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右の画像は決して『風の谷のナウシカのオウム』ではありません。以前にご紹介した【幻の珍獣・ブタマジロ】が群がっている画です。少し大きめの親と、小ぶりな子のファミリーがいたのですが、このたび飼い主が見つかり遠く北の方へもらわれて行きました。兵庫県生まれですが、縁あって愛媛で捕獲され、東北の方で飼われる事になったわけですが、元気に育ってほしいものです。我が家の自宅で1匹だけ、プライベートで飼っていて者を残して、すべていなくなってしまいました。あればあれで、売れるかな?と心配になるし、なくなればないで寂しくなります。
早く次を仕入れ・・・いや、捕獲すればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、これを専門に作って・・・いや、発見出来る訳ではありませんので時間もかかります。このブタマジロたちは、何をしてくれるわけでも何か芸があるわけでもありません。いわば、ただの置物ではあります。桧の間伐材で作った・・・いや、生まれた珍獣です。これは決して、間伐材の有効活用などとお題目を唱えようとして作られたわけではなく、そこにあった材料で面白く遊んでみたという感覚のものです。私もこれで、間伐材の利用促進などと謳うつもりは毛頭ありません。
今、間伐材の有効活用が大きな社会問題にもなっておりますし、実際にそういう活動に熱心に取り組んでいる団体もあります。それはそれで素晴らしいことだし、是非頑張っていただきたいと思います。しかし現実には、ブルドーザーで一気に押し流してケリがつくような簡単な問題ではありません。一口に間伐材といっても、その対象となる実像と思いの間にはかなりの差があります。それは地域の林業の状況や流通体系などによっても様々です。ごく一般的に『間伐材』として語られイメージされるのは、るそれは、『森を育てていく中で、密集しすぎて、太陽の光りが届かなくなったりうまく成長できなくなった木を効率的に育てるために、弱ったり曲がったりした小さな木を間引くときに発生する、建築などに不適な小径木』だと思います。もっと分かりやすく言えば、大きく立派な木を育てるために間引かれる小さく曲がった未利用材です。
昨今の林業の疲弊感は並大抵のことではなく、現場で一切の余裕がありません。間伐によって残った木が高値で取引されれば、間伐材もきちんと整備され、植林、育林、伐採のローテーションがうまく循環するのでしょうが、住宅着工数は最低記録の更新を続けるばかりで、出口となる売価が底に張り付いたままです。まだ間伐の手が入る山はいい方で、林業を放棄した山がたくさん見受けられます。30~40年も育てて、柱1本が数百円にしかならないようでは、もはや経営は成り立ちません。例え間伐したとしても、『切捨て間伐』といって間伐した材をそのまま山に放置するケースがほとんどです。残した良質な材ですらその有様ですから、ましてや間伐材を山から搬出すれば大赤字となります。誰も好き好んで山に放置するわけではありませんが、それが山の現状です。他の県では、大規模な林業経営をされて間伐材を搬出し活用されているケースもありますが、愛媛県ではほとんどが小規模林業で、山の整備も販売システムも立ち遅れています。
こういう話をすると、「勿体ない、山から出してくれれば使うのに」とおっしゃってくださる方もいるのですが、その搬出作業が大変で、ある程度まとめなければなりません。数がまとまるという事は、色々な物が混ざってくるという事です。もともと、曲がっていたり成長の悪い材を間伐しているのですから、大きさも形もまちまちです。それらをまとめて引き取っていたければありがたいのですが、そのうちの数本ということになると、残りを保管する費用などが発生してきます。丸太は一般の方が想像される以上に安いのですが、物が大きいだけに運ぶといってもリフトやトラックが必要で、それを運転する人間も広い敷地も要ることになります。下手をすると丸太そのものよりも、そちらの経費の方が高くなることだってあります。
また間伐材の有効活用も大事なのですが、山側としては本来の商品である『間伐して選ばれた木材』が正当な値段で売れることが前提なのです。そうでなければ幾ら間伐材が売れたとしても経営は出来ません。しかしこれは用途の違う木ですから同論で語るべきではなく、それぞれに道は探る必要があると思います。大きさも形もバラバラの間伐材を山から出せる(物理的な意味ではなく)システム、現在その最大の消費は合板原料だと思われます。山に入れば、間伐された木の中には形の面白い芸術的な物もあります。うまく使えばお宝に変わるものもありますが、その緩やかな楽しみは林業経営を支えてはくれません。森を守れとも言われますが、商業用ベースで山から伐り出される丸太の圧倒的なボリュームは、机上の想像を遥かに凌駕します。その1本1本に個性を見出す木工と、わずか数秒で削られていく合板生産が対照的に存在しているのが木の世界です。
ブタマジロは、1,2本の間伐材から産み落とされました。これによって間伐が有効に・・・などとは申しません。しかし、何の利用もされることなく下手をすれば廃棄されたかもしれない材がこうして加工され、誰かの手に渡り楽しみを与えられたという現実はあります。ブタマジロは、日本の間伐材の未来も大きなメッセージも背負ってはいません。間伐材も人間が勝手に与えた名称で、本来役に立たない木などないからです。兵庫の森から生まれたブタマジロは、そんな人間の身勝手な思惑もパクっと呑み込んで、飄々(ひょうひょう)と歩いていくのです。それで、いいのだ!!


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