森のかけら | 大五木材


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昨日に続いてヤマボウシの名前の起源についての考察ですが、日本書紀の時代(720)に既にヤマボウシと呼ばれていたということは、延暦寺は延暦7年(788年)に創建されたという事ですので、延暦寺の僧侶に見立てたという説は後付けっぽいですね。そうなると浮かび上がってくるのが倉田悟氏が著書『植物と民族』と唱えられている説。その説は「ヤマボウシの実は人々の眼をひき、丸くてぽつぽつとお釈迦様の頭のように凸起のあるその実は、しばし法師の頭とみなされている」というもので、僧侶の頭巾由来とは異なります。

頭状をした花序や包みの色にもとづく僧侶の頭巾説と、果実の形由来説があります。咲いた花を見ていれば僧侶の頭巾説がもっともだと思うし、花が落ちて果実だけになった姿を見ればお釈迦様の頭のように思えるし、いずれの説も先人たちがいかによく植物を観察し、それを何かに例えて表現しようとしたかがうかがいしれて実に面白いです。材質が硬い、やわらかい、加工具合がどうといったマテリアルとしての話以上に、私はこういった木の名前の由来や背景などについての話が大好きです。木の楽しみ方はひとそれぞれ♪

植物の名前の呼び名による混乱も私にはある種の謎解きのようで楽しい。こういう理由でその呼び名が通説となったのかという事が分かった時の快感といったら、汚れを落としたら予想外の杢が現れた時のそれに匹敵!ヤマボウシについても気になる事があったので今回改めて調べてみました。ヤマボウシの古名は『柘(ツミ)』というらしく、古くは万葉集にその名が出てきます。中でも有名なのが若宮年魚麻呂(わかみやのあゆまろ)が詠んだとされる「この夕(ゆうへ)柘(つみ)の小枝(さえだ)の流れ来(こ)ば 梁(やな)は打たずて取らずかもあらむ」という句。

これは日本の神婚伝説の1つとされる『柘枝(ツミノエ)伝説』に基づいたものです。昔、大和国吉野川で漁を業とする味稲(ウマシネ)という若者が,川に梁(やな/魚を捕るための仕掛け)打って鮎を捕っていたらある日、上流から柘の枝が梁に流れてきたので、その柘の枝を拾い取って家に持ち帰ったところ小枝は美女に変じて二人は結婚したというものです。その伝説の事を詠ったのが若宮年魚麻呂の句で、仙女が化したという柘の枝がもし流れてきたならば、梁を打つような手荒な捕らえ方をしないで、それを取れないものだろうかという内容だそうです。明日に続く・・・




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