森のかけら | 大五木材


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最近、出張などの際にフェリーを使う事が結構あります。フェリーの甲板に立つと、フェリーにもいっぱい『木』が使われていることに気づきます。フェリーの旅というのは、時間はかかるものの独特の雰囲気があり好きなのですが、寂しいニュースが・・・。先日正式に、松山市堀江港と広島県呉市阿賀港をつなぐ『呉・松山フェリー』が今月末で廃止され、会社も清算するという事が発表されました。ある程度予測はされていましたが、付近の住民としてはとても残念です。

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最盛期には1日に18往復もこなし、年間12万5千台もの車を運んだようですが、しまなみ海道の開通などで一気に落ち込み、更に高速道路の道路料金値下げなどの影響もあって、利用客の減少に歯止めがかからず苦汁の決断ということらしいです。この路線で仕事に関わっている方も多く、それぞれに多大な影響が出ると思われます。私の身近でも、運送業社さん、飲食業さんなど、大変深刻な問題だと頭を悩まされていました。一度航路がなくなってしまうと、再開するのはほぼ不可能です。一企業の経営努力ではどうにもならない事で、関係者の方々はさぞかし口惜しい思いだと察します。フェリーが運んでいたものは、ただ人や車だけではなかったという事を改めて痛感させられます。

しかし、大量物流のためにフェリー航路が生まれ、陸送に変わるのも時代の流れであるならば、もはやフェリーが復活しても継続する可能性は少ないでしょう。ならばそこに『人が集う新たな仕組み』を作らなければなりません。理想論ですが、上から押し付けられたものではなく、本当に必要な物が地元主導で作り上げられたらいいと思いますが、相当な困難が想像できます。けれど願いもしないものが出来るとは思えません。堀江に住む人誰もが誇りに思えるもの、そういうものができれば素晴らしいです。それは、他人任せにすることなく、地元のみんなで真剣に頭をひねらねば生まれてこないし、またそうでなければ意味もないと思います。

20090605-e69c9be983b7しかしどうしてフェリーはこうまで郷愁を誘うのでしょう。甲板に立って、小さくなる島影を見るとき、なぜだかたまらなく感傷的になってしまうのは、私が四国という島に住む『島人』だからでしょうか。私の場合は、映画のイメージもインプットされているから、フェリーに乗る時点で、『甘酸っぱい青春の感傷再生装置』にスイッチが入ってしまうので尚更なのですが・・・。その原点は、30年ほど前にNHKの名作劇場で観たフランス映画の名作『望郷』のラストシーン。名優ジャン・ギャバンが鉄条門越しに、出航する客船のデッキの彼女に大声で名前を叫ぶが汽笛でかき消され、隠し持っていたナイフを自分の腹に突き立てるという有名なラストシーンには涙が溢れ、原題の『ペペ・ル・モコ』とともに深く少年の胸に刻まれました。

20090125e38080e998b2e4ba88e6b1bde888b9e291a0その後は、映画『さびしんぼう』や『彼のオートバイ、彼女の島』などの大林宣彦監督の青春映画に登場するフェリーに、自らの魂も島へと運ばれていきました。このあたりの印象が強烈で、フェリー=別れ、再会、郷愁などもイメージが形成されました。飛行機や電車と違って、見送ったり見送られる人影が少しずつ少しずつ小さくなるのもフェリーならではで、思いがドンドン増幅されます。特別用事があるわけではありませんが、今月末までに子供達と一緒に堀江発フェリーにも乗っておこうと思います。かつてここをフェリーが往来し、賑やかに人が行き来したという事を深く心に刻んでおこうと思います。何時の日にか、子供達が大きくなってそういう風に思い出を懐かしむ日が来るのでしょうか。今日の一瞬が明日へとつながっているということです。今を大切に、燃えて生きねば!




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