森のかけら | 大五木材


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森のかけら】には、240種の木のそれぞれ樹木名・別名・解説などを書いたオールカラーの30ページの解説書が付いています。厳密には、いろいろな事情で240のリストに含める事が出来なかった数点の木も掲載されています。最初【森のかけら】は100種で販売を開始しました。当時はそれでも自分なりに頑張って集めたな~というつもりでしたが、その後どんどんと触ったことの無い木や図鑑でしか見た事のないような木とご縁が出来て、これは大幅に種類を増やすしかあるまいという事になって、日本120、世界120の合計240種としました。それに伴って解説書も改定(左:改定前、右:改定後)。

それぞれに木には100文字程度の解説文を書いていますが、この解説書を作った当時はまだパソコンがそれほど普及してなくて、必死で木材図鑑や専門書を読み漁って、何度も何度も文章を推敲してああでもこうでもない、あの事も書きたいと頭を悩ませていたことが懐かしく思い出されます。今ならこの木についてはもっと違った解説が出来たとか、似たような言い回しばかり使っていると反省する点も多いのですが、その当時の私の中では精一杯でした。修正したい気持ちもあるのですが、その時の気持ちも大切にしたいのであえて中身は変えていません。

解説書の裏面に書いているのですが、「この商品は学術書や図鑑のようなものではありません。木は地域の文化と深く関わっており、方言があるように地域によっては別の名前で呼ばれていたり、同じ名前のものがまったく違う木の事を指していることもあります。ここでは数ある名前の中から、(個人的な好みで)ごく一般的に流通している商業名で取り上げています。」ということで、あくまでも一材木屋が自分のものさしではかった好奇心のかたまり本みたいなものですので、そのあたりはご容赦下さい。

内容は本当に拙いのですが【森のかけら】は木の事に興味を持ってもらうための入口商品だと考えています。そのため【森のかけら】には必須アイテムで、36入りでも100入りでも解説書は必ず1冊付きますが、解説書単独では販売していません。その後【森のかけら】も240種になって、解説書も改定しましたが、改定前の版が少し残っていました。それでもいろいろな事情もあって、解説書単独での販売は見送っていましたが、そのまま埋もれさせてしまうのは、モッタイナイ精神に反するので、改定前版に限り在庫分を単独で販売させていただくことにしました

改定前版は、100種しか掲載していないのでページ数も14ページで、【森のかけら】のロゴも古いままです。果たしてこんなモノが売れるのかどうか分かりませんが、写真撮影にも印刷にもそれなりのお金をかけておりますので、少しでも回収すべく、人気芸能人が書いた本並みの超強気単価で販売させていただきます。まあこんなモノでも読んでやろうかという奇特な方の目に触れればと思っております。嗚呼、いつの日か商品の解説書ではなくて、ちゃんとした木の本として上梓するのが夢なのですが、この解説書が試金石となりそうです・・・

森のかけら解説書100(旧版)・・・オンラインショップで販売中¥1,000(税別)




森のかけら】は、樹種名および産地を明記したシールを貼りつけていますが、それについては賛否両論あります。そもそも地域によって呼び名が異なったり、別の木を指し示すこともある商業名ではなく学名をつけてほしいという要望もありますが、材木屋としての立ち位置からすればやはり日頃から使い親しんでいる商業名で通したいし、学名を限定できるほど出自が明快ではないという事情もあります。私にてとっては学問として木を扱っているわけではなく、生きる糧としての木材であります。

その中で自分なりに木の見識を深めていきたいという気持ちはあるものの、それは学術的な分野というよりも民間伝承や逸話といった、いわゆる『民俗学的な木材』という分野。ひとが暮らしの中でどういう形で木と付き合ってきたかとか、どういうモノに加工されて利用されてきたか、その地域ではどういう名前で呼ばれてきたかといった事の方がとっても気になるのです。なのであえて商業名で通していますし、それを貫くことが自分の立ち位置を明確にすることだとも考えています

ただ今後は外国の方や教育関係者の方向けに、出来る範囲で情報として分かりうる学名なども付記していきたいと考えているところです。以前の紙媒体であれば、過去のものについて修正が出来なかったのですが、そこが上書きの出来るネットの利点。過去に遡りながら『今日のかけら』の中で情報を追加していきたいと思っています。さて、シールの事に話を戻しますと、シールではなくレーザーで名前を彫ってほしいとか、通し番号にしてほしい、無塗装にしてほしい等の要望も沢山いただいております。

木の標本として、室内のインテリアとして、あるいはプレゼントや高級な知育玩具として、【森のかけら】を購入してくださる方の目的はさまざまで、それに合わせてこうあればいいという要望もあるのは理解できますし、ありがたい事だと感謝しています。ただし【森のかけら】の最大のファンである私にとっては今の形がベストだと思っていますので、今のところはこの仕様でお付き合いいただくしかございません。オリジナルで作っていただいたこのフォントも大好きで、眺めているだけでワクワクするのです。

そんな名前シールも数樹種が欠品してしまし、先日頼んでおいたシールがようやく手元に届きました。人気のある樹種はもう何度も何度もネームシールが増刷されていますが、マニアックな樹種についてはなかなか数が減りません。圧倒的に日本の木の方が売れるので、日本の木のネームシールの方が無くなりやすいのですが、今回は外国のマニアックな木もそこそこ減っていたようで、「おお~、お前もようやく増刷してもらったか」とシールを見ながらひとり感慨に浸っているのです。




★今日のかけら・#078【椴松/トドマツ】マツ科モミ属・針葉樹・北海道産

折角、北海道からわざわざトドマツ王子こと吉田良弘さん[㈱ヨシダ:代表取締役]がご来店されたので、本日は『トドマツ』にスポットをあててみます。トドマツはマツ科モミ属の常緑高木で、エゾマツと並んで北海道を代表する木のひとつで、【森のかけら】にも含まれていてその知名度から考えればもっと早くに取り上げるべき木なのですが、四国に住む私にとっては馴染みの薄い木なのです。全国的な視点で日本の森を見た時に、北海道のエゾマツ、トドマツは当然外せない重要な樹種でした。

ところが個人的には【森のかけら】を作るまで北海道産のトドマツを実際に見たことも使ったこともなかったのです。勿論写真や画像では見ているし、情報としては知っていたものの、そのものに触れた事がありませんでした。エゾマツのほうは、たまたま昔目にする機会があったのと、『木のもの屋・森羅』で家内が仕入れた全国各地の木工品の中にエゾマツ製の経木(きょうぎ)懐紙とかがあったので、見たこともないわけではなかったのですが、いずれにせよ大きな意味での「材木」としては見たことがありませんでした。

トドマツは、マツ科であるもののモミ科ということで、アカマツやクロマツなどのいわゆるマツよりもモミに近く、色合いもモミのように心材と辺材の差が明確でありません。北海道全体の森林面積のおよそ3割がトドマツという事(人工林の蓄積量の中のおよそ4割を占める)で、資源量も多い分、その用途も広く、軽量で色白で加工性もよいことからさまざまな分野で利用されています。中でも卒塔婆などの葬祭具経木漬物樽、米櫃、茶道具箱、食品の保管箱など有名で人々の暮らしを支えてきました。

吉田さんのところでは主に土木資材、建築材、梱包パレット材などに利用されています。圧倒的な資源量がそれを支えているようですが、集材は周辺100キロにも及ぶのだとか。本州でのスギやヒノキの役割を担っているように思われます。【森のかけら】のラインナップに加えた際は、他の北海道産の広葉樹も欲しかったので、別の製材所に依頼したのですが、数年前から吉田さんにお願いしてトドマツを送っていただいています。そうして届いたのがこちらのトドマツ。開封すると北海道の香りが?!続く・・・




少し油断していたらいつものように【森のかけら】にかなりの数の欠品が発生していて、慌てて在庫の補充。一度に多くの種類を用意すると、加工して「かけら」になった時に樹種の識別に混乱するので、なるべく似たような雰囲気の木は一緒に加工しないように注意しています。特に同樹種で産地違い(例えばアカマツキリシマアカマツ、トサツガキリシマツガなど)は絶対に一緒にしません。別の樹種でも、アカエゾマツエゾマツとか、オクメシポタリなど見慣れていない木も共演はNG。

それでも同じ時期に在庫が切れかかっていて、このタイミングで加工しないと間に合わないという時があって、そういう時は荒加工したそれぞれの材の一部をカットして保管しておいて、仕上がった「かけら」と木目を見比べて判断します。240種もあれば、当然のことながら普段滅多に使うことのない木もあります。それでもある程度の大きさがあれば、全体の雰囲気や質感、匂い、木目などの総合的な判断材料を基に木の見極めが出来ます。それでも分からない木はいくらでもありますが・・・

なのでなるべく似た質感の木は混ざて加工しないことが肝心。後は時間差で加工をして、とにかく整理をきっちりする。というわけで今回もなるべく似たような木は混ざないようにしたつもりなのですが、これぐらいの大きさの時にはその違いがはっきりしていても、いざ仕上がってみると見わけのつきにくいこともしばしば。もうそこは長年の経験と最後はルーペでの判断となります。ある樹種については、既に端材では対応しきれずに、かけら用の素材を分けていただいているものもあります。

今回補充したのは、アカタブ、キハダ、キリシマツガ、シラカバ、スズカケノキ、センダン、ジンダイナラ、タモ、トガサワラ、トサツガ、トネリコ、ドロノキ、トドマツ、ニレ、ヒメコマツ、フジキ、ミズナラ、ヤマザクラと少し多め目の18種類。あ、今気づいた!共演NGなはずのキリシマツガとトサツガが共演している!!あれほど注意していたのに・・・。倉庫で運よく端材を見つけたのでつい嬉しくて足してしまったのです。まあ、こういう事を繰り返しながら共演できるようになるのかも・・・嗚呼。




業界の先輩から分けていただいた『スプルース』の端材。丸太を板や角に挽いて、残った耳の部分ですが、魚の骨のまわりの身みたいなもので、そこが結構美味しかったりします。木なのでさすがに食べるわけにはいきませんが、そんな耳まわりにわずかに残った「身」までしっかり使ってこそ、文字通り『骨までしゃぶって味わう(使い切る)』。アップして撮影しているので大きく見えるかもしれませんが、実際には極端なテーパーの三角形で、建築材としては使い道が無く、通常ならばチップ材。

普通の材木屋であれば焼却炉行きのサイズですが、『小さな出口』を持っている(小さな出口しか持っていないとも言う)弊社にすれば、これも貴重な商売のタネ。写真だと分かりにくいかもしれませんが、実際のサイズは長さ300~400㎜程度。もともと長かったものを、肉づきのいいところで短くカットしています。これを手押して削って直角を出して、帯鋸で厚み40~45㎜に挽き割っていきます。まずこれが【森のかけら】となります。写真の左側にあるのが、挽き割った残り。まだ使えます!

【森のかけら】用に割った方はこの後1本ずつ桟を入れて時間をかけて乾燥させていきます。問題は残った方ですが、「かけら」にするには肉厚がたりませんが、もう少し薄いものなら取れます。残り具合を見ながら40☓20~30㎜程度に挽き割ります。これが『誕生木ストラップ』などになります。あるいはもう少し肉が残っていれば30☓30㎜にして別の商品の原料になります。とにかく肉(身)が残っている限りは、取れるギリギリのサイズまで使う、というのが基本的な考え方です。

それでいよいよ残った切れ端ですが、これはこれで焚き物で欲しいという方がいらっしゃるのでキャリーに溜めていきます。そこまでするか~!と思われるかもしれませんが、木を無駄なく使うということは綺麗ごとではありません。製材や加工を経て変わっていく姿かたちに合わせて、こちらが『出口』を考えて、無駄なく『出口』に合った形にしていく。そうすることで限りなく捨てる部分は無くなります。貧乏性と思われようがケチと思われようが平気、これぞ『骨までしゃぶって使う』の真骨頂!

とはいってもすべての樹種に対していつもいつもこういう事をしていたらいくら時間があっても足りません。特に毎日のように発生するスギやヒノキ、米松(ダグラスファー)などの樹種については、ここまで手をかけてやれないので申し訳ないなあと思っています。それでも【森のかけら】という多樹種の出口を見つけられた事で、多くの種類の端材が活用できるようになりました。焼却炉の灰となるはずだったこのスプルースにもまだまだ働いて(輝いて)いただきます。そこにある端材、灰とするもダイヤモンドとするも「ひと」次第!




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