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先日、用事があって日曜日に木材団地に行く事がありました。プレカットの部材を取りに来たのですが、ほぼ無人のプレカット工場というのは妙な雰囲気です。やはり工場は、動いていてなんぼのモノです。プレカットが松山の地でも本格的に稼動し始めたのは今から20年ほど前。それまでは手刻みが前提でしたから、当時は年配の大工さんを中心にかなりの抵抗があり、「あんなモノでまともな家が建つか」と散々な言われようでした。今プレカットが家作りの要と言って異を唱える人はいないでしょう。
その功罪はいろいろあるのも事実ですが、ただ批判するばかりで現実とますます乖離するばかり。その状況の中で自分の立ち位置を定め、出来ることを実践せねばつまらない批評家になり下がってしまいます。時代に応じていろいろな職種が消え生まれてきますが、時には波に抗(あらが)う事もあれば背中を押す大波に乗れる事もあるでしょう。幸いにも木を扱う仕事は激変する時代の中でも、多少形を変えながらも何とか生き残ってきました。
決してこの世から「住宅」という産業が無くなる訳ではないから、生き残っていけるというのは事実かもしれませんが、自社がその中に残ることが出来なければ意味がありません。プレカット工場のある木材団地も、20数年前は大きな原木の転がる「木の団地」でしたが、いまや異業種が軒を連ね、木材団地もすっかり姿を変えました。恐らく全国各地の木材団地でも似たような光景が繰り広げられている事と思います。思えば昔は、木からイメージするモノの姿がかなり共通していたのかもしれません。
そこから連想される材木屋のイメージもほぼ似通ったものだったでしょう。「既存のイメージ」が塗り替えられる中、20数年前に大学生だった私が思い描いた材木屋の姿は、もうこの近くでは見かける事はなくなりました。残す事、変える事、どちらの道むにもそれぞれ「覚悟」がいります。今年の成人式で、成人たちの恩師から贈られた祝辞の中に『人間(じんかん)いたるところに青山あり』との言葉がありました。世の中自分が生かせる仕事は星の数ほどあれど、掴める星には限りがあります。その意は受け取る年代によってさまざま・・・。
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