森のかけら | 大五木材


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昨日に続いて、中南米産のクワ科の木『タタジュバ』について。表面を削ってみるとこんな感じ。たまたま仕入れたモノが赤身だけの板材だったので、白太部分の状態は分かりませんが、文献によればその差は明瞭だそうです。心材部分はまだ水分が多い状態の時は、黄色で萌えるような輝きがあり、大気に晒すうちにバラ色~コーヒー色に変わってくるそうです。その生材の印象からなのか分かりませんが、この木をアマリロ(Amarillo)と呼ぶ地域(エルサルバドル、ベネゼラ、ボリビア)があります。

 

20150812 2多少狂いやすい傾向はあるものの乾燥のスピードは速いようです。木目は交錯していましたが、特に削りにくいような印象はありませんでした。削った部分にオイルを垂らすと、途端に鮮やかなオレンジ色が現われました!17世紀の中頃からはカーキ色の染料として使われていたというのも納得の鮮やかさ。また、樹皮は皮なめしに、樹脂は薬用ならびに船のまいはだ(槇皮)に使っていたそうですが、材そのものも船材をはじめ様々な用途に使われてきた歴史があるようです。

 

耐久性が極めて高く、シロアリに対しても強い事から、船や桟橋など水に浸かる重構造物、荷車など乗り物のボディ、旋盤細工、ボートや水槽などにも利用。こうやって次第に木の正体が分かっていく瞬間が楽しいのですが、残念ながら少量しかありませんでしたので、内装などに出来るだけまとまった量がありません。とりあえず『森のりんご』などの小物で楽しませてもらおうと考えています。経年変化でこのオレンジ色がどこまで退色していくかというのも興味津々なところ。

 

20150812 4最後にこの名前ですが、市場では『タタジュバ』とされていたものの、中央アメリカ、西インド諸島、南アメリカ北部における一般的な呼び名は、『モラル(Moral)』、もしくは『モラ(Mora)』だそうで、『タタジュバ』というのは主にブラジル、アルゼンチンなどの産地での呼称だそうです。TatayubaあるいはTatayiba。カタカナ表記で現わした場合、タタジュバでいいのかタタユバと書くのかよく分かりませんが。また染料としてはFusticaという商品名でも涼通しているそうです。

 

中南米やアフリカの木って、まだまだ日本では知られていない木が沢山あって、たまたま業者がその木を仕入れた場合、現地でよく使われている呼称がそのまま使用される場合が多く(木材図鑑などには載っていないその国の俗称など)、その名前で取引されると、同じ木なのに名前が違う事もしばしばあって余計に混乱します。まあ、そこを手探りで調べ上げていくのも『木の名前フェチ』としては大いなる楽しみなのです。それでは小物でも出来ればまたご紹介させていただきます。




★今日のかけら番外篇・E036タタジュバ】 Tatajuba  クワ科・広葉樹・中南米産

長い年月をかけて全国に張り巡らした木材のネットワークから日々いろいろな情報が入って来るのですが、なにぶん木フェチ度が極めて高い連中ばかりなので、入ってくる情報もかなりいぶかしい、いや胡散くさい、いやマニアックなものばかり。またこのネットワークは一方的なモノではなく、双方向の関係にあるので、こちらからも情報を流します。そんな情報網からは、「OOという木知ってます?今丁度市場に出ていますけど・・・」なんて悪魔の殺し文句が届けられます。

 

だいぶ前の話ですが、その時私の耳に入った木の名前は『タタジュバ』。そんな木があるという事は聞いた事があったものの実物を見るのは初めて。そもそも【森のかけら】を作り始めたきっかけは、世界中の木を見てみたい、触ってみたいという壮大な欲求から始まったものですから、まだ見ぬ木をスルーなど出来ようはずがありません。買って何に使う、どうやって誰に売る、そんな事は後回しです。私の信条は、『木との出会いも一期一会』。欲しいと思った時に買わずして何度涙を流したことか。

 

という事で仕入れた『タタジュバ』。後から買った木の事を調べて、次第にその素性が分かって来るというのも楽しみのひとつなのですが、多分普通はその逆で、素性とか分かってから買うのでしょうが・・・。とりあえずタタジュバについて、メキシコから中央アメリカを通り、南アメリカの北部並びにペルー、ブラジル、アルゼンチンまで広い地域に分布するクワ科の木で、通常18~24m、直径500〜600㎜ほどになるという事ですが、中には樹高40m近くまで成長するものもあるとか。

 

稀に直径が1mに及ぶものもあるそうですが、私が仕入れたのもストレートカットで幅が500㎜以上ありました。買ってからだいぶ経つもののまだ自分で『堪能中』で、まだ売った事はありません。こういう初物は焦って売ってはいけません。素性をよく理解しておくことも大事ですが、なにより自分がしっかり味わっておきたい!それこそが材木屋の特権。気乾燥比重が0.77という事ですが、乾燥しているせいか実感としてはそこまでの重さは感じられません。では、削ってみましょう!




20150806 1沖縄の旧首里城守礼門の修復工事で求められた『イヌマキ』ですが、生憎沖縄では手配できず鹿児島や宮崎などの九州各地の県から供給してもらい事無きを得たそうです。琉球王国時代は、イヌマキを計画的に植林して定期的な修復用に備えていたらしいのですが、その後植林事業が継続されず今回の事態となったようで、復元作業を契機に4000本の苗木を植えて、50年か100年先の修復の対応しようという試みがされているそうです。イヌマキに限らずこの手の話は多々あります。

 

始めてイヌマキの材を買ったのは20数年も前の事ですが、その頃はイヌマキに対する知識も関心も薄くて、それこそ『コウヤマキのまがいもの』なんてぐらいにしか考えていませんでした。なので、欲しくて買ったというよりは欲しいものとセットになっていたので仕方なく買ったという感じだったのですが、今にして思えばもっと買っておくんだったと強く後悔。そういう経験があるので、今は一期一会の出会いを大切にして、気になった木はとりあえず買っておくようにしています

 

20150806 3まあ、そんな事をしているからドンドン在庫が増えていってしまうのですが・・・。しかし、これからも国産材のちょっと珍しい木はますます入手が難しくなってくるのは間違いありません。材そのものが少なくなっているという事もあるでしょうが、それ以上に深刻なのはそういうレアな木を取り扱う業者の数が激減してしまっているという事。以前からお世話になっていた宮崎ルートもほぼ壊滅的となり、マニアックな国産広葉樹の道は絶たれたかと思っていたのですが、捨てる神あれば拾う神あり

 

拾う神の話はまた改めてする事としますが、そんな宮崎からかつて仕入れたイヌマキな材が幾つか残っております。大き目の板はほぼ売り切ってしまったので、薄い板や小さな角材が主ですが、イヌマキについては次の供給ルートが見つかるまでは、販売用としてではなく、自社のオリジナル商品のための貴重な原料として保存しておかねばなりません。わずか35㎜角の【森のかけら】といえども、材が無くては話にならず。そんな【森のかけら】ももうすぐ累計で700セットになります!




20150805 1では実際に分けていただいた『イヌマキ』の丸太を挽いてみます。しっかり乾かせるためにも、手に入った後はなるべく早めに挽いてしまう事は肝心です。住宅の庭に植えていたようなイヌマキですので大きなモノではありません。造園屋さんが長さを1m~1.5m程度にカットしていただいています。直径は尺足らず(約250㎜前後)ですが、【森のかけら】などの小物を作るには充分なサイズです。伐採して2、3日経った状態ですが、小口を見ると白っぽく見えます。

 

20150805 2ところが一面削ってみると、水分をたっぷり含んだ瑞々しい表情が現われます。イヌマキに限らず、伐採直後の生しい状態では、乾燥した時のそれからは想像も出来ないほどに濡れ色の別人顔です。水分が多い方が挽きやすいという事もありますが、虫の割れの事なども考えると、なるべく早い時期に挽く必要があります。これぐらいのサイズになると、節の具合や幅を見ながら、【森のかけら】にしようとか、『モザイクボード』にしようかとか、好みに合わせて挽けるのが嬉しいところ。

 

今回は、『森のりんご』狙いでしたので、普段よりも少し大きめに挽きました。下の画像は、挽いてから風通しのいい日陰で2,3日放置しておいたもの。水分が抜けて表面の淡いオレンジの濡れ色が灰褐色に変化。ただし、まだ完全に乾いているわけではないので、これをまた削り直すと内部はまだ湿っていますが、これぐらい(65×65㎜程度)のサイズであれば、一か月もすればすっかり乾いて内部まで同じような色合いになります。

 

20150805 4弊社ではこの角材の他にも、九州は宮崎県産のイヌマキの板材を幾つか在庫しています。愛媛では材としてはほとんど認知度の無い木ですが、九州(特に南部)では馴染みがあるそうで、平成24年~平成25年にかけて行われた旧首里城守礼門の保存修理工事でもイヌマキが使われました。琉球王国時代に建造された首里城には、シロアリにも強くて耐久性の高いイヌマキが沢山使われていたため、今回の修復でもイヌマキを使おうという事になったのですが、沖縄にはそれだけのイヌマキがありませんでした。続く・・・




さて本日も『イヌマキ』の話ですが、名前の命名からは随分と卑下されたものの、材としては非常に有用な木として活用されてきました。高さ20m、直径500㎜ほどになる常緑の針葉樹で、大きなものになると直径が1m近くにまで成長するものもあるらしく、関東以西の太平洋側や四国、九州、沖縄などに広く分布しています。四国にも沢山生えているらしいのですが、木材市場に出てきたのを見たことがありません(広葉樹に関心の薄い愛媛の市場では、十把一絡げに雑木扱いされてしまうので)。

 

耐湿性が高いだけでなくシロアリに対しても強い抵抗性を発揮する事から、土台や柱などにも利用されるのですが、特にシロアリの多い沖縄では古くからイヌマキが使われ、その歴史は実に100年以上に及ぶとされていますコウヤマキの薬草のような匂いはしないものの、イヌマキにも独特の臭気がありますが、それと含有成分がシロアリに対して強い抵抗性を持っているらしく、土台や柱などの建築材に限らず家具や風呂桶、桶、屋根板、呑口(のみあなを塞ぐ栓)などにも使われます。

 

20150804 3また潮風にも強い事から生け垣庭園木としてもよく植えられていて、鹿児島の知覧の武家屋敷通りの立派なイヌマキ生け垣は有名です。以前に業社会の旅行で訪れた際には、立派で風情のあるイヌマキの生け垣と石垣の光景を目にしたものの、当時はまだイヌマキに対して今ほど関心が高くなく写真も撮らなかった事が今となっては悔やまれます。今回入手出来たイヌマキは一家庭の庭に植えられていたもので、そう大きなものではないためせいぜい【森のかけら】が取れる程度のもの。

 

それでも板になる前の状態(丸太)で出会えて、そこから順を追って板になるまでの過程を見続けられるという事は、材の特性を知る上でも貴重な経験です。うちは製材所ではないので、基本は板材での仕入れとなるため、元の姿を見る事は稀でした。最近は愛媛の木を原木で買ったり、庭園木をいただく事も増えて、立木や原木の姿を見る機会も増えたのですが、木を語るうえで『はじまりの姿』を知っておくことはとっても重要ですし、その端材まで大切にせねばという思いがますます強まるのです




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