森のかけら | 大五木材


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今日のかけら・#088【能登ヒバ/ノトヒバ】 ヒノキ科アスナロ属・針葉樹・石川産

 

私が初めて石川県の能登に行ったのは今から十数年も前のこと。『能登ひば』どころか石川県に行くのも初めての経験でした。確か秋の終わり頃に行ったのですが、私を迎えてくれたのは北陸特有の淀んだ鉛色の空。それまでの私の中の能登のイメージといえば、石川さゆりの歌った『能登半島』でしたが、まさに「夜明け間近北の海は波も荒く 心細い旅の女泣かせるよう」な風景が車窓に広がりました。よく木を語る際に『風雪に耐えて』といった形容を使いますが、この地こそその言葉に相応しい環境なのだと実感させられたのも懐かしい記憶のひとつです。 20150406 1

20150406 2 屋久島の屋久杉や木曾五木など昔から厳しく管理された森林資源がありましたが、青森の『青森ヒバ』も同様に貴重な地域資源として、『青森より勝手に持ち出す事いざならず』と厳しく管理されていました。江戸時代に、北陸の大名加賀藩主の命によって、隠密がその青森ヒバの苗木を、当時北陸以北の日本海沿岸の諸港から下関を経て瀬戸内、大阪に向かう航路で荷物を運んだ海上交易の要『北前船(きたまえぶね)』に密かに積み込み、奥能登の血に植林したのが『能登ひば』の始まりだとされています。初めてこの話を聞いた時「隠密」なんて言葉に高揚したものです。

隠密なんていうと黒づくめの忍者のような恰好をイメージしますが、そんな恰好をしていたらむしろ目立つだけで、実際にはそこらにいる普通の町民と同じような格好をしていたそうです。考えてみれば当たり前の事ですが、木の事を話していて急に「隠密」なんて聞くと、なんだかそれだけで『能登バ』という木の物語りになんとも言えない闇のような部分が膨らんできてドラマチックに思えてくるのです。そう、石川は加賀百万石、歴史と文化が息づく場所でもあります。ところでその持ち帰った苗木は能登に地にうまく根づくのですが、なにせ持ち出し禁止の木。

 

20150406 4 当地ではヒバの事を、木編に当たると書いて『档(アテ)』と呼びますが、これはヒバの名前を隠すための隠語であるという説や、植えてみたらうまく根づいて成長したので「当たった(よい値段でよく売れた)」からなど諸説あるそうですが、それらの説も何だか謎めいていて『能登ヒバ』に一層彩りを与えているように思います。輪島には隠密が持ち込んで植えたという『能登ヒバの元祖』の木が樹幹4mほどの堂々とした姿で今も残っていて、町指定の天然記念物となっているその木のある所まで連れて行っていただきました。明日はその『能登ヒバ』の特徴について・・・

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