森のかけら | 大五木材


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昨日の続きです。

20090905 タワーリング・インフェルノ3映画『タワーリング・インフェルノ』(1974)は、超高層ビルの火災のパニック・アクション映画ですが、ポール・ニューマン、スティーブ・マックウィーン、フェイ・ダナウィイ、ロバート・ボーンなど超豪華俳優出演も話題になりました。個人的に大好きな映画なのですが、それぞれの立場のプロフェッショナルが活躍する映画でもあり、『消防士』や『建築家』、『ビルのオーナー』などの職種を強く意識させられた映画でもあります。

主役のビッグ2、P・ニューマンとS・マックウィーンに多くスポットライトが当たっていますが、お互いがプロとして自分の仕事に誇りを持ち全力を尽くします。大図面を広げて瞬時に事細かな指示を出すP・ニューマンを見て、子供心にそんな細かな事まで覚えているわけないじゃないと思ったものですが、この仕事に就いて、『建築家』という仕事の懐の深さに脱帽させられました。今思えばかなり説得力のある演出だったと思います。

 

20090906 お楽しみはこれからだまたもう一方のS・マックウィーン扮する消防隊長は果敢に猛火に挑んでいきます。当時はその勇猛さばかりが印象に残りましたが、後年ある1冊の本を読んでから更にそのキャラクターの造型に深みを与えてくれました。後に『麻雀放浪記』という傑作映画を監督するようになる大の映画ファンの和田誠さんの『お楽しみはこれからだ』(文芸春秋)です。映画の名セリフに和田さんの画と文で綴る3部作のエッセイ集です。初版が1975年ですから、まあまあ古い本なのですが、和田さんの画がよく真似をしたほど大好きだった事もあり、ページが擦り切れるほど読みました。

 

 

その中の『タワーリング・インフェルノ』も取り上げられていました。S・マックウィーンが建築家のP・ニューマンに向かって言う台詞、『確実に消火できるのは七階までだ。それなのに建築家は高さを競い合う。』映画の字幕と吹き替えは多少違うとは思いますが、『仕事』の裏にはそれぞれの立場や思惑やいろいろなしがらみが貼り付いているのだという事も強く意識させられました。1974製作の映画ですから、『建築』も『消防』も当時とは比べ物にはならないほど変わっていますが、それぞれ人の生活の基盤を支える命を守る大切な仕事です。

ビルオーナーに扮するW・ホールデンは辛い役回りでしたが、悔恨の念や苦渋の選択、人間の業など哀感漂う演技が心に残りました。この映画でウィリアム・ホールデンという名前が脳裏に刻まれ、その後中学生の頃観たある1本の映画で、さらにホールデン熱は高まり決定的となります。『タワーリング・インフェルノ』とは打って変わったシリアスな映画『クリスマス・ツリー』(1968)です。

20090906 クリスマスツリータイトル通り「クリスマス・ツリー」がドラマの悲しい舞台になります。物語は、米軍機の放射能を浴び、余命半年の白血病と診断さた少年と限りない愛情で彼をさせる父親のメロドラマです。昔確かNHKの名作劇場で30年近く前の放映だったと思いますが、パリが舞台で撮影もフランスで行われたことで、ハリウッド映画とは違う独特の雰囲気がありました。少年の願いは「オオカミが欲しい」という事と「クリスマスまでは生きていたい」という事です・・・。もう涙、涙、涙・・・少年のあどけない表情と過酷な運命、いろいろな思いが重なり合い、もう途中から涙が溢れてどうにもならなかった記憶があります。『タワーリング・インフェルノ』よりも5年ほど前に製作された映画でしたが、観たのは前後したので、『あのビルのオーナー』がこんな優しい父親に・・・という複雑な感傷もありました。この後しばらくは、クリスマスが決して楽しいだけのものではありませんでした。ホールデンの死を知った時も、この映画の事がすぐに思い出されました。

20090906 クリスマスツリーツリーそのものは重要な意味を持ってはいなかったと思うのですが(その部分の記憶が少し曖昧なのですが・・・)、『クリスマス・ツリー』と聞けば、条件反射的にW・ホールデンの顔と雪の中に眠る少年と悲しいオオカミの遠吠えがセットになって蘇ります。木にも花言葉のように『木言葉』がありますが、それぞれの木から連想するものは、ひとさまざまでしょう。弊社にある『モミの木』を見るたびにホールデンの顔が思い浮かびます。木の年輪には時間だけではなく、多くの人の『想い』も一緒に刻み込まれています。




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