森のかけら | 大五木材


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今日のかけら番外篇・E050アムーラAmoora   センダン科・広葉樹

ご存じ無い方も多いと思うのですが、瀬戸内海と宇和海に面した愛媛県は水産業が盛んで、魚類養殖生産量日本一なのです。鮮魚はもとより削り節、珍味、煮干し、じゃこ天、かまぼこなどに加工され地域の特産品となっています。私の生まれた愛媛県南予地方では、かまぼこを乾燥させて花びらのように薄く削った『けずりかまぼこ』という商品があります。子どもの頃から普通に食べていたのでどこにでもあるものと思っていたら、たまたま全国ネットの番組で珍しい食材として取り上げられていて、逆に珍しいものだったのかと驚きました。

それだけで食べても酒のつまみになるので私は大好きなのですが、そんな「けずりかまぼこ」を思い起こさせるのが、パプアニューギニア(以下PNG産)の『アムーラ』!こちらも以前に紹介したM.L.Hの中の1つで、余程の南洋材の専門書でもその名前を見つけるのは困難なほどマイナーな木です。『森のかけら240』を作る際には出会えてなかったのですが、数年前にたまたまその存在を知りました。柘榴(ザクロ)色をしたエキゾチックで妖しい木肌にすっかり虜になってしまったのです。

次にかけらの種類を増やす際には絶対に加えようと思って仕入れる機会を伺っていたものの、『森のかけら』を作るために必要なサイズが流通しておらず半ば諦めかけていました。そしたら、PNGから入荷するM.L.Hの中にアムーラの原木があるという吉報が入り、数年越しに念願が叶ったのです。原木の小口は期待通りの柘榴色。早速製材してもらいましたが材面もゾクゾクするような柘榴色!ただし一抹の不安は、たっぷり水分を含んだ生材アドバンテージ。水分が抜けてからが勝負です。

この木に対する情報がほとんど無いので、どういう材質か、乾燥スピードはどうか、乾燥後の色はどうか、ねじれや反りどの程度出るのか、割れやすいか等々自分でデータを採取するしかありません。まあ、それがM.L.Hの面白さだと思っていますが。乾燥による色の変化はもう少し時間を見てみないと分かりませんが、どうしても我慢出来なくなって、前からやりたいと思っていたアムール削りを実行。うむ、やはり『けずりかまぼこ』のようなパンチの効いたおが屑。当然きちんと集めて保管します。さあ衝撃の柘榴色したアムーラ、乾燥後はどうなる!?追って経過報告します。




少しずつですがモザイクボードにもリピートの注文が入ってくるようになり、時間を見つけては原材料の加工をしています。意匠的にもなるべく身近な材で繋ぎたいのですが、両端をフィンガージョイント加工する関係であまり極端には短くできません。身近な材の加工の危うさは、昔に右手の人差し指の先端を怪我して痛いほど分かっています。ただし、多少は長さを整えたり梱包の関係でどうしても切り落としが発生してしまいます。それを集めて作ったのが、『モザイク(ボード)のかけら

森のかけら』のB品から生まれた『夢のかけら』やんか、と思われるかもしれませんが、『夢のかけら』はあくまでも『森のかけら』になる事が叶わなかった『かけら』たちの見果てぬ夢の結晶。対してこちらは『モザイクボード』の製作工程生まれなので、出生の事情が違うのです。更に微妙ですが、35㎜キューブの『夢のかけら』に対して、こちらは少しだけ小さな33㎜キューブ。オイル塗装は施してあるものの、樹種名シールが無いの木もあるのでシールは貼りません。樹種名は不問です

角の面取りも甘めです。キャリーに2箱ぐらい出来たので、本日から店頭で販売します。ちょうど35個詰めに出来るビニール袋があるので、どの樹種でも(かぶってもOK)好きなモノを35個選んでもらって¥2,000+消費税=¥2,200です。『夢のかけら』のように異なる木を30種とかセレクト出来ないので、ご来店いただいて自分で選べる方のみが対象です。オンラインショップでの販売予定はありません。様子を見て反応がよければまた作りますが、鈍ければ別のモノに生まれ変わらせるかも。

自分が多樹種マニアコレクターなので、これに興味を示す方の気持ちは痛いほど分かっていて、恐らく「これで樹種が分かれば(買うのに)!」という方が絶対いるはずです。気持ちは分かるんですが、さすがにそこまでもう手が回りません。出来てくるモノと出るモノとのバランスでみると、とりあえず回転させる商品も必要です。樹種が知りたい方はぜひ『森のかけら』を買って自分で確識別てみて下さい。樹種もどんどん増えてきたので、「自分で調べる楽しみ」もあっていいかなと。




サルの話が出たら避けるわけにはいかないのが、サルの名前がつく木『モンキーポッド』について。最近テレビを観る機会が少なくなって、例の日立のCM「この木何の木、気になる木~♪」を観ないのですが、まだ放送はされているのでしょうか。相変わらずテーブルには人気のある木なのですが、やはり「あのCMの木」という事で知名度は圧倒的です。見た目にも辺材の白身と心材の黒茶のコントラスト人気で、ほとんど説明も不要。サイズさえ条件にあえば必ずと言っていいほど候補の1つにあがる木です。

ただし偏屈材木屋としましては、そこまで知名度があって人気があると、ちょっと複雑な心境になってくるのです。読売ジャイアンツが大嫌いで、そこに挑む阪神タイガースが好きなように、そこまで人気があって説明も要らないような木ならわざわざウチが扱うのもどうかなと、ひねくり曲がった性根が顔を覗かせます。私としてはもっとマイナーでスポットライトの当たらないような木を自分の手で彫り出して世に知らしめたいようなところがあって、マイナーな木ほど応援したくなるのです。

木には何の罪も無いのですが、昔からそういう性格なのでメジャーな木については勉強不足なところが多くて、それで更に距離を感じてしまっているのですが。まあそれぐらいモンキーポッドは世間に知られている木という事です。耳の具合とかもそれほど癖が無いわりにナチュルな雰囲気があってとにか分かりやすく、一枚板のテーブルとしては最適な素材なのです。そうするとほとんど欠点の無い木のように思われるかもしれませんが、心配な点もあります。それが辺材(白太)の虫による食害。

モンキーポッドの心材部分は虫害を受ける事は少ないのですが、辺材の白太部分に多数の虫穴がある事は珍しくありません。虫穴があっても既に穿孔して材中に居なくなっていてくれればいいのですが、時々まだ中に潜んでいる事があるのが怖いのです。あまりに虫穴が多い場合は、耳を落としたり、虫穴が無くなるまで削ったりしますが、正直どこまでがゴールなのか分らない事もあります。特にモンキーポッドにはその傾向が強いのですが、これほど虫にも好かれるという事は虫界でもあのCMが流れているのかも!?




ビニールハウスなどの部材をいつもご購入いただいている近くの果樹園の社長が来店されたのですが、いつもとは違う足場板サイズの杉板を購入されたので何に使われるのか訊いてみたら、果樹をネットで囲む作業の足場にされるとの事。実はこの数年前から、野生のサルの被害が激しくなって、植えている果樹が食い荒らされて大変なのだそうです。特にの被害が酷いのでネットで囲い込むことになったのだとか。会社の前は交通量の多い県道ですがその東には蜜柑山が広がっています。

結構以前から北条の方からサルたちがこの辺りにもやって来て、奥の方の山では蜜柑の被害も出ているそうです。少し前には会社から数百m先の民家の屋根に昇っている猿が目撃されました。サルたちはどこかに定住せずにあちこちの山をグルグル移動しているそうですが、獲物に狙いを定めるとまずは2~3匹の斥候がやって来て、その後いけると判断したら軍団が一気に攻め込んでくるそうです。賢いので罠をしかけても餌だけ取られてほとんど効果が無いとか。

年々手口も大胆になり、態度もふてぶてしく完全に人をなめてしまっているのだとか。農家の方たちにとっては精魂込めて作った作物を食い荒らされて憎っくきサルですが、野生のニホンザルは国の天然記念物に指定されていて、狩猟目的では獲ってはいけない事になっています。農作物を荒らしたりした場合は捕獲や駆除してもよいのですが、その際も捕獲の許可や狩猟免許が必要な場合があるなど、法律の規制を受けるそうでなかなか難しいようです。天敵もおらず自由にやりたい放題なのだとか。

もう駆除するよりもネットなどで防御する方が手っ取り早いという事で、桃園をネットで囲われることにされたのだそうです。最近、北海道や東北ではクマが食糧を求めて市街地にまで現われるようになったというニュースを多く見かけますが、この辺りでもイノシシに加えてサルと獣による被害は拡大。二ホンザルって日本におよそ20万頭近くもいるのに、イノシシのように仕留めた肉が食べられるわけでもなく駆除も進まないのだとか。小売りをしていると木材を通じていろいろな世界が見えてきます。




少し前にたまたま縁があって弊社にやって来てくれてボンデロッサパインの平板の梱包。結構なボリュームがあって、あまりにポピュラー過ぎて得意ではないのでどうやって売ろうかと思案していました。しばらくは提案してもなかなか話がまとまりませんでしたが、そのうちパラパラと売れていきました。大きめの節はあったものの、訳ありだった事もあり廉価で汎用性も高いので、住宅の造作材から店舗の内装などいろいろな用途でお使いいただきました。その出口の1つが書アート

昨年出会ったデザイン書道家の書Art・美結(みゆう)さんは、書道に和モダンを取り入れて企業のロゴや商品ロゴ、看板などを手掛けられています。弊社に来店された際に、山積みされた端材を見られて「宝が眠っている!」と目をキラキラと輝かされていていました。こちらも同族(ビーバー)の匂いを感じ取りました。試しに端材に筆を走らせてもらうと、それまでただの「素材」としか映らなかった端材が途端に「昨品」に仕上がってではないですか!それから私の中では、書も端材の新たな「出口」となってのです。

美結さんの書アートは、クライアントの要望を聞きだして、墨汁だけでなく特殊な墨も使ってその人なりの、その商品なりのデザイン文字を創造し描かれます。いろいろな木で試してもらったのですが、墨や筆との相性もあり、数ある木の中で、軽量で値段も安く、描きやすく、筆のノリもよく、文字映えもするということで選んでもらったのがポンデロッサパイン。黄白色であっさりした杢がほどよく文字を浮き立たせます。パインの中でも比較的ヤニが少ないのも選ばれた理由のひとつ。

表札のサンプルを数枚描かれたのですが、その中に「高橋姓」も描かれていたので、まんまと釣り糸に喰いつかせていただき、我が家用に購入させてもらいました。これはサンプルですが、実際にお願いすると、2~3枚の異なるデザインの書から選ばせてもらい、決まった書はデータ化してさまざまな展開も出来るようです。なのでこの「高橋」もこの1枚限り。1文字ずつが唯一無二という点では木材にも相通ずるところがあって、1点限りの木と書のコラボ。ビーバー隊にまたひとり、書アートビーバーが加わりました。




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