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週末のコラボイベント『森のかけら音のかけら』を開催させていただいた双美町のカフェ「Ledru Rollin378」は、地区100年を超える古民家をリフォームされたそうで、初めて訪れると1階と2階の雰囲気のギャップに驚かれるでしょう。ゆうに1尺は越えるような梁が二重三重に木組みされ、その豪奢な造りは見る者を圧倒します。リフォーム以前は、この立派な木組みも天井の裏に隠れていたそうですが、これだけの木組みが見えるか見えないかで、室内のイメージはガラリと変わります。
私は古民家マニアではありませんし、自社で古材を扱っているわけでもありませんが、さすがにこれだけの木組みを見ると簡単に「壊して建て直す」などという発想は出てきません。モッタイナイというよりも、これは保存・継承しなければならないレベルの代物。建てられたのが100年前ということですから、尺(およそ303mm)オーバーの立派な地松も恐らく地元周辺の山から伐りだされたものでしょう。
1階の梁間近で見れるところがあったのですが、長い経年変化で冬目が浮き上がってくる天然の「浮造り」になっています。フローリングなどのように摩擦抵抗が無い部分でも、これぐらいの時間を要すると浮造り状態になるものなんですね~。同時に虫害もかなり進行していましたが、目視する限り構造的にはまだまだ大丈夫なように見えました。今だったら「虫が出た~!」と大騒ぎになるところでしょうが、かつては虫との共存も当然の認識だったんでしょう。
よほど被害が酷くなって強度が担保出来なくなれば別ですが、自然素材のあるべき姿は受け入れるというのが昔の日本人のスタンスだったと思います。お店の梁の詳しい樹種の確認までは出来ませんでしたが、恐らく『アカマツ』だと思うのですが、もしかして100年前だと、マツクイムシの被害を受ける前の巨大な『クロマツ』㊧がこの地にもまだまだ潤沢にあったのかも・・・。今、これだけのマツを集めようとすれば、お金・時間共に相当な労力が必要となることでしょう。
昔、私の祖父の家もかなり年季の入ったものですたが、その壁や床には虫穴や青染み、割れなど普通にありましたし、それについて祖父たちが不満や不自由を感じているようには思われませんでした。建築や家の事など何も知らなかった当時は、大きな節穴や虫穴すらも、何かを詰め込んで隠せる秘密の穴のような感覚でよく遊んでいたものです。穴の下にはきっとビックリするようなタカラモノが溜まっていたことでしょう。節穴、虫穴は、タイムスリップさせてくれる秘密のトンネルなのかもしれません。
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