森のかけら | 大五木材


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091231_1637~0002従来の三国志における孫権のイメージは決して良いものではありません。野心溢れる先代・孫堅が大望を目前にしながら暗殺され、その遺志を受け継いだ才色兼備な長男・孫策伯符が更に若くして毒殺され、その跡を継いだ弟・孫権仲謀は先代と兄の遺した優秀な重臣に支えられ劉備、曹操と肩を並べられたというのが定説のように語られています。史実ではそういう風になっているのかもしれませんが、王欽太氏の『蒼天航路』では、かなりの大胆解釈で孫権が描かれています。どちらかというと、頼りなく偶然廻ってきた呉の王の椅子に座った頼りない男というイメージがあっただけに、このキャラクターの造形にはとても心を惹かれました。

091231_1636~0001自分が男3人兄弟+妹という環境で育った事もあり、男兄弟の物語には強く惹かれます。特に、兄・孫策は秀でた容姿を備えて性格も温厚で、性格は闊達で人の意見を良く聞き入れ、適材適所に人身を登用したのに対して、才武に劣る弟・孫権が周瑜公瑾(しゅうゆ・こうきん)などの有能な家臣に支えられたという件りには、同じ二男として共感を覚えずにはいられません。周瑜の武才は、映画『レッドクリフ』でも華やかに描かれていました。他にも、呉の3代に使えた程普(ていふ)、黄蓋(こうがい)、韓当(かんとう)の勇猛な将軍を含め、確かに孫権の周囲には優れた重臣が居て、孫家を支えたのは事実でしょうが、当の孫権の心情はいかばかりであったでしょうか。私は、それが気になって仕方ありませんでしたが、『蒼天航路』ではかなり溜飲が下がりました。

 

 

20091230 孫権大中華の一時代を治めた孫家はあまりにも別格ですが、誰でも否応なしに生まれた環境でその後の人生は大きく左右されます。自分の意志や努力の及ばない外因や人間関係、ねたみ、そたみや風評、批判厳しい世間の荒波に突然晒され、苦悩する事もあります。そして臥薪嘗胆の気概で耐え忍ぶのです。生まれたときから一族の後継者として嘱望される長男も大変だと思いますが、降って湧いたようにその座に着くことになる二男のもそれなりの苦労はあると思います。そういう思いもあって、三国志において孫権がもっとも身近に感じられます。読みながら、次第に成長し覇王へと「進化」していく孫権の勇姿に熱いものが込み上げてくるのでした!

 

 

091231_1638~0001敵陣でも神出鬼没に虎狩りをするなど無邪気な面も併せ持ち、碧眼(蒼い目)を持つとし「碧眼児」と呼ばれた孫権ですが、晩年は評価を下げたようです。比較される劉備や曹操とは一世代も年下で、やがて孫権も時代と乖離してしまったのでしょうか。まあ歴史は常に勝者が後付で書き直していく物ですから、真実かどうかは定かでなないと思いますが、晩節を汚したのは残念です。曹操の【木簡】からかなり脱線してしまいましたが、いつか三国志の事に触れてみたかったので、つい調子に乗って長編になってしまいました。三国志ファンの方には、大いに異論のあるところでしょうが、是非『蒼天航路』も読んでみてください。迫力ある画力と全編名言格言の飛び出すドラマチック三国志に心が震えない男はいません!私は『レッドクリフ』の100倍面白いと思います!




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