森のかけら | 大五木材


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木綿のような肌触りを持つカツラ(桂)の事をご紹介させていただいていますが、本日は具体的なカツラの木の使用実例についてのご紹介。愛媛にいては建築材や家具材としてでもほとんど使われる機会のないカツラですが、不思議と弊社ではカツラを取り入れていただいた現場が連続しています。そのうちの1つが、イシマルデザイン一級建築士事務所岸絹子さんが手掛けられた『ギャラリー隣花庵』さん(松山市小栗町)。庭の美しい瀟洒な日本家屋を改造してギャラリーにされました。

店内で砥部焼などの器を展示される展示台をご注文いただきまして、岩手県産のカツラの耳付き板を使っていただきました。両耳付きで、かなり耳に変化のある(凹凸の激しい)木ですが、弊社で眠ること10数年。恐ろしいまでに乾燥が進んでいて、長さ2m、幅950㎜ありますが、独りで軽く持てるほどに乾いています。実はこのカツラの板は、私にとっては思い出の一品でもあります。まだまだ広葉樹の魅力を理解していなかった当時、私に広葉樹の、一枚板の魅力を教えてくれた板です。

ほぼ全身赤みの木だったのですが、耳に近いところに数多くのピンホール(虫穴)もあります。仕入れた時には、直径1m近い大木を板挽きにした共木が7,8枚ほどあったのですが、1枚売れ、2枚売れて、いよいよ最後の2枚となっていたうちの1枚でした。それまで国産材というと愛媛産か四国産の木しか使っていませんでいたので、樹種もスギ、ヒノキ、マツ、サクラなどに偏っていました。売れるという見込みもなかったのですが、何かに呼び寄せられるように勢いで購入しました。

あれから10数年の時が流れて、お陰様で何百枚の耳付き板を扱わせていただきましたが、その方向に自分が歩みだすきっかけになった木の事は忘れません。当時はデジカメもなかったので、何度も何度も一眼レフで写真に収めていましたし、また当時は倉庫の中にも耳付き板がほとんどなくて、弊社においてもかなり珍しい存在だったので、ご来店される人にもしきりにお見せしていたので、その形も雰囲気もよく覚えています。それがこのたびご縁をいただいてようやく嫁ぐことに。

木のご縁って本当に不思議なもので、経験則ですぐに売れるだろうと思って買って板がなかなか売れずに倉庫の中で何年も眠ることもあれば、これは売るのに時間がかかりそうだけど面白そうだから買っておくかと思った材があっという間に売れたり・・・。ある程度は傾向とか流行りってあるものですが、そこはあくまでマニアックな嗜好品の事ですから、出会った時がご縁。一抹の寂しさもありますが、うちの倉庫で馴染んでいた時よりもずっとずっと隣花庵さんで馴染んでくれますように。




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