森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら番外篇・E004【ドラゴンツリーDragon tree  リュウゼツラン科・和名/竜血樹(リュウケツジュ)

昨晩のテレビ番組「素敵な宇宙船地球」を観ました。2008年の世界遺産登録され、 シンドバッドが立ち寄ったという伝説の島ソコトラ島の不思議な木の話しでした。何の資源もないインド洋の小さな島が、なぜ世界遺産になったかというと、この島が大地変動に取り残され特異な進化を遂げた島で、貴重な植生物が生息しているからだそうです。「植物のガラパゴス」とも呼ばれるこの島にしか育たない奇妙な木、それが竜血樹です。もうこのネーミングからして惹きつけられます。観るのにも思わず力が入りました。

竜血樹は、別名『ボトルツリー』とも呼ばれていますが、まさにボトルを逆さにして大地に立てた形そのままです。正式にはドラセナ・ドラコ(デザートローズ)というようですが、私も初めて知りました。別名もいいです。ドラゴン・ツリーとか、ドラゴン・ブラッドツリーというようです。竜好きの私としてはたまりません!この奇妙な形は、この島の生い立ちにも深い関わりがあります。もともと雨が少なく、人間も住まないような過酷な環境だったようです。そんな乾いた土地でなぜ植物が育つかというと、

海の水蒸気をたっぷり含んだ風が霧を生み、その水分を効率よく吸収するために、逆さに傘を開いたような奇妙な形に進化しました。その竜血樹の幹を削ると、シナバル(樹液が固まったもの)が採れます。見た目にも赤褐色で、まさに血のように赤いルビーのようでした。『血の宝石』とも呼ばれるのも納得です。用途としては、地元の村で傷口の炎症や出産の止血止め、ニスや染料などに使われていたそうです。中東の商人たちの間では、その珍しさから装飾や顔料などとして高額で取引されました。

島では、採取した村人は1キロのシナバルで2頭分のヤギが買えるほどでした。村人も竜血樹に感謝しながら、地元の貴重な資源を大切にしようと、一度シナバルを採った木は2年間は木を休ませるという村の掟を守ってきました。ところが、それが2008年にこの島が世界遺産に登録されると、案の定観光客が詰め掛けるようになります。そして、何もない島のお土産として珍しいシナバルが人気を集め、ちょっとした樹脂バブルが起こり、売り手が増え仕入れ値が下がるようになります。

すると、単価が下がったのでもっと採りたい派と、木が弱るのでインターバルを置くべきだという派に分かれ、村は対立し騒動が起こります。しかし結論の出ぬ間に、大変事が起こります。竜血樹が次々と枯れ始めたのです!すわ、神の怒りか?反対派の実力行使か?実は、その理由は意外な物でした。地球温暖化の影響で、海面の温度が温まり、以前よりも高地で霧が出来るようになったのです。霧の減少、つまり水分が不足して枯れてしまったというのです。そしてこのままだと、30年で竜血樹が島から消えるということが、科学的に解明されます

そこで村人達はどうするか?村人達は小さな竜血樹の苗木を植え始めたのです。それで、竜血樹が守られるわけではありません。それでもささやかながら自分達の出来ること・・・と言うことで番組は終わります。こういう事態に直面したとき、莫大なお金をかけずに出来ることといったら、今も昔も『自ら木を植えること』なのでしょう。でももしこれが昔だったら、そういう学術的な原因などは分かるはずもなく、村民を前に村の長老が「シナバルを採りすぎて神の怒りに触れたのだ!」とでも言うもではないでしょうか。

そして香を焚き神への祈りを捧げ、数年間はシナバルを採ってはならない!という事にでもなるのではないでしょうか。これこそ本来の人間と自然の関わり合いではないでしょうか。自然への畏敬の念を抱いたままであれば、環境破壊や温暖化という問題もここまで大変なことにはならなかったのではないでしょうか。原因が科学的に解明されすぎてしまうと、自然への恐れや畏敬の念は感じなくなってしまうと思います。この場合がどうだというわけではありませんし、科学は人間の叡智だと思います。

でも全てが分かりすぎる事は、なんだか危険な気もします。やっぱり、クスノキやタブノキの巨木には神が棲んでいるし、竜血樹にもドラゴンが棲んでいるのではないでしょうか。でなければ、あんな姿になるはずがありません。そして竜血樹の血は、この地球の行く末を憂う竜の嘆きの血なのではないのでしょうか。そうであってはほしくないと願うばかりです。関連ブログ竜血樹・ドラゴンツリー、ふたたび!」も是非ご覧下さい。




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