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梅雨入りしたとの発表があったものの、今のところ空梅雨が続いています。材木屋の立場からしますと、雨が続くと現場の日程がずれたり、材を運ぶのにシートなどの養生が必要になったり、材を濡らさぬように移動させたりと、雨は決して材木屋に歓迎されるものではありません。一方、周辺のミカン農家の方々からは、このまま雨が降らないと深刻な状況になるとの声もあり、あまり大きな声では空梅雨を歓迎も出来ません。慢性の水不足を抱える松山市にとっても空梅雨は深刻です。
そんな雨嫌いの材木屋の倉庫の中にも、雨を歓迎する者がいます。材を住処とする虫たち!雨が続いて湿度が高くなると活動が活発になり、夜の倉庫では「カリカリカリ・・・」と、虫たちが木を穿孔する恐怖の音が聞こえ始めるのです!まだ虫の生態を死なない若かりし頃、夜の倉庫でたったひとり初めてその音を聞いた時、音の近くに近づけば音が止まり、離れれば音がし始めるものの、その姿は見えずという、ホラー映画のようなシチュエーションに小さな恐怖を覚えたものです。
今も詳しい虫の生態を知っているわけでもなにのですが、いつ頃になると彼らが活動を始め、現場から虫の被害のお電話がかかってくるのか、経験的に肌に染みついています。6月の雨の多いこの時期が、呼び出しの最盛期(?)なのですが、今年はどうやら虫も『雨待ち』でしょうか?例年のような動きがありません。まあ、油断していると後から大変な事になるので安気に構えてもいられませんが・・・。耳付板を扱っている以上、虫の問題は避けられない宿命です。
以前は虫、及び虫穴について強いアレルギーがあったものの、私の周辺では少しずつその反応にも変化が見られます。若い方を中心に、虫穴も平気で受け入れていただく方が増えました。鳥や昆虫に命の住処を与えていた森にありし頃の木の役割や、長い歳月を生きた木の履歴書としての証などと、説明させていただく事で、『欠点、B級品』というイメージから、愛おしさやねぎらい(?)の気持ち、またはキャラクターマーク、個性として理解を示していただけるようになりました。
最近ではむしろ傷や虫穴のひとつも無いなんて本当に自然のものなのか?なんて嬉しい事を仰っていただく剛の方もいらっしゃったりして、時代の変化を感じています。我々の親世代ではついぞありえなかった感覚ではないでしょうか。そういえば昔は『節のある床材や壁材』なんて論外でしたが、今では節は『本物の証明』と歓迎していただける時代になったのですから、ひとの価値観って案外心移りなものかも。ひと口に『節』と言っても、そこにも深い世界があるのですが・・・それはまたいずれ。
『木は決して人間のためだけにあるのではありません』。それでも人は多くの木を伐採し暮らしに利用してきました。人が木を伐採し使ってきた量は、かつて地上に存在したどの生物よりも多いことでしょう。しかし一方で木を植林し育てられるの人間だけです。木を仕事とし、木に携わって生きてきたひと誰もが、決して遊びで原木の皮を剥ぎ、虫をしに至らしめているわけではありません。その先には家族や従業員やお客さんがいらして、生きる糧となっています。
でもその代償に失われる小さな命があることも忘れてはならなないと思います。耳付板を手入れする時、硬い鬼皮を鉈で剥ぎ取ると、皮と一緒に数十匹の幼虫もボトボトと落ちてきます。いい気持ちがしないのは見た目のせいではなく、いわれなく奪ってしまう小さな命に対して。虫も殺さぬ聖人のような人間ではありませんし、偽善者のような事を言うつもりもありませんが、「作業」として慣れてしまうことにためらいを感じなくなると感受性が麻痺してしまいます。
せめて心の中で虫たちにも申し訳ないという気持ちぐらいは持っておきたいと思うのです・・・。さてこの幼虫の正体は「ウスバカミキリ」。右が成虫の姿。成虫になっても体長はせいぜい20~30mmほどの大きさですが、顎の力は半端ではありません。以前この虫については触れさせていただきましたが、長い触覚が牛の角のように見えることから別名を「天牛(てんぎゅう)」と言います。成虫になると薄皮を穿孔して外に飛び出しあちこちを徘徊。耳付き材を扱う材木屋の倉庫では見慣れた光景です。
同じ虫でもヒラタキクイムシのように小さくて発見も難しく、気がついた頃には骨の髄まで喰われているというような始末の悪い虫ではありませんので、なるべく幼虫の頃に強制退去してもらえば、被害も最小限に食い止められます。基本的には辺材の白太部分を中心に食べるので、材が入荷して早い段階で鬼皮を剥ぎ落としておけば心配はありません。幼虫がいたとしても穿孔穴が直径4~5㎜ぐらいの大きさなので発見も容易。徐々に皮を剥ぎ取っていく工程はこういう感じです。
穿孔穴も浅いものはグラインダーで磨けば問題ありませんし、深い穴とて使い方次第。虫穴があるから使い物にならないなんて考えずに、使えるものに使えばいいのです。せめてそれぐらあいの心がけがなければ、虫たちの住処や命を奪った者としては申し訳が立ちません。ちなみにクルミの木言葉は「英知」、「知性」、「知恵」です。『木言葉書』では、引越しの挨拶にご提案。リスが隠して掘り起こし忘れたクルミがやがて芽を出しますが、それは偶然ではなく、英知の実を食べたリスが森と交わした約束なのです。
耳付き板の場合、もっとも気をつけなければならないのは「虫」の被害。まあ本来は虫たちの住処である原木を退去勧告や断りも無く勝手に伐ってきているわけですから、文句を言うのは筋違いの話ではあるのでしょうが、こちらも生活がかかっているので悪いなあとは思いながらも強制退去していただかねばなりません。私は食パンの耳よりは中身派ですが、虫の好物は外耳のすぐ裏側の甘皮部分。本日は、カフカの小説「変身」の主人公グレーゴル=ザムザの虫視点で・・・
木がまだ森に君臨していた頃、甘皮の柔らかなベッドに「私」は産みつけられました。物心ついた「私」の廻りには、まだ歯のない子供にも食べやすい食料・甘皮がびっちり!母は、私が目覚めた時に独りでも生きていけるようにと、豊饒な食料のある場所を選んで産んでくれたのです。「私」はまだ見たこともない母親の愛情を感じながら、一心不乱に甘皮にしゃぶりつくのです。食べねば大きくなりません。「今のあなたの仕事は食べる事よ」、そんな母の声がどこからか聞こえてくるようです。
「私」は無我夢中で胃袋を満たしていくのです。食べては寝て、食べては寝ての日々。近くにも兄弟たちがいるようで、耳を澄ませばカリカリと元気に食事をする音が聞こえて来ます。兄か、弟か、はたまた双子だったりして!妄想は膨らみます。いつ会えるだろう。このトンネルの向こうに待っているキョウダイ達。その時を夢見て今日もしっかり食べて大きくなるぞ~!そう思って朝の食事をひと噛みしたその時、大きな衝撃がおうちを襲いました!おうちがこ、こ、壊れる~!
おうちの屋根がもの凄い力でベリベリと剥がされたかと思うとそこには見たこともないような巨人族の姿が!何を言っているのかは理解できないけれど、もの凄く怒っていうような荒々しく動揺した雰囲気が伝わります。そのうち、物陰に潜んでいた幼虫の姿に気がつき、悲鳴が・・・!おうちを粉々に壊され叫びたいのをこちらのほうです。「私」が何か悪いことでもしたのでしょうか?「私」に何か咎(とが)がありや?嗚呼、あちこちで巨人に襲われうキョウダイたちの断末魔の叫び声が聞こえてくる・・・!この続きは明日へ!
昨日に引き続いてつて雪男・イエティの話です。私にとっての「雪男体験」は、まだ童心の頃、ウルトラマンに登場してきた冷凍怪獣「ギガス」㊤や、伝説怪獣「ウー」㊦(プロフィールでは新潟県飯田山の奥深く)です。今の子供たちからすればなんともチープな造りでしょうが、昭和40年代の少年の心には圧倒的なビジュアルと存在感を持って、おどろおどろしさとともにその異形は脳髄に刻み込まれました。恐怖と興味で心を揺さぶられた多くの少年は、それからずっと心の奥で雪男・イエティを飼い育ててきたのです。今では誰もが笑いの対象としか感じない、青臭いほどの「浪漫」が少年の冒険心の確たる拠り所となった時代があったのです。ゆえに今回の発表は残念でなりません。それがチベットヒグマと結論づけられたことで、ひとつの伝説が幕を閉じました。
いや、待て!もしかしたらこれは、ホンモノのイエティを発見した研究家の方たちが、イエティを保護するために打ち出したカモフラージュでは!研究者たちが己の研究スタンスに逆らってまでも、怪物をこの世に残すために取った行動だとしたら、敬服に値します。そうか、きっとそうに違いない!イエティへの過剰なる愛が、浪漫が科学を超越したのかも!謎は謎である事に存在意義があるのであって、解明する事が必ずしも幸福になるわけではないという事は、7000年の「お墨付き」を戴く屋久杉が証明しています。
UMAというわけではありませんが、そのチベット産の『チベット桧』も謎多き(単なる私の怠慢ですが、敢えて謎と・・・)木のひとつです。私の語学力の無さから、『森のかけら240』最終選考から漏れてしまいました。アカデミックな木材図鑑を目指していない(目指そうにも能力が無いのですが・・・)とはいえ、木の楽しさを知っていただく指標として『解説書』を付けておりますが、チベット桧については私の力不足でデータを取り揃える事が出来ず、不本意ながら『森のかけら240+(プラス)』という事で解説書の末席を汚す結果に・・・
材料はあるのに『かけら』として販売できないというもどかしさ、既に『かけらサイズ』となったチベット桧が気の毒。そこで、このイエティ騒動にちなんで「チベット・雪男・UMA」などにちなんだ「5かけら」を超強引に製作してみようとも思ったのですが、ピントを絞り込みすぎて挫折。未確認生物を簡単に俎上に載せようなどとは愚かな考えでした。もう一度基本から勉強し直します。目に映るものさえ不確かな時代、もしイエティの死体が見つかったとしても否定派はその存在を認めることはないでしょう。新しい事が発見されたり、作られたりする事が都合の悪い人間は沢山います。挑戦する心を失った時に人は衰え、守りに入ります。私は生涯、見果てぬUMAに胸躍らせる少年の心を持ち続けたいと思っています。人が浪漫と冒険心を失わない限り、イエティは心の中にもチベットの山奥にも生き続けるのです!
先日の新聞で、『ヒマラヤ雪男、正体はヒグマ』というUMAファンには心胆を寒からしめる記事が掲載されました。各種メディアでも取り上げられていましたが、合成写真などの悪意ある捏造と違い、多数の目撃者が存在する未知の生物を、「見間違い」と結論けて報道するということは、かなり珍しい事なのではないでしょうか。それだけ、調査されたデータに信憑性があるという事なのでしょう。「以前からヒマと認識していた」との現地住民のコメントもありましたが、UMAにとっても棲みづらい世界になりました・・・。
研究者の方の『偉業』を讃える一方で、この発表が一体誰のためになるのか、考えてしまいます。もともと原住民が売名目的で、怪物を作り出したわけではなく、1832年にイギリスの登山家が偶然撮影した大きな生物の足跡を、地元住民に確認したところ、目に見えない動物『イエティ』(現地の言葉で「岩場の動物」の意)のものであると言い伝えられていて、それをイギリス隊が論文で発表。さらに現地の証言を基に雪男の想像図を描き、世界は「東洋の神秘・雪男」を熱狂的に受け入れました。
しかし、ヒマラヤの他の地方では昔からイエティをチベットヒグマと認識していたとも言われていて、イギリス探検隊の大いなる「誤解」が作り出した怪物でもあったのです。聞き取りをしたシェルバの民族は、チベットヒグマの存在を知らなかったというのですから無理もありません。まだまだ地球が未開の地を沢山有していた時代、妄想がイメージを膨らまし雪山に棲む謎の生き物を産み落としたのです。しかし浪漫はやがて、他の多くのUMA同様に、資金調達や売名目的に利用される運命を辿ります。
イエティの正体がヒグマだと気付いていた登山家たちもいたようですが、「シェルパ民族の信仰を壊したくない」と公表しなかったとか。その「優しさ」がUMAを近代にまで生きながらえさせてきた大きな要因です。これだけ科学技術と情報が進歩した時代、UMAが生き残るには相応の覚悟が必要になります。研究者の方の目的は謎の解明でしょうが、謎が謎でなくなった時、研究の目的そのものの消失でもあります。謎を生活の糧にする人が沢山いる限り、UMAは地上に存在するのです。
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