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先日、映画「狼男アメリカン」の事に触れました。ご承知のように日本にいた固有種ニホンオオカミは、今からおよそ100年ほど前に絶滅したと言われています。私はリアル生き物は苦手なので(!)、もし生きていたとしても遠巻きに眺めるぐらいしか出来ない臆病者ですが、オオカミという存在には強く惹かれる部分があります。弊社の通信誌『適材適所』で5年ほど前に書いた記事(NO.108)ですが、思うところあり加筆して『森とオオカミの関係について』ご紹介します。
ここに荒廃する日本の森を復活させる画期的な取り組みがあります。我々木材業界の人間は、すわあ補助金だ、超大型工場だ、流通経路の見直しだ、大規模植林だなどと(人間の手による)ストレートな方法で長らく森の保護や活用を行ってきました。それが最良の方法であると信じて疑いもしませんでしたし、それ以外の道を考える事もしませんでした。それは行き詰った森林政策と同様に、いつまでも過去に固執し古い価値観から抜け出せない我々の心の状態そのものでした。
しかしここにまったく別の驚くべきアプローチで結果的に日本の森林、ひいてはその生態系、更に日本人の価値観すらも根底から大きく変えてしまう壮大なプロジェクトに挑んでいる人たちがいます。たまたま本屋でタイトルに惹かれて手にしたその本の名は、『日本の森にオオカミの群れを放て』(吉家世洋著 BNP社)。衝撃的なタイトルはオオカミを何かに暗喩したものではなく、本物生きたオオカミそのもののことです。なんと無謀な話だと思われるかもしれません。
ところが実はこのプロジェクトは夢物語などではなく、驚くほど科学的で緻密に研究、検証された計画であり、発想の奇抜さとダイナミックな展開にその内容が記された本著全202ページを一気に読破しました。この本を読んだとき、森との関わり方についてこういう考え方もあるのか、またいかに人間が愚かで思いあった生き物であるかという事を感じ、まさに目から鱗が剥がれる思いでした。それではその内容について触れていきます。まずはオオカミの生態について。太古から日本の自然の生態系の頂点にいたのはオオカミで、しかも彼らは犬などに比べてもはるかに高い知能を持った肉食獣で、自分たちの頭数をコントロールし、獲物となる草食獣を決して根絶やしにしないように巧みに保護(!)するという驚くべき能力を持っている動物であるのです。明日に続く・・・
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