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映画宣伝話としてだけでなく、この考え方は木材の販売についても大いに参考になるものです。例えば世界に名だたるスピルバーグやリドリー・スコットなどの巨匠が、数百億円もかけて作った超大作などの場合、配給会社としては当てる(大ヒットさせる)事は至上命題。そのためには相応の宣伝広告費をかけて、テレビやラジオ、メディアで総力戦のようなパブリシティを行わなければなりませんが、宣伝コストをかけたからといって必ずしも期待しただけの効果が得られるとは限らない。
作品そのものに魅力がなくては、いくら宣伝で煽ったところで好成績には結びつくはずもないの。超大作であればあるほど、ヒットさせて当たり前とされ、予想に届かなければ嵐のような批判にさらされるわけで、そう考えればむしろ安い製作費で作られた小作を、手練手管でヒットさせる事の方が宣伝マンとしての醍醐味を味わえるというものかもしれません。これを木材市場で考えてみます。世間一般で高い評価のあるケヤキなどの銘木の木材は、当然ながら人気もあって仕入れも高額。
テーブルや座卓に使えるようなサイズで杢目の美しいものとでもなれば、セリでも競争激化は必至。競争相手が多ければ多いほど価格も高騰し、希望仕入価格を大きく上回ることあります。そうなった場合に、それでも追いかける(競り上げる)か撤退するかは、仕入れる側の材木屋の判断と状況次第。どうしても差し迫って仕入れなければならない状況の場合は引くわけにもいきませんが、在庫として仕入れる場合には『勇気ある撤退』とするか、『勝負を賭ける』を瞬時に判断せねばなりません。
ある程度のサイズで名の通った木の場合は、売れる値段にも大体の相場感が出来ているので、高く仕入れたからといっても高い価格で売れるとは限らず、得られるはずだった利益を圧縮してしまうこともあります。逆にほとんど無名の木(流通量が少ないとか、認知度が低い)の場合は、それなりのサイズがあっても、手頃な価格で仕入れることもできます。しかしその分、希望価格で売れるかどうかはまったくもって不明。果たしてそれは己の営業力次第ということになるわけです。
昨日の続きで映画宣伝の話ですが、『メガフォース』は、作品そのものがあまりにもしょぼくて、無敵兵器タック=コムという最新マシーンは、どう見たってただの軽自動車にデコレートしただけのあまりにもみすぼらしくて安っぽい、そして何よりもまったく強そうには見えないシロモノ。遠近法をどこまで無視して拡大解釈すればここまでその軽自動車を巨大で勇ましく描けるものかと思える超過剰演出。騙されたという気持ち以上に、嘘を言ってもいいんだと感じたものです。
まあ、決してポスターやチラシで謳われている「全世界が泣いた!」、「今世紀最大の~」、「前人未到の~」なんて宣伝コピーを信じていたわけではありませんが、『メガフォース』で感じた不信感・虚脱感は特別なもので、ポスター等に描かれていた画がSF大好き少年たちの心をくすぐり大いに期待させるほど格好いいものであっただけに、実際に映像とのギャップ、解離間の虚しさは大きく、裏切り、詐欺という怒りの逆ベクトルに大きく振れてしまうことになったのです。
そのガッカリ感はキッチリ数字となっても現れ、東宝東和がサマーシーズ最大の目玉と打ち出して煽りに煽って宣伝したにも関わらず、お盆前の5週間興行で打ち切りとなり、配給収入は3億8267万円。3億円もの宣伝費を計上したにも関わらず・・・。まあそういった映画配給の裏話やら苦悩、一方で逆に海千山千のベテラン宣伝マンたちでさえまさかここまで売れるとは、と予想を遥かに上回るスーパーヒットになった話などが、配収や観客数などのリアルな数字を交えて描かれた本です。
スーパーヒットの実例としては、南アフリカで製作された少数民部族の男が主演した作品、『ブッシュマン』。ほとんど期待もされずに、映画館の空いたスケジュールを埋めるために東和が送り出したこの作品は、実に23億8100万円もの配収を計上して、その年最大の成績を収めることになるのです。こういう映画宣伝の手法は、ただ物質(モノ)を売るのではなく、時間や経験を売り、それぞれの個人的な価値観で評価してもらうという意味で、非常に興味深くとても参考になるのです。
昨日までの映画のタイトルに関連しての話になりますが、ここに1冊の本があります。著者は斉藤守彦さん、1961年生まれの映画ジャーリストで数々の映画に関する著書がありますが、その斉藤さんが2013年に書かれた映画の配給会社の裏話。1970~80年代に、ワーナーやフォックスといったメジャー系に対して、ゲテモノ・キワモノから感動作まで手八丁口八丁の宣伝で戦いを挑んだ日本のインディペンデント系の配給会社の記録『映画宣伝ミラクルワールド』。
サブタイトルは、『東和・ヘラルド・松竹富士/独立系配給会社黄金時代』。冒頭のページに掲げられた「あの夏『メガフォース』を観て、怒りと失望のあまり、映画館の看板を蹴飛ばして帰った、かつての少年たちに、本書を捧ぐ・・・」という斉藤さん自身の言葉に惹きつけられて購入。本の内容は冒頭で書いた通りで、独立系の配給会社がいかに工夫して、仕入れてきたスター不在の名もなき作品や売り方の難しい作品をいかにしてヒットさせたか(あるいはコケたか)。
また、冒頭の言葉に引用された『メガフォース』とは、同世代の男子の映画ファンならば誰もが激しく共感できるであろういわくつきの1作。1983年の夏に公開されたアクション映画で、監督は前年に『キャノンボール』を大ヒットさせてハル・ニーダム。映画雑誌には、豪快に荒野を疾走する巨大な最新鋭のスーパータンクと躍動するスーパーバイク!最新メカが登場する豪快で迫力面店の格好いいSF大作、誰もがそう信じて疑いませんでした、だってそう描いてるし、そう謳っているし。
映画宣伝におけるパブリシティやアドバタイジングなんて言葉なんて知る由もない少年たちの『メガフォース』に対する期待は、無残にも打ち砕かれ大いなる失望が押し寄せ、もって行き場の無い怒りは大いなる偽りの映看板へと向けられることになるのです。パブリシティとは、観客を集めるために認知度や鑑賞意欲を高める作業。アドバタイジングとは、ポスターやチラシなどの宣伝材料や広告を作る作業。『メガフォース』においてはそのいずれもが逆効果、逆作用に働いたのです。
昔、映画のキャッチコピーは『惹句(じゃっく)』と呼ばれていて、それを考え作る人の事は『惹句師(じゃっくし)』。惹句とは用語解説によれば、「人の心をひきつける短い文句。特に広告文などで、
その中にはトンデモナイようなモノも沢山ありましたし、「愛」やら「夢」やら「哀しみ」、「青春」なんて凡庸な言葉の積み重ねで、折角の素晴らしいテーマや内容が駄目になってしまうことも多々ありました。本題を超訳して作品のテーマを暗示し成功した例としては、最近大ヒットした『アナと雪の女王』。本題は『Frozen』(凍結や凍ったの意)。『スタンド・バイ・ミー』、本題は『the body』(死体)。『遊星からの物体X』(THE THING)などなど。
または、主人公の名前だけのシンプルな本題を思い切って超訳した例として、『ランボー』の本題は『First Blood』。古くなりますが『明日に向って撃て!』(Butch Cassidy and the Sundance Kid)、『俺たちに明日はない』(Bonnie and Clyde)、キューブリックの『博士の異常な愛情』(Dr.Strangelove)など。また、トリュフォーの遺作『日曜日が待ち遠しい!』(土曜を逃げろ)や、香港映画『恋する惑星』(重慶森林/主人公たちが暮らすマンションの名前)などなど。
古い映画ばかりで恐縮ですが、そこには宣伝マンたちの目立たせて気を引いてヒットさせてやるぞという強い意志や軽妙な遊び心が感じられます。そして何よりも映画そのものに対する強くて深い愛情と尊敬の念が溢れているように感じられます。こうした邦題のネーミングも、私が商品に名前を付ける時に大いに参考にさせていただきました。駄洒落や言葉遊びのようなことをしても決して商品や素材そのものに対する愛情や敬愛の気持ちを忘れてはならない、人を不快にするものであってはならない。
現在、端材を使った新商品の開発を進めていて、商品そのものはほぼ完成しており、販売価格やパッケージの選定など最終段階に入っています。来年早々の販売開始を目指しており、このブログでも紹介する予定です。今までにも【森のかけら】や『モザイクボード』、『木言葉書(きことのはがき)』、『円(まる)き箱』など端材を利用した自社のオリジナル商品を開発してきましたが、それらのネーミングも自分で頭をひねりながら、無い知恵を絞りだして考え命名してきたものです。
ネーミングを専門家に任す方もいますが、私は自分で考えるタイプ。というより商品にとってももっとも大切で核となる「モノの名前」を他人に委ねる、または自分で考える醍醐味を放棄するなんてあまりに愚かしくてモッタイナイと思ってしまうのです。商品の名前にこそ、商品開発における製作者の熱情や思い、コンセプトやエッセンスなどが短い言葉の中に凝縮されたものだと思います。我が子に名をつけるかのように、自分の商品に名前を付けるというのも愛おしい作業です。
私は大学時代、経営学部でマーケティングを専攻していました。残念ながら学校で学ぶマーケティングの理論は私にとって決して身近ななものでも面白いものでもありませんでしたが、実生活で目にしたり手にするさまざまな商品のネーミング作成の裏話やそこに込められたメッセージなどの実例には心惹かれるものがありました。卒論は、売れるものづくりのネーミングの研究。子供の頃から絵や漫画を描いたりモノの名前や台詞を考えるような創作活動することが大好きでした。
映画を観るのも作るのも好きで映画研究部にも所属していましたが、映画宣伝における洋画の邦名タイトルやチラシのキャッチコピーなどにも強く惹かれました。今ほど権利が主張されない時代、法律に抵触するような反則スレスレの無茶な宣伝や、過大表現、過剰宣伝などのキャッチコピーも沢山ありましたが、それは百も承知でも「観てみたい、騙されてみたい」と思わせるだけの熱量があったように思います。それが将来、材木屋の仕事の中でよもや役に立つような事になろうとは・・・
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