森のかけら | 大五木材


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都市林業』の出口としては主に、『森のかけら』と『モザイクボード』を考えていますが、もうひとつの成果物が『小枝の輪切り』。折角手に入ったモノは骨までしゃぶって使いたいの精神が、遂に小枝にまで及び作り始めたのですが、これも種類が増えてくると、輪切りの中にもそれぞれの個性が垣間見えてきて面白い!既に「多重種のぬかるみ」を越えて「多樹種の底なし沼」にどっぷりなのですが、最近のDIYブームでこういう輪切りを求めてご来店される方も増えて来てますます私を増長させる。

この輪切りは結構前から作っていたのですが、どうせならある程度樹種がまとまってから一気に出してやろうと思っていたのですが、私の性格からすると50種類ぐらい揃うまでは待っておこうとなりそうなのと、端材コーナーの陳列棚にも並べておらず、値札もつけていないのに倉庫の中から目ざとく見つけらえて購入を希望される方が続出してきたので、このあたりで販売に踏み切る事にしました。とりあえずもし混ざってしまっても樹種が判別しやすい6種類から店頭販売開始です。

あまり興味の無い方は、こんなモノ何に使うのか?と思われるでしょうが、実はこれ案外問合せとかが多いのです。しかも県外から。何に使われるかというと、森林体験学習とかで森の中でのイベントの際の名札に使われたり、その時のコースター&お持ち帰りプレゼント。田舎に住んでいると「?」と思われるかもしれませんが、都会の子どもたちって街路樹や公園などの「町の中の木」は見慣れていても、その枝を伐って輪切りにするなんて機会はほとんど無くて、鋸を使った事が無い子どもも沢山います。

SNSで世界中の木を見る事は出来ますが、実物に触ったり匂いを嗅いだりする実体験は乏しく、木の触感や匂い飢えている子どもたちも多く、都会からやって来るこどもたちはこんなものでも「凄い、凄い」と大騒ぎで、大事そうに持って帰ってくれます。木に囲まれる生活に慣れてしまってそのありがたさをつい忘れてしまいがちで、来店されたご婦人がポロりとこぼされた「毎日こんなに沢山の木に囲まれて仕事が出来て幸せですね」の言葉にハッとさせられます。私にとっては小さな輪切だけど誰かにとっては宝になるかも。




さて、今回のお客さんは初めてのご来店ではなく以前にモザイクボードもご購入されていて「免疫」はお持ちの方でいつものセレモニーは不要です。このラボアをお見せしても引くどころか、第一声が「いいじゃないですか~!サイズも問題なし!」だったので、私もすっかり気分をよくして、仕上げ磨きのサンダーにもいつも以上に力が入りました。茶褐色の木肌に黒い筋が現われる事から、『ストライプ・ウォールナット』とか『タイガーウッド』などの別名もありますが、オイルを塗るとその特徴が際立ちます。

この端材を倉庫に長い間放置してると経年変化でブラック・ウォールナット並みに黒くなっていました。これは割れ止めのボンドも塗ってあったのでその影響もあると思いますが、これを見たら『アフリカン・ウォールナット』の異名もさもありなんと思いますが、黒いのは表面だけでひと皮削れば茶色の肌が現われます。木材市場で初めてこの木を仕入れた時は、てっきり黒い肌を期待していたのですが、削ってみて不意打ちをくらったような気持ちになりました。時間とともに表面が黒化していきます。

さて、今回は凄く木の事が好きな方(造園関係のお仕事)だったこともありスペシャル価格でお売りさせていただきました。木は喜んでいただける方のところで愛でていただいてこそです。そのままのサイズで事務所のテーブルに使っていただきました。中央部にバックリと大きな割れも入っていたのですが、これぐらいのサイズにまで大きくなったんだからそれぐらいの事もあるでしょう。全然問題ないし、むしろ面白い!とギニア湾よりも広い寛容な心で受け入れていただきました

ちなみにラボアは、アフリカのシエラレオネからアンゴラ東北部の熱帯雨林やギニア湾沿いの多湿地帯などに分布します。ところでこんな木を買う方ってどんな人がいるのかって話になって後から分かった事なのですが、前にほぼ同サイズのラボアを買っていただいた方が実はたまたまお知り合いだったという奇遇!趣味嗜好の近い方は好みの木も似てくる傾向にあるのかもしれません。あるいはこのラボアにコアな木ファンを引き寄せる強い磁力があるのか?ほぼ同サイズのラボア、あと3枚ほどありますので次はどなたが引き寄せられるか?!




4月このブログで紹介した、幅1mの一枚板のアフリカ産『ラボア』ですが、良縁がありまして早々に旅立っていきました。最近一枚板のテーブルが人気で、来店して実物を見てみたい等の問い合わせが多くあります。初めて弊社を訪れられる方の場合は、いきなり大物ではなく希望よりちょっと狭めのサイズから案内します、ちなみにこれぐらいのサイズだとこれぐらいの価格ですよ、という「サイズによるバリュー感」を知ってもらってからご希望サイズの板をご案内します。

大体幅が800㎜ぐらいの一枚板を求めてご来店される方が多いのですが、弊社にはいわゆる『銘木』と呼ばれるような高級な一枚板はほとんどありません。幅は広くとも大きな割れがあったり、傷があったり、虫穴があいていたり、大きな節があったりするような、森で生きた証しがガッツリ刻まれた材がほとんどです。私自身が、素直に育った無傷の完成度の高い木よりも、ひと癖もふた癖もあるが磨けば(語れば)唯一無二の宝物になる(かもしれない)木の方に惹かれるから、そういう木を好んで仕入れしています。

なのでサイズの割りには比較的安く感じる木が多いと思うのですが、それで調子に乗って「幅1mでもいいんだけど~」なんて軽口を叩くお客様用に『戒め』として見せるために買ってたのがこのラボアでした。部屋が広いから1mぐらいあっても大丈夫なんだけど~、なんて聞くと普通は、「ありがとうございます。それだったらこちらを~」と大歓迎モードになるのが普通だと思うのですが、ひねくれ者の偏屈材木屋と致しましてはそうはならないのです(笑)。

「直径1mの木になるまでどれぐらいかかってると思ってんねん!簡単に1mなんて口にするな!」と(口には出しませんよ、さすがに)いらついてしまうのです(大木には相応の敬意を払うべきの意識強すぎ。商売人としては完全にNG!)。幅が1mを越えるという事は長さもそれなりにしないとバランスが悪くなるので、最低でもこれぐらいになりますよと。実際のスケール感を体感してほとんどの方はさすがにこれは無理~となって、私は溜飲を下げていつものセレモニー終了~(笑)。明日に続く・・・




先日の『都市林業』でうちにやって来てくれたのは、戦前生まれのカキ(柿)の木。松山市内の個人にお宅の庭にあったのですが、事情があって伐採したものの一部です。持ち主の方は90歳を越える高齢の方なのですが、その方が生まれた時にさる方からお祝いにいただいた苗木を大切に育てられたもの。庭木なので几帳面に剪定を繰り返して大きくなり過ぎないように管理してきたので、直径は300㎜にも満たないものの小口を見れば恐ろしいほどの密度!90年の月日が凝縮されています!

木の大きさと時間は比例すると思い込みが強くて、直径の小さな木は若いと考えがちですが、木の大きくなるスピードは樹種や環境によって大いに異なります。学校や公園などによく植えられているメタセコイアはブクブクと太るので、見かけは大きいものの年輪幅は非常に粗くて、以前作った『森のかけら』だと35㎜の幅の中に年輪が1本しか入らないなんてこともありました。寒冷地で育つ木は太くなくても中身がギュッと締まっていてよく目の詰まった材が得やすい傾向にあります。

このカキは、高齢のカキの木にありがちな洞や腐りもほとんどなくて、余程大切に手入れされてきたのだろうという事が伺えます。近くの農家の方からも伐採したカキの木を分けてもらう事が増えて、昔はなかなか手に入れる事が出来ずに苦労していましたが、今はお蔭様で『森のかけら』用の素材としては充分な量が集まりました。ただしカキの場合は、そこから先の歩留まりが極端に悪いので安心は出来ません。手に入ったら早めに小割角に製材して、桟をいれて天然乾燥させます。

しかしカキはねじれやすい傾向があるのと、そもそもそれほど大きく通直な材が得れるわけではないので、乾燥中にねじれや反りが出てしまいます。折角タンニンが浸出してていい感じに黒くなっている部分が割れたり、フルーツウッドの宿命である虫による食害も少なくありません。最終的に乾燥して使える部分は僅かになる事が多いのですが、この戦前生まれのカキに木の素性もよくて食害は見られません。このままうまく乾燥すれば、念願だった『(90年ものの)カキのりんご』が作れるかも!




弊社の事務所前の敷地に植えているトチ(栃)の木は今年もたわわに葉を広げて、すっかりこの季節の風物詩となっています。毎年1本ぐらいはこのトチの木にちなんだブログを書いていますが、それがあるから私も「今年のトチはどんなだろう」と仕事の合間に気にするようになりました。『都市林業』で、今まではあまり触れる機会のなかった丸太に接する機会が増え、この10年で立木に対する感覚も随分と変わってきました。どういう葉っぱなのか、どういう樹皮なのか気になるようになりました。

特にトチは葉っぱに特徴があって、いずれも7枚の葉っぱがついていてそれが名前の由来ともなっているだけに(七葉樹と書いてトチとも呼ぶ)、その数を数えたり写真に収める事も多い木です。それを根拠に7月の誕生木としてもいますが、実は5~6月がトチの開花時期なので、それに合わせると5月か6月の誕生木にしてもおかしくはないのでしょいうが、誕生木は開花時期に合わせているわけではなくて、その木から想起させるイメージや物語、用途などを根拠としている方が多くあります。

それは、木を花や葉っぱなど立木の状態で考えるか、伐採されて木材となって状態で考えるかの視点の差。材木屋としては、伐採されてからの第二の人生(樹生)での活躍に重きを置いています。なので誕生木の設定に関してはいろいろご意見もあると思うのですが、材木屋としての独断と偏見で創り上げたものですのでご了承いただきたいです。誕生木の話をするときに、その根拠を尋ねられた時には、だいたい6月(クスノキ)7月(トチ)12月(モミ)を取り上げます。どの木も根拠がシンプルで説得力があるので、大抵なるほど~と納得していただけます。

そのトチですが、一枚板のダイニングテーブルなどの素材として人気が集中していて市場でも仕入れにくかったほどですが、最近は白系の木よりも赤系、黒系などのハッキリした色の木が好まれるようで、トチに対する引き合いもすっかり影をひそめています。私は個人的にトチの縮み杢とか、耳の形とか、絹の如しと形容される触感など大好きなのですが、声がかからなすぎるというのも寂しい。まあ木の色の好みって繰り返しなので、また数年後にトチがちやほやされる時もくるのでしょうが。その頃にはこのトチの木にも実がつくかしら・・・。




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