森のかけら | 大五木材


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日本では主に優れた彫材として名を馳せ、名前の由来となったいきさつや香気のかぐわしさから、気高く高貴な木として扱われるイチイですが、世界から見ると少しイメージが違うようです。この木の仲間は北半球に8種類ほどあり、中国東部からウスリー、サハリン、オホーツクなど寒冷地をはじめ、ヨーロッパなどに分布しています。特にイギリスでは、弓(ロングボウ)の材料として古来から高く評価されてきました。日本と同じく彫刻やろくろ細工は元より、伝統的なウィンザーチェアーの曲げ木としても利用されてきました。

英語では『Yew(ユー)』とかユウと呼ばれる品種がありますが、日本の『イチイ』に比べると赤味が深く、紫や橙褐色の混ざったような複雑な色合いをしていますが、全体的に色目は濃く、やや重いのではないでしょうか。それほどの大木になるような物は少なく、枝が多いことから、節や割れが多く大きな部材には取りにくいですが、重厚な力強さがあります。弊社にも在庫がありますが、かなり大きな割れがあり、何に使うかいまだ思案中です。左の画像は、倉庫の中に立ててあるものを撮ったので、暗く写っていますが削ると鮮やかな赤身が現れます。こちらは中国産のユーの1種です。巾が400mm程度で耳付きなのですが、白太は傷や虫穴も多く家具材などには使えません。といって、あまり小さな物に割ってしまうのも勿体無いし・・・そんな事ばかり考えているのでいつまで経っても使えません・・・貧乏性です。

そのYewですが、欧米でも『長寿・永遠の象徴』として神格化されている一方で、間逆のイメージもあります。それは、葉っぱに有毒物質が含まれていることから、死のシンポルとされるようで、墓場に植えられることもあるようです。もっともこれは死が永遠の生とも結び付けられて、冥界への入り口に誘い込む役割を果たしているとも・・・。有名なところでは、シェークスピアの『ハムレット』で、Yewの葉から生成した毒を王様の耳に流し込んで毒殺する場面が登場したり、『マクベス』でも魔女がYewの枝を折って鍋に放り込む場面があります。

円い森にもイチイを使いたいのですが、節や割れがあってなかなか大きな部材が取りにくいのと、その花言葉が「悲壮」とか「悲嘆」なので、ちょっとどうかなと・・・。別にイチイが悪いわけでも何でもないのですが、それぞれにいろいろな役割や意味合いがありますから。以前、飛騨に行った時にイチイで作ったウサギの形のネクタイピンを購入しました。耳に白太を取り入れ、愛らしいデザインになっていて今でもよく使ってます。飛騨の町の商店街には、イチイの木がたくさん植栽されていましたが、地域のシンボルツリーを大切にし、それを活用するのは素晴らしいことです。

住宅の部材としては、床の間ざいぐらいにしか利用されなくなったイチイですが、クラフト細工などの世界ではまだまだ可能性がありそうです。イチイの鉛筆の復活も出来ればいいのですが。たとえイチイが駄目でも、いろいろな木で『森のかけら鉛筆』本当にやりたいなあ・・・。これからは値段だけではない、物語性を持った商品が求められます。世界中のいろいろな木の鉛筆あったら楽しいと思うのはわたしだけでしょうか?とりあえず集めてみよう!これにて、イチイの話はひとまず終了です。

 




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