け。【森のかけら400】に向けて意図的に、今まで扱った事の無い木を集めてはいるのですが、日々初見の木に出会えるのは楽しいものです。恐らく【森のかけら】を作っていなかったら知ることも出会うこともなかったと思います。今回はこの木がある現場で使えるかどうかを調べるために、買っている原木のそれぞれ一部を1mほど製材して板にしてもらいました。手前が『クリプトカリヤ』、奥が『キソケトン』。

いずれも名前だけは知ってましたが実際に触るのは初めて。高級銘木とかいうわけではありませんが、初めて見る木はどんな木だっていつもドキドキなのです。ほとんどデータが無い木なので、実際に触って削って重さや質感を確認。それぞれの木については、この体験をもとに後日『今日のかけら』にて解説しますが、なかなかこれといった特徴が見当たらないのが難しいところ。たぶんこれも慣れだと思うので、毎日南洋材ばかり見ていたら、わずかな差でも違いが見えてくるのかもしれませんが、経験値が低いので苦戦中。

それでも弊社で再割製材直後は、まだ表面が瑞々しくて匂いもあるので個体として認識できるものの、水分が抜けていくと途端に表情から水っ気が失せて、どれも似たような灰褐色になって個性が埋没してしまいます。そこで大切になってくるのが、割り返したらすぐに小口にマジックで名前を書き込むこと。これを怠けてしまうと常陽な手がかりを失うことになり、そうして『かけらの迷宮』に堕ちていった木も数知れず。今回は再割直後は結構違いがハッキリしていたのに、夕方になるとどっちがどっちか見分けがつかない。

実は今回P.N.G産のM.L.Mの原木を10種以上買っているのですが、どれもこれもほぼ初物なので製材した板になった状態ですぐに小口に名前を書いておかないと大変なことになります。1種類ずつ順番に挽いてもらって、すぐに整理して名前を書いていますが、1本の丸太が孫悟空の分身の術並みに未知の木が大増殖!少しでも油断すると正体不明の木が溢れることになります。まだ未乾燥の木材に書くのでマジックもすぐにダメになる。ビーバー材木屋には大量のマジックが必須アイテムなのです。




昨日に続いて危険な有毒植物キョウチクトウ(夾竹桃)のお話し。伐採して数時間というの新鮮なキョウチクトウの幹と枝をいただきましたが、結構な老木だったためか小口から樹液が滴り落ちるようなことはありませんでした。それでもよく見ると白い樹液が固形化したような跡が。この白い樹液が危険なのです!しかし、この木を『森のかけら400』にも加えるつもりならば、滴り落ちる「白い悪魔」の姿もカメラに収めたい!という事で会社に持ち帰って枝を切断。するとジワジワっと「白い悪魔」が樹皮の間から滲み出てきました。

その姿はしかとカメラに収めたものの、次はこれが本当にどれだけ強い毒性なのかを試してみたいという悪魔の誘惑が私の心を支配。だからといって直接触るのは危険すぎるので(造園屋さんは、伐採する時に多少腕とかにつくけど少し赤くなって痒くなるぐらいよ、と豪快に枝を掴んで渡していただきましたが、子供のころから「もち肌」で有名な私のデリケートな皮膚には脅威です。体に付着しないように切断面を下に向けて容器に「白い悪魔」を集める作戦を実行したものの、枝が小さかったせいか容器に貯まる前に樹液が固まってしまい計画失敗。

私があまりにヘタレすぎると思われるでしょうが、その毒にまつわる事故を挙げれば私の警戒心が少しはご理解いただけるかも。古くはアレキサンダー大王の軍が野営をした際に、この木の枝を串にして肉を食べたところ多くの兵士が死亡したという逸話に始まり(イメージをイラストにしてみました 笑)、1975年にはフランスで枝をバーベキューの串にして死亡する事故、1980年には乾燥したキョウチクトウの葉が牛の飼料に混入していて、それを食べた20頭の牛が9頭毒死した事故などがあります。日本でも西南戦争の時代には官軍の兵士がこの木の枝を削った箸で弁当を食べたら集団食中毒を起こしたという記録があります

ミステリー小説にもトリカブトと並んで、植物による殺人凶器として描かれることもあるほど恐ろしい植物なのです。そんな危険な木を学校教材にも使われる『森のかけら』に加えてもいいのかと思われるでしょうが、液汁は幹全体から出てくるわけではなさそうだし、完全に乾燥してしまえば大丈夫なのではないかと考えています。実際に乾かして様子をみてから最終結論は出しますが、木からすれば外敵からはわが身を守るための武器であり、その毒も使い方次第では薬にもなる(強心剤や利尿剤)ので、悪い先入観を捨ててフラットな気持ちで向き合ってみます。




念ずれば花開く」は、愛媛県の偉人・坂村真​民さんの言葉ですが、まさに思いは願っていれば叶うという事を実感する事がありました。いま取り組んでいる、世界一の多樹種の木カタログ『森のかけら400』に是非とも加えたいと思っているのが、国内最毒樹木ともいわれる『キョウチクトウ(夾竹桃)』。400種になるとかなりマニアックな木も含まれてくるのですが、その中でも強い毒を持つ木・キョウチクトウは話題性抜群。数年前にたまたまその端材を手に入れたのですが、その時からずっと思っていました、「いつかはクラウン、いや、いつかはキョウチクトウ。」

森のかけら』では、それぞれの木の解説文の原稿を書いているのですが(全400種を新たに書いてます)、背景の逸話には事欠かない木もあれば、わずか200文字を埋めるにも頭を悩ませるようなネタの少ない木もあります。そんな中でキョウチクトウは特集ページを組みたくなるぐらいエピソードも豊富で、どうやって200文字に凝縮させるかで苦労します。なのでここで説明する間でもなくご存知の方も多いと思います。問題は安定的に材を確保できるかどうか!ダメもとで造園屋さんにお声がけをしていたら・・・キョウチクトウ伐ったから取りにおいでと神の声!

今持っている端材では、かけら20個分もありませんので、さすがにいつか手に入るだろうの見切り発車は危険すぎて踏み切れませんでした。今回分けていただいたのは、個人の庭にあったのですが根が張りすぎて塀を倒しそうなので伐採したというものですが、根元の方だと直径300㎜を越えます。内部には多少腐りもあるものの、これだけの大きさがあれば『森のかけら』を作るには十分。注意しなければならないのはその毒性!心臓に作用を及ぼす強心配糖体という物質が植物全体に含まれています。

もっとも多く含まれているのがオレアンドリンという成分で、致死量わずか0.3mgという非常に強い毒性を持っています。インドや中近東原産の植物で江戸時代中期に中国から長崎に渡来しました。赤と白の花が美しく公害にも強いことから街路樹工場地帯の緑化樹としてあっという間に全国各地に広がりました。愛媛県内でもよく植えられていて、いつか伐採しないかと目をつけている場所はあるのですが、とても自分では伐採する勇気がありません。あまりの及び腰具合に、伐採された造園屋さんからは「樹液にさえ触れなければ大丈夫よ」と笑われましたが・・・




たまにはブログで取り上げないと「あの商品もう作ってないんですか?」なんて訊かれることもあるので、本日は久しぶりに『森のりんご』について。あくまでも人間の価値観においてですが、高級な木から安価な木までいろいろある中で「樹種に貴賤なし!」という錦の御旗を掲げて、各種の端材を有効に活用したいというコンセプトでものづくりをしていますが、この『森のりんご』については少し事情が違います。それはこの商品の出自に理由があります。今でこそ多樹種異常溺愛症候群の影響で種類が増えましたが元々は選ばれし木たちでした。

いろいろな木が揃った木の標本を作りたいという事で始まった『森のかけら』のメンバー集めですが、はじめのうちはまだ見ぬ強豪との邂逅を純粋に楽しめていたものの、想像以上にコアな木とかに出会うと、仕入れ値の恐ろしほどの高額さや、奇跡的に出会えた偶然性などから、さすがにこれを240種のワンピースとして加えていいのだろうか?と不安になってきました。これとこれとこれを加えてたら原価が途端に引きあがる!しかしだからといって折角手に入れたこの貴重な木をメンバーに加えないなんて選択があっていいのだろうか・・・。

例えて言うなら黒澤明の名作『七人の侍』で、共に戦ってくれる侍を探していた勘兵衛志村喬)が、長刀を担ぐ農民・菊千代三船敏郎)に出会って、その圧倒的な剛力に惚れながらもいで無頼な振る舞いに仲間に加えるのを戸惑う感じ。そんなスケールの大きな男・菊千代にあたるのが、世界一重たい木・リグナムバイタであり、ルイ16世も愛したチューリップウッドであり、ギタリストの憧れ・ホンジュラスローズウッド、ココボロであり、蛇柄の芸術・スネークウッド、世界三大唐木の一角・鉄刀木などなどの超個性的な面々です。

加えるべきか加えざるべきかというハムレットの心境で出した結論が、レギュラーの240種とは別の特別仕様の『森のかけら・プレミア36』を作るという事でした。その結果、プレミアメンバーに選ばれた樹種たちは名誉は得たものの、あまりに高価な設定となってしまったために超コアな一部の熱狂的ファンに支持されながらも、現実的な出番が少なくなってしまうというジレンマに陥ってしまいました。そこで彼らの出場機会を増やしてやりたいという思いで作ったスピンオフ商品が『森のりんご』なのです。今ではプレミアではないメンバーも増えて、樹種数を増やして『森のりんご100』を目指したいという危険な方向に突き進もうとしていますが、それも仕方がないことなのです。だって世界には菊千代みたいな大きなスケールの木がまだまだいるのですから!




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